第15回「あゝ結婚」はこちら。
前回の視聴率は8.7%ともとどおり。いやそれはいいのよ。実はわたし今回の「ベルリンの壁」を観ておりません(笑)
どうしても外せない用事があってこの始末。6時からの回(早丸)も8時からの本放送(本丸)も無理。
どうしよう。
そうか再放送があるよな!実はある事情で観れません。っていうかまだ録画もできねーのかよ。すみませええん。
だから今回の話はエアいだてんです。
どうやら噺は志ん生に軸を移した回だったようで、とてもうれしい。まず、NHKの広報は大嘘こいてますよね。オリムピック噺といいながら、実は古今亭志ん生がもうひとりの主人公だってことを教えてなかったんだから(笑)
しかも今回は志ん生の若き日に「文七元結(ぶんしちもっとい)」を“面白くなく”演ずるというストーリーだったとか。うわあああ。
噺は「タイガー&ドラゴン」までさかのぼるけれども、あの大ネタはもちろんピックアップされてなくて、いやされてたら1時間ぐらいかかる噺は消化されてなかったかも。志ん生の覚醒があの噺にあったという設定だったのか。飲んでる場合じゃなかったなあ……あ、飲んでましたのがばれましたか。
第17回「いつも2人で」につづく。
その104「脇坂副署長の長い一日」はこちら。
「孤狼の血」の続篇。映画が壮絶だったので誤解されがちだけれども、原作はわりに薄味な、というか冷静な筆致だった。最後の年表にはやられたけど。
今回は少し違う。国光というやくざが登場し、これがなかなか泣かせる男で、前作の騒ぎのために田舎の駐在に左遷させられた日岡も彼に激しく影響される。
前作は「仁義なき戦い」そのものの広島抗争。今回は山口組のトップと若頭が同時に殺された山一抗争が舞台。
あの事件そのものがよくわからないので(業界の話なのであの筋の人たちはさぞや面白く読んだだろう)、やくざの組織と名前を登場人物一覧でチェックしつつ……そんなことはしなくても実はいいのでした。
複雑な背景がありながら、国光と日岡の関係を追っていけばよかったのだ。仁義なき戦いどころか、仁義や任侠ばりばりの世界が描かれる。
柚月裕子の狙いは次第にこちらの方向にあるんだと思う。こってりした、人間ドラマの方に。でも酒田の人間であるわたしにとっては、薄刃を使うような佐方検事シリーズに期待したいってのが正直なところ。
その106「東京輪舞」につづく。
観る順番が悪かったんだと思います。この映画の直前に観ていたのは、あの濃密で画面全体がドル札でできているかのような「アベンジャーズ/エンドゲーム」。3時間以上もある超大作。一転してこの映画は、東映とフジテレビが組んで「テルマエ・ロマエ」の監督が撮った、うっすーい作品。どうしたって分が悪い。
徹底的に埼玉をディスったネタの連続で、原作は「パタリロ!」の魔夜峰央。パタリロかあ……アニメは何度か観てました。♪だーれが殺したクックロビンっ♪ですよね。
主人公と美青年がからむというボーイズラブ的な意味ではこの映画もいっしょ。東京がダントツに都会で、埼玉県人や千葉県民が東京に入るには通行手形が必要で、茨城は問題外、群馬は秘境……というヒエラルキーばりばりの世界。
東京のなかでもランキングははっきりしていて、赤坂や青山がトップで次が中央区。わたしが住んでいた狛江はどうあつかわれているかというと
「執事なんかやってるんですもの。狛江か町田あたりの出身でしょ」
そういえばあのころから「23区でもないくせになんで市外局番が03なんだよ」って文句いわれてました狛江(笑)。
埼玉内部でも、ことあるごとに
「与野はだまってろ!」
とか、映画オリジナルの『NACK 5』(埼玉のFM局ね)を聴きながら結納に向かう一家が出てきて、「春日部に家を建てるっていうのよー」「クレヨンしんちゃんじゃないか」「好きじゃないし!」テレ朝や東宝は怒らないのか(笑)。
主人公(男)に二階堂ふみ、とりまくふたり(埼玉&千葉代表)にGACKTと伊勢谷友介という美男ふたりをキャスティングし、あぶないネタをガンガンぶちこんで……おかげで30億以上も稼いでいる。へー。
正直にいいます。山形県民にはちょっと退屈でした。この県民ショー埼玉版は、コメディとしてリズムが悪すぎますもの。でも武田久美子、小沢真珠、中原翔子というこなれた美女軍団は東映らしくてOK。
「アベンジャーズが、終わる」
とMARVELとディズニーがぶちあげている。いやそうは言ってもこれだけ稼ぐシリーズをそう簡単には終わらせないだろうと思う。初日がちょうど振替休日。でも他にもいっぱい見たいのがあるんで……おいおい、この作品って3時間以上もあるのか。こりゃあ朝8時50分開始の回に行くしかないな。
同じことを息子も考えていて、親子で遠く離れて(わたしは前、息子夫婦は後ろ)同じ回で観ることに。
「誰かにネタバレされるの嫌じゃないか」
なるほど、エンドゲーム(終了遊戯ですか)を名乗る以上、これまでにない展開が待っているはずだ。そう考えた人は多かったみたいで、意外に高齢層も駆けつけている。わたしもですけど。初日の一回目というのは空気感が違いますね。
MARVELのキャラクターを、同一の世界観でまとめたマーベル・シネマティック・ユニバースにおいて、アベンジャーズはやはり特別な位置を占めている。キーワード(というほどでもないが)は、
「勢揃い」
だろう。単独で主演している作品がある多くのキャラがいっせいに登場する。となれば敵はとんでもなく強くなければならないわけで、サノスは確かにとんでもなかった。前作「インフィニティ・ウォー」で目的を達成した彼が何をやっていたか(隠居して農業やってるんですよっ!)も含めてとんでもなかった。
世界の半数を消滅させることに彼がどれだけ執着していたか、確信犯だったかがよくわかるエピソード。でもヒーローたちも半数が死んでいる。まもなくスパイダーマンの新作が封切られるのに大丈夫?
