事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言 2016年2月号PART1 まだ罪のないほう。

2016-02-29 | ニュース

STEPHEN BISHOP - Madge

2016年1月号「正義の味方」はこちら

この一ヶ月、政治家の失言暴言の連続に呆然。タガがゆるんでいる以前に、こんなことがつづいても自民党の地盤がほとんどゆるがないんだなと。それはもちろん例によって「野党がだらしない」という理屈もあるだろうが(そしてそれは多分当たっているが)、世間の気分が彼らと同調しているのだということだけは確かだと思った。検証してみましょう。

「えー、何だっけ」

島尻安伊子沖縄・北方担当相が記者会見の席で「歯舞」を読めなくて発したことば。こういうことはきっとあります。仕方ないんですよ。この人は沖縄対策のためだけにカウンターで起用されたのであり、北方領土のことなどなにも意識していない。そうでなくても頭から言葉が飛ぶことってありますもの。むしろわたしがうなったのは“政府関係者”の

「資料は『歯』と『舞』の間で行が変わっていて、読みにくかった」

というフォローだ。すごい(笑)。官僚の鑑だなあ。ここまでお仕えするんですね。民主党政権のときは露骨にサボタージュした人たちが、いまはみごとに大臣をベビーシッティングしている。恥ずかしかったろうになあ、いや大臣ではなくて官僚の方が。

「そういった例が一つや二つ、百や千あったとか、いろいろ出てくると思う」

軽減税率導入の事務負担によって廃業する中小企業が出ることについて、麻生財務相が予算委員会でコメント。今さらこれは何も。正直、こう思っているでしょう彼は。

で、受け止めるマスコミも当然だと思っている。でも、特に読売はこの軽減税率についてとても早くからキャンペーン(としか思えないほどの)記事を連発しており、つまりは新聞は8%に据え置けという露骨な主張。ひと頃なら大騒ぎだろうが、このマスコミの姿勢もあってほとんど問題にもなっていない。

っていうか、ここまでは罪のない(わけはないが)部分だ。だいたい、失言は彼の得意技だし。しかし次からのは違う。以下次号

本日の一曲はスティーブン・ビショップの「マッジ」。ティーカップのなかの嵐のように、天国から舞い降りた微笑みのように、僕は君を愛した……ラブソングの決定版。すっかり落ちぶれた男の回想という設定なのも泣かせる。だから「ロンドン橋落ちた」が挿入されてるのかな。

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真田丸 第八回 「調略」

2016-02-28 | 大河ドラマ

第七回「奪回」はこちら

前回の視聴率は17.4%と上昇した。ほお。

しかもBSで18時から見るという、わたしのような視聴者も増えているらしいので(なぜBSの視聴率をいつもビデオリサーチは公表しないのだろう。どんな商売の事情?)、どうやら真田丸人気は本物なのかも。

今日はお昼から飲んでいたので(飲みたくて飲んでいたわけではありませんよ)、ようやく会が終わったと油断して「帰って真田丸見なきゃ」とつぶやくと「BSで?」と返されたし、午後6時=大河は定着して来たか。そうですとも、今わたしは酔っぱらっています。いつもですが。

城マニアの報告。

オープニングの城は、岡山の高梁市にある備中松山城が中心だそうです。CGでかなり変えてはいますが、あの城の石垣は確かによかった。ほぼ1年前、よくこんな地方の山城に堅固な石垣を積み上げたものだと感心し、興奮していっぱい写真を撮ったのに……ああ、あのデータも書きかけの旅行記もない!パソコンのハードディスクが壊れたショックをこんなところで再び味わうとは。

たいへんですね(他人ごと)。さあ「調略」。タイトルの名に恥じない調略っぷり。

ふつう、ドラマだから愛だの平和だのを注入して希釈するのに、真田昌幸(草刈正雄)が悪い悪い。武田が滅んだ後、途方にくれていた春日信達を上杉が救い、その恩に報いようと思っていた春日と、彼を実はかっていた上杉景勝(遠藤憲一)。でも昌幸の策謀が非情な結果に。だいじょうぶかな、せっかく視聴率も上向いてきたというのに、こんなにハードで。

