事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「落合博満 バッティングの理屈」 落合博満著 ダイヤモンド社

2020-07-28 | スポーツ

いや、別にこの年になって野球がうまくなりたくてこの本を読んだわけじゃないの。近ごろ面白くて仕方のない日本プロ野球をもっと楽しめるのではないかと。

にしても、落合と言えば「練習嫌い」「おれ流」「広角打法」といったイメージが強いけれど、ここまで徹底して理屈を考えていたとは。

意外だったのは彼が常にセンター返しを心がけていたことで、広角とはあくまで結果にすぎなかったと。自分にとって(そしてそれはほとんどの選手にとって)苦手な球はアウトコース低めのストレートであり、だから常にそこに投げこめるピッチャーこそが優秀だと考えているのだ。

バットのトップの位置はストライクゾーンすべてに対応できるように高くあげ(理解できる)最短距離でボールをミートできるようにする(理解できる)、その場合ひじの抜けが……(まったく理解できない)

往年の名選手が、なぜ好成績を残せたのか、少年野球の指導者に求められるものとはなどが懇切丁寧に語られる。いやはやびっくり。

さあ今夜も野球がある。キャッチャーのリードをこれまでになく楽しめそうだ。"

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1984年のUWF PART2

2020-07-08 | スポーツ

初代タイガーマスク 必殺技紹介

PART1はこちら

タイガーマスクの登場は衝撃的だった。原作者の梶原一騎のリクエストがあったとはいえ、まず入場するときにトップロープに立つのだ。マンガじゃないんだから。んもう生半可な運動神経ではないことをここで観客に印象付ける。

そして技がまたすごかった。ローリングソバット、サマーソルトキックなどのメキシコ流の空中技や、体重が軽そうなのにローキックはかなり効いているように“見えた”。

特に驚かされたのは、マット上で助走をつけ、場外にいる敵にそのまま身体をぶつけるプランチャー。なんだこりゃあ!と思いましたもの。

タイガーの人気はもちろん爆発。しかし、マスクをかぶってタイガーを演じていた佐山聡の気持ちは晴れない。華麗なプロレス技を駆使しながら、新日本プロレスの興行におおいに寄与しながら、佐山はガチのファイト、スポーツとしての格闘技を志向していたのだ。だから勝敗が決まっているプロレスから心が離れていく……

もちろん、どれだけ稼ごうがアントニオ猪木の副業の赤字補填に金が消えていく状況への怒りもあっただろう。彼はいきなり引退する。初代タイガーマスクとしての活動期間はわずか2年4ヶ月間だった。

そして1984年。佐山はUWFに参戦する。そこには、前田日明藤原喜明高田延彦らが待っていた。

この書において、柳澤さんは例によってプロレスはストーリーのある興行だと主張し、そこからはみだそうとした佐山を称揚している。可能性を秘めていた前田日明や藤原喜明が結局はプロレスの人であると結論付けているので、発行されたときは賞賛と罵倒の嵐だったらしい。

わたしがどう考えたかと言うと、確かにサブミッション(関節技)中心のUWFの本気度は高かったかもしれない。しかしわたしの頭の中には、初代タイガーマスクのローリングソバットの切れ味がまだ残っているのだ。

最も華麗なプロレス技を見せた男がプロレスを否定した苦みこそ、この書の眼目でしょう。

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「1984年のUWF」 柳澤健著 文藝春秋

2020-07-07 | スポーツ

Dynamite Kid Vs Tiger Mask 01/01/1982

わたしが子どものころのプロレスは、思えばシンプルだった。

力道山はすでに亡く、ジャイアント馬場とアントニオ猪木のBI砲の時代ね。山形の民放は60年代末、日本テレビ系列の山形放送だけだったから、プロレスを見ようと思えば金曜8時の日テレで決まり。三菱の掃除機“風神”が意味なくマットの上で活躍していました。

しかし子どもにはうかがい知れない事情でその枠は刑事ドラマに取って代わられる。あの「太陽にほえろ!」だったから、日テレとしては大正解だったわけだ。

そしてもっともっとわけのわからない事情でアントニオ猪木は独立して新日本プロレスを結成し、馬場は全日本プロレスを。BI砲の時代の終わり。

以降の猪木については、この書を著した柳澤健さんの「1976年のアントニオ猪木」に詳しい。

あの壮絶なルポでは、モハメッド・アリ戦が凡庸で、パク・ソンナン戦が陰惨な結果になった原因が、猪木のスキル不足と結論づけられていた。つまり、ちゃんとしたプロレスラーは、事前に打ち合わせたストーリーにのっとってきれいに試合を決めるというわけ。

そのあたりを、プロレスは八百長だと馬鹿にするか、芸の本質がそこにあると称揚するかのふたつに分かれる。

わたしはずっと全日本プロレスの味になれていたけれど、東京に出て新日の試合を見たときには驚いた。テレビ中継時間内に試合が終わらないこともたびたびあったからだ。

IWGP(池袋ウエストゲートパークじゃないよ)で猪木がハルク・ホーガンのアックスボンバーで失神したことを考えても、新日本プロレスのほうが本気度は高いのかなと思わせた(あの失神は猪木の計算だったという説もある。ま、なんでもありです)。

そして、衝撃的なレスラーが登場。初代タイガーマスクである。以下次号

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今月の名言2020年6月号PART3 天才

2020-07-02 | スポーツ

PART2「狂犬」はこちら

ああプロ野球が始まってうれしいな。でもおかげで見ながら気を失うことが多く、アップが遅れ気味。本日はふたりの天才のことを。

「落合さんのフリーバッティング中に、私が適当な位置でグラブを構えるんです。すると、彼は3球以内で、ズバッとグラブの中に打球を放り込んでみせる。構える場所を変えても同じ。ドンピシャの所に打ち込んで、『ヘッヘッヘ』と笑っている。天才というのは、この人のためにある言葉なのだと思いました」

落合と二遊間を組んでいた水上の発言。愛甲も証言する。

「ベンチで稲尾さんとオチさんはいつも隣に座っていてね。大事な場面で稲尾さんが『おいオチ、そろそろ頼むわ』なんて言うと、オチさんが『わかりました』と立ち上がり、ポーンと一発打って帰ってくる。ドラマのような場面を、何度も目にしました」

1985年の落合博満がいかに凄かったか。Wikipediaで調べてみよう。

打率.367、本塁打52、打点146の成績で2度目の三冠王。打率.367は当時の右打者歴代最高打率記録、52本塁打は当時のパ・リーグタイ記録、146打点は現在もパ・リーグ記録。またこの年は日本記録となる得点圏打率.492(122打数60安打16本塁打98打点)を記録した。また、シーズン52本塁打は日本出身で日本国籍の選手における最多記録である。

……すごいな(笑)。さて、ピッチャーの方も忘れてはいけない人が。

「びっくりしたのは、オールスターに一緒に出て、僕はトレーナールームでマッサージしてたんですよ。江川が“掛布”って言うから“なんだ?”って言ったら、“プロの打者ってすごいよな。だって俺のボール当てるぜ”って。お前何言ってんだって」

なに言ってんだ(笑)。でも、アマチュア時代の江川卓、特に甲子園での凄みはわたしたちの世代はよくおぼえている。だってバットに当てられないんだから。嗚呼あの広島商業戦、雨さえ降っていなかったら……

2020年7月号「第1号」につづく

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無観客試合

2020-06-19 | スポーツ

ああ、やっぱり日本のプロ野球は面白いなあ。

開幕。

そして無観客試合という設定。

わたしはそれは全然かまわないと思った。むしろ客がいる設定をドカドカ各局が用意するのがうざいとすら。

こんな時でもなければ、普通のプレイがいかにすごいかがわからないはずなのだ。普通のショートゴロをさばくことがいかにすごいか。

今日もいろんなところでコクがあったなあ。3試合をザッピングしてました。巨人VS阪神、DeNAと広島、そしてソフトバンクVSロッテ。

期待の若手がその期待に応えたり、不幸な結果になったりしている。ソフトバンクの長谷川勇也は今季、どれだけやってくれるのかな。

各球団のスタッフが、マスクをしていたりしていなかったり。そのあたりも味わい深い。マスクをしているほうが邪悪に見えますけどね(^o^)

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今月の名言2020年5月号PART2 球春はまだか

2020-06-01 | スポーツ

PART1「横着な人」はこちら

「針の穴を通すコントロールの投手など昔も今も1人も見たことないから心配しないで。投手はコントロールが一番だと言われるが、コントロールがなくてもそれ以外で補えるものを考えて作れば、色々な形で勝負できる」

NHK・BS1「あの試合をもう一度!スポーツ名勝負『2006プレーオフ 松坂大輔×斉藤和巳』」における斉藤和巳の発言。とても納得できます。わたし、このプレーオフを見てなかったのでとても残念。結果は1-0で西武の勝利。ものすごい投手戦だったらしい。

