事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2019年10月号PART1 文春砲連発

2019-10-31 | ニュース

Jackson Browne - The Pretender (Solo Piano) (BBC TV 1994)

2019年9月号PART6「残り香」はこちら

「重要閣僚が務まるとは思えなかった。」

公設秘書が、支援者の通夜で香典を渡したとする報道によって菅原一秀経済産業相は辞任。彼からパワハラをうけていた元秘書がしみじみと。

文春砲は絶好調で、今度は河井法務大臣の首まで獲っている。

このふたりの共通点をご存じですか。もちろん菅官房長官に近いグループにいることは報ぜられているとおり。しかしそれ以上にパワーハラスメントが日常茶飯事だったらしいことだ。かくて内部情報は文春に流れる。因果応報。もはや議員秘書は滅私奉公が当然という時代でもなくなったわけだ。

類は友を呼ぶと言います。苦労人の官房長官は、はたして彼らにどんな範を示していたものだか。

PART2「身の丈」につづく

本日の1曲は、おそらく日本のメインストリームがフォークからロックに移行する過程でもっとも影響が大きかった曲。ジャクソン・ブラウン「プリテンダー」

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日本の警察 その110「我らが少女A」 髙村薫著 毎日新聞出版

2019-10-30 | 日本の警察

その109「百舌落とし」はこちら

マークスの山」「照柿」「レディ・ジョーカー」「太陽を曳く馬」「冷血」とつづいた髙村薫の合田(ごうだ)雄一郎シリーズ最新作。読者としては、どう考えても名刑事なのに自己評価が低く、常に悩んでいる合田は愛さずにいられない存在だ。

徹底してドストエフスキー的でハードルが高い髙村作品を、しかし手に取ってしまうのは、合田はいまどうしているだろう、という愛着があるからに他ならない(笑)。

別れた妻が9.11で亡くなり、その兄にして親友の(別の意味合いの関係もあってドキドキ)加納は心臓を病んでいる。57才の定年近い警察官の、苦い日常。そんな合田に、迷宮入りした12年前の老女殺人事件に新たな展開があったと連絡が入る……

合田は警察大学校の教授になっている。初めて知る存在なので調べてみると、要するに幹部養成校であり、常に考え込んでいる合田に似合いの職かもしれない。

主な登場人物は12名。被害者の老女とその家族、孫娘の同級生たちとその親、そして合田と加納だ。彼ら(少女Aをのぞく)の心理がこれでもかと書き込まれており、特にADHDの少年に髙村がチカラを入れて描写していることが理解できる。

この小説の特徴は、これら12名以外のキャラクターの心理はまったく描かれないということなのだ。事件の捜査を行うのは特命班だが、彼らの行動はあくまで背景の位置にいる。結果的にこの殺人事件については、宮部みゆきの「模倣犯」における“いちばん最初の殺人”のような描写にとどまる。それ自体をほとんど描かないというアクロバット。

しかし、だからこそ心に残る。夜更けに読み終えて粛然。傑作だ。

作中で合田が自問自答することが、犯罪と警察の関係を描いていて秀逸。

「世のなかには、目撃者がいるか、もしくはホシが自首するかしなければ誰も真相を知りようがない事件というのがある。(略)もちろん、どんなに悪条件が重なろうと、どこかに犯人がいる以上、それを追わないという選択肢は警察にはないが、どんなに細大洩らさず捜査を尽くしても、神でもAIでもない警察の捜査はときに限界に突き当たることはある。良いも悪いもない、世界はそんなふうに出来ているということなのだ。」

そのことに意識的であってしまうのが合田という男。結末でそんな彼は捜査一課に復帰する。新作が待ち遠しい。

その111「スワロウテイルの消失点」につづく

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「あおなり道場始末」 葉室麟著 双葉社

2019-10-30 | 本と雑誌

遣い手として知られた先代の道場主が謎の死をとげて以来、ぼんやりとした長男が継いだものの先細り。しっかり者の長女、口が達者な二男の三人が、父の死の謎に挑み……

おおおこれは娯楽小説の王道じゃないの。ということで読んでみたけれど、どうにもはずまない。三人に血縁関係がないことが明らかになり、次第にラブコメに転ずるものの、うーん。葉室さんにもこういう作品があったのか。

