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事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ファミリーレストラン」前川麻子著 集英社刊

2008-03-25 | 本と雑誌

Familyrestrant  若い頃、友人の家を訪ねたときだった。きこえてくる家族の談笑にわたしは本当におどろき、チャイムを押すのをためらった。

「こんなウチ、ほんとにあるんだ!?」

 いがみあうことにすら疲れ果て、もはや家族のあいだで会話も成立しないことに慣れきっていたわたしに、この団らんはショックだった。ひょっとしたらテレビのホームドラマの中にしか存在しない世界なのかも、とまで思っていたのである。

……さまざまな経緯から、ほとんど血のつながりのない家族を“やっている”登場人物たちは、それゆえに家族であることに意識的だ。それは言わない約束でしょ、という部分まで過剰に考え込み、反応し、お互いを傷つけ、そして幸せをかみしめている。

 これはしかし結構しんどいだろう。お料理のディテールに徹底してこだわるあたり、彼らのきつく、途切れない日常を感じさせ、ため息がでる。没交渉だったわたしの家族の方がまだしも居心地がよかったのではないかとさえ思ったりする。

Maekawaasako  このファミレス、女性には圧倒的におすすめ。でもわたしのような中年男が再び訪れるのはやっぱりきついかも。味は最高なんだけど、なにしろ料理人のレシピの解説とかがうるさそうだし(笑)。

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Dragon Quest Ⅷ

2008-03-25 | アニメ・コミック・ゲーム

Dragon_quest_2__j_0000thumb  中年の教員ドラクエファンたちの泣き言の数々。
「“ふっかつのじゅもん”をミスって何度泣いたかなあ」
「オレなんか無くさないように教務手帳に書いてたぞ」
「魔王に『世界の半分をゆずってやるから』って誘いに思わず『はい』って答えちゃった自分の心のどす黒さにはほとほと呆れた」
「オレなんかオレなんか、テレビの前にノート開いて宝物のありか『西へ3歩・南へ5歩』とかメモるだろ?そしたらさー、看護婦やってる女房が、出勤前に『バカ!』ってそのノートに殴り書きしやがってよー」

……ドラクエがブロックバスターの地位を築いたのはⅢからというのが定説。発売時の狂騒は今も語り草。いかにⅡが面白かったか、ってことでもある。あの、やたらに強力なラスボスにはわたしも衝撃を受けたっけ。プラットフォームがファミコン→スーパーファミコン→プレイステーションと移り(その時点で最も強力なハードにソフトを提供する、これがエニックスの流儀。要するに勝ち馬に乗れってこと)大ヒットを連発してきたドラクエで、わたしのお気に入りはⅤ。戦ったモンスターが“ごくまれに”仲間になる、というシステムは最高だった。キラーマシンを二体も仲間にできたときはうれしかったよー!……と、このようにマニアックになりすぎたこともあって最近のゲーム業界は沈滞の極み。ライバルだったスクウェア(ファイナルファンタジーの会社ね)を吸収合併し、業界代表として今回のドラクエⅧはどんな戦法を持ち出したか。

 いやー歴然としてました。要するに『初めてゲームをするような人=ライトユーザーが楽しめる』ように細心の注意がはらわれているのだ。「あー先に進めねー!」と途中で放り投げたくなる事態にはめったに出くわさない。それはそれでヘビーユーザーには不満もあるだろう。でも彼ら向けには、とんでもないところに宝箱があったり、錬金釜というディープなネタが用意されていたりもする。さすがビッグタイトル。

 気が早いようだが、ドラクエⅨがどのプラットフォーム対応かは一大事件。プレステ3だとすれば、次世代DVDの規格争いでブルーレイ陣営への圧倒的な……あ、またマニアックになってしまったー。

※これ、2005年のネタ。結果としてDQⅨはDSでの発売。エニックスの、要するに勝ち馬に乗る方針にゆるぎはなかったわけだ。

Quest3_2 

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「ライラの冒険 / 黄金の羅針盤」 The Golden Compass

2008-03-24 | 洋画

Thegoldencompassp 「あー面白かった」
え?満足そうに隣の席でため息をつく娘に、父親としてはうれしいものの、すれっからしの映画野郎としてはちょっと意外。

 世界観は確かに魅力的。“わたしたちの世界とは少しだけ違う世界”では、人間の魂は動物の姿となって実在し、分身として帯同する。オトナになるとどんな動物か確定するが、子どものうちは変化をくり返す。ダイモンと呼ばれるその魂は、宿主と痛みを共有する……ね、いい感じでしょう?登場人物たちのまわりを、鳥だの猿だのうさぎだのが常にウロウロしている絵は魅力的だ。

