ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】

2014-12-30 10:26:53 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「虹」です。このブログでは過去に「虹」という言葉が出てくる話題が多くあったと思いますが、確か「虹」というタイトルは初めてだと思います。

昨日、常連客のOさんが店の窓の外を見ながら「虹が見えています。」と仰いました。「虹」好きでもある私もすぐに窓の外を見ました。すると、先ほどまで雨模様だった空に西から日が射しており、しっかりとした「虹」がかかっておりました。その「虹」は比較的長時間見えていましたので写真を撮りました。






上の写真が昨日の「虹」です。店の窓からは「虹」の一部しか見えませんが、今朝の新聞には半円状の「虹」の全景の写真が載っておりました。そして、その記事には「来年はいい年になるといいね」と新年の幸福を祈る姿もみられた、と結んでありました。確かにOさんと私も「何かいいことがありそうですね!」というような会話を交わしました。

「虹」にはその美しさと共に人を和ます力があるような気がします。その力は石の中にある「虹」にも存在します。空の「虹」にも石の「虹」にも共通性があります。「虹」の現れる原理は科学的に理解できますが、そのような理解を超えたところに神秘的な魅力があるのだろうと思います。

来年はいい年になるのでしょうか?そのように祈りたいものです。

「石の華」の今年の営業は今日で終わりです。今年、ご来店された皆様、大変お世話になりました。新年の初売りは1月2日からです。

来年もまた宜しくお願い申し上げます。

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石川県鉱物同好会 2014年忘年会

2014-12-28 12:37:27 | 日記・エッセイ・コラム
昨日は石川県鉱物同好会の忘年会を行いました。この忘年会は2011年に発足してから毎年行っており、今年で4回目となります。昨日は福井からご参加の新会員のTさんや輪島からのYさん、七尾からのYさん、加賀市からのKさん、遠方からの参加者も含めて総勢17名の大忘年会となりました。(和歌山からご参加のTさんは急遽、急用という事で、お店に顔を出しただけで、すぐにお帰りになられ、残念でした。)

この会の忘年会も恒例化してきましたが、毎年参加の会員だけではなく、毎年新会員が出席し、毎年新しい情報が飛び交う有意義な飲み会になっていると思います。

同じ趣味を持つ仲間との忘年会は普通の宴会よりも充実した飲み会になります。昨日も石談義だけではなく鉱物標本も動き回る楽しい宴会になりました。ただ、人が動き回るには少し場所が狭かったかも知れません。今後、参加者がこれ以上多くなると新しい場所を探さなければならないのかも知れません。

昨日は皆さん、お酒が入っているにもかかわらず、お互いに様々な情報交換を行っていたようです。私はお店をやっている関係でそれほど多くの産地には行っていないのですが、会員の中には産地情報に非常に詳しい方々がおり、様々な情報が交わされておりました。

飲み放題150分は程良い長さだったと思います。充実した忘年会だったと思います。

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十字3

2014-12-25 15:40:21 | 日記
今日は「十字3」です。昨年のクリスマスに「十字2」、一昨年のクリスマスに「十字」、3年前のクリスマスに「十字石」というタイトルで書いておりました。

今、店にある十字模様のある石を探してみましたが、そう簡単に見つかりません。十字探しをしている内にシラーで十字が現れる石の存在を思い出しました。今日の「十字3」ではそのような石を出す事にします。



上の写真はグレームーンストーンのアクセサリーです。カボションに磨かれた丸い石の表面に十字スターが現れています。スター効果はルビー、サファイア、ローズクォーツ、ガーネット等によく現れる6条のスターが有名(希に12条のスターもあります)ですが、石によっては4条の十字スターが現れるものがあります。以前は十字スターが現れるサンストーンもあったのですが、今は売れてしまって写真がありません。

ムーンストーンもサンストーンも長石グループに属する鉱物の宝石名です。長石グループの鉱物は正長石と曹長石と灰長石を頂点とした三角形図が有名ですが、正長石と曹長石の間には化学組成の違うものが固溶体として複数存在し、同じように曹長石と灰長石の間にも同じような固溶体が複数存在します。不思議な事に正長石と灰長石の間には何も存在しません。ムーンストーンやサンストーンに現れるシラーやスター効果はそのような固溶体としての2種類の成分が薄片状に層をなして分離し、この層の厚さが可視光の波長の長さになった場合に、光の散乱と干渉とによって起きるのです。ただ、そのような原理を理解したとしても、その不思議な光彩効果には神秘的な魅力を感じてしまいます。



上の写真はブラック・ダイオプサイトの大型ルース(縦4cm 横2.5cm 厚み1.5cm)です。別名ブラックスターと呼ばれ、その名の通り、光を当てると十字のスターが現れます。このルースは表面が広いので、見る角度によっては複数の十字スターが出て、漢字の井のようにも見えます。この十字スターは内包された針状のマグネサイトによって光が交差して起こる現象のようです。