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うまい店ピンポイント 普通の秋 きよ、馬場、とみ将

2019-10-29 | 食・レシピ

貧乏なのか金持ちなのか篇はこちら

普通の秋。ひたすら休日は庄内柿を収穫しています。いつ終わるんだろう……あ、気づけばもう2コンテナぐらいかな。

その合間をぬっておいしい店に突入しております。まずは馬場。

いろんなところに庄内柿を宅急便で送る。いつも大宮のクロネコヤマトの営業所です。妻と

「どこにする?」

ここまでくれば馬場でしょ。意外にすいてました。この日は今上の即位の日。わたしは彼と同じ年の同じ月の生まれなのでシンパシーを感じております。

つづいては初めて行った「きよ」。むかしの同僚からここがおいしいことは聞かされていたの。妻は行ったことがあるとか。

こんなに立派なお店だったとは。そしてこんなにおいしいとはっ。

最後はとみ将。なにも言いますまい。妻と会話すら交わさずひたすら食べてました。おいしいよー。普通の秋。普通であることがうれしいっす。

 「富重2019年秋篇」につづく

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日本の警察 その109「百舌落とし」 逢坂剛著 集英社

2019-10-29 | 日本の警察

その108「福家警部補の考察」はこちら

腰巻きによれば、33年間に渡って続いてきた百舌シリーズの完結編だとか。そうかあ、逢坂さんはいろんなシリーズの幕引きを図っているみたい。娯楽小説家としての矜持なのかな。

このシリーズの白眉はもちろん「百舌の叫ぶ夜」。初めて読んだときの衝撃は忘れられない。というか今でも逢坂さんの最高傑作はあれだと思う。

えーと、ネタバレになるのでつらいところだけど、ドラマ「MOZU」で西島秀俊が演じた倉木がああいうことになって、えーと真木よう子が演じた美希と香川照之演じた大杉が……えーいとにかくこのシリーズはあれを読まないことには始まりません!

そして、公安というものの在り方を世間に広めたのもこのシリーズの貢献。つき合いづらい人たちだけど、悪人だらけというわけでもありません。善人だけというわけでももちろんないけれど。

その110「我らが少女A」につづく

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追悼八千草薫

2019-10-28 | 芸能ネタ

いつかこんな日が来るであろうことは誰だってわかっていた。でも、“訃報”という言葉がこれほど似つかわしくない人もめずらしいと思う。

八千草薫。

どこか浮世離れしているお嬢様、世間の痛みから目を背ける奥様……的な役柄が多かったせいだろうか。

でももちろん、彼女の代表作は不倫ドラマ「岸辺のアルバム」だ。しかしあの山田太一の傑作にしても、八千草薫が演じたからこそ評判をよんだ側面は確かにあった。

わたしは学生時代に狛江に住んでいた。多摩川沿い。「岸辺のアルバム」の舞台となった場所。おかげで、あ、ここが八千草薫が立っていた小田急線のホームだとか、風吹ジュンがいたサーティワンはここだな、とリアルタイムで感じていたっけ。

「阿修羅のごとく」「前略おふくろ様」「うちのホンカン」……主戦場がテレビであったことは疑いないけれども、「ガス人間第一号」「田園に死す」「ディア・ドクター」など、映画でも光り輝いていた。ぎらつく光ではなく、あくまで淡い光で。

こういう女優はちょっと他に思いつかない。だから彼女はひとりで

「八千草薫」

というジャンルを成していたのではないかと思うぐらいだ。だからこそ、彼女の退場は日本の芸能界にとって痛恨事。淡い光だからこそ、ひたすら美しかった。大好きでした。ご冥福を、お祈りします。

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「世界を売った男」 陳浩基著 文春文庫

2019-10-28 | ミステリ

13・67」「ディオゲネス変奏曲」と大当たりがつづく陳浩基。彼が島田荘司文学賞という華文ミステリのコンテストで勝ち抜いた受賞作。

ある朝目覚めるとまわりが昨夜と微妙に違っている。自分の記憶から6年間経った世界がそこに……これだと典型的な時間SFのように思えるけれど、主人公は担当する殺人事件の真犯人が別にいるという記憶だけは確実にもっている、というあたりから俄然面白くなる。

しかし、結末がどうにもひねりが足りない。この有能な作家にも若書きの時期というのはあったんだなあ、と思ったらいきなりそう来たか(笑)。いやはややっぱりこの作家はすごい。

