事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

電車男

2008-03-23 | デジタル・インターネット

Denshaotokoganbare 既に時事ネタとして消費し尽くされた感のある「電車男」。しかしこの物語には、味わうべき点がもっともっとあったと思う。

……「この1冊」ではもうおなじみの『2ちゃんねる』から発生した純愛物語。ああもう既に二律背反だ。鬼畜“2ちゃんねる”の“純愛物語”だぁ?

 秋葉系とよばれるイケてないヲタク男が、偶然まきこまれた電車内のトラブルで知り合った女性とのやりとりを“お互いのつらさを舐め合おう”的なスレッドに書き込みした。参加していた住人たち(この辺、2ちゃんねる語が多くてすみません)は彼の悩みに答え、叱咤し、そしてチャチャを入れる。

 彼女にプレゼントされたティーカップのロゴが読めず「HERMESって書いてあるけど、どこの食器メーカーだろ」(おかげで彼女は後にエルメスさんと呼ばれることになる)などと徹底的に洗練とは対極にいた電車男は、みんなの応援を背に勇気をふりしぼり、恋愛というステージに躍り出る……

 なぜこの本がここまで支持されたかはよくわかる。こーんな普通の恋愛話をこそ、みんな聞きたかったのだ。彼女に電話するべきかドキドキし、デートにどんな服を着ていけばいいか悩みまくり、そしてどんなときにキスを……おぼえがあるじゃないですか。その記憶と困惑を追体験できるのだ。そしてそれ以上に、電車男とエルメスさんのお互いを思いやる気持ちが泣かせる。その善なる思いが、しかし鬼畜なチャットサイトに花咲くあたりがいかにも現代なのだが。

※しかしこの物語、「好きって言ったらもっと好きになっちゃいましたw」他エルメスさん名セリフ満載。感情移入しやすいようにちゃんとできているのだ。わたしは全肯定する。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

僕の彼女を紹介します

2008-03-23 | 洋画

06_0106_1   んもう韓流、韓流、韓流である。ヨン様に代表される韓国映画・テレビの日本でのブームは、コリアン・インベイジョン(韓国の侵略)と言ってもいいぐらい。このくらいで民族的差別感情が消えるはずがないと最初はわたしもなめてかかっていたし、ブームになったせいで、かえって一過性のものになってしまうのではと危惧もしていた。どっこい女性たちの熱狂はホンモノのようで、ブームが去ったとしても、ペ・ヨンジュンやウォンビンのファンだったという事実は“蓄積”するだろう。悪い話じゃない。

 韓国映画の現在の隆盛は、クォーター制と呼ばれる『自国語の映画を一定期間必ず上映しなければならない』という韓国の国策がバックにあったから。日本もこいつをやれとは言わないが、外貨獲得以上に、韓国という国、国民、文化を知らしめるという成果があったのは今の韓流ブームで一目瞭然。「シュリ」から始まった怒濤の上映ラッシュと、ある程度の興行的成功は、北朝鮮という宗教国家と同民族であるハンディをものともしなかったわけだ。

 で、その韓流映画だが、その特色はどう考えても『濃すぎる』ことだろう。いやはやここまでやるか、というぐらい展開が濃い。往時の大映ドラマ(赤いシリーズとか)もハダシで逃げ出すほど。でもそれがこれだけの人気を得ている現実は、日本映画やテレビがあまりに洗練されすぎ、普通の恋愛を描けなくなっていたからかも。その後悔が「セカチュー」や「イマアイ」になってるんだろうけどね。みんな変化球に目が慣れすぎていて、剛速球の方がはるかに有効だったんだなあ。

 で、「僕の彼女を紹介します」。いやはやこれが濃い濃い。でも客席の後ろの方ではみんなズルズル盛大に泣いている。「83%が泣いた!」がこの映画のキャッチコピー。17%のひとりとすれば、いろいろと文句もある。あのラストは「猟奇的な彼女」を見ていない客には単なるギャグじゃないかとか、いきなりX-Japanが流れるのは興ざめだろうとか。致命的なのはセックスの不在。不自然きわまりない。でも、ベタベタなラブストーリーの需要を喚起し、映画館に観客を呼び戻してくれたその功績は、ひねくれた中年男としても認めないわけにはいかないのでした。やるなー韓流。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BOOK OFF 3冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