前にも紹介したけれど、わたしが見たなかで最高だったのは広島大野VS巨人槇原の延長12回の攻防。12回オモテにあげた1点を槇原が完封して勝利。あれは興奮したなあ。ふたりとも速球に切れがあってすばらしかった。ああ早くプロ野球が見たい。

「あれだけの真っ直ぐとカーブだと、やっぱりスピードの差があるから打ちづらいですよね。なかなかカーブを狙っていくのは難しい。真っ直ぐの割合のほうが多いわけですから。(捕手の)山倉(和博)さんはノーサインでいいと言っていました。(サイン)盗みが出た時に、山倉さんが『お前2つしかないんだからいいよ、ノーサインで』って。真っ直ぐと思っておけば、全部捕れちゃうんです。江川さんがマウンド上で首を振ったりとか色々してたんだけど、実際にはサインはなくて、自分が思ったボールを投げていたんですよ」

二塁から江川の投球を見続けた篠塚の回顧。やっぱり速球、というか江川の剛速球は投手の宝だったわけだ。にしてもノーサインだったのか(笑)。山倉もすごいなあ。ああ早くプロ野球が見たい

2020年6月号PART1「稲妻」につづく

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今月の名言2020年2月号PART3 三冠王ふたり

2020-02-29 | スポーツ

PART2「わたしが忖度します」はこちら

「お前だけだよ、来てずっと話してくれるのは。俺嫌われてるのかな」

先日亡くなった野村克也氏が阪神監督で、訪れた評論家時代の落合博満に向かって。まあ他の野球評論家の気持ちもわかります(笑)。そのとき、野村は練習も見ずにサブグラウンドで落合と1時間も2時間も野球談義をしていたそうだ。おそらくは、史上最高レベルの野球理論がここで開陳されていたはず。こんな話だったらしい。

「おれ、まっすぐしか待ちません」と落合。

「変化球が来たらどうするんや」

「変化球は真っ直ぐよりボールが遅いんで、何とか対応できるように工夫して打ちます」

「お前やっぱりある意味天才やな。俺らみたいな凡人にはわからん」

野球素人にはもっとわかりません。三冠王ふたりの、野球愛だけは伝わる。

PART4「お楽しみはこれからも」につづく

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惨敗のお話をもう一席。

2019-10-25 | スポーツ

最初のお話はこちら

あれま。ニュースをチェックしてたら原監督までDH制の導入を訴えている。戦った当人だからひしひしと感じたんでしょうね、セとパのレベルの違いを。

もっと正確に表現すれば、セとパは違う野球をやっているわけじゃないですか。

セ・リーグのピッチャーの立場になってみましょう。彼らは8人の打者に対峙し、1人は休みだ。相手チームのピッチャーの打撃がいいとしても(子どものころからエースで四番だったとしても)、打撃に関しては専門外なバッターが少なくとも3イニングに1回は打席に立ってくれるのだ。

もちろん、犠打の可能性はあるけれども、長打はおよそ期待できない。これはうれしいはずだ。というかセ・リーグのピッチャーにとってはこれが日常。

しかしパ・リーグは違う。打者全員と(ほぼ)同じように気を払って投球する必要がある。

ピンチヒッターという存在を忘れてはいないかと思われるかもしれない。しかしピッチャーの打順で代打が送られることが多いからこそ、セ・リーグのピッチャーは、おそらく1試合における投球回数はパ・リーグよりも短いのではないか。

ここで保守的な(わたしは高野連を念頭に置いているけれども)野球人たちは

「それこそが本当の野球だ」

と主張することが多い。緻密で、コクのある展開はピッチャーが打席に立つからこそ、とか。興行目的で導入した指名代打制度など邪道だと。もっとひどい理屈は、ピッチャーが打席に立たないとなれば、もっときつい内角攻めが横行するとか。もっと選手を信用しろよ。

しかし結果としてどうだろう。日本シリーズは7年連続してパ・リーグが制し、交流戦は15年間で14回パ・リーグが勝ち越しているのだ。

もちろんDHだけが原因ではないだろう。しかし、パ・リーグが1軍でセ・リーグが2軍のような印象を与え続けるかぎり、日本プロ野球の未来は暗いと思うのだ。少なくとも、日本シリーズがあんな視聴率に終わるような事態を、座してみているようなNPBではないと信じたい。信じたいけど……

本日の1冊は「アベルVSホイト」トマス・ペリー著 ハヤカワ文庫
こういう、読者サービス満点の作品をこれからもっともっと読んでいくんだ。晩年ってそれでしょ。そうなんでしょ?

