2011年2月号「ガチンコ」はこちら。
「我欲に縛られ政治もポピュリズムでやっている。それが一気に押し流されて、この津波をうまく利用してだね、我欲を一回洗い落とす必要がある。積年たまった日本人の心のあかをね。これはやっぱり天罰だと思う。被災者の方々、かわいそうですよ」
「同胞の痛みを分かち合うことで初めて連帯感ができてくる」
「戦争の時はみんな自分を抑え、こらえた。戦には敗れたが、あの時の日本人の連帯感は美しい」
……だから花見なんかやってる場合か、とする石原慎太郎東京都知事の発言。最初の天罰の部分だけが大きくとりあげられて男を下げているけれど、この人が危ないのは、要するに他人の気持ちを忖度することをやめているあたり。どんな出来事も、自分が言いたいことにひっぱってくる強引さ。それでも都民はこの人を選ぶんだろうな。さすが、首都の方々は度量が違う。
「君は同胞の死を気にかけているんだろうが、たとえば、偶然にも生き残った君の生を讃(たた)えてみてはどうだ?」
「前よりもっと良くなる。信じ合おう。諦めるな。」
……前のは佐野元春の詩で、あとのは伊集院静の発言。わたしの記憶違いでなければ、確か都知事も作家という職業に就いていた過去があるはずだが、メンタリティの差の大きさにたじろぐ。
未曾有の天災を経過して、人間性はむき出しになる。
2011年4月号~伊集院静につづきます。