2冊目はこちら。Yorunohatemade

 ブックオフ商法については、わたしなどがイチャモンをつけなくても様々な方面から批判は寄せられている。たとえば万引き問題。

 新刊書店から万引きを行い、ブックオフにそのまま売り払う犯罪は後を絶たない。それどころか出版社の人間が在庫を持ち込んだり、新刊書店員がブックオフから古書を買い、スリップ(本の中にはさみこんである売り上げ伝票)を入れて取次に返品したりする裏技まで報告されている。ブックオフの出現が、流通のモラルを低下させているというわけだ。ちなみに、ブックオフ自身は「やまびこ方式」と呼ばれる万引き対策をとっている。ひとりが「いらっしゃいませ」と言ったらフロアの全スタッフが「いらっしゃいませぇ!」と応え、フロア全員が“監視している”ことを印象づけようとしているのだ。うるさいだけのかけ声じゃなかったんだなー。

 しかしわたしがブックオフに批判的なのはこんな理由ではない。本の価値を鮮度だけで判断していいのか、文化的存在として……なーんて「良書だけ擁護」派だからでもない。最大の問題は、ブックオフのあふれるほどの利潤が、書き手に全然還元されていないところにある。出版界の現状に色々な問題があることは理解できる。本屋に注文してもなかなか顧客に本が届かない理由はいくら考えても納得できないし、書店が値付けを行う必要のない(つけられない)再版制度が疲弊していることも確かだ。でも、著作権者が利益を得られない業界に明日はないはず。優秀な書き手を育てるのは、それだけではないにしろ経済的保障ではないか。その観点がブックオフからは完全に抜け落ちている。

 ブックオフは単品管理をしていない(!)から作家への還元は事実上無理だの、中古車を売るときにメーカーに利潤は入らないでしょう?だのと理屈をこねているけれど、だとしたら新古書店という存在には文句なく根本的な欠点がある、ここから話を始めなければ意味がない。

 ブックオフは必要だと思う。旧弊な業界に一撃を加えたことは確かだし。でも不可欠な存在としてこれからも在ろうと思えば、著作権料というハードルは無視できないはずだ。そうでもなければ、単なる『必要悪』という鬼っ子のままだろう。え?もう売り上げの半分以上はDVDやゲームソフトになっているからうるさいことは言うな?そっちの著作権料の方が緊急課題だっ!

※その後、創業者の所得隠しなどでブックオフのうさん臭さは次第に露わになっている。しかし、中古ピアノの転売でもうけたアイデア社長一族の影響を排除することは、新古書店の社会的存在意義を高めるうえで絶対に必要だ。

画像は、怒濤の不倫小説「夜の果てまで」泣ける。盛田隆二はホントにいいです。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BOOK OFF 2冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

1冊目はこちら。0930homeless

 本の新しさに価値をおくブックオフが、どのようにその本の“鮮度”をチェックするかはこんな具合だ。入荷時期を示す、赤・青・緑・黒の4色のステッカーを本に貼り、その色をもとに3ヶ月売れなかったとわかれば即刻100円にプライスダウンする(このシステムを知悉している客が、わざわざステッカーの色が違うと値引きを要求する例まであるそうだ)。加えて同じ本が5冊並んだらこれも100円へ。郷ひろみの「ダディ」は何冊も持ち込まれたとか。

 このシステムがなぜ必要だったかというと、ブックオフの店員たちの多くはパートかアルバイトであり、熟練された値付けなど望むべくもなかったからだ。そのため、数千万円を投資してマクドナルドのマニュアルを買い、開店前には毎朝スローガンを唱和し、売り上げ目標を達成すればその時点で店員全員がバンザイをする。一種の運動体のノリ。

 このブックオフの商売がなにゆえにここまで伸張しているか、ヒントは在庫管理にある。最大の特徴は「在庫が存在しない(!)」ことなのだ。とにかく持ち込まれた本はできるだけ早く店に並べ、客の目にふれさせることがポリシーになっている。生鮮食料品並み。また、恣意的に本を選んで並べたり、他店から搬入させたりすることもやっていない。その店の在庫は、その店に持ち込まれた本だけで成立させることが基本線。そしてこれこそがブックオフの強みだと社長は主張している。なぜなら、その店に並んでいる本は、その土地の人たちが、少なくとも一度は購入した本だという結果になっているから。つまり期せずしてその土地の売れ線になっているというわけだ。なるほど。全国一律に配本し、売れなければそのまま返品すればよしとする現行の再販制度の欠点を、結果的にブックオフが補完している。

 しかし、このブックオフ商法については、わたしはやはり反発がある。次号BOOK OFF 3冊目につづく。

画像は、これから大量に入荷するであろう(もうしている?)「ホームレス中学生」。この壮絶な貧乏話を、新古書店で買うのってなんか。それにしてもみごとな装幀。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

