本が売れない。一見「バカの壁」「ハリー・ポッター」「セカチュー」などの大ベストセラーに浮かれている出版界だが、出版不況という言葉はもうすっかり定着してしまっている。単行本はもちろん、雑誌、コミックなどすべて前年割れが続き、中小の書店はバタバタとつぶれている。
その要因は数々あるだろう。メディアの多様化と可処分所得の減少の影響が『本』に向かったとか、教養としての本という存在がもう機能せず、出版物が人生にとって不可欠なものではなくなった、とか。
しかしその間隙をついて急成長している“書店”もある。言うまでもなく、ブックオフに象徴される新古書店がそれ。このブックオフについてしばらく考えてみよう。
わたしも何度か酒田のブックオフには本を売ったことがあるし、ポイント制などにつられて古書を買っている。そのときに誰でもが感じるのは「え?こんなに安くしか買ってくれないの?」とか「そのくせこんなに高く売ってるの?」だろう。段ボール箱いっぱいに持っていって、2,000円にもならないことはしばしばだし、値がつかない本の多さに気が遠くなったりもする。明細を確認はさせるが手渡しはしないあたり、どうもあやしい。
【定価の一割で購入し、定価の五割で売る】ブックオフの値付けの基本的なシステムはこんなパターン。粗利が8割以上もあることから批判が集中しているわけだ。しかしこのパターンが通用するのは特Aとされる本だけ。ブックオフは以下のように持ち込まれた本をランキングしている。
「特A」 発行されてから3ヶ月以内の新刊本 定価比買取価格10%
「A」 発行日から1年以内のもの → 6%
「B」 本をきれいにする作業が必要な本 → 4%
「C」 汚れや紙焼けがある本 → 1%
「D」 廃棄処分
なるほどシビアなものである。ブックオフが、その本を【新しさ】【美しさ】でしか判断していないこともわかってもらえると思う。それではその本がどうやって100円均一コーナーに移動するか、これももちろんマニュアル化されている。このあたりを次号「BOOK OFF 2冊目」で。
画像は「バカの壁」。なにかが壁になって、わたしはこの新書を購入することができない。
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