大丈夫なように最初から設定されていたわけだ。後半の勢揃い感はハンパないっす。で、すべてのキャラに見せ場をつくり、黒人の出番は増え、女性だけのチームで敵をなぎ倒す……この十年で映画もまた進歩した。脚本の冴えと、豪華キャスト(トニー・スターク邸に集合した面々のギャラだけでいくらかかったんだろう)に嘆息。
こってりの3時間。たっぷりの3時間。復讐者、逆襲者というタイトルはこの作品のためにあったわけだ。つづいて別の映画をすぐ観ようと思ったけどさすがに無理。トイレで息子といっしょになって「面白かったねぇ」「うん」こういう会話が全世界で今かわされているんでしょう。
55才以上だからこれで1100円。ありがたいありがたい。まさかこんなにはっきりした形でアベンジャーズが終了するとは。次回予告篇的なシーンがあるとエンドロール後に観客が期待した途端に弔鐘が鳴ります。おみごと。
だからわたしに三川町に出張させたらどうなるか……4時に会議が終わり、そのままイオンシネマ三川へ。「シャザム!」には最初から最後まで客はわたしひとりだけ。自分が社会的不適応者なのかと思ってしまう。まあ、否定はできませんけどそれがなにか?
「アクアマン」に続いてDCコミックスがらみ。だからわたしは今月2本のDCものを見たことになる。簡単な客。
この映画については予告篇以外にほとんど情報を入れてなくて、“見た目はオトナだけれど中味は子どもなヒーローのお話”としか認識していなかった。それは間違いではないんだけれど、意外に味わいはビターだった。
話は1974年に始まる。父親が運転する車の後部座席に乗った少年(だからわたしとほぼ同世代だ)は、あることがきっかけで魔術師に召喚される。しかし彼は魔術師のテストに失格してしまう。純粋な心を持っていないと。
現実にもどった彼は、助手席の兄と口論になり、そのために車は……
話は一気に現代のフィラデルフィアへ。どんな里親ともうまくいかずに家出をくり返す少年。彼もまた魔術師のもとへ。
父親と兄にディスられ続けた男(マーク・ストロング)と、(すいませんネタバレで)母親に見捨てられた少年の激突のお話。ね?能天気なヒーローものになるはずがない。
しかも少年はあるグループホームに引き取られるのだが、そこには脚の悪い障害者、心の欠落をハグに求める少女、成績が悪くひたすら無口な太った少年、ゲームおたくの中国系、大学に行けることを喜びながらもホームを離れることにさみしさをかくせない少女……登場人物がみんな暗黒を抱えているんですよ。
逆に、そんな暗い設定だからいくらでもギャグがぶちこめるし、楽屋オチもたいそう仕込んであります。この逆境からどう大逆転できるんだよ……そうきたかあ!
ド派手なCGやアクションがありつつ、マーク・ストロング以外は聞いたこともない地味なキャスト。それでもこの企画が成立し、ヒットしているというのは、見終わってここまでいい気分になれるのかと思わせたストーリーのおかげでしょ。見てよかった。会議が早く終わってくれて本当によかった。
彼の作品とは長いことすれ違いつづけた。
「ウェス・アンダーソン?ウェス・クレイヴン(「エルム街の悪夢」の監督)じゃなくて?」
って感じ。とんがった芸術系作品を撮る人だと思っていたの。
が、どうも批評とかを読むと感じが違う。ひょっとしてわたし向きの監督なのでは……
さっそく「グランド・ブダペスト・ホテル」(2014)を観てみました。うわあああ、どうして見逃してたんだこんなに面白い映画を。ミステリでコメディでオールスターキャストだよ。時制が激しく移り変わるのだって、宮藤官九郎になれた身からすれば全然平気。物語が入れ子構造になっているのも平気。むしろその乱暴さが気持ちいい。
ましてや役者がいい感じなのだ。レイフ・ファインズが色悪なコンシェルジュ、ウィリアム・デフォーが邪悪な探偵、くわえてジュード・ロウ、ジェフ・ゴールドブラム、ハーヴェイ・カイテル、ビル・マーレイ、エドワード・ノートンと来た。女優陣も美少女シアーシャ・ローナン、「ゴースト・プロトコル」の殺し屋役で鮮烈だったレア・セドゥ、それにティルダ・スウィントンまで!
