今4-6月クールの MrK 一押しドラマは
『CHANGE』でも『ごくせん』でもなく、
『ラスト・フレンズ(ラス・フレ)』(フジ系木曜10時)だった。
MrK は、3月24日のエントリーで、『CHANGE』の対抗馬として
『ラス・フレ』を推してはいたが、
ドラマの暗いムードと重いテーマが災いしてか、
視聴率は初回 13.9 %と苦戦。
しかし、俳優陣の健闘とストーリーの盛り上がりもあって、
5月29日放送の第8回では 18.8 %(ビデオリサーチ関東地区)、
今後さらなる上昇が期待できそうだ。
あ
『行くな瑠可…手紙は読んだ。気持ちはわかった。
なんで俺に答えられないって言ったかも。
でも、それでも俺は、俺は…俺は瑠可が好きだ。
人間としてか女としてかどっちか、なんて訊くなよ。
俺にだってよくわかんないんだから。
でも、俺は、瑠可を支えたい、
瑠可がどんな風に変わってくとしても…
それをそばで見続けたいんだよ。瑠可を見失いたくないんだよ。』
性同一性障害に苦しみ、
仲間のもとを立ち去ろうとしていた瑠可(上野樹里)に向かって
彼女に想いを寄せるタケル(瑛太)がこう叫ぶ。
そして二人はひしと抱き合う。
その二人を呆然と見守る美知留(長澤まさみ)のナレーション…
『私はその時、一つの愛が生まれるのを見たんだと思っていた。
瑠可…私はあなたのことを知らなかった。
こんなにも大切なあなたのことを。』
↑ 第8回、ラストシーンより
あ
これからの展開が読めないまま、
いよいよドラマはクライマックスを迎えようとしている。
性同一性障害、ドメスティック・バイオレンス、
小児期の性的トラウマなど、
登場人物それぞれが、重い悩みをかかえている。
プライバシーのないシェア・ハウスでの共同生活では、
個々の秘密は守られようもない。
秘密が小出しに暴露されながら、それでも最後まで
お互いが自分の想いを明かしあうこともなくすれ違い、
見ているものにどんどんじれったさが募ってゆく
(毎回イライラの頂点に達すると、さらにそれを助長させる
宇多田の『Prisoner Of Love』が流れるパターン)。
あ
『のだめカンタービレ』『冗談じゃない!』など魯鈍キャラの
演技が続き、それが若干鼻についてきた感のあった上野が
今回見事にイメージ・チェンジを成功させている
(最初はかなり違和感があったのだが)。
瑛太は、『篤姫』で演じる小松帯刀もそうであるが、
癒しの役がぴったりの感じ。
ただ『ラス・フレ』のタケルは
人を癒してばかりもいられない状況のようだ。
過酷なダイエットを実践中のためか、相当にやつれ顔の長澤は
見るからにドメスティック・パイオレンスの被害者だ。
『一リットルの涙』では、あまりにいい役過ぎた錦戸は、
今回は気味の悪い音楽とともに登場するDV加害者、宗佑を
演じているのだが、異様な雰囲気をうまく出していると思う。
それと忘れちゃならないのが
瑠可が所属するモトクロス・チームの監督、林田(田中哲司)。
その人相、風体から、瑠可を襲ってしまうのではないかと心配したが、
実はすごくいい人だったのに安堵(笑)。
あ
性同一性障害者の戸籍上の性別変更を認める現行の特例法では
現に婚姻していないこと、子供がいないこと、
性転換手術を受けていることなどの要件があり、まだまだ、
この障害者(障害者と呼ぶべきか否かの議論もある)が
社会的に容認されているとは言いがたい。
(今年度、要件緩和が検討されている)
性認識が肉体と異なっている状態が、
どれほど本人にとって苦痛であるかは、想像を越えるものだが、
このドラマを見て、少し理解できそうな気がした。
今回のドラマ・クールにおいて、『ラス・フレ』は、
荒唐無稽な展開の 『CHANGE』、
お決まりの水戸黄門学園版 『ごくせん』よりも
はるかに見ごたえのあるドラマだと、
毎週木曜日が楽しみでしょうがなくなっているのである。
私は、今更見てもなぁ(今までの経過がまるで分からないので)と、もう見るのを諦めていますが、再放送の際には見てみたいと思います。
そういえば、ドラマが始まって間もなく、知り合いが中学生の子供に「どうして暴力ふるわれているのに、つきあってんの?」と聞かれ、なんと答えていいものかと苦笑いしてましたよ。
いえいえ、番組公式HPでざっとストーリーを追ってゆけば、まだまだ楽しめますよ。それに無料の動画サイトでバックナンバーをチェックできますし。
まぁ、最近、めったにないシリアスなドラマなので却って新鮮です。
DV彼氏と別れることができないのは、暴力振るわれてもやっぱり好きな気持ちを断ち切ることができないからなんでしょうね。女の子の気持ちはわかりまっしぇん。