BOOK OFF 1冊目

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

Bakanokabe  本が売れない。一見「バカの壁」「ハリー・ポッター」「セカチュー」などの大ベストセラーに浮かれている出版界だが、出版不況という言葉はもうすっかり定着してしまっている。単行本はもちろん、雑誌、コミックなどすべて前年割れが続き、中小の書店はバタバタとつぶれている。

 その要因は数々あるだろう。メディアの多様化と可処分所得の減少の影響が『本』に向かったとか、教養としての本という存在がもう機能せず、出版物が人生にとって不可欠なものではなくなった、とか。

 しかしその間隙をついて急成長している“書店”もある。言うまでもなく、ブックオフに象徴される新古書店がそれ。このブックオフについてしばらく考えてみよう。

 わたしも何度か酒田のブックオフには本を売ったことがあるし、ポイント制などにつられて古書を買っている。そのときに誰でもが感じるのは「え?こんなに安くしか買ってくれないの?」とか「そのくせこんなに高く売ってるの?」だろう。段ボール箱いっぱいに持っていって、2,000円にもならないことはしばしばだし、値がつかない本の多さに気が遠くなったりもする。明細を確認はさせるが手渡しはしないあたり、どうもあやしい。

 【定価の一割で購入し、定価の五割で売る】ブックオフの値付けの基本的なシステムはこんなパターン。粗利が8割以上もあることから批判が集中しているわけだ。しかしこのパターンが通用するのは特Aとされる本だけ。ブックオフは以下のように持ち込まれた本をランキングしている。
「特A」 発行されてから3ヶ月以内の新刊本 定価比買取価格10%
「A」  発行日から1年以内のもの → 6%
「B」  本をきれいにする作業が必要な本 → 4%
「C」  汚れや紙焼けがある本 → 1%
「D」  廃棄処分

なるほどシビアなものである。ブックオフが、その本を【新しさ】【美しさ】でしか判断していないこともわかってもらえると思う。それではその本がどうやって100円均一コーナーに移動するか、これももちろんマニュアル化されている。このあたりを次号BOOK OFF 2冊目で。

画像は「バカの壁」。なにかが壁になって、わたしはこの新書を購入することができない。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Mr.インクレディブル The Incredibles

2008-03-23 | アニメ・コミック・ゲーム

Incredibles  わたしはディズニーのいい観客ではない。「ファンタジア」や「ピノキオ」などの全盛期を知らず、昔の遺産を食いつぶすだけだった低迷期にこども時代を過ごしたため、ディズニーとはすなわち温厚そうな口ひげのじいさんが出てくるテレビ番組「ディズニーランド」(日本テレビ)が思い出されるだけ。あの番組にしたって、ミッキーマウスやドナルドダックの短篇アニメはともかく、実写のドキュメンタリーだったりするとがっかりしたなあ。

 わたしはピクサーのいい観客でもない。「トイストーリー」には確かにどぎもを抜かれたし、CGでは困難と言われた水の世界を「ファインディング・ニモ」で精緻に描いた技術力にも驚かされたが「どうしてCGでなければならないのか」に、たとえば「モンスターズ・インク」は答えていなかったような気もして。

 この二社が仲たがいをし、提携解消にいたった経緯はよくわからない。でもこの「Mr.インクレディブル」を見るかぎり、どう考えても今回の騒動はディズニーにとっての不幸だろう。この作品ぐらいのレベルの映画がこれからもピクサーから生み出されるのだとしたら(なにしろ打率10割だからなあ)、失ったディズニーの痛手ははかりしれない。断言する。それほど、最高の娯楽映画だった。60年代の「ナポレオン・ソロ」や初期の007、そして「電撃フリントGO!GO!作戦」などのテイストをたっぷりふりまき、しかもCGでなければ創造し得ないアクションシーン満載。長男ダッシュと悪役のチェイスなど、「ジェダイの復讐」でジョージ・ルーカスがめざし、そして失敗していたレベルを軽々とクリアしている。“あまりの激しさのために観客は笑うしか選択肢が無くなってしまう”ほどのすさまじさ。いやー笑った。

P1  日本版の配役もすばらしい。特に主役の吹き替えは、わたしが秘かに日本一うまい役者と思っている男優がやっているので、そのうまさをぜひ味わってください。百恵ちゃんはいい男と結婚したなあ。

