ようこそ石の華へ

鉱物の部屋へのいざない

              【お知らせ】

【定休日は毎週水曜日です。】【7月も毎週日曜日は休業します。】【7月6日(土)は店主不在です。店は通常通り営業します。】

自然人

2017-08-29 16:06:18 | 日記・エッセイ・コラム
先ほど、㈱橋本確文堂のNさんが来店してくださって、「自然人」を届けてくれました。「自然人」とは北陸(富山・石川・福井)の自然の魅力を紹介するタウン誌の事です。その最新号(AUTUMN 2017 No.54)の特集は「北陸の石」です。

実は、6月の終り頃、「石の華」にも「自然人」の取材がありました。NさんとライターのYさんとカメラマンのHさんの3人が「石の華」に雑誌の取材で訪れました。私は小一時間ほど取材を受け、自分なりの石の話をしました。そして、主に石川県産の石の写真を撮ってもらいました。後日、見開き2ページの誌面の校正が届き、初校、再校を経て、本日、その掲載誌が届きました。掲載誌と言っても広告ではなく編集面での掲載誌です。



もちろん、私の関心は「石の華」の紹介ページなのですが、そのページは既に校正時に読んでしまっていたので、それ以上に、今回の特集「北陸の石」が気になりました。

その特集では富山県朝日町のヒスイ海岸にはじまり、小松・滝ヶ原の石文化、勝山の恐竜化石、北陸の川の石ころ図鑑、石材(富山の金屋石・金沢の戸室石・福井の笏谷石)に続き、鉱物趣味の店としての「石の華」が紹介されており、それから「とっておきの石スポット10選」や北陸の「県の石」の紹介に続いておりました。

石好きさんにとっては読み応え充分の内容になっていると思います。

私もこれからじっくりと今回の「自然人」を読みたいと思っております。
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2017-08-25 12:51:08 | 日記・エッセイ・コラム
今朝の金沢は大雨でした。大雨と言えば、先日の大雨の後には、常連のOさんが浅野川の上流の河原で面白い岩石を拾って来ました。その岩石、最初は流紋岩の球果のように見えましたが、どうも、その球果に厚い皮のような部分があって、変なものだと思っておりました。その後、OさんはいつものようにWeb上の画像検索を駆使して、それが、火山豆石であると突き止めてきました。医王山層のピソライト凝灰岩!納得しました。

今日は「豆」です。



今日の最初の写真はピソライト、豆石ではありません。これは千葉県印西市小林字鳴沢産の方解石(砂質炭酸塩ノジュール)が二つ接合しているものです。どうでしょうか?私には落花生のように見えてしまいます。面白いと思います。千葉県産の落花生のように見える石!!偶然にしては面白すぎます。

落花生と言えば、古い話になりますが、その昔、福岡に住んでいた頃、「イッツ クリスマス」というレストランバーに行った事があります。その店では、何と!床一面に落花生の殻が落ちており、出された落花生も殻を床に落としながら食べるという奇妙な店でした。それは床に落とした落花生の殻を踏む感触が雪の上を歩く感触に似ている、というような事だったと思います。その店の名前も奇妙でしたが、年中クリスマスという妙な店だったと思います。

さて、豆と言えば、もうひとつ面白い石があります。



上の写真は青森県の七里長浜の瑪瑙です。どうでしょうか?その形の雰囲気から、私にはそら豆のように見えてしまいます。面白いと思います。

そら豆と言えば、その昔、澁澤龍彦さんのエッセイを読んでいて、そら豆の話があった事を思い出します。そのエッセイには、確か、ピタゴラスとそら豆の逸話が書いてあって、その流れで、なぜか?生のそら豆をつまみにワインを飲んだ事が書いてあったと記憶しております。私がそのエッセイを読んだのが春の季節でもあったので、私もそれを真似て、生のそら豆を買ってきて、それをつまみにワインを飲んでみたのですが、これが不味くて、合わないと思ってしまいました。苦い経験を思い出します。

豆のような石は他にもたくさんあると思います。店の中で、他にも何かないか?と探してみましたが、すぐには見つからないようなので、今日はこれまでにします。


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丸い石の中2

2017-08-18 13:52:39 | 日記・エッセイ・コラム
今日は先週に引き続き、「丸い石の中2」とします。



最初のこの黒い丸い石はネパール産のノジュールです。それほど珍しいものではありませんが、これがダイナミックな地球史を物語る貴重な丸い石なのです。



上はその丸い石を割ったもので、中にはアンモナイトの化石が凹凸で収まっております。

これは現在のヒマラヤ山脈の4000メートル級の山で採集されたもので、プレートの移動にともなう大陸同士の衝突による造山運動で、古いテチス海の海底に堆積していたものが隆起した場所にあったものです。そのような事を考えると、その丸い石の中には地球史的なロマンが詰まっていると思うと愛着が湧きます。





次はケーブパールです。丸みを帯びたケーブパールとそれを二つに切断したものがセットになっております。面白いと思うのは、その切断面の内側です。最初は丸かったものが、成長するにつれて、サイコロ状に変形していく様がわかります。これは洞窟内の水たまりで生じた最初の球状の粒に石灰分の多い水の雫が長い時間にわたって落ち続け、隣にあったケーブパールとぶつかり合いながら、その空間を埋めるようにお互いに成長し、最終的にはサイコロ状になってその空間を埋め尽くす、という工程で出来ていくと考えられます。写真の一粒はそのような過程の途中で止まってしまった球状とサイコロ状の中間的な形態なのだろうと、想像できます。その丸みを帯びた石の中には丸いながらも角ばっていく様子が残っており、非常に面白いと思います。