昌幸に負けずに、国衆では出浦昌相(寺島進)、上杉には直江兼続がいて、徳川には本多忠信(近藤正臣)、そしてバカ息子を見限っている北条氏政(高嶋政伸)がいてこれも悪いんだ。極悪人たちのパーティがまもなく開始されます。

まさかあの遠藤憲一がピュアに見える展開になるとはなあ。これって「湯けむりスナイパー」(テレ東)へのオマージュなんでしょうか。視聴率はちょっと下がって16%台と読みました。だってお好きな方々は8時まで待てずにBSを見ちゃうから。うぃっす。以下次号

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「オデッセイ」 The Martian (2015 FOX)

2016-02-27 | 洋画

あのリドリー・スコットがこんなにストレートな人間讃歌を、と絶句(実はかなり感動)。弟のトニーを悲惨な形で失ったからか、シニカルに語っていられる世相ではもうないという判断か。

誰でも一度は夢想したことのある漂流物語。無人島に流れ着いたら、まずは飲料水の確保だな、食物はあるだろうか、むこうに船が見えたら火で合図を送らなきゃ……この構図が、なにしろ舞台が火星なので数段スケールアップして行われる。

事故のためにひとり探査隊から取り残される主人公マーク(マット・デイモン)が植物学者だという設定が効いている。クルーの排泄物と火星の土を使ってじゃがいもを栽培する(水も触媒を使ってつくる!)あたりの描写にわくわく。

イギリス人スコットが、だからこそアメリカ人の良さをてらいなく描いていてすばらしい。絶望せず、常に軽口を忘れず、ひとつの手段がだめなら次の手段を、と次々にくり出す。16進法を使ってアンテナの微妙な角度でアルファベットを示すあたり、文学部出にはさっぱりでしたが(笑)。日本人ならここで愁嘆場ってあたりをユーモアでくるみ、だからこそラストで……

エイリアン」「プロメテウス」を経過しているので、宇宙でのアクションの前に計器をチラッと確認するあたりの演出も細かい。船長ジェシカ・チャスティンの浮遊状態での移動や、ラストのあの“ダンス”は、映画でなければ絶対にお目にかかれないセクシーな祝祭だ。

音楽がまた中年男を泣かせるのよ。アバの「恋するウォータールー」やテルマ・ヒューストン、ドナ・サマーの「ホット・スタッフ(お熱いもの)」など、“前世紀”のディスコミュージックが全篇に流れ(クールなジェシカがディスコファンなのが笑える)、とどめはこの映画のためにあるようなグロリア・ゲイナーの「恋のサバイバル」。むかしの曲にはなんでも邦題に恋がついてます。

そして、デビッド・ボウイの「ジギー・スターダスト」からもいただいて、マークが「火星の人」(原題)となっている象徴に。さすがだ。

これはもう、映画館で観なければまったく意味をなさない映画ですよ。いますぐ劇場へ走れ!

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ブラック・レインがわからないPART8

2016-02-26 | 洋画

PART7はこちら

つづいて小野みゆき登場。佐藤の組織につながる女として。

ここで暴言かましていいですか。わたし、彼女はもっともっと大きな存在になってくれるものと思ってました。資生堂だかカネボウのCM出身という、これ以上ないくらいのスタートを切りながら、代表作が「死霊の罠」だけというのはいかにも寂しい。あまり言いたくはありませんが、やはり男の選択を間違ったのではないかと……すみませんすみません。

そしてもうひとり、大阪でチーママをやっているアメリカ人女性としてケイト・キャプショーが!



なぜチカラが入っているかというと、わたしは彼女の大ファンだからです。「インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説」においてハリソン・フォードを

「こっちは生身よ!」

と艶めかしいセリフで悩殺した彼女は、そのころわたしたち悪ガキたちが夢中になっていた酒田の某バーでバーテンダーをやっていた女性にそっくり。

のちにスティーブン・スピルバーグ夫人になったことで女優としてのキャリアをほとんど放棄した彼女だけれど、いい女であることは確実。

スピルバーグの前妻はエイミー・アーヴィングなので、少なくとも女の趣味はわたしと完璧に一致しています。いいぞスピルバーグ。エイミーとの離婚では苦労したようだけれど。