日本文化がアジア圏に大きな影響を与えていることも感得できて、その意味でも面白い小説でした。やるなー。

タイトルはデビッド・ボウイの曲から。そして謎解きにボウイがからんでくるというサービスまである。やるなー。

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いだてん 第40回 バック・トゥ・ザ・フューチャー

2019-10-27 | 大河ドラマ

第39回「懐かしの満州」はこちら

最終章突入。この大河は、やたらに時代が前後するために視聴者がついてこれないと指摘されてきた。作り手たちは開き直ったのか、画面左に年表を入れて来ました(笑)。

見終えて、実は涙ボロボロ。

しみじみと思う。この、史上最低の視聴率で記憶されるであろう大河が、わたしにとって最高の大河だと。まだ極私的大河シリーズは「花の乱」までしか到達してないけれども。

二週間のごぶさたでした(玉置宏調)。いろんな事情で先週のオンエアが吹っ飛んだことに寛容なわたしです。そりゃあまあ、視聴率40%超えのラグビーワールドカップのためなら、そのくらいなんですか。ええ、わたくしは何も申しませんよ。何も言うものですか。何も言いませんってば

この回は、オリンピック招致の演説を、星野源にやってくれとプレゼンテーションのためのプレゼンテーションを田畑(阿部サダヲ)たちが繰り広げるお話。

このエピソードのために無口をとおしていたのではと思える麻生久美子と、ここでこの人をもってくるかとうれしくなる筒井真理子

現在の日本映画に意識的な人なら、この女優ふたりを無視できるはずもなく、次回からはあの安藤サクラまで出るみたい。そうなると柄本明は出なくていいんですか。柄本家でお父さんだけ違うスケジュールでいいんですか。

北島康介が古橋廣之進として登場。スポーツ選手が、先達の選手を演ずるのって例があったのかな。彼のクロールを見ることができたのはうれしい。

こっからがこの回のキモ。

田畑たちがフィリピンで受けた衝撃(日本人の悪行への悪罵)があったからこそ、

“日本人は面白いことをやらなきゃいけないんだ”

という結論にひたすら同意。そしてこれは、東京オリンピックをネタに大河ドラマの脚本を書くことになった宮藤官九郎の本音でもあっただろう。すばらしい作品だ。

第41回「おれについてこい!」につづく

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「YMOのONGAKUその4」

2019-10-27 | 音楽

Yellow Magic Orchestra - Nice Age (live)

その3はこちら

以降YMOは、神経症的な「BGM」、生楽器やサンプリングを多用した「テクノデリック」、パロディ色満載の「浮気なぼくら」を出して全盛期の活動を終える。まあ、わたしはスネークマンショーとのコラボ「増殖」が大好きでしたけどね。

メンバーそれぞれが多才な人だったこともあって、YMOとしての活動がなくても三人はいつもフロントラインにいたイメージ。しかし実際には(あまりはっきりとは書かれていないが)坂本龍一は早くから脱けたがっていたようだし、みんなオトナだから反発し合う前に没交渉になったりしたのだろう。いまは三人でテレビ出演などもするようになっているし、特に細野晴臣の仙人っぷりはみがきがかかっています。

YMOがわたしの世代に与えた影響はやはり大きい。人民服を着て無表情に演奏する彼らのイメージが確かに強いけれど、「トリオ・ザ・テクノ」としてバラエティに出演するなど、後半はその音楽性とは真逆にユーモアを前面に出してきたのがうれしかった。

「増殖」はその結実だし、業界においても息がしやすくなったのではないか。で、わたしたちはそんな彼らの姿こそかっこいいと思っていたわけ。

音楽的には、特に坂本龍一のアレンジは独特で、彼と大貫妙子が組んだときは無敵だとすら思いました。彼は藤井にシンセサイザーについてこう語っている。

「藤井、シンセには背負ってる歴史がないんだよ。ピアノやヴァイオリンには、楽器そのものが関わってきた音楽の歴史があるだろう。例えばピアノを弾くと、同時にそのピアノを使った音楽の歴史も、これから自分が作る音楽の中に組み込んでしまうことになる。シンセはそういう仕組みから解放されるんだよね」

なるほど。まあ、いまはプロフェット5にはプロフェット5の歴史が刻み込まれているような気もしますが。そしてその歴史は、あのころにYMOが切り開いて、しかも爆発的に売れたという事実が否応なしに影響している。

あびるほど彼らの音楽を聴いたわたしたちの世代は、好き嫌いを超えてテクノの子、YMOの子なのだとしみじみと思える。そのことがうれしいです。

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「007 逆襲のトリガー」アンソニー・ホロヴィッツ著 角川書店

2019-10-26 | ミステリ

カササギ殺人事件」などのベストセラー作家であるホロヴィッツにイアン・フレミング財団が依頼した公式の007新作。

ゴールドフィンガーのプッシー・ギャロア(なんて名前だ)が冒頭に登場するなど、サービス満点。ただし、映画と違って小説はボンドが意外に自省的。これはメディアの違い?作家の志向?そうです、実はわたし、イアン・フレミングの原作って読んだことないんです(笑)

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