 ところが、だ。どうにもドラマがワクワクさせてくれない。
否応なしに教会をイメージさせる神学者たちが、学究の徒であるライラの叔父の命を狙い、同時に人間とダイモンの切り離し実験のためにこどもたちを拉致する。彼らの救出に向かうライラに、よろい熊や魔女が加勢し……ストーリーもいい感じなのに。

 画面も派手。魔女の大群が飛翔するシーンや、よろい熊(西部劇のように、やさぐれて酒場で下働きをしているのが笑える)の王位継承をめぐる決闘など、なかなかの迫力だ。

 キャスティングもすばらしい。どうやったらこんな美しい身体を維持できるのかとため息がでるニコール・キッドマン(怖いぐらいに碧い眼だったことを再確認)や、ダニエル・クレイグとエヴァ・グリーンの「カジノ・ロワイヤル」コンビの再現もうれしい。特に魔女役のエヴァは前作を上回る美しさ。

……ここまで好条件がそろっていながら、どうして弾まないかなあ。おそらくは、カネはかかっているものの、撮影に十分な時間がとれず、有機的にドラマを熟成することができなかったからではないだろうか。たとえばキッドマン(日本語版吹替女優が誰か、見ている途中で気づいたらえらい)、クレイグ、グリーンの三人が、いやそれどころかどの組み合わせも同じ画面にいるシーンが皆無なのだ。つまり“共演”していないのである。おまけに、第二作につながるニコール・キッドマンがライラを追いかけるエンディングにおいて、彼女の顔は一瞬たりとも映らない。要するにスタンドインを使用したことがバレバレ。これでは監督も(「アバウト・ア・ボーイ」ではいいところを見せたのに)しどころがなかったろう。ぜいたくな撮影が許されなかった、窮屈で空虚な大作といったところか。

Gc_grvbnnr_serafina さて、色々といちゃもんをつけさせてもらったけど、どうして日本で「十二国記」を実写で映画化しようという話にならないのだろう。麒麟によって選ばれる王、というコンセプトはライラの“ダイモン”以上に魅力的だと思うのだが。

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「ハウルの動く城」 ('04 スタジオジブリ)

2008-03-24 | アニメ・コミック・ゲーム

Mail03f木村拓哉の演技が)よかったよ。キムタクだとわかっていてもキムタクではありませんでした。それくらいはまってましたよ。

Mail03a  決してレベルが低い作品ではないと思いますが、宮崎作品としては可もなく不可もなく、という気が。あの大泉洋が声優としても活躍してたとはねえ。

Mail03a_2 中の上?

Photo_howl 評価分かれまくりハウル。どうせロングランされるんだから劇場が空き始めてからチェックしようと思ったけれど、こうなったら早いとこ観ておかねば……

素晴らしい作品だった。至福の時間。まず何といっても「動く城」の造形に打ちのめされる。むだなイクイップメントをてんこ盛りにくっつけて、ノシノシ不自然に歩く要塞。これって男の子にとっての究極の夢だ。絵を描いてから脚本を考える(!)宮崎駿でなければできない仕事。おなじみの、空想ででっちあげた爆撃機などのバトルが地味だったけれど、この城はそれを補って余りある。それに、ここまで描き込むかなあ。他のプロダクションはため息をついたであろう徹底的に描き込まれたジブリの仕上げは、むしろ息苦しいぐらい。もうちょっと色を落としてくれてもバチはあたらないだろうに。でも欧米ではミヤザキはもう美術品扱いだしね。

よくよく考えれば木村拓哉を倍賞千恵子、美輪明宏、加藤治子の大年増三人がとりあう(笑)話だけど、戦争を終わらせたのが(始めたのも)年寄りの悪賢さと純情だったあたり、唸るほどうまい。呪いのせいで老婆になったヒロインと、荒地の魔女が階段をのぼるシーンは歴史に残るだろう。

Howl02 声優はみんな大正解。特に火の悪魔の我修院達也と、ハウルの弟子を演じた神木隆之介(「千と千尋の神隠し」の“坊”)には笑った。さくら役で優等生的なイメージにこり固まってしまった倍賞千恵子に「下町の太陽」の頃のおきゃんさが復活。中年の映画ファンにはうれしいプレゼントだった。それに、ついに宮崎アニメでラストのキスシーン実現。必見!

