インダス川の見学後、アルチ僧院に向かいました。参道には、マニ車が並べられていました。回しながら進みました。
時折大きなマニ車も置かれていました。
マニ車の内部にはロール状の経文が納められており、回転させた数だけ経を唱えるのと同じ功徳があるとされています。マニ車は、チベット仏教独特の仏具ですが、チベットの民族宗教であるボン教でもマシモ車と呼ぶ同じ仏具を使っています。ただ、マニ車は時計回りなのに対し、ボン教では反時計回りになります。ボン教は、中国の九寨溝で出会うことができました。
アルチ僧院の入口に仏塔がありました。
仏塔の内部には、絵が描かれていました。
屋外にあるので劣化が進んでいるのは残念です。
アルチ僧院の内部は撮影禁止ですが、このような絵が全面に描かれています。
予想以上に見学する観光客がおり、堂内に入るのに順番を入れ替えたりしました。
まずは、「VAIROCHANA SHRINE」(大日堂)を見学しました。ここには素晴らしい曼荼羅を見ることができます。続いて、「翻訳官堂」と「文殊堂」を見学しました。この二つは、修復が新しく、大日堂と比べれば見劣りしました。
内部の写真を撮れないのは残念なことです。
最後に、アルチ僧院を代表する三層堂を見学。11世紀半ばに建てられた三階建てのお堂です。
外見だけでも見ごたえがあります。ファザードには、左から金剛薩埵(カギュ派の本初仏)、阿閦如来、ターラー菩薩が飾られています。
中央の阿閦如来。
柱にも細かい彫刻が施されていました。
神獣なのでしょうけど、正体不明。
外壁の壁にも仏の絵が隙間なく描かれていました。
撮影できたこれだけの写真では、アルチ僧院の素晴らしさを伝えることは難しいと思います。
アルチ村の土産物屋でガイドブックや絵葉書を探したのですが、見つかりませんでした。幸い、NHK「シルクロード 秘境ラダック」の中で、アルチ僧院を撮影しており、入場ができない二階部分も見ることができます。ビデオから幾つかの場面を切り取って載せます。
大日堂の内部。
正面に大日如来が飾られています。日本の仏像とは全く雰囲気が異なります。
壁一面には曼荼羅が描かれています。
曼荼羅とは、経典にもとづいて主尊を中心に諸仏諸尊の集会(しゅうえ)する楼閣を模式的に示した図像をさします。ラダックの仏教美術は、11世紀頃からのリンチェン・サンポ時代と、14世紀頃からのポスト・リンチェン・サンポ時代に分けることができます。リンチェン・サンポ様式は、カシミールや中央アジア美術の系統をひいており、壁画の着色に青を多用していることが特徴で、これに対しポスト。リンチェン・サンポ様式では赤が多用されます。
金剛界曼荼羅。
中心には大日如来が描かれています。
この大日如来は、右手が左手の人差し指を包む智拳印と呼ばれる、中国と日本でしか見られない特殊な印を結んでいます。
これは、弘法大師空海が中国から密教を伝えて建てた高野山金剛峰寺。ここの金剛界曼荼羅もアルチ僧院と同じく中心の仏は大日如来です。
この仏も智拳印を結んでいることから、日本の密教は、中国からさらに西へラダックとつながっていることが判ります。
アルチ僧院を代表する三層堂に入ると、一階と二階は吹き抜けになっており、中央には仏塔が立っています。
左には白い観音菩薩像。仏塔の背後には赤い弥勒菩薩像、
右には黄色い文殊菩薩像が置かれています。
正面奥の弥勒菩薩。
右手の文殊菩薩。
左手の観音菩薩。
いずれも、5mを越える高さで二階を突き抜けており、迫力があります。
また、壁一面に曼荼羅が描かれています。
この菩薩のまとう衣には、カシミールの宮廷生活が描かれています。
この絵にはペルシャの細密画の影響が感じられます。
イスラムの世界で花開いた細密画とインド仏教の結びつき、シルクロードが生んだ尊い遺産です。
このビデオでは、立ち入り禁止で見ることのできない二階も記録されているので、載せておきましょう。
二階に上がると、三体の菩薩が曼荼羅に囲まれて顔をのぞかせています。
三階は天井まで曼荼羅に埋め尽くされています。
顔をのぞかせている文殊菩薩。
その上には、ターラと呼ばれる菩薩が描かれています。
ターラは日本に伝わり多羅菩薩として信仰されることになります。
十一面観音。
このアルチ僧院では、日本の仏教に通じる多くのものを見ることができます。
残念なことにこのNHKシルクロード撮影の後で、アルチ僧院は撮影に対し固く門戸を閉ざしてしまいました。現在、テレビでは世界の旅番組が多く製作されていますが、このアルチ僧院だけは紹介されることは難しいでしょう。唯一の記録として、NHKシルクロードのビデオを探して是非見ることをお勧めします。私は、市立図書館で借りて見ています。
このアルチ僧院は、敦煌莫高窟、その中でも重要な特別窟に匹敵する素晴らしさですが、世界遺産にはなっていません。おそらく、チベット亡命政権がインドにあることから、インド国内のチベット関連の文化遺産は、中国の反対によって承認されないのでしょう。観光宣伝機構に成り下がっている世界遺産ですが、こういった所を取り上げないのでは、何の価値があるのでしょうか。
