事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ディオゲネス変奏曲」陳浩基著 ハヤカワ・ミステリ

2019-10-15 | ミステリ

前作「13・67」にはマジでおそれいった。これだけ面白いミステリにはめったに出会えない。そんな陳浩基の新刊は短篇集。おまけに早川のポケミスで登場。しかも期待に違わぬ出来。読者を徹底して翻弄してやろうという気概がうれしい。翻弄されまくりのわたしが言うのですからまちがいはございません(笑)。

ほとんど出席者のいない文学の授業において、ある人物を特定する推理合戦「見えないX」をはじめとして、誤解をおそれずに言えば稚気にあふれた祝祭がここにはつまっています。華文ミステリおそるべし。

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「エージェント・ウルトラ」American Ultra (2015 ライオンズゲート)

2019-10-15 | 洋画

コンビニ(というかしょぼい雑貨店)で働く青年が実はスリーパーで、ある暗号で覚醒し、八面六臂の大活躍……こんな面白そうな映画をどうして見逃していたんだろう……見逃してませんでした。前にちゃーんと見てます。どんだけおれがスリーパーなんだ。

情けないスリーパーにジェシー・アイゼンバーグ、恋人にクリステン・スチュワートとよく考えたら(考えなくても)豪華版。おまけに某作戦の責任者で、暗号をつぶやく女性にコニー・ブリットン。いやー彼女がセクシーでセクシーで。彼女を見たので

「あ、おれ一回これ見たんじゃん」

と気づいたの。さすが、男を覚醒させる女。

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「平場の月」朝倉かすみ著 光文社

2019-10-14 | 本と雑誌

読みながら、これは絶対に同世代の作家による作品だと確信。それはもちろん、登場人物たちの中学時代の回想に

「いや、だって、須藤ってちょっと浜田朱里に似てない?」

と、NHKのレッツゴーヤングのレギュラーになったアイドルの名が出てくるからでも、

“須藤は「君とイチャイチャと小声で歌い出した。安西は中三の文化祭で男子二名といまでいうところのエアバンドを組み、カセットテープに合わせてジューシィ・フルーツの「ジェニーはご機嫌ななめ」を演ったのだった”

などという描写があるからではない(ま、それもあるけどね)。世間で考えるところの五十代のイメージと、みずからが五十代であることの乖離が絶妙に描かれているからだ。

主人公は五十才の男、青砥(あおと)。浮気性の妻と別れ(そのことを成人した息子たちにうらやましがられているのが可笑しい)、転職して実家に帰り、低い給料でつましく暮らしている。そんな彼が検診で異常が見つかり、再検診のために病院を訪れると、売店でむかしのクラスメイト、須藤が働いているのに出くわす。

読み終えて、これこそが運命の出会いだったのに、青砥と須藤の2人の関係が読者の予想よりも交わらないあたりがすばらしいのだ。

構造として、このお話は難病ものに分類されるだろう。しかし薄幸な美少女が白血病に倒れるのとは違い、年収をふたり足しても400万程度の日本の中年カップルをとりまくのは「人工肛門」「家賃」「医療保険」「生活保護」といった即物的なものばかりだ。

そのなかで、ヒロインにはいわゆる「節度」などと賞揚されるものではなく、「照れ」あるいは「自裁の念」のようなものがあり、それこそが同世代だと感じさせる最大の部分。須藤を嫌いになれる中高年は、そうはいないだろう。

時制が行ったり来たりする宮藤官九郎的テクニックを用いながら、ラストの1行で、この山も谷もない平場の恋愛に、深い縁取りが与えられている。作者は1960年生まれ、やはり同い年でした。わたしも浜田朱里やイリアのことが大好きです。

今年のベストワン決定。すばらしい。

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うまい店ピンポイント お肉が待っている

2019-10-14 | 食・レシピ

振替休日だったのに篇はこちら

先週の土曜日は年に一度のお肉の日。学校事務職員が集まって焼肉屋でわいわい。ゲストを接待してファミレスに連れて行くのも恒例。

でもむかしみたいにウィスキーをそのまま飲ませてはくれない。ハイボールのみ。

「ものは相談ですけど、このハイボールから炭酸を抜いてもらうことはできますか

「オンザロックということになりますが……」

「そうなりますかねえ」

「承知しました」

話せる店員で助かった(笑)。

がんばってダイエットを続けていたのに、どうもまわりからはやつれたと思われているみたい。やはりもう少し身体にガッツを注入しなければ。

そんなところへ朗報(なのかな)。ようやくポスターが現場に貼り出されました。いつまで秘密にしてるんだと思ってたけどね。まあ、客足が遠のいたあたりで悠然と入店することにしよう(上から目線)。