コメント (4)
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ゴジラ ファイナルウォーズ GODZILLA FINAL WARS('04 東宝)

2008-03-24 | 邦画

Godzillafinalwars  この映画に数々の批判、というか罵倒が寄せられていることはきいていた。これまでのゴジラ映画へのリスペクトがないとか、格闘家ドン・フライや船木誠勝の演技が(ついでにケイン・コスギも)失笑ものだとか。でもこれは仕方がないだろう。だって監督があの「ヴァーサス」や「スカイハイ」の北村龍平なんだから。彼は“シーンは作れるがドラマは作れない”ことで有名なんだし。むしろゴジラ映画のラストにこの掟破りな選択をした東宝を評価すべきだ。

 でもどうしても主演女優については言っておきたい。このチンピラ女優は製作発表の記者会見で「第1作は観たんですけど、途中で寝てしまいまして」だの「(共演の宝田明の)ルックスがすっかり変わっていて」だのと失言を連発し、会場のひんしゅくをかっている。強力なプロダクションに所属しているだけのことで、こんな非礼が許されていいのか?しかも演技は格闘家たち以下。学芸会だってもう少しなんとかなるだろう。いいか菊川怜!思わず名前出しちゃったけど映画をなめんじゃねーぞこら。

おまけに、彼女の姉を演ずるのがわたしの苦手な水野真紀。セクシーポーズをこの二人に連発させながら、まったく色香がスクリーンから感じとれないのはわたしだけ?X星人(どひー)に扮する往年の怪獣映画ヒロイン水野久美の方は、“まばたきをしない”設定のためにしわの目立つ顔がアップになるのだが、そっちの方がむしろドキドキさせてくれたのと対照的。美人は歳をとっても美人だなあ。

 わたしはゴジラ映画に関してはかなり好意的な観客だと思っている。そのチープな質感にもめげず「この1冊」で何度もとりあげてきたのは、開巻に献辞が捧げられている本多猪四郎が山形出身だったり、オリジナルゴジラの着ぐるみに入っていた中島春雄が酒田の中島精肉店の生まれだったりすること以上に、映画体験がゴジラから始まっている(「ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘」’66)刷り込みがあるからだ。そのラストをこの女優たちは台無しにしやがってぇ。

 とか言いながら、誰も今回が本気でファイナルになるなんて思っていないわけだし(笑)、実はお目当てだった北村一輝が予想以上に狂いまくっていたので、それなりに満足はしております。今度のゴジラは、孫といっしょに見に来ることになるのかなあ。

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電車男

2008-03-23 | デジタル・インターネット

Denshaotokoganbare 既に時事ネタとして消費し尽くされた感のある「電車男」。しかしこの物語には、味わうべき点がもっともっとあったと思う。

……「この1冊」ではもうおなじみの『2ちゃんねる』から発生した純愛物語。ああもう既に二律背反だ。鬼畜“2ちゃんねる”の“純愛物語”だぁ?

 秋葉系とよばれるイケてないヲタク男が、偶然まきこまれた電車内のトラブルで知り合った女性とのやりとりを“お互いのつらさを舐め合おう”的なスレッドに書き込みした。参加していた住人たち(この辺、2ちゃんねる語が多くてすみません)は彼の悩みに答え、叱咤し、そしてチャチャを入れる。

 彼女にプレゼントされたティーカップのロゴが読めず「HERMESって書いてあるけど、どこの食器メーカーだろ」(おかげで彼女は後にエルメスさんと呼ばれることになる)などと徹底的に洗練とは対極にいた電車男は、みんなの応援を背に勇気をふりしぼり、恋愛というステージに躍り出る……

 なぜこの本がここまで支持されたかはよくわかる。こーんな普通の恋愛話をこそ、みんな聞きたかったのだ。彼女に電話するべきかドキドキし、デートにどんな服を着ていけばいいか悩みまくり、そしてどんなときにキスを……おぼえがあるじゃないですか。その記憶と困惑を追体験できるのだ。そしてそれ以上に、電車男とエルメスさんのお互いを思いやる気持ちが泣かせる。その善なる思いが、しかし鬼畜なチャットサイトに花咲くあたりがいかにも現代なのだが。

※しかしこの物語、「好きって言ったらもっと好きになっちゃいましたw」他エルメスさん名セリフ満載。感情移入しやすいようにちゃんとできているのだ。わたしは全肯定する。

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僕の彼女を紹介します

2008-03-23 | 洋画

06_0106_1   んもう韓流、韓流、韓流である。ヨン様に代表される韓国映画・テレビの日本でのブームは、コリアン・インベイジョン(韓国の侵略)と言ってもいいぐらい。このくらいで民族的差別感情が消えるはずがないと最初はわたしもなめてかかっていたし、ブームになったせいで、かえって一過性のものになってしまうのではと危惧もしていた。どっこい女性たちの熱狂はホンモノのようで、ブームが去ったとしても、ペ・ヨンジュンやウォンビンのファンだったという事実は“蓄積”するだろう。悪い話じゃない。