時折大きなマニ車も置かれていました。
マニ車の内部にはロール状の経文が納められており、回転させた数だけ経を唱えるのと同じ功徳があるとされています。マニ車は、チベット仏教独特の仏具ですが、チベットの民族宗教であるボン教でもマシモ車と呼ぶ同じ仏具を使っています。ただ、マニ車は時計回りなのに対し、ボン教では反時計回りになります。ボン教は、中国の九寨溝で出会うことができました。
アルチ僧院の入口に仏塔がありました。
仏塔の内部には、絵が描かれていました。
屋外にあるので劣化が進んでいるのは残念です。
アルチ僧院の内部は撮影禁止ですが、このような絵が全面に描かれています。
予想以上に見学する観光客がおり、堂内に入るのに順番を入れ替えたりしました。
まずは、「VAIROCHANA SHRINE」(大日堂)を見学しました。ここには素晴らしい曼荼羅を見ることができます。続いて、「翻訳官堂」と「文殊堂」を見学しました。この二つは、修復が新しく、大日堂と比べれば見劣りしました。
内部の写真を撮れないのは残念なことです。
最後に、アルチ僧院を代表する三層堂を見学。11世紀半ばに建てられた三階建てのお堂です。
外見だけでも見ごたえがあります。ファザードには、左から金剛薩埵(カギュ派の本初仏)、阿閦如来、ターラー菩薩が飾られています。
中央の阿閦如来。
柱にも細かい彫刻が施されていました。
神獣なのでしょうけど、正体不明。
外壁の壁にも仏の絵が隙間なく描かれていました。
撮影できたこれだけの写真では、アルチ僧院の素晴らしさを伝えることは難しいと思います。
アルチ村の土産物屋でガイドブックや絵葉書を探したのですが、見つかりませんでした。幸い、NHK「シルクロード 秘境ラダック」の中で、アルチ僧院を撮影しており、入場ができない二階部分も見ることができます。ビデオから幾つかの場面を切り取って載せます。
大日堂の内部。
正面に大日如来が飾られています。日本の仏像とは全く雰囲気が異なります。
壁一面には曼荼羅が描かれています。
曼荼羅とは、経典にもとづいて主尊を中心に諸仏諸尊の集会(しゅうえ)する楼閣を模式的に示した図像をさします。ラダックの仏教美術は、11世紀頃からのリンチェン・サンポ時代と、14世紀頃からのポスト・リンチェン・サンポ時代に分けることができます。リンチェン・サンポ様式は、カシミールや中央アジア美術の系統をひいており、壁画の着色に青を多用していることが特徴で、これに対しポスト。リンチェン・サンポ様式では赤が多用されます。
金剛界曼荼羅。
中心には大日如来が描かれています。
この大日如来は、右手が左手の人差し指を包む智拳印と呼ばれる、中国と日本でしか見られない特殊な印を結んでいます。
これは、弘法大師空海が中国から密教を伝えて建てた高野山金剛峰寺。ここの金剛界曼荼羅もアルチ僧院と同じく中心の仏は大日如来です。
この仏も智拳印を結んでいることから、日本の密教は、中国からさらに西へラダックとつながっていることが判ります。
アルチ僧院を代表する三層堂に入ると、一階と二階は吹き抜けになっており、中央には仏塔が立っています。
左には白い観音菩薩像。仏塔の背後には赤い弥勒菩薩像、
右には黄色い文殊菩薩像が置かれています。
正面奥の弥勒菩薩。
右手の文殊菩薩。
左手の観音菩薩。
いずれも、5mを越える高さで二階を突き抜けており、迫力があります。
また、壁一面に曼荼羅が描かれています。
この菩薩のまとう衣には、カシミールの宮廷生活が描かれています。
この絵にはペルシャの細密画の影響が感じられます。
イスラムの世界で花開いた細密画とインド仏教の結びつき、シルクロードが生んだ尊い遺産です。
このビデオでは、立ち入り禁止で見ることのできない二階も記録されているので、載せておきましょう。
二階に上がると、三体の菩薩が曼荼羅に囲まれて顔をのぞかせています。
三階は天井まで曼荼羅に埋め尽くされています。
顔をのぞかせている文殊菩薩。
その上には、ターラと呼ばれる菩薩が描かれています。
ターラは日本に伝わり多羅菩薩として信仰されることになります。
十一面観音。
このアルチ僧院では、日本の仏教に通じる多くのものを見ることができます。
残念なことにこのNHKシルクロード撮影の後で、アルチ僧院は撮影に対し固く門戸を閉ざしてしまいました。現在、テレビでは世界の旅番組が多く製作されていますが、このアルチ僧院だけは紹介されることは難しいでしょう。唯一の記録として、NHKシルクロードのビデオを探して是非見ることをお勧めします。私は、市立図書館で借りて見ています。
このアルチ僧院は、敦煌莫高窟、その中でも重要な特別窟に匹敵する素晴らしさですが、世界遺産にはなっていません。おそらく、チベット亡命政権がインドにあることから、インド国内のチベット関連の文化遺産は、中国の反対によって承認されないのでしょう。観光宣伝機構に成り下がっている世界遺産ですが、こういった所を取り上げないのでは、何の価値があるのでしょうか。