いやそんなことよりブラック・レイン。彼女はこの事件の背景を語る。佐藤と、彼の元ボスである菅井の確執なのだと。

「それはどれくらいの人間が知ってる?」

「あたしたちを入れて?……1100万人くらいよ」

日本とアメリカの捜査のやり方の違いははなはだしい。掟破りのニックとチャーリーに、お守り役の松本は苦虫を噛みつぶしっぱなし。

「わたしたちも同じ刑事だ」と松本は主張。

「背広野郎じゃないか」以下次号

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ブラック・レインがわからないPART7

2016-02-25 | 洋画

PART6はこちら

ガイジンの眼から見た大阪が描写される。デコトラ、華麗な市電。確かに、美しい。

大阪府警では当然この二人は「犯人を逃がしたドジなヤンキー」という扱い。ふてるニックとチャーリー。デカ部屋では、いかにも日本の刑事といった風情の中年男が蕎麦をすすっている。

「ったく、英語を話せるヤツはいないのか」

と愚痴る二人に、先ほどの蕎麦の男が

「大阪府警の松本です」

と英語で告げる。驚くふたり。演じているのは高倉健。華麗な松田優作の登場と違い、いかにも渋い現れ方なのが対称的。「人間の証明」において、キャスティングをキャンセルされたのは健さんです。

岡田茉莉子との年齢差などを考えれば、どう考えても健さんの方が適役だったにもかかわらず、若くてむちゃくちゃなヤツを選んだ角川春樹は、それはそれで慧眼だったわけだけれども。春樹は次作「野性の証明」で健さんをちゃんと主役にもってきてフォローはしています。

お偉いさん登場。神山繁。彼はいかにも「背広野郎」である。

「このだらしのない男たちを見たまえ。これがアメリカ流だ」

と吐き捨てる。いかにもキャリアらしい発言ですね。そして、この作品において神山繁はとてもいい味を出しているのだ。わかってくれたかなあガイジン観客たちは。で、実は彼も英語が話せる。考えてみればキャリアなんだから当然の話ではあるんですが。

ここで、日米の警察の決定的な違いが出現。アメリカ人たちは拳銃を取り上げられるのである。驚愕する二人。これが、後半で大きな意味を持つ。

拳銃を持たない警察官という、およそアメリカでは考えられない状況で彼らは捜査することになる。「ブラック・レイン」という娯楽作品が持つ意味はここで大きい。以下次号

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ブラック・レインがわからないPART6

2016-02-24 | 洋画

PART5はこちら

飛行機のなかで、審問がらみのことをチャーリーに向かって愚痴るニック。ほんの少しだけ反応する佐藤(この時点では、ニックは彼のことをセイトーとしか発音できない)。観客は、彼が英語を解することをここで予感する。

松田優作は、その出自(女郎屋の息子、半島の血)もあってか、日本を飛び出したくて、実際にアメリカに一時期滞在していた過去を持つ。だから英語がペラペラなのではないかと考えがちだけれど、実際はブロークンな英語で角川映画「人間の証明」では使いものにならなかったと製作者の角川春樹は語っている。

その「人間の証明」において、彼はある俳優をさしおいて起用されたことを終生気にしていた。その俳優と、彼はこの作品で念願の共演を果たす。絶対に佐藤役をゆずれなかったのにはこんな理由もあったわけだ。

大阪。

噴煙を上げ、過密な都市であることを主張する画面。

飛行機に大阪府警を名乗る男たちが現れ、佐藤を引き継ぐ。

「ここにサインを」

陰鬱な表情の刑事。日本の観客はここで気づく。なにかあると。だって演じているのが内田裕也とガッツ石松なんですから(笑)。堅い表情の彼らと、余裕の優作。

やれやれ、あとはゲイシャと遊ぶだけだとくつろぐニックとチャーリーの前に、もっと貧相なビジネスコートの面々が現れ

「大阪府警ですが」

と告げる。

ダッシュして追いかけるガイジン二人。しかしもう佐藤は消えている。まずいぞこりゃ。以下次号

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ブラック・レインがわからないPART5

2016-02-23 | 洋画

PART4はこちら

ダウンタウンの市場を駆ける優作。追うマイケル・ダグラス。吊された食肉(死の象徴)の間をすり抜け、逆襲する優作をチャーリーの助けもあってなんとか逮捕。不意打ちのアクションと、無言の殺人者という設定がとにかくすばらしい。ビニール越しに襲い来る画は、もちろんヒッチコックの「サイコ」を意識したことだろう。