 韓国映画の現在の隆盛は、クォーター制と呼ばれる『自国語の映画を一定期間必ず上映しなければならない』という韓国の国策がバックにあったから。日本もこいつをやれとは言わないが、外貨獲得以上に、韓国という国、国民、文化を知らしめるという成果があったのは今の韓流ブームで一目瞭然。「シュリ」から始まった怒濤の上映ラッシュと、ある程度の興行的成功は、北朝鮮という宗教国家と同民族であるハンディをものともしなかったわけだ。

 で、その韓流映画だが、その特色はどう考えても『濃すぎる』ことだろう。いやはやここまでやるか、というぐらい展開が濃い。往時の大映ドラマ(赤いシリーズとか)もハダシで逃げ出すほど。でもそれがこれだけの人気を得ている現実は、日本映画やテレビがあまりに洗練されすぎ、普通の恋愛を描けなくなっていたからかも。その後悔が「セカチュー」や「イマアイ」になってるんだろうけどね。みんな変化球に目が慣れすぎていて、剛速球の方がはるかに有効だったんだなあ。

 で、「僕の彼女を紹介します」。いやはやこれが濃い濃い。でも客席の後ろの方ではみんなズルズル盛大に泣いている。「83%が泣いた!」がこの映画のキャッチコピー。17%のひとりとすれば、いろいろと文句もある。あのラストは「猟奇的な彼女」を見ていない客には単なるギャグじゃないかとか、いきなりX-Japanが流れるのは興ざめだろうとか。致命的なのはセックスの不在。不自然きわまりない。でも、ベタベタなラブストーリーの需要を喚起し、映画館に観客を呼び戻してくれたその功績は、ひねくれた中年男としても認めないわけにはいかないのでした。やるなー韓流。

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BOOK OFF 3冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

2冊目はこちら。Yorunohatemade

 ブックオフ商法については、わたしなどがイチャモンをつけなくても様々な方面から批判は寄せられている。たとえば万引き問題。

 新刊書店から万引きを行い、ブックオフにそのまま売り払う犯罪は後を絶たない。それどころか出版社の人間が在庫を持ち込んだり、新刊書店員がブックオフから古書を買い、スリップ(本の中にはさみこんである売り上げ伝票)を入れて取次に返品したりする裏技まで報告されている。ブックオフの出現が、流通のモラルを低下させているというわけだ。ちなみに、ブックオフ自身は「やまびこ方式」と呼ばれる万引き対策をとっている。ひとりが「いらっしゃいませ」と言ったらフロアの全スタッフが「いらっしゃいませぇ!」と応え、フロア全員が“監視している”ことを印象づけようとしているのだ。うるさいだけのかけ声じゃなかったんだなー。

 しかしわたしがブックオフに批判的なのはこんな理由ではない。本の価値を鮮度だけで判断していいのか、文化的存在として……なーんて「良書だけ擁護」派だからでもない。最大の問題は、ブックオフのあふれるほどの利潤が、書き手に全然還元されていないところにある。出版界の現状に色々な問題があることは理解できる。本屋に注文してもなかなか顧客に本が届かない理由はいくら考えても納得できないし、書店が値付けを行う必要のない(つけられない)再版制度が疲弊していることも確かだ。でも、著作権者が利益を得られない業界に明日はないはず。優秀な書き手を育てるのは、それだけではないにしろ経済的保障ではないか。その観点がブックオフからは完全に抜け落ちている。

 ブックオフは単品管理をしていない(!)から作家への還元は事実上無理だの、中古車を売るときにメーカーに利潤は入らないでしょう?だのと理屈をこねているけれど、だとしたら新古書店という存在には文句なく根本的な欠点がある、ここから話を始めなければ意味がない。

 ブックオフは必要だと思う。旧弊な業界に一撃を加えたことは確かだし。でも不可欠な存在としてこれからも在ろうと思えば、著作権料というハードルは無視できないはずだ。そうでもなければ、単なる『必要悪』という鬼っ子のままだろう。え?もう売り上げの半分以上はDVDやゲームソフトになっているからうるさいことは言うな?そっちの著作権料の方が緊急課題だっ!