これはもう、監督の才能に惚れ込んで役者たちが結集したとしか思えない。で、作品もその期待に応えている。
もう止まらない。
ということで最新作「犬ヶ島」(2018)と第三作「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」(2001)を拝見。うわああああ、これまたお見事な作品だった。至福の時。
「犬ヶ島」は日本が舞台のアニメ。激しい日本語が炸裂しています。声優がまた豪華で、スカーレット・ヨハンソン、渡辺謙、夏木マリ(宮崎駿を明らかに意識したキャスティング)、リーブ・シュレイバー、ヨーコ・オノ(笑)、フランシス・マクドーマンドなどのすごいメンツ。
「ザ・ロイヤル・テネンバウムズ」にいたっては……いやもう止しましょう。少なくともこの三作品は絶対に観て損はいたしませんよ。大好きウェス・アンダーソン。
末井昭のことは、彼の作品のどれと最初に出会ったかによってだいぶ印象が違うと思う。
・白夜書房において「ウィークエンド・スーパー」や「写真時代」で過激な編集方針を貫き、荒木経惟という天才を世に送り出した名編集者。
・パチンコ雑誌という誰にも思いつかなかった存在でその白夜書房を大もうけさせた経営者。
・ギャンブルや先物取引にのめりこみ、膨大な借金を抱えた女装癖のある性格破綻者。
・坪内祐三の前妻とダブル不倫の末に結婚したドラマチックな男。
西原理恵子のマンガに登場する能天気なキャラからは想像もつかないほど多面的で重層的かつ危ない人物なのがおわかりいただけるかと。
わたしが初めて彼を意識したのは、80年代に角川文庫から出たエッセイ「素敵なダイナマイトスキャンダル」によってだ。このタイトルは、彼の母親が、隣家の若者とダイナマイトで心中したことによる。
わたしは観ていないけれども先年に映画化されたときは母親を尾野真千子が演じたという。そんな強烈なトラウマをかかえながら、しかし彼の文章は一貫してユーモアにあふれていた。母親の件を業界の先輩に告白したら
「ふーん、きみはそれが“売り”なんだね」
と返されたなど、冷静な書でもありました。今はちくま文庫から出ているみたい。ぜひ読んでみて。
さて、そんな末井は近ごろ自殺について考察していて、3年程前に出した「自殺」によって講談社エッセイ賞を受賞している。つづいて出たのがこの「自殺会議」だ。
これも名著でしょうや。子を失った映画監督、統合失調症の相方とコンビを組む漫才師(松本ハウス)、母親が自殺した筋ジストロフィー症の画家などとの対話がまとめられていて、とにかくすばらしい。
わたしも自殺遺族(こんな言葉があるなんて知らなかった)ではあるけれど、そうでない人でも、自殺してしまった人、かろうじて踏みとどまっている人たちのことが、読み終えると少なからず好きになれるのではないだろうか。
第14回「新世界」はこちら。
大竹しのぶに「つづきは来週っ!」と大河ドラマ史上最大の禁じ手を使わせた(笑)前回の視聴率は9.6%と回復基調。
今回からは本格的なホームドラマに突入。しかも明治、じゃなくて大正の。
夫を亡くした女性に残された選択肢はそれほど多くない。でも自分が大好きだった男と再婚するという……ホントですか。まあ、そういうことにしておこうというお決まり。当時もそういうことにしておこうといろんなことがあったんでしょうね。
でも綾瀬はるかが相手だとすばらしく納得できる。納得できないのは、金栗がオリンピックのために単身赴任するあたり。あなたできますか。家を守るために(どうやらそうらしい)分限者の未亡人を迎えたのに、それを熊本において東京に向かうんですよ。
あ、それはわたしが綾瀬はるかファンだからか。
今日は畑で農作業をしながら、ある芸を思いついてしまいました。題して
♪雨にぃ濡れながらぁたたずむ人がいるぅ ばい
♪傘の花が咲くぅ 土曜の昼下がりぃ ばい
♪やーくそくしたじーかんだけがかーらだをすり抜けるぅ ばい
……これって不倫のお話だったのかと気づく。いやそういう話じゃなくて。
四三とスヤの初夜はありえない展開になっていく。フランク・キャプラの「或る夜の出来事」だってここまで嘘くさくは。まあ、のちの展開を考えると必然だったんでしょうけど。ふたりの間にはたくさんの子どもが生まれたことが紀行で丸わかりなのが笑えます。
今回は演出もなめらかでけっこうでした。先週の馬鹿馬鹿しさは大根仁の貢献かもしれない、今回は一木正恵という人がディレクター。期待しよう。
にしても、姑という存在にこんなに大竹しのぶが似合うとは。
第16回「ベルリンの壁」につづく。