【今日の 思い出した 】
たぶん、小学校2年生頃の話である。ワシの町にサーカスが来た。
近所の製材所の末息子で、ワシより3歳ほど上級生の律ちゃんが、サーカスのゾウを見に行こうと言った。
次の日、学校から帰ってくるとすぐに2人でゾウを見に行った。
サーカスは市役所の西隣の広場でやっていたのだ。この広場は東小学校が郊外へ移転した跡地である。
ワシらはこんなにも近くでゾウと言う動物を見るのは初めて、しばらく見ていると・・・・
何がきっかけになったか、急に象が檻を破って外に出てきた。
ワシらは逃げた。逃げに逃げまくってとにかく逃げた。
後ろなんて見ることなど考えてもみなかった。そんな余裕が無かった。ゾウに踏み殺されないようにという事だろうが、そんなことも考えなかった。
きっと本能の成せることだ。「怖かった」なんてのは、後からゆとりの出来た頃に考えることだ。
そのゾウはどうなったか・・・・・・・・・・知らない。
律ちゃんは付属中学校へ進学し、付き合いはその後無い。
昨年の末に買った本、パトリシア・コーンウェル著『儀式(上・下)』(講談社文庫)を読んでいて思い出した。