かぶれの世界(新)

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単独行な男

2017-11-09 21:33:10 | 日記
9月に一時帰京した時は高尾陣馬山縦走、先週は田舎でしまなみ海道サイクリングをした。どちらとも一人だけの単独行だった。私は趣味の登山やバイクとか自転車等を楽しむ時、大抵は単独行動をする。山歩きや自転車と言っても私と同年代の知人で目標を立てガツガツ距離を稼ぐような楽しみ方をする人はいない。私は誰かとペースを合わせて楽しむことが苦手なのだ。特に退職後は友人とつるむより一人で何かをする方が多い。

何故そうするようになったのか自分の性格を分析してみる。

初めての山歩きは職場の同僚に誘われ高尾山から陣馬山をハイキングした時で、その後時々奥多摩の山々を日帰りで歩くようになった。それから大学時代に登山部にいた同僚に連れられて北アルプスに行き、山小屋を利用して何日もかけて歩く本格的な山歩きの楽しさを経験した。だが、サークルで活動するとかに発展しなかった。

職場が変わり責任が出て来ると徐々に山から遠ざかった。そんな時、市の商工祭で偶然バイクを見つけて衝動買いした。確かホンダの原付50㏄だったが、見かけはロードバイク(CBX50?)だったと思う。30才過ぎ子供もいて心配だったはずだが家内は黙認してくれた(今でも申し訳ないと思っている)。それから毎年排気量の大きい中古車に買い替え、最後はレース用カウリングを付けたスズキ・カタナの改造車を買いあちこちに行った。

大抵は単独行で週末に富士五湖とか軽井沢、清里等に行き、たまに家内を後ろに乗せて走った。東京から愛媛県の実家まで往復したことがある。母もバイクを見て驚いたが何も言わなかった。ツーリング・クラブに入ってグループで走るのは躊躇った。思い返すと自分は初心者で自己流で好きなように走りたかった、思いついた時いつでも走れ都合の良い時間に戻って来る、他にもやることがありその為の時間も絶対的に重要だった。

同じ頃に始めたのがバドミントンで、最初は職場の昼休みの遊びから始まった。同僚に誘われて世田谷のママさんクラブに加入、そこでコーチに勧められ大学教員のパートナーと区民大会に初心者として参加し、トップクラスの階級まで上達した。これで仕事以外の知り合いが一気に広がった。後に米国に赴任した時、土地のクラブや大会に一人で飛び込んででも参加する素地を作ったと思う。ある意味、これも単独行だった。

もう一つ単独行を後押しした人がいる。40半ばを過ぎて米国に単身赴任した時のことだ。専門家の先輩達が断った結果、技術者上がりの私が工場責任者として米国人を使う立場になった。その時助けてくれた優秀な部下の一人が全米一二を争う経営大学院卒だった。彼は「休みに日本人村に行くな、独り立ちして地域コミュニティにゆけ」と強く勧めてくれ、現地のバドミントンクラブに加入しそのネットワークで知人を作るきっかけになった。

米国はバドミントンは秋から冬のシーズン・スポーツだったので、秋から夏は若い頃を思い出し山歩きをすることにした。毎週末がらんとした大きな家で一人で過ごすのは地獄、もう知らない山でも単独行でも行くしかない気分になった。REIで道具を揃え週末になるとテントに寝袋とガイドブックを持って山に入った。そしていつも単独行だった。初めは怖かったが少いなりにハイカーに出会うし、熊や鹿も用心すれば大丈夫と思うようになった。

こんな風に、引っ込み思案な田舎育ちの私は会社勤めを経て20代後半頃に、「単独行癖」が徐々に芽生えて行った気がする。技術者として会社勤めの中で私の性格を育てたと思う。言い換えると「我儘で他人と協調しない」、良く言うと「自分の目標に執着し妥協するのが嫌な性格」だったのが単独行癖を育てたともいえる。

単独行が遺伝的に引き継いだ性格かどうか分からない。田舎の地主のおぼっちゃまだった父の性格はよく分からない。一方、母も人付き合いの良い方ではなかった。母方の叔父がエキセントリックな人と周囲に見られていた。60年前頃に田舎の農家の息子でスクーターに乗り、趣味の写真や音楽に大金をつぎ込んでいるのを見た。田舎では他にそんな人は見たことが無い、その意味では単独行の人だった。遺伝したとすればその程度だ。

田舎で育った私は積極的にものを言うことも行動することもなかった。学生時代に友人と四国自転車旅行や北海道一周旅行をしたが、当時は一人でやろうなんて思わなかった。一人でやるっきゃないと思うようになったのは、20代半ばで技術者として認められて結果で評価される仕事を担当した時だ。自分だけが頼りだった。そういう踏み台を経て仕事以外の趣味から生活そのものまで単独行な男になってしまったと思う。

それが体に染みつき、退職後15年経ち古希になってもまだ単独行の山歩きやツーリングをする。だが、多少の変化もある。3年前旅行会社が企画したバスツアーに家内と参加して楽しい経験をした。それまでは国内外のパッケージツアー等はお仕着せの旅行と馬鹿にしていた。ところが、パックツアーは訪問地や宿泊・食事など合理的によく考えられ楽だった。今ではパックツアーのファンだ。単独行に拘り過ぎていたかもしれない。■
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