※その後、創業者の所得隠しなどでブックオフのうさん臭さは次第に露わになっている。しかし、中古ピアノの転売でもうけたアイデア社長一族の影響を排除することは、新古書店の社会的存在意義を高めるうえで絶対に必要だ。

画像は、怒濤の不倫小説「夜の果てまで」泣ける。盛田隆二はホントにいいです。

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BOOK OFF 2冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

1冊目はこちら。0930homeless

 本の新しさに価値をおくブックオフが、どのようにその本の“鮮度”をチェックするかはこんな具合だ。入荷時期を示す、赤・青・緑・黒の4色のステッカーを本に貼り、その色をもとに3ヶ月売れなかったとわかれば即刻100円にプライスダウンする(このシステムを知悉している客が、わざわざステッカーの色が違うと値引きを要求する例まであるそうだ)。加えて同じ本が5冊並んだらこれも100円へ。郷ひろみの「ダディ」は何冊も持ち込まれたとか。

 このシステムがなぜ必要だったかというと、ブックオフの店員たちの多くはパートかアルバイトであり、熟練された値付けなど望むべくもなかったからだ。そのため、数千万円を投資してマクドナルドのマニュアルを買い、開店前には毎朝スローガンを唱和し、売り上げ目標を達成すればその時点で店員全員がバンザイをする。一種の運動体のノリ。

 このブックオフの商売がなにゆえにここまで伸張しているか、ヒントは在庫管理にある。最大の特徴は「在庫が存在しない(!)」ことなのだ。とにかく持ち込まれた本はできるだけ早く店に並べ、客の目にふれさせることがポリシーになっている。生鮮食料品並み。また、恣意的に本を選んで並べたり、他店から搬入させたりすることもやっていない。その店の在庫は、その店に持ち込まれた本だけで成立させることが基本線。そしてこれこそがブックオフの強みだと社長は主張している。なぜなら、その店に並んでいる本は、その土地の人たちが、少なくとも一度は購入した本だという結果になっているから。つまり期せずしてその土地の売れ線になっているというわけだ。なるほど。全国一律に配本し、売れなければそのまま返品すればよしとする現行の再販制度の欠点を、結果的にブックオフが補完している。

 しかし、このブックオフ商法については、わたしはやはり反発がある。次号BOOK OFF 3冊目につづく。

画像は、これから大量に入荷するであろう(もうしている?)「ホームレス中学生」。この壮絶な貧乏話を、新古書店で買うのってなんか。それにしてもみごとな装幀。

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BOOK OFF 1冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

Bakanokabe  本が売れない。一見「バカの壁」「ハリー・ポッター」「セカチュー」などの大ベストセラーに浮かれている出版界だが、出版不況という言葉はもうすっかり定着してしまっている。単行本はもちろん、雑誌、コミックなどすべて前年割れが続き、中小の書店はバタバタとつぶれている。

 その要因は数々あるだろう。メディアの多様化と可処分所得の減少の影響が『本』に向かったとか、教養としての本という存在がもう機能せず、出版物が人生にとって不可欠なものではなくなった、とか。

 しかしその間隙をついて急成長している“書店”もある。言うまでもなく、ブックオフに象徴される新古書店がそれ。このブックオフについてしばらく考えてみよう。

 わたしも何度か酒田のブックオフには本を売ったことがあるし、ポイント制などにつられて古書を買っている。そのときに誰でもが感じるのは「え?こんなに安くしか買ってくれないの?」とか「そのくせこんなに高く売ってるの?」だろう。段ボール箱いっぱいに持っていって、2,000円にもならないことはしばしばだし、値がつかない本の多さに気が遠くなったりもする。明細を確認はさせるが手渡しはしないあたり、どうもあやしい。

 【定価の一割で購入し、定価の五割で売る】ブックオフの値付けの基本的なシステムはこんなパターン。粗利が8割以上もあることから批判が集中しているわけだ。しかしこのパターンが通用するのは特Aとされる本だけ。ブックオフは以下のように持ち込まれた本をランキングしている。
「特A」 発行されてから3ヶ月以内の新刊本 定価比買取価格10%
「A」  発行日から1年以内のもの → 6%
「B」  本をきれいにする作業が必要な本 → 4%
「C」  汚れや紙焼けがある本 → 1%
「D」  廃棄処分

なるほどシビアなものである。ブックオフが、その本を【新しさ】【美しさ】でしか判断していないこともわかってもらえると思う。それではその本がどうやって100円均一コーナーに移動するか、これももちろんマニュアル化されている。このあたりを次号BOOK OFF 2冊目で。

画像は「バカの壁」。なにかが壁になって、わたしはこの新書を購入することができない。

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