長石族の十字スターもダイオプサイト(透輝石)の十字スターも鉱物種やスター効果の現れる原理が異なっても同じような十字模様が出るところが如何にも鉱物的で魅力を感じます。

6条のスター効果も如何にも鉱物的だと思いますが、4条の十字スターにも幾何学的にすっきりとした印象を受けてしまいます。

60度や90度の角度は鉱物の持つ幾何学的な実直な正確さを現しているような気がします。

十字スターを見ていると、クリスマス・ケーキの分割ではありませんが、円周360度を均等に切り分ける事に繋がっているような気がしてしまいました。


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ペア

2014-12-22 14:26:35 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「ペア」です。「ペア」とは二つ一組のものの事です。今日はクリスマス直前なのですが、このブログではカップルの為のペアアクセサリーのような話題ではありません。

先日の池袋ショーの業者日に妻が仕入れてきたものの中にカナダ人のディーラーから仕入れてきたアンモライトがあります。アンモライトとはカナダ産のアンモナイトの化石の表面にある虹色に輝く宝石の事です。それは薄い層状のものですが、見る角度によって赤や緑に、青や紫にカラーチェンジする非常に魅力的な石です。それなりに高価なものですが、当店では比較的安価に売っている為、いつも早く売れてしまう人気の高い売れ筋です。今回の仕入れでは化石としてのアンモライトではなく、その表面を樹脂加工してある宝飾仕様のルースが主でした。アンモライトの魅力は何と言ってもその美しい色にあるようで、特に青色系が人気があるという事で、そのようなものをメインに選んできてもらいました。

下の写真は今回仕入れてきたアンモライトの欠片です。実は左右の二つの欠片は「ペア」になっております。そして、その「ペア」とは一枚の頁岩を剥がしたものでした。私はこれまでは分離したアンモライトしか見た事がなかったので、正直、そのような産状で出てくるものとは知りませんでした。




実はこの「ペア」は「ペア」として売られていたものではありません。今回、妻はランダムに置かれていたものの中から青色系のアンモライトを幾つか選んで来たのであって、本人もこの「ペア」が「ペア」だったとは知りませんでした。

この二つが「ペア」だったと見抜いたのは、このところほとんど毎日ご来店される常連客のKさんです。Kさんは今回仕入れの複数のアンモライトを見ていたところ、この二つの欠片が何となく似ている事に気づき、最初は平面的に左右や上下に合わせてみましたが、何となく、しっくりこない、という事で、二つを重ね合わせてみました。すると、何と!その二つはぴったりと重ね合ったのです。「ユリイカ!」という瞬間でした。その事実を知った妻も私もビックリでした。特に妻の方はそれらを意識することなく選んで来たので、驚きはより一層でした。私もその偶然性に驚きました。我々はこの「ペア」を奇跡の「ペア」として店の前のショーケースに置き直しました。

今回もそうでしたが、店をやっていると、お客さんから新しい事実を教わる事が多いと思います。ありがたい事だと思います。

このような「ペア」になっているものを探してみると、「石の華」の店内には幾つもありました。






上の写真は黄鉄鉱化したアンモナイトの化石です。このアンモナイトのペアは最初からペアで購入しておりましたので、それほど感動はしなかったのですが、両方とも黄鉄鉱化している事に魅力を感じております。






上の写真はモロッコ産の水晶の晶洞(Geode)です。この「ペア」はひとつの球状の石を二つに割ったものであり、「ペア」というよりも水晶洞窟を想わせる内部の景色が魅力的だと思います。写真のものは拳大よりも少し小さいサイズなのですが、現在店にはバスケットボール大の「ペア」もあります。それらの内部には純白の雪と氷のような別世界があります。石の中の別世界の景色を見ながら夢想にふけるのも乙なものだと思います。







最後に石ではないのですが、上の写真は近所の桐工芸の店で買った丸い香合です。金沢は伝統工芸が盛んな街なので、このようなちょっとした小物工芸品をよく見かけます。私はお店を始める前の暇だった頃、近所を散歩していて、このようなちょっと気になる小物をよく衝動買いしていました。この気になる黒い球体も同じひとつの桐の木からつくられており、木目がきっちりと合わせられます。貝合わせではありませんが、この種の工芸品はやはり「ペア」でなければならないと思います。共木の合わせ蓋になってないものの価値は半減します。

「ペア」とは「ペア」でなければならない貴重なものだと思います。





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貫入水晶

2014-12-21 11:29:55 | 日記・エッセイ・コラム
今日は「貫入水晶」です。久々に石そのものの話題です。過去にインクルージョンに関する事は何度か書いたと思いますが、「貫入水晶」は初めてだと思います。