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惨敗。

2019-10-24 | スポーツ

さて、と。もう野球の話をしてもいいですか。

巨人は日本シリーズ惨敗。セ・リーグの恥とか言われまくり。ただでさえ嫌われている球団はこういうときしんどい。

クライマックスシリーズであんなに盛り上がっていたわたしなのに、日本シリーズは一度も見ようと思いませんでした。

あ、それは会議とかお通夜とかがあったためで、ラグビーのためでは断じてありません。同じ時間帯で放映されていたらしいですけど、見るとしたら野球を選択しましたよ。わたしはひねくれ者。

なぜ見なかったかと言えば、ソフトバンクに勝てる気がまったくしなかったからです。どうにも気が重かった。

敗因はいろいろとあるでしょう。

・短期決戦なのにペナントレースと同じような選手起用しかできなかった

・ルーキーを先発させるなど、選手層が薄かった

・経験の浅い選手が浮き足立っていた

・特に投手交代がいつものようにわけわかんなかった

・CSでの丸のセーフティスクイズが賞揚されていたけれど、本人が自分の不調を誰よりも理解していた

もちろん

・ソフトバンクが強かった

のは承知しています。地元の星、長谷川勇也の活躍はうれしい。誰が投げてもグラシアルとデスパイネは抑えられる気がしませんでしたし。

でも今朝、布団のなかでつくづく思いました。戦力に差があったんじゃない、それ以上にセとパでは既にレベルが違ってるんじゃないか。

最も大きな要因は……そうです。指名打者制度でしょう。明日につづくっ

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野球センスの極意PART3+クライマックスシリーズ第3戦

2019-10-07 | スポーツ

うううCSを見るのは疲れる。なにしろBSのテレ朝とTBSの往復が(笑)
セパともにロースコアゲーム。神経戦。
選手たちはわりに明るいのに、観客と監督たちは次第に憔悴しています。特に矢野監督に誰か栄養ドリンクでもあげて。

ソフトバンクは楽天をチカラでねじ伏せた印象。内川と岸の相性が最後まで響いた。
阪神の勝利はそれにしても……ロージンバッグを交換したりホームベースを拭いたり、ボールガール(っていうのかな)もご苦労さま。
にしても横浜は絶対のエースに活躍の場をさほど与えられなかったのは痛い。横浜ファンはどう考えているんだろう。
もっとも、DeNAを2位に引きあげたのもラミレスの手腕だからな。

さて野球センスの極意のつづき。PART2はこちら

立浪が打撃で評価しているのは巨人の坂本とヤクルトの山田哲人だ。双方とも

「(坂本勇人)始動が早く、そのまま下半身で粘り、軸足に乗せたまま投球を待てる」

「(山田哲人)同様に左足を上げてから着地するまでの時間が長い。体が突っこまない」

他の選手とどこか違うなあと感じていたのは、この軸足ではない方の足を上げる時間だったんだね。でもそのためには強靱な体幹が必要とされるんだろうなあ。

神ってる広島の鈴木との対談で、いいピッチャーと感じるのは誰?との質問に

鈴木誠也:巨人の菅野投手ですね。

立浪:他の投手と違うの?

鈴木:曲がりが遅いうえに、曲がり幅が大きいんです。

立浪:それは最悪やな(笑)

……最悪なんだね菅野。球速だけでは測れないものが確かにあるんだろう。

センスの良し悪しは野球の至る所に存する。たとえば牽制球。

「現役で牽制のセンスを感じるのはロッテの涌井とオリックス(現阪神)の西」

これもわかります。楽天との試合で、涌井の立ち姿の美しさにクラクラきましたし。配球についても……

「古田の配球のうまさはインコースの意識づけがうまいこと」

これは常々わたしも思っていたことだ。特に巨人の小林に。安易にアウトコースで逃げてるだけではピッチャーも苦しくなるだけじゃん。

……と、わかったようなことを言いつつもわたしはどうせ野球素人。やっていた人は日々の中継をもっと楽しんでいるに違いないし(嫌な思い出のために見られない人もいるだろう)、誰よりもプロ野球選手自身が深く、楽しく、そして苦い思いで野球中継を見ていることと思います。ちょっとうらやましい。

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