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いだてん 第39回 懐かしの満州

2019-10-13 | 大河ドラマ

第38回「長いお別れ」はこちら

台風が駆け抜け、和田誠師匠が亡くなり、江戸では読売、埼玉では柔らか銀行が決戦に進出が決まるという大わらわの週末。んもう半鐘は鳴るわ大八車は……そしてとどめがこの大河ドラマだ。

完璧な、いや完璧以上の回だった。

まず、志ん生を満州に追いやる家族という設定で笑わせ(実際には馬生はそのせいでさんざん苦労する)、七之助の圓生ぶりも絶品。満州ならこの人を外すわけにはいかないと森繁久弥も登場。甘粕や愛新覚羅溥儀まで出てくるのではないかと思ってしまいました。

絶望した志ん生がウォッカをがぶ飲みして自殺を図ったという有名なエピソードに持って行くために、森山未來、中村七之助、仲野太賀の三人がウォッカで酒盛りする場面を挿入。ここはこの一年でも屈指の名シーン。

二人会の演目も考えてある。圓生が居残り佐平次のかっぽれで客を湧かせたために、志ん生は小松のアイデア(とランニング)を取り入れて富久を浅草から日本橋じゃなくて芝まで走ることにして笑いをとる。そのまま海岸でお財布を拾ったりする展開にはしませんでしたけど。

そして、富久を最後まで聞くことなく小松はソ連兵に……

こっから先は泣かせましたね。夫の死を、弟子の死をなによりも雄弁に語ったのが履き古した足袋だったという仕掛け。そして夫の帰還と生還を、森山版志ん生とたけし版志ん生にシンクロさせるあたり、ため息が出るくらいだった。夏帆と池波志乃をここでダブらせるかあ。

妻は見終わってほんとうにため息をつき

「いつものいだてんよりずっと長く感じたわ」

これは退屈だったのではなくて、それだけ密度の濃いドラマだったわけね。すばらしい回だった。いだてんを見続けてきてよかった。ほんとうによかった。

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台風一過……だけれども。

2019-10-13 | ニュース

新庄、山形とめぐってきて、早めに寝て……午前2時頃にめざめたらとんでもない風が吹いていた。家が揺れてる感じなのでスマホで地震かどうかを確かめたぐらい。

で、起きたらお寺さんの松がこのようなことになっていました。北風だったからまだ助かった。これが西風だったら本堂か庫裏に被害があったろうし、南風ならお墓が倒れていたはず。不幸中の幸い。

川の決壊のニュースなどを聞くと、庄内は雨が少なかっただけましだったんだなと思う。被災した方々にはお見舞いを申し上げます。

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「ジョン・ル・カレ伝」 アダム・シズマン著 早川書房

2019-10-11 | 本と雑誌

ジョン・ル・カレ。現在87才。最高峰のスパイ小説作家であることは誰も否定できない。オックスフォードに学び、イートン校で教鞭をとり……イギリスの典型的なエリートで、現代政治に常に警告を発するなど、冷静な老大家というイメージ。

とんでもなかった(笑)。波瀾万丈の人生だったのだ。

まず、父親がとんてもない。ル・カレ(この伝記では本名のデイヴィッド)の人生に激しく影響したこの男は、はっきり言えば詐欺師、良く言っても大ボラ吹きだったのである。まわりに迷惑をかけながら何度も経済的に破綻したこの父親のために、ル・カレと兄は何度も尻拭いさせられる。しかし魅力的な人物であったことは確かなようで、その血はル・カレにも継承されている。

学生時代にある機関からリクルートされたル・カレ。それはMI5(Military Intelligence Section 5、軍情報部第5課)で、要するにスパイとして国につくした経験が彼にはあり、その経験をもとに書き上げたのがあの「寒い国から帰ってきたスパイ」だった。冷戦ただなかにおける東西のだまし合いを描いた彼の代表作はめちゃめちゃなベストセラーになる。あんなにむずかしい小説だったのに(笑)