最後に、写真はないのですが、海底のマンガンノジュールの面白い話です。

それは聞いた話なのですが、海底のマンガンノジュールを切断したものの中に、その中心部に、銃の弾があったものがあったという話です。それは戦時中の銃弾を核にしてノジュールが生成された証拠で、その生成時間を物語っています。どうも、マンガンノジュールの生成時間は思っていたよりは短い時間で生成されるようです。

マンガンノジュールと言えば、もう一つ、面白い話があります。

先日、東京の科博で開催中の特別展「深海2017」に行ってきたあるお客さんからその図録を見せてもらいました。そのお客さんは2013年に開催された特別展「深海」にも行ったらしく、同時にその図録も見せてくれました。その2013年の図録を見ていると、何と!南鳥島沖海底5500メートルにある球状マンガンが密集している写真が載っておりました。それは、ちょうど今から1年前にマスコミ発表された写真と同じものでした。という事は既に発表より3年前以前には発見されていたという事です。もしかするとこの種の科学記事の公表はそんなものなのかもしれません。

それから、さらに面白いと思ったのは、そのマンガンノジュールの新聞記事にはそれらの切断したものの写真も載っておりましたが、それらの中のひとつと同じものが展示されていたようです。会場で撮影してきたという写真と丸い石の中の表情が全く同じでした。こういう事に気づく事も石の楽しみ方のひとつなのだろうと思いました。
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丸い石の中

2017-08-11 12:27:02 | 日記・エッセイ・コラム
世間は今日からお盆休みのようですね。ポルテ金沢の1階にある「石の華」には、お盆休みも夏休みもありませんので、今日もいつも通り通常営業をしております。

さて、今日のブログのタイトルは「丸い石の中」です。私が丸い石が好きなせいで、このブログでは過去にも丸い石や球体の話題がたくさんあったと思います。今日は、表面的に見える丸い石ではなく、そのような丸い石の中がどうなっているか?という話題です。



まず、最初はロシア産の球状藍銅鉱です。アズライトボールとも呼ばれることのある非常に魅力的な青い球状結晶です。



次はその丸い石の中が見えるように割った状態です。何と!薄い青色の中身は濃紺の結晶が詰まっておりました。表面的な青い球状結晶の状態だけでも魅力的だと思っておりましたが、その中身を知ると、さらに興味深いノジュールだった事がわかり、二度美味しく思いました。

奥深い鉱物の世界は、見て楽しみ、知って楽しむ事にあるのです。

丸い石の中には表面からは想像できない知られざる世界が潜んでいます。好奇心が刺激され、その中身を見て知りたいと思います。



その次は鳥取県倉吉市駄経寺産のギブス石(奇石名は饅頭石)です。



鳥取地方で一色豆と呼んでいるこの石を割ると、中から褐色のアンが現れます。これは大山の火山活動で飛散した軽石中に含まれる黒雲母が分解して、鉄やマンガン成分が核(アン)となり、 そのまわりにアルミナに富むギブサイトという鉱物が凝集し、豆状の結核を形成したものだそうです。奇石名の饅頭石とは言い得て妙です。

まだ続きます。





これは岐阜県の根尾谷の菊花石です。その丸い石の中には外観からは想像しがたい赤菊が入っており、小石ながらも存在感があります。

まだまだ続きます。





これはモロッコ産の水晶のジオードです。その丸い石の中には別世界のような結晶世界があり、見ていてイマジネーションが広がります。





最後は新潟県東蒲原郡三川村中ノ沢産の流紋岩球果です。これもスター・ウォーズのデス・スターを思わせる丸い石の中が気になる存在でしたが、割ってみるとそれほど面白いものではありませんでした。中にはハズレもあるのです。

丸い石の中と言うと、究極的に知りたいのは、やはり地球の中でしょうか。地球科学の分野では地震波によって間接的に地球内部を知る事ができるようになりましたが、実際の岩石として、例えば、直接的にマントルから採取してきた岩石を直に見てみたいものです。


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コマチアイトとヨーガンレール

2017-08-07 11:57:15 | 日記・エッセイ・コラム
先週の土曜日に行った金沢21世紀美術館のショップでヨーガンレールの写真集「ZOMO」(2002/02)を買いました。それはヨーガンレールがカラコラム山脈で撮った自然の諸相の写真集です。そのスケール感のある岸壁や鉱物のマクロ撮影のような岩肌や砂に埋もれた転石などの写真は圧倒的な迫力で迫ってきました。言葉が一切ない写真集であるにもかかわらず、彼の美意識と自然に対する畏敬の念が伝わってきました。そこには人間のつくる美は自然の美には「かないっこない」という思いが通底しています。

その写真集とミュージアムショップで無料配布していたヨーガンレールのカタログを見ていると、面白い事に気づきました。

「ZOMO」の後ろから3枚目の写真を見ていると、私はそれがコマチアイトのスピニフェックス構造に似ていると思いました。スピニフェックスとは乾燥地に自生する鋭くとがった葉をもつ草の事で、溶岩が急冷した時にカンラン石結晶が針が延びたように成長してできる構造です。そのコマチアイトの切断面の模様に似ているように思いました。また、カタログの035Babaghuriのブラウスの生地の模様も良く似ています。





上の写真はそれらを対比したものです。

これを見ていると服の絵柄と相通じるものを感じてしまいます。

そこにヨーガンレールらしさがあるのかもしれません。

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