かぶれの世界(新)

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野取り図

2017-11-16 20:53:34 | 社会・経済
一昨日の朝インターフォンが鳴った。所有する山林と畑の売却仲介を依頼しているNさんが軽トラックを玄関に付けて小雨の中待っていた。携帯に電話したが電波が届かないとのメッセージで直接来たと言われた。実家の北半分にある書斎にいた私は、この先から携帯電話が通じないという奇跡の境界線の外にいた。

対象となる土地を示す国調(国土調査)結果の図面を先日Nさんに渡した。彼がそのコピーを買主に見せたところ、買主宅の裏山に当たる部分が広く空白になっており何の表示も無いことが分かった。私は変だと気付いていたが、地図が何かの理由で不正確なのだろうと思っていたがそうではなかった。

Nさんは市役所や国土省出先などの関係役所を巡り、国調で作成した図面は境界をGPSでディジタル化したもので間違いなく正確だと確認された。但し(この「但」が問題だった)、境界に接する土地は全ての所有者が確認しない限り境界は確定せず、図面は白紙のまま残されるのだという。

そう言えば4年前に私は国調に立ち会ったが、その時は隣接する土地の所有者らしき人はいなかった。登記上は該当する土地は細切れに分割され沢山の地番が割り当てられていた。誰か一人でも所有者の確認が取れないと正式な境界とはみなされず、もし相続手続きがされてないと確認すべき人が増えて確認困難になる。

となると、不正確でも国調以前の地図を調べるしかないというのが結論で、その為にNさんは私に立ち会うよう来られたのだ。私は事情を聴いて即答で了解した。Nさんの車で市役所の地区連絡所に向かった。そこには所長と2人の職員しかおらず、全員で対応してくれた。合間の世間話が面白かったが省略する。

そこで閲覧したのが「野取り図」で一般に明治から大正時代に作られたといい、日本画のような巻物になって巻いたまま何十本も壁にぶら下がっていた。地番をいうと該当する巻物が机に広げられた。職員はこれは歴史遺産とか芸術的なもので、法的に所有地を保証するものではないと何度も念押しした。

しかし、一方でそんな曖昧な状況にも拘らず私は地番と面積が登録され税金を払っているのだ。かすれた線や字を追っていくと、Nさんは買主の裏山あたりに私が持参した固定資産納税通知書にある地番と一致する土地を見つけた。緩斜面から裏山に続く山林は4つの地番に分かれているというのが辿り着いた結論だった。その3つの地番は固定資産税通知が示す面積が如何にもそれっぽい。

私は国調にあった地番の土地と、野取り図の地番が示す土地は繋がっていなければならないのに、手書き図面上の位置関係が離れすぎているのが気になった。だが、Nさん始め他の人は解決済みという顔だった。どうせ任せる積もりだったのを思い出し、宜しくお願いしますと言って確認を終えた。野取り図を見れたというだけでもいい経験だった。■
コメント
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