その後、MI5時代の上司をモデルにしたジョージ・スマイリーもので、スパイ小説のジャンルにおいてグレアム・グリーン(彼もスパイの経験がある)と並び称されるまでになる。気難しそうな人物だが(実際に批評家や他の作家と何度もバトルしている)、結婚、不倫など、現在ならゴシップにことかかない生涯。スマイリーの奥さんが不倫し放題なのもその影響か。

英語圏の作家として、自分の作品が映画化されることにことさら熱心にからんでいたのも意外。「寒い国から帰ってきたスパイ」のときは主演のリチャード・バートンのところへ酔っ払ったエリザベス・テーラーがやってきて邪魔だったとか、「リトル・ドラマー・ガール」では監督のジョージ・ロイ・ヒルがパーキンソン病のために苦労していたとか、裏話満載。

ようやく近年になって「ナイロビの蜂」「裏切りのサーカス」「誰よりも狙われた男」など、傑作が続いたので喜んでいるはず。で、本人もちゃっかり特別出演しているのね。わりとおちゃめなところのあるおじいちゃんであることも知れて満足。旧作も久しぶりに読んでみよう。

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「マレフィセント」Maleficent (2014 ディズニー)

2019-10-10 | 洋画

「伍長、今回は『眠れる森の美女』のリメイク、ということになっている『マレフィセント』です。」

「……“ということになっている”ってあたりにキモがあるんじゃな?」

「そのとおりです。眠れる姫、オーロラをダコタ・ファニングの妹って紹介がすっかりいらなくなったエル・ファニングが演じてるんですけど、でもタイトルからわかるように徹底的にこれはオリジナルでは悪役だった魔女、マレフィセントが主役。演じたアンジェリーナ・ジョリーのために用意された映画でした。」

「製作にもアンジーがかんでるんだから当然とはいえ、戦う女優である彼女の本領発揮だったぞい」

「白馬の王子様がやってきてキスをしてハッピーエンド、って具合にだけは絶対にしないぞって気合いが感じられました」

「幼いマレフィセントと恋に落ちた男がとにかく悪い悪い(笑)。マレフィセントの男性不信がよくわかる」

「アンジーも父親や結婚相手には苦労させられましたからねえ。養子も含めて、子だくさんな彼女にとって、永遠の愛は子どもにしか与えられないってテーマはぴったり。あ、ネタバレ。それはともかく彼女の飛翔シーンはすごかったですね」

「CG云々っていうより、あれはアンジェリーナ・ジョリーの身体の美しさも影響してるぞ絶対。他の俳優と比べればわかるけど(比べるように撮ってある)、モデル体型きわまれりじゃ」

「にしても、いつのまにかアンジーは頬骨が出て人相が変わってしまいました」

「あれはオリジナルのアニメに似せたの!メイクアップがあのリック・ベイカーなんだから、狼男(「ハウリング」「狼男アメリカン」)やゾンビ(スリラーPV)になんないだけよかったんじゃ!」

続篇が楽しみですねえ」

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明細書を見ろ!2019年財形貯蓄特集号 開店閉店。

2019-10-09 | 明細書を見ろ!(事務だより)

さて、恒例の財形貯蓄特集号です。今年の募集期間は10月11日(金)から24日(木)まで。手続き関係はいつもとまったく変わりません。わからないことがあったらいつでも事務室へ。用紙は常備しています。

この低金利の時代、財産形成についてはおそらくiDeCo(個人型確定拠出年金)とのバランスが肝要になってくるのだと思いますが……まあ、これはあくまであなたの選択次第なので大きなお世話です。

ということで、今号は暇なときに読んでもらうネタでお茶を濁しておきます(いつもだけど)。

近ごろの本校の緊急メールはやけに野生の王国的。近隣に熊が出没したり、学区にカモシカがあらわれたり(ご冥福をお祈りします)。

しかしわたしが驚いたのはTSUTAYAからのメールでした。

「TSUTAYA酒田北店より店舗閉店のお知らせ」

いつもTSUTAYA酒田北店をご利用頂きありがとうございます。 誠に勝手ながら2019年10月31日(木)を持ちまして、当店は閉店させて頂く事となりました。長きにわたりご愛顧頂きましたこと、厚くお礼を申し上げます。なおレンタル最終貸出日は10/20(日)とさせて頂きます。
重ねてにはなりますが、18年間の長きに渡りご利用頂いた事、心から厚く御礼申し上げます。