わたしたちはもう知っている。この魅力的な殺人者が、すでに癌に冒されていることを。製作者のシェリー・ランシングはこう語っている。

「彼(松田優作)は、癌であることを一種の恥だと考えていたのかもしれない。だから誰にもそのことを知らせなかった」

契約社会であるアメリカにおいて、癌患者であることがキャスティングに影響したかはよくわからない。

すでに「ラストサムライ」特集でお伝えしたように、この佐藤役にはそうそうたる面々が立候補しており、萩原健一根津甚八小林薫を押しのけてゲットした以上、癌程度のことでこの役を失ってたまるかという気持ちは確かにあったのかもしれない。

治療に専念してほしかったのが正直なところだが、しかし彼の入魂の演技が、この作品をとてつもない高みに位置づけたのも確かだ。

逮捕された佐藤は

「英語どころか日本語もしゃべらないぞ」

と手を焼かせる。そこへ、日本の大使館職員が現れ、本国へ送還されることになる。

「おれのヤマ(事件)だ!」

と激昂するニック。しかし上役は冷静に

「ほとぼりがさめるまでゲイシャと遊んでこい」

と、日本に佐藤を送り届ける任務を命ずる。温情ではあるけれど、この上役はニックを完全に信頼しているわけではない。以下次号

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極私的朝ドラ史PART31 花子とアン

2016-02-22 | テレビ番組

PART30「ごちそうさん」はこちら

2014年前期は「花子とアン」。視聴率的にも内容的にも朝ドラ絶好調である。脚本は「やまとなでしこ」「ハケンの品格」の中園ミホ。ドラマづくりがよくわかっている人の作品であることが随所にあらわれていた。

主人公のモデルは「赤毛のアン」を訳した村岡花子。怒涛の人生を歩んだ人ではあるけれど、ドラマ的には地味。そこで、アン自身のストーリーと二重写しになるようにつくってある。グリーンゲイブルズは山梨県だったと(笑)

くわえて、村岡と親交があった柳原白蓮の、これぞ波乱万丈な人生もからめることで、次はいったいどうなるのかと視聴者の胸ぐらをつかんでひきまわすような展開となった。

成功した朝ドラに共通するのは、主人公以外の脇役の人気が爆発することだ。「おはなはん」における高橋幸治、「繭子ひとり」の草笛光子、「雲のじゅうたん」の中条静夫、「ひらり」の渡辺いっけい、「ちゅらさん」のおばぁ、平良とみ(合掌)とか。

「花子とアン」でも、まったく意外な人物が人気を集めることになった。白蓮が絶縁状を公開するモデルとなった炭鉱王、伊藤伝右衛門を演じた吉田剛太郎だ。粗野だけれども妻を愛している姿に

「伝助(役名)さんがかわいそう」

と、それまでは舞台中心の俳優だった吉田をお茶の間でブレイクさせる結果となった。わからんもんだなあ。まあ、下手な役者では(あるいはすでに顔の売れた役者では)あの味はでなかったかもしれないので、キャスティングの勝利か。伝助さんは「真田丸」の織田信長役も圧倒的でした。

主演は吉高由里子。映画「横道世之介」のお嬢様演技を見たスタッフの意見が通ったらしい。まあ、「蛇にピアス」の方ではないと思いました。

白蓮は仲間由紀恵。圧倒的な美女でないと成立しない役なのでぴったり。わたしの妻は、花子の夫となった鈴木亮平を「この人は伸びるわ」と絶賛していたけれど、どうかなあとこちらは懐疑的だった。でも現在の活躍を見れば妻の方に見る目はあった様子。

現実の村岡花子は不倫のすったもんだの末に結婚したようだし、戦争に対してもドラマのような姿勢ではなかったようだ。でも、野暮は言うまい。そのあたりのアレンジは当然あってしかるべきでしょう。これが大河ドラマだったりすると、全国から「史実と違う!」と大合唱だったりするのでしょうが。

