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恋することはグローバル

2010-05-26 19:04:30 | 科学

前エントリーに引き続いて
Tara Parker-Pope 氏による
愛の脳科学についての記事。

5月24日付 New York Times 電子版

Love on the Global Brain 脳の恋愛反応は世界共通

Loveonglobalbrain

By TARA PARKER-Pope
 早期の情熱的な恋愛はユニークな脳活動パターンを生ずることが脳スキャン研究で示されている。愛する人の写真を人が見る時、中毒や精神疾患まで関係する脳の領域の活動がスキャン上認められた。
 しかし、これまでほとんどの研究が英国や米国など西洋の文化圏で行われている。そのため、ニューヨークの Stony Brook University の研究者たちは情熱的な恋愛によるこういった脳内の撹乱が文化を越えて当てはまるかどうかを知ろうとした。例えば、恋愛中、中国人の脳もアメリカ人の脳と同じように見えるのか?
 文化や国といったものが、どのように恋愛するか、あるいは少なくとも恋愛をどのように表現するかといったことに影響を及ぼしていると考えられる理由がある。例えば、調査によると、中国人は一般に情熱的な恋愛を『ずっと肯定的でない言い方で』表現する、と愛と脳の画像研究を行っている Stony Brook 大学の心理学教授 Art Aron 氏は言う。
 「ロマンチックな恋愛が唐突に生ずる見合い結婚の習慣がある文化では、違いが存在する可能性がアンケート調査からは示唆されています」と、Aron 博士は言う。「情熱的な恋愛は我々にとっても完全に素晴らしいものであるとは限りません。もし、あなたが恋に落ちても相手がそれに報いてくれなかったり、あなたが他の誰かと親密な関係にあったりするような場合には、悲劇的で暗い一面を持ち合わせます」
 中国の人が愛について語る時、「しばしばよりネガティブな特性、すなわち、不安、怖い、気が滅入る、などの言葉を選ぶ傾向にあります」と、Aron 博士は説明する。「アメリカ人もまたネガティブな感情を挙げるかもしれませんが、ネガティブの度合いが中国人でははるかに高いのです」
 そこで、Aron 博士の大学院生の一人 Xiaomeng Xu 氏が夏の一時期を中国で過ごすと決めた際、この研究チームは、新たに恋愛状態に入ったと申し出た中国人の脳を研究するよう手筈を整えた。この結果は Journal Human Brain Mapping でオンライン発表されている。
 恋愛がどのように表現されるかの文化的違いは、情熱的な恋愛に対する脳の神経科学的反応に変化を来たさないことを彼らは発見した。民族的背景に関係なく、恋愛は同じように脳を活性化することが画像によって示されたのである。「この測定方法は文化に依存しません」と、Aron 博士は説明する。「恋愛のあり方が最も異なっているだろうと誰もが考えていた文化において、我々はこれまでの知見を再現することができたのです」
 脳における恋愛を研究するために、男女は脳の画像装置に入り、それぞれの愛する人の写真を見せられた。彼らはまた、恋愛感情を持たない親しい友人の写真も見せられた。米国における恋愛の研究結果とまさに同じく、愛する人の写真は強い報酬に関連する脳の領域に特徴的なパターンの神経活動を惹起した。そのパターンは人が常習性薬物を用いたりギャンブルをしたりする時に見られるそれと類似していた。
 中国研究においては、さらに18ヶ月間、男女関係を追跡する追加の手順が踏まれた。その時点でこれらカップルに7点スケールで二人の関係を表現してもらった。追跡を続けた被験者全員が共に言い関係にあったが、二人の関係に6点をつけるものもいれば7点をつけるものもいた。この評価を元の画像所見に照らし合わせると、若干低いスコアを付けた人たちに比べ、最も満足な関係にあった人たちの間には脳の活性パターンに明らかな違いがあるのを研究者たちは発見した。
 「うれしいことに、そこにはきわめて明確なパターンが得られたのです」と、Aron 博士は言う。「脳の可能性のある領域がそれを予測できるかどうかについて確かめられ、きわめて強力な結果が得られました」
 ただし、この結果は予備的なものであり、同じ結果の再現が必要であると、Aron 博士は警告する。とはいえ、この研究は、情熱的な恋愛の早期における脳の活性パターンの強さによって、18ヶ月先の未来の男女関係の質を予測できる可能性を初めて示唆したものである。
 「我々がこのことからわかったことは、恋愛は単に文化的な構成物ではないということだと思います」と Aron 博士は言う。「この研究から示唆されることは、恋愛が人類の生活において強大な力となっている、ということです。脳の深いレベルで起こっていることは世界中のあらゆる所で起こっているということに他なりません。とはいうものの、愛についてどのように話し、思うかということ、人に対してそれを示すために何をするかということなどは当然ながら文化によって形づくられるものなのでしょう」

要するに恋愛における脳の反応は世界共通。
記事中の脳スキャンとは機能的MRI(fMRI)と思われる。
以前より、
恋愛に強く関与している部分は、報酬系の一部とみられている
中脳にある『腹側被蓋野(ふくそくひがいや)』と呼ばれる箇所と
考えられており、性欲と関連する領域とは異なっているという。
情熱的な恋愛状態にある時にはこの領域の活性化が起こり、
ドーパミンが大量に分泌され強い快の感情をもたらす。
文中にもあったようにコカインなどの麻薬使用時にも
同じ部位が活性化する。
つまり恋愛とは一種の中毒状態であり、恋に落ちることは、
すなわち理性では抑えがたい状況に陥っていると言える。
とはいえ、恋愛時の実際の脳の反応は、このように
脳の一部だけが活性化するような単純なものではなく、
はるかに複雑な要素が関与しているものと思われる。
とにもかくにも、こういった脳の恋愛関連領域の活性化、
生涯、一人の異性に対してだけ起こるのであったなら、
男と女の関係もずっと平和になっていたに違いない。

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