先日、ある問屋さんの出張販売がありました。原石が少なかったものの、持ってこられた中から興味深いものを見つけ、それを仕入れました。それが下の写真です。




これは水晶が川擦れで礫になった転石(ローリングストーン)の一面を磨いたものです。非常に透明感があり、その中には水中の景色のような小宇宙的な別世界があるようで気に入りました。そして、さらに面白い事にその中に小さな水晶が入っておりました。これは水晶in水晶、別名「貫入水晶」と言って良いものだと思います。

「貫入水晶」は水晶の中に別の水晶が貫入して入っているもので、中に入っている元の水晶を別の新しい水晶が飲み込んで成長したものだろうと思います。水晶のインクルージョンには水入りや黄鉄鉱入りなど面白いものが多いのですが、それらの中でも特にユニークものが「貫入水晶」だと思います。なぜ、元々あった水晶を利用しないで再成長しなかったのか?その成因は謎です。水晶には成長だけではなく成長干渉や溶解や再成長など様々な過去があります。今回の「貫入水晶」には、さらに転石となり、人の手によってカットされその一面を磨かれたという歴史があります。また、外国から輸入され縁あって「石の華」に来ました。そういう意味で、複層した時間を持ち合わせており、見た目以上に魅力的に思います。

この水晶を今日のブログの話題にしようと思った時に、店にあったもうひとつの「貫入水晶」の事を思い出しました。それが下の写真です。





この「貫入水晶」が面白いのは、細長い両錐水晶を横に完全に飲み込んでおり、飲み込んでいる水晶そのものも山入り(ファントム)水晶となっているという事です。そこには珪酸分に富んだ熱水による幾度かの成長、中断、再成長を繰り返していた歴史をしっかり刻んでいるのです。その過去には中に入っている元の両錐水晶を取り込んだ瞬間があったのです。それは如何にして?謎に満ちていると思います。

今回は水晶の中に入っている水晶でした。何かの中に何かが入っている。なぜか?その入れ子構造のようなものに魅かれます。思わず、澁澤龍彦さんの「胡桃の中の世界」というエッセイ集を思い出してしまいます。私は「石の夢」や「プラトン立体」等々、その結晶志向の系譜をたどるエッセイの数々を愛読しました。

思えば、母親の子宮に入っている赤ちゃんも同じようなものです。水晶などの鉱物結晶も地球の中の子宮とも言える晶洞内で結晶成長します。何かの中に何かが入っているという現象は視点を広げれば森羅万象に共通している現象だと思います。例えば、地球の中にはマントルや核が入っています。地上に立っていると言う事は地球の大気の中に入っていると言えます。地球そのものも太陽系という中に入っています。その太陽系も銀河系という中に入っています。もちろん、銀河系は宇宙の中に入っています。さらにこの3次元の世界はもっと高次元の世界の中に入っているようです。

先日、近くの映画館で「インターステラー」(クリストファー・ノーラン監督 2014年 アメリカ)というSF映画を見て来ました。その映画は非常に興味深い内容で、地球滅亡に際し、ワームホールを通り抜けて、別の銀河に人類の新天地を求める、という内容でしたが、重力やブラックホールや多次元宇宙をSF映画的な表現で描いておりました。特に相対論における「双子のパラドックス」を「親子のパラドックス」に置き換えるストーリー展開には驚きました。そこには多層的な時間があり、映画的な表現の中で多次元世界を垣間見る事が出来たと思います。

時間の中にまた別の時間があるのです。

そのような時間をテーマとした映画に同じ監督の「インセプション」(クリストファー・ノーラン監督
2010年 アメリカ)があります。この映画の場合は、夢の中の夢の中の夢、というような複層化した夢の中のそれぞれの時間が表現されておりました。そこには石の中の石と同じように夢の中の夢、時間の中の時間、というような入れ子構造があります。このような複雑な映画は一度見ただけでは難解だと思います。

「インターステラー」も「インセプション」も何度か見なければならないのかも知れません。両者には過去の名作を思い出させるシーンが幾つもありますので、複数回見る価値があると思います。(私は「インセプション」に出てくる海辺にそびえ立つ高層ビル群の廃墟のシーンはDVDで何度も見ました。その柱状節理の崖を思わせる巨大ビルが崩落する氷河のように崩れていくシーンは脳裏に刻まれました。「インターステラー」でも別惑星で巨大な津波が襲ってくるシーンがあり、もう一度見たいと思いました。)

面白い事に両者の映画のタイトルは「イン」(IN)で始まっています。INは「何々の中に」という意味なので妙に納得できます。

今日は「貫入水晶」を元にINという意味について考えてみました。


胡桃の中の世界 (河出文庫)
クリエーター情報なし
河出書房新社


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