Vol.32「あさが来た」につづく

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真田丸 第七回「奪回」

2016-02-21 | 大河ドラマ

第六回「迷走」はこちら

城オタク読者から新情報が。

私にとっての今回の名ゼリフは、昌幸が言った、「わしが選んだ者は滅んでいく」みたいなもの。なるほどねえ、武田・織田・豊臣とね。親と違い実直な信幸は徳川のもとで続いていくわけで、この対比も描きたいわけだ。松代藩真田家は幕末に庄内藩とともに江戸湾にお台場をつくります。そんなところもうれしく、真田が好きです。

……そうだったのかあ。しかし維新以後の庄内藩(わたしの地元)の扱いなどを考えると、真田はやはり最後まで滅びの方向へ突き進んだのではないかと(笑)。信幸は信幸で生き残りのために徳川幕府と壮絶なやりとりをやるわけで……あ、これはもっと後のお話。

前回の視聴率は16.7%と下降した。これはどうも先々週の地震よりも、イッテQスペシャルの影響が大きかったんでしょう。まあ、このまま洗面器型の推移をたどるのかな。画的には地味なオヤジたちの権謀術数がつづくし。わたしはこちらの方が好きだけれども。

さあ「奪回」。さっそくタイトルがディック・フランシスとかぶってきました。滝川一益の人質となった祖母(草笛光子)と、ついでに長澤まさみを信繁が奪回なるかというお話。

まるでミッション・インポッシブルのように信繁(堺雅人)は立ち回るが、一歩およばない。二週続けて若気の至り。父の昌幸(草刈正雄)は、城の奪回が無駄働きに終わり、なおかつ滝川を裏切ったことがばれるなど、策が次々に裏目に出る。生き残りのために、昌幸はまたしても逆目にはり、北条ではなく上杉に恭順の姿勢を見せるが……あー面白い。大きい嘘と小さい嘘の連続。

そんななか、貫禄を見せたのが草笛光子

「わたくしも戦国の女です」

まったくうろたえず、むしろ孫を慕っているらしい長澤まさみを信繁につけて真田に返してやる腹芸を見せる。昨夜、「デンデラ」の撮影に参加した人と飲んだのだけれど、浅丘ルリ子や倍賞美津子はもちろんみんなの尊敬を集めていたけれども、草笛光子の威厳はそれ以上だったという話でした。さもありなん。

今回も視聴率は苦戦するでしょう。でも16%はキープするのでは。底の浅い洗面器になってくれるといいのだけれど。

今週の名ゼリフは昌幸が発した(というかこの人は毎週名ゼリフのつるべ打ちだ)

「面白くなくては、人は動かん」なるほど、なるほど。

第八回「調略」につづく

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ブラック・レインがわからないPART4

2016-02-20 | 洋画

PART3はこちら

審問の内容は、彼が手がけた麻薬がらみの事件で、ニックは他の刑事とともに金をポケットに入れたのではないかとするものだった。

「養育費もあり、家賃もたいへんだ。どう考えても月に千ドルは赤字だな」

Suits Man(背広野郎が)」

とニックは毒づく。この、現場の苦労も知らないで何言ってやがるという彼の姿勢が日本でも貫かれる。

チャーリーと2人、イタリアンレストランでランチをとるニック。向こうには剣呑な連中がテーブルについている。日本人の姿も見える。

「マフィアが来てる店で食ってると、審問で不利だな」

と自嘲するニック。そこへ、長身の日本人が子分を引き連れて現れる。佐藤という、アメリカ映画に出てくるにしてはきわめて普通の苗字。松田優作の登場だ。

アメリカ人たちも驚いただろう、三白眼でキレキレのこの俳優が、とにかく魅力的なので。「燃えよ!ドラゴン」で「考えるな、感じろ」(Don’t think,feeeeeel)とかましたブルース・リーの登場を想起させる。それほどの美しさ。ちなみに、「燃えよ~」の原題はEnter The Dragon(ドラゴン登場)でしたよ。

佐藤は無遠慮にある“ブツ”を奪取し、意気揚々と引き上げようとする。そこへテーブルの日本人(もちろんヤクザ)がひと言。

「相変わらずひよっこだな」

ぶち切れる佐藤。レストランは一転して修羅場と化す。この転調はすばらしい。ニックとチャーリーは佐藤を追いかける。ここから、あの食肉市場でのチェイスが始まるのだ。以下次号

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