?鉄電気石の結晶の上に咲く雲母のバラ
?バラの花のようなカタチの文様になっている花紋石
自然のままなのにバラの花のように見える石の華があります。上の写真はブラジル ミナスジェライス州産のブラックトルマリンの結晶の上に咲く雲母の結晶です。下の写真は富山県中新川郡舟橋村の特産品 花紋石です。雲母の方は結晶で花紋石の方は節理だと思われます。
あるカタチがバラの花のように見えることは、実はこちらの人間側の認識の問題かも知れませんが、自然石が実際にそのようなカタチになっていることに不思議さを感じざるを得ません。
確か堀秀道さんだったと思いますが、何かの本で「バラの花のように形作られる一般法則」が解明されることを期待する、と書いていたことを思い出します。
石の華にもバラの花のように見える石たちがたくさんいます。それらの標本を見ていると、いつもそのような疑問が湧いてきます。また鉱物の不思議な魅力にはまってしまいます。
クリスタルボウルとNさんが作ったその専用箱
昨日はいろんな事があったのですが、ブログに書くのはNさんの事にします。Nさんは小松の尾小屋鉱山に行く途中の西尾地区にお住いの男性です。もう石の華の常連客となって頂いております。Nさんは体格もいいのですが、石も大きなものがお好きです。これまでに岐阜県 の苗木地方産の長石の成分をともなった煙水晶の20㎝大の巨晶、パキスタン産のやはり20㎝大の平板水晶、等々、大型の鉱物を購入されています。そして先週は、鉱物標本ではないものの試に置いていた直径40cmのクリスタルボウルを購入されました。昨日は売約済みのシールを張って店においてあった商品を取りに来ました。そこで驚いたことに、その専用箱を自分で作ったということで大きな葛籠のような木の箱を持ってきました。そこにいたお客さんも含めて全員驚愕しました。その箱は元々それ用に作られた専用箱のようにサイズもぴったりで、世の中には器用な人がいるものだと感心しました。
そうそう、Nさんのお宅には尾小屋鉱山産の硫化鉄鉱の巨晶があるらしいのです。台車がなければ運べないというほどの大物らしいのです。大物といえばマダガスカル産のキャンドルタイプの20cm大の赤茶けた巨大水晶も購入されたのですが、その柱面に付いた小さな結晶の向きがセンターで逆になっている事を見つけたり、大きなものの中の小さな違いも見つけ出す能力も兼ね備えております。なぜそういう結晶になったのか不明ですが、結晶成長の不思議な神秘を見た気がします。
昨日はもうひとつ大物が出ました。それはチャミエルさんが購入したものです。太さ10cmくらいの長さ30cmくらいの曲り水晶の巨晶です。極端なカーブになっており、これもなぜそうなったのか?考えることが楽しいです。それの写真はこちらにはないので、チャミエルさんのブログをご覧ください。おすすめに入れときます。
?この写真はウルグアイ産の紫水晶です。
何となく紫色の花を想起してしまいます。水晶の紫色の原因は1970年代に明らかにされました。少し難しい話になりますが、わずかな鉄が珪素の一部を置換して入り込み、さらに結晶格子内の電子の一部が欠損し、エネルギーバランスの変化にともない特定の波長の光が吸収され、残された色が発色するからです。その微妙な自然の偶然性によって、美しい紫水晶が生まれるのです。
美しい紫水晶はメキシコのベラクルス産や日本の雨塚山産が有名ですが、実は小松の遊泉寺産の水晶もかなりのレベルだったのです。今ではあまり見ることができなくなってしまいましたが、江戸時代には「かんざし」に加工されて京都に売りに出されたという話も聞きます。幻の加賀紫はどんな色だったのか?以前は淡い薄紫色を想像していたのですが、実は透明度の高い鮮やかな紫色だったのではないか、と想像が膨らみます。
?写真はパキスタン産のクンツァイトの原石の巨晶です。
クンツァイトはリシア輝石のピンク色のものです。1902年に発見された宝石で宝石学者のクンツ博士の名に因んでいます。昨日ご来店のお客さんで愛石歴14年の方がいらっしゃたのですが、ピンク系統の石がお好きという事で、この標本もチェックされました。彼女は今年翻訳されたクンツ博士の書かれた「図説 宝石と鉱物の文化誌」もしっかり購読されているとの事。パワーストーンの思想のルーツとも言える名著だけにしっかり読まねば、と思っております。
ピンク色の石はなぜか人気があります。ローズクォーツやロードクロサイト、マンガンカルサイトやコバルトカルサイト、輝沸石や束沸石、等々当店でもよく出ます。
ピンク色の石はなぜか女性を引き付けるようです。なぜかはしっかり分析する必要性がありますが、今後の仕入れの際の重要な要素の一つだと思います。