……なんですとーっ!店の前を通ったら確かに閉店セールが始まっている。ネット配信時代の到来をここまで露骨に示す事例はなかなか。

栄枯盛衰は世のならいとはいえ、さみしいなあ。くわえて学校にやってきた業者が

「知ってますか。松山軒もう閉めちゃったんですよ」

なんと、松山中学校勤務時代にあんなにお世話になったラーメン屋も……

かと思えば飽和状態かと思っていた庄内町に新しいラーメン屋が二軒も開店したと地元の若手から教えてもらう(猪鹿蝶、香味屋)。

別の業者からは仰天の新情報が次々と。

・三×月軒今町店はもう影も形もない

・鶴岡の麺屋いた×きはもっと広いところへ移転

・みずほにある居酒屋こて×ぐ(2)はラーメンの提供を始める。だってあそこの店主は(以下自粛)

・すっかり更地になったダイ×ムは、閉店した道とん堀の跡地に移転。なぜかというと(以下自粛)

・両羽町にある風林×山が休業していたのは(絶対に自粛)

……自粛ばっかりかよ。あくまで噂です噂。歩く爆サイと呼ばれる男の情報なので話半分に聞いておいてください。

でも、この情報だけは確かでした。

・上安町のベガスベガスの駐車場に建築中なのはいきなり!ステーキ

……かつてスタバの進出は秘匿され、不動産屋のサイトで一瞬だけ明らかになったのにすぐに削除されたのを思い出します。どうしてそんなに秘密にするのかな。とりあえず今回は従業員募集サイトで、来月開店することが告知されています。

馬場、太陽軒、びっくりドンキー、吉野家が閉店したり移転したこの学区で、はたして客単価の高いことで有名なあのチェーン店はだいじょうぶだろうか。まあ、酒田人のことだから、最初は激混みになるんでしょうけど。

画像は「アイネクライネナハトムジーク」(2019 GAGA)

まだ庄内では公開されていませんが、わざわざ東根まで観に行ったのは、わたしが多部未華子のファンだからに他ならない。ああそれなのにそれなのに……お父さんは聞いてませんよ結婚なんて!誰だお父さんって。

彼女だけじゃなく、三浦春馬、原作の伊坂幸太郎、舞台の仙台、そして斉藤和義が好きな人は必見!

 

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明細書を見ろ!2019年10月児童手当号「消費税と児童手当」

2019-10-09 | 明細書を見ろ!(事務だより)

……に直接の関係はもちろんありません。しかしすったもんだの末に実施された消費増税については、キャッシュレスがどうしたの軽減税率(どうして新聞が対象になっているのか本当に不思議)だのだけが話題になっていて、子育て関係が(少なくとも子育てと関係ない人間にとって)あまり知られていないのが現状かと。幼保無償化があったとしても。

そこで実施されたのが3才未満の子ども(2016年4月2日から2019年9月30日までに生まれた子)がいる世帯に、その子ひとり当たり25000円分のプレミアム付商品券を『購入できる権利』を付与する施策。知りませんでした。まあ、実際には25000円の商品券を20000円出して買うというシステムですから、まるで金券ショップのよう。

金券ショップの換金率は、その券の「有効期限」「使用可能範囲」によって決まるので(破損しているかどうかにも左右される)、今回が本当に“プレミアム”かは微妙なところです。

酒田市の場合で考えてみましょう。商品券が使える店でわたしが25000円消費するとしたら、川柳でワンタンメン治郎兵衛でうなぎ富重で岩海苔のおむすびをいただき、ト一屋で799円のスコッチを……あああ子育てにまったく関係ない。

ということで本日のあなたの受給額は0,000円です。

画像は「アド・アストラ」Ad Astra(2019 FOX)

ブラッド・ピットが、知的生命体を求めて旅立った父親(トミー・リー・ジョーンズ)を太陽系の果てまで追いかけるお話。前半は睡魔との戦いですが、後半は史上最大規模の親子の対決と……ああもうネタバレになるのでなんも言えない。

宇宙版「地獄の黙示録」というより、親子版「2001年宇宙の旅」と言った方が。ところで現在、海王星と冥王星ってどっちが遠いんでしたっけ?

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