※その後ピクサーはディズニーとの関係を修復し……というかディズニーのアニメ部門はピクサーの連中が牛耳ることとなった。さもありなん。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新札

2008-03-23 | うんちく・小ネタ

Shinnsatsu 2004年11月は、身の回りのさまざまなことが切り替わった時期だった。若い頃ならそのことに敏感でいただろうが……
すでに思いきりジジむさくなっていた中年男の、当時の雑感です。

11月から世間では色々な動きがあったようだが、わたしはそれに追いつけずにいる。
車を走行中に携帯を操作しているだけでいきなり摘発されるのも初耳だったし、まさか新札がもう出回るとは思いもしなかった。

※まさかのちに携帯使用でホントに捕まるとも予想してなかった。おかげでゴールド免許もらえず。

おとといの外勤で郵便局に寄ると、「新札に取り替えて下さい!」と食い下がっているおばさんがいる。局員は「ウチで扱うのは明日になると思いますぅ」でもおばさんはなかなか引き下がらない。そんなに新札ってありがたいかなあ。
「ホリセンセー、お待たせしましたぁ」
「えーと、じゃあ俺も新札に取り替えてもらおうかな」
「いじわる言わないでくださいよー」

新札といっても目玉は五千円札の樋口一葉でしょう?野口英世の肖像はなんか下品だし、一万円札がそのまんま福沢諭吉ならあんまり関係のない話かな、なーんて金持ちっぽく(笑)考えていたら、昨日病院帰りにセブンイレブンでお金を下ろしたら、その一万円札がなんか変。なんだこりゃ。おいおい一万円もマイナーチェンジしてるのか?!

「お父さん、ほら、ここにピンクのラインが入ってるでしょ?これが偽造対策の目玉らしいよ。それにここにホログラムが……」しまった。息子の方がよほど事情通だ。

Bne10000 思えば二十年前、今のお札が出回ったときは「ちゃっちー」と思いませんでした?サイズの問題であると同時に、いかにそれまでの聖徳太子の一万円札がデザインとして優れていたかの証左では。それに、あのように謎だらけの人物をお札の肖像に封じ込めるというのもいい選択だったと思う。文化人路線はこれからも続くのだろうが、一種の狂気をはらんだ人物を、またお札に選んでくれないかなあ。たとえば平将門とか。無理か。それにしても新一万円札の鳳凰は、こりゃ版権は手塚プロ

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

柳家小さん

2008-03-23 | インポート

Kosan 内海好江:で、その時にね、二二六でものすごい雪が降って、大変な雪だったって話を。
柳家小さん:そうそうそう。
好江 :そこへ師匠が行ったんですか?
小さん:うん。
好江 :雪かきに?
小さん:なに言ってんだよ。反乱軍になったんだよ、反乱軍。
好江 :反乱軍てえのは、なんか反乱を起こすわけ?
小さん:そうそう。
好江 :反乱起こす顔してませんよ。
小さん:俺が起こしたわけじゃないんだ。
好江 :ああそうですか。 
                                                                      (「柳家小さん芸談」より)

 テレビで落語をやっていればとりあえず見る。それが馴染みのない噺家であろうと、なかなかそんな機会はないから。唯一残ったメジャーな演芸番組は「笑点」だけど、あれは【落語番組】じゃないしね。

 志ん生文楽をリアルタイムで見ることがかなわなかった私のような世代にとって、名人と感じさせてくれる人は誰だろう。世評では談志志ん朝。でも二人ともケレンが過ぎてなあ。まあ晩年の志ん朝は聴いていないし、ひょっとしたらあの「オレはこんなにうまいんだ」ってとこは無くなってましたか?

 こうなるとあまりにメジャーすぎて忘れそうになるけれど、柳家小さんって存在はやはり大きかった。あのとぼけた味わいは、生きている頃はわからなかったのに、今はどうも懐かしい。のっそりと高座に出てくるたたずまいは、ありゃ貴重なものだったのだ。

 落語家という連中は、これがなかなか剣呑な方々のようで、造反だの脱退だのという騒ぎを常に起こしている。小さんは、そんななか落語協会のトップとして長く君臨していたことからもわかるように、ルックス通りなかなかのタヌキだったみたい。二二六事件に巻き込まれていたり、剣道の達人だったりとサイドストーリーにもことかかない。そのことも含めて、もう一度小さんの落語は聞き直してみたい。金を(永谷園から)たいそう稼ぎ、勲章ももらい(反乱軍だったのに)、家族にもめぐまれ、大往生で逝くことのできた男の、おあとのよろしい噺を。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする