事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

L change the world ('08 ワーナー)

2008-03-10 | 邦画

Death Note」「Death Note the Last name」はそれぞれこちら。

Deathl

おなじみ、デスノートのスピンオフ作品。後篇で描かれた『Lがみずからデスノートに自分の名前を書きこむことでキラを追いつめる』途中におきた事件という体裁をとっている。つまり、主人公が死ぬことは最初から明らかになっているのだ。

 この時期を選んだことで、デスノートの登場人物たちをふたたび起用することができるメリットがあるかわりに、デスノートの記載があるわけだから、その間にLに何があっても死ぬはずがない、と観客の緊張感は薄まってしまった。

 タイトルもちょっとおかしくないですか。Lが世界を変える、ならL Changes The Worldと三単現のsがつかないと変……ネットをチェックしたらさまざまな憶測がとびかっていたのでうれしい。曰く

・change the worldは副題。本来は『L / Change The World』が正しい。
・「Lよ、世界を変えろ!」の意味で、命令形だから。
・Lを神のように見立てているので、God bless youと同じように三単現sはつかない。
・どうせ日本の観客はそんなこと気にしない。

……さあどうでしょう(笑)。ワーナーの製作なのに英語圏の観客を意識しないはずがないから最後のが正解ってことはないでしょうが。

 どうしてこんなつまらないことにこだわるかというと、他に語るべき点が見つからないからです(T_T)。特に女優の演技がひどい。

Mail03a 「L」は、好きです。子役もいいし、せつなさがたまりませんでした。
ただ、工藤夕貴はダメ!このシリーズ、女優陣は総崩れなのかな

……こんなレスがくるぐらい。わたしも工藤夕貴の絶叫芝居にはまいった。誤解をおそれずに言えば、まるで香港映画。彼女も、監督の中田秀夫もハリウッド経験がたっぷりのくせに、何なのこれは。中田の「女優霊」に震え上がった身としては、弛緩した演出がくやしい。その「女優霊」に主演した柳ユーレイの出演はうれしいが。

 それに、どうもギャグがうまく機能していない。南原清隆の演技も中途半端なので、群衆から追いかけられた彼が「オレはFBIだぞっ!」と主張すると「何いってんだ。日本人じゃねーか」と突っこまれるシーンも笑えないのである。

 原作の複雑怪奇さは、ミステリ好きにとってもしんどいものがあった。連載開始時にどれだけ先を見通したストーリー展開を用意していたかはわからないが、矛盾がないように矛盾がないようにと躍起になっている感じは伝わってきた。今回はわりにストレートな抗ウィルス剤争奪戦で、だからこそ頭脳戦の醍醐味はない。

20071128054037  しかし、だ。それらを補って余りあるのが松山ケンイチ。彼がいるときといないときでは画面の熱量が違う。子ども二人を引きつれて自転車をこぐLの姿は、それだけで一幅の絵。結果として3作で120億も稼ぎ出したこのシリーズは、松山ケンイチひとりをメジャーにしたことで後世語られることになるだろう。ま、それで十分だけどね。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

Death Note / the Last name('06 ワーナー)

2008-03-10 | 邦画

Deathnote2 前編はこちら。

 前作をしのぐ大ヒットなのだそうだ。ヘタしたら50億はいくかと。わたしと息子が観たときも、日曜の午後とはいえ、封切りから二週間もたっているのに地元のシネコンで最大のスクリーンを提供され、ほぼ満席。前から3列目の右端なんてとんでもないシートで観る羽目になった。

洋画配給会社であるワーナー・ブラザースは、前から可能性を求めて日本映画を作り続けてきた。「さくや妖怪伝」や「キューティハニー」がそうだったし、今夏の「ブレイブストーリー」もワーナー。興行的には失敗続きだったけれど、デスノート2本でようやく大ヒットにめぐまれたわけだ。そのことはめでたい。めでたいけれど、しかしこんな映画で50億も稼いで恥ずかしくないかワーナー……

ストーリーは、“原作と違う衝撃のラスト”が用意されているとはいえ、読んでいなくても容易に想像がつく展開。キラ(藤原竜也)とL(松山ケンイチ)の頭脳による一騎打ち、ていうか裏の裏の裏をかく欺し合いだけを描いている。余計な要素を一切排除している姿勢は正しいし、基本的な部分はきちんと原作を踏襲している。ラストネームというタイトルはおしゃれだし、レッチリを日本でもメジャーにしてくれた功績は大きい。

でも、だ。

「ホリプロが製作にかんでいるとはいえ、ミサミサを演じたあの女優の魅力のなさはどうしたことだろう。いくら売り出さなければいけないとはいえ(だろ?)後編はあの娘が重要な役どころなのに、あんなんでマジだいじょうぶか?」と前作を特集したときの危惧はあたりまくり。ミサミサ役の戸田恵梨香だけでなく、キャスター役上原さくら、夜神粧裕(キラの妹)の満島ひかり気の遠くなるような演技はなにごと?彼女たちが出てくるたびに一気に画面が停滞し、監督の金子修介も「こりゃまずい」と思ったのかエロティックなサービスシーンを連発してお茶を濁している。

え?ホリプロに所属しているのは上原だけ?じゃあなんで学芸会レベルのタレントをこれだけのビッグバジェット映画に起用したんだぁ!

やはり今回も、作品をささえたのは松山ケンイチ。結局わたしにとって映画「デスノート」は、松山ケンイチを認識させてくれた存在にしかすぎなかった。さーて、これだけの大ヒットだと続篇を、という話になるだろう。でもあの結末だと……いや、デスノートにはとっておきのルールがあることを忘れてはならない。

・デスノートはどれだけ使ってもページが尽きることはない。

予想どおり第3作につづく!

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

DEATH NOTE ('06 ワーナー)

2008-03-10 | 邦画

Deathnoteposter  「デスノート、あったら欲しいなあ。」

日曜の夜に映画に連れて行った息子の結論がこれか。怖いことを言いやがる。父親として一応フォローしておかなければならん、と帰りのクルマのなかで強引なたとえ話にもっていく。わたしはこれが得意技なのである。

「デスノートに名前を書けばその人間が死ぬ。だから犯罪は激減する。一見いいことだらけのようだけれど、キラはだんだん変わっていっただろう?正義のために使っていたノートを、でもいつの間にか自分を守るために使うようになる。デスノートが象徴するものはきっと『権力』だよ。ものすごく強い権力を“持ち続ける”と、それは必ず腐るってことを言いたかったんじゃないかな。」

「…………ふーん。」

あんまし、納得してないみたい。たとえ話失敗

「DEATH NOTE」は少年ジャンプ誌上で浮きまくっていた。汚れキャラの多いなかで硬質な絵柄だったこともある。加えて、どちらかといえば肉体派のジャンプは、どんなキャラや物語も「勝負!」に収束していくため、最終回に向けてどんどん単純化していくのが常だった。それがこの作品の場合、異様な設定のもと、キラと対抗する探偵役(前半は“L”)との丁々発止のやりとり(あげ足とり、とも言う)がどんどん細密化、複雑化していくのだ。1号でも読み逃そうものなら読者はあっという間においていかれてしまう。わたしも脱落組のひとり。あとでまとめて読めばいいや、と思っていたのだ。

 そんな読者への格好のプレゼントがこの映画だ。なるほどぉ、こんなストーリーだったの?(笑)といちいちうなずきながら観ていた。“L”を演じる松山ケンイチがものすごく魅力的。はっきりいってキラ役の藤原竜也の10倍はいいぞ。だからこそ前編のラストであるふたりの直接対決がワクワクさせてくれる。ポテトチップスのあつかいなど、憎い。

 でもただひとつ、ホリプロが製作にかんでいるとはいえ、ミサミサを演じたあの女優の魅力のなさはどうしたことだろう。いくら売り出さなければいけないとはいえ(だろ?)後編はあの娘が重要な役どころなのに、あんなんでマジだいじょうぶか?

後編につづく

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする