事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

八重の桜~第十三話「鉄砲と花嫁」

2013-03-31 | テレビ番組

77792_400_2 第十二話「蛤御門の戦い」はこちら

前回の視聴率は13.9%。いまひとつだなあ。わたしにはどこが面白いのかさっぱりわからない「純と愛」が最終回に向けて率を上げているのにね。おそらく宮藤官九郎脚本の「あまちゃん」は、逆に苦戦しそうな気がする。壮絶に面白そうではあるけれど。

さて、八重にはついに新展開。ワンクール終了ですからね。

「わたしと、夫婦になってください」

「…………はい」

剛速球をど真ん中に投げ込むプロポーズ。尚之助の求愛を受けとめるまでのやりとりは、会津らしくなかなかめんどくさかったですが(笑)

尚之助の新式銃の勘所はライフリング。螺旋を切るという、いまでは常識となっている工夫。蛤御門の変で、薩摩が使用していたものだ。実はわたしたちの性器にも同様のしかけがあって、オシッコが(別のものも)遠くに飛ぶようになっています。

話がいきなり下ネタになっちゃいましたが、大阪では勝海舟と西郷隆盛が会談。江戸城が初対面じゃなかったんですね。それにしても吉川晃司の西郷ははまってる。柄で押し出す感じがとてもいい。うまい年のとり方をしたなあ。

中村獅童演ずる佐川官兵衛は、ついに念願かなって京に。そういえば新選組のときもみそっこ扱いだったので、うれしさひとしおでしょうか。

ここまでの展開でうまさを見せたのは秋月悌次郎役の北村有起哉。常に裏方にまわる運命の人。八重の祝言では仲人をつとめる。こんないい役者がいたんだなあ…………えええっ、この人北村和夫の息子だったの?いやはや。

逆に、コント芝居で困ったちゃんだったのが剛力彩芽。みんなが売り出そうと一生懸命なのはわかるけれども、売り方が強引すぎませんか。なんでもかんでも露出すればいいというものではないはず。巨乳でもないのに「ビブリア」。柄じゃないのに「プロメテウス」の吹替。やれやれ。

当然巨人戦が裏に来るので苦戦するかと思ったら、日テレはイッテQスペシャル。あ、そっちの方が強敵か。しかし先週の視聴率トップ20を見てびっくり。フジテレビは「サザエさん」しかランクインしていない。時代は変わったなあ。

次回は、それでも14%台復帰でしょう。みんなお祝い事が好きだし。

第十四話「新しい日々へ」につづく

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シネマの極道~俊藤浩滋篇

2013-03-30 | 映画

Fujijunkoimg02 片岡千恵蔵篇はこちら

東映という会社を、わたしが知っているかぎりで総括すると、なんといっても京都撮影所で撮られる時代劇が持ち味だったのだ。千恵蔵、右太衛門の両巨頭に、中村錦之助、東千代ノ介、大川橋蔵が続いていたわけ。

ところが、明朗闊達なチャンバラが次第に飽きられ(とどめをさしたのが黒澤明の「用心棒」だ)、新しい路線を模索するなかで出てきたのが“任侠”であり、その代表者が俊藤浩滋だ。藤純子のお父さんね。

・俊藤浩滋
さあ、昭和39年だ。岡田所長の京都復帰に続いて、いよいよ俊藤浩滋が任侠路線に本腰を入れるために京撮(東映京都撮影所)へ送りこまれてきた。撮影所には切り捨てられようとしている時代劇への郷愁めいた思いもあってか、やくざ映画に対する不満や、半ば以上「あちら」の人と目される俊藤さんへの反感が生じた。

……説明されてもよくわからないと思う。この人は本当に得体がしれない。戦前から神戸の五島組の賭場に出入りし、東宝争議(昭和23年の、映画界どころか日本をゆるがした大事件)のときは会社側に立っていた。昭和35年にはその東宝から鶴田浩二の引き抜きに関与し(“あちら”の方々と鶴田がもめたときに救ってやったらしい)、巨人の水原茂監督を東映フライヤーズ(いまの日本ハムファイターズ)に移籍する仲介までやっている。こういう、謎の人物が映画界にはいたわけだ。

マスコミや他の映画会社から

「東映の京都撮影所には本物のやくざが出入りしている」

とさんざん悪く言われたが、実録路線になってからモデルの組のやくざが怒鳴り込んで来たりしたことを思えば、当時はまだ牧歌的な時代だった。

ついでに警察のことも言っておくと、千恵蔵御大扮する多羅尾伴内が撃つピストルなんかは、警察が貸してくれていたものだ。勿論、警官の立ち合いがついて、空砲を撃つのだが、不発もないし、やはり迫力があった。

……日下部は俊藤と微妙な距離をとっていたようだが、経緯もあって鶴田浩二はべったり俊藤についていたらしい。岡田所長とは険悪だったようだけどね。まあ、鶴田のむずかしい性格はおなじみだからなあ。

ちなみに、俊藤の愛人は高名なクラブのママで……って話まで始めると終わらなくなってしまう。お好きな方は「夜の蝶」という映画を観てね。

次回はいよいよ「仁義なき戦い」篇

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シネマの極道~片岡千恵蔵篇

2013-03-29 | 映画

Chiezoimg01 世に暴露本というのがあるじゃないですか。それが真実かどうかはともかく、ネタを放出することが目的の。

一方、回顧録というものもあり、こちらは一線を退いた(それは望んだにしろ望まなかったにしろ)人間が、もういろんなことに気を使うのをやめて「実はこうだったんだよっ」と叩きつけるような。

かつて「仁義なき戦い」「鬼龍院花子の生涯」「楢山節考」などをプロデュースし、というかいつも東映の作品の最初に名前が出ていたような印象の日下部五朗が、それこそ映画に捧げた半生を「回顧し」「暴露し」たのがこの「シネマの極道 映画プロデューサー一代」。版元は新潮社。んもう業界騒然となっています。わたしにとっても脚本家笠原和夫の「昭和の劇」以来の衝撃。

ネタ暴露的に、ちょっと紹介しましょう。

・片岡千恵蔵
「千恵蔵さんには名古屋に愛人がいて、蕎麦屋をやらせていた。明日も早いのに深夜二時三時まで麻雀につき合わされ、寮に帰ろうとしたら、御大(片岡)はすぐ近くの垂水山の御殿に戻らず『これから車を飛ばして名古屋に行くわ』と笑っている。元気だよなあと呆れたものだが、噂を聞くと愛人というのは博多にいた元馬賊芸者で、嘘かホントか前は双葉山の愛人だったという」

……黄金時代の東映では、千恵蔵と市川右太衛門(北大路欣也のお父さん)のふたりが圧倒的な力を持っていた。

千恵蔵は「山の御大」(垂水山のてっぺんに邸宅があったから)、

右太衛門は「北大路の御大」(北大路に豪邸をかまえていたから)

と呼ばれていた。日下部はどうも右太衛門が苦手だったようで(メーターのついた車には乗らない、と豪語していたとか。すごいな)、わりに庶民的なところもあった千恵蔵への愛着を隠していない。

それにしても、馬賊芸者ってなんだろう……調べました。男勝りの博多の芸者さんのことをそう言うんですって。なんでも、勉強です。

次回は俊藤浩滋篇

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「パラダイス・ロスト」 柳広司著 角川書店

2013-03-27 | ミステリ

Paradiselost 「ジョーカー・ゲーム」「ダブル・ジョーカー」につづくD機関シリーズ第三作。今回も結城中佐の魔王っぷりがさく裂しています。

その名のとおりこの作品においても彼は一種の神として君臨。D機関のメンバーたちは使徒として世界に散らばる。神だから当然誤謬もあるはずなのに、結城の策は敵のはるか先を読んでいる。部下に対する目は厳しいと同時に慈愛にみちてもいる。やはり、神だ。

結城の過去についての短編もしこんであって、これがなかなか読ませる。そして「ああ、この感じはどこかで読んだことがあるなあ」と思ったらゴルゴ13の「芹沢家殺人事件」じゃないですか。そして、あの劇画と同様に……

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「本棚探偵の生還」 喜国雅彦著 双葉社

2013-03-26 | インポート

53426735_2 週刊誌の連載で(スピリッツだったかな)、喜国がランニングに凝り始めたことは知っていて、こりゃー困ったなと思っていた。

あの不道徳きわまりない「傷だらけの天使たち」の作者が健康になっちゃったらいけないんじゃないの?……心配ご無用。古本に耽溺するのと同じく、その道にどうしても淫してしまうオタクごころ。わかるなあ。神保町から中央線方面へランニングしながら古本屋をめぐるというおバカ企画につながるのだからうれしい。

いいぞ喜国!もっと集めろ!もっと走れ!

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「バーニング・ワイヤー」Burning Wire ジェフリー・ディーヴァー著 文藝春秋

2013-03-25 | ミステリ

00010156 「コフィン・ダンサー」を特集した記事を読んだ事務職員が「あれ、感謝してますよー。おれもディーヴァーにはまっちゃいました!」おお、よかったなあ。でもおれみたいに業者との打ち合わせに遅刻するような不良事務職員にならないでね。

今回はなにより“凶器”が常軌を逸している。電気である。水と同じように、パイプの径と流れる量を調節し、そこへドッと流すと……なんなんですかねアークフラッシュって。これでますます電気が怖いとびびる人は増加するはず。なにしろ見えないのがなあ。

感電させるために犯人がさまざまな工夫をするあたりの妙味と、フランクリン、エジソン、ニコラ・テスラなどの電気の歴史うんちくの配合があいかわらずうまい。

キャスリン・ダンスなど、ディーヴァーワールドのオールスターキャストなのもうれしい。ただ、だからこそラストで“あいつ”と何故わざわざからませなければならないのか、と疑問も。まあ、よけいなことをついやってしまうのがディーヴァーというものでしょうけれども。

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八重の桜~第十二話「蛤御門の戦い」

2013-03-24 | テレビ番組

_a 第十一話「守護職を討て!」はこちら

前回の視聴率は14.3%。ふむ、WBC台風が通過し、もう少し回復すると思ったけれど、またしてもフィギュアが。今回も番組改編期(この言葉のありがたみもだいぶ薄れましたが)スペシャルの嵐。特に鉄腕DASHの無人島企画には心が動く……いやいや、ちゃんと「八重の桜」見てます。

会津で八重と尚之助のラブコメがつづく頃、都ではついに蛤御門の変が勃発。印象としては、テロの応酬だった時期を過ぎ、戦争の域に。狂信に近い長州の尊皇熱が、だからこそ御所に砲を向ける選択を。ありそうなことです。

ひるがえって会津は、帝をお守り申し上げるという理屈で押し通す。両者が思考停止に陥っているところへ騎兵隊、いや会津登場。ラッパが聞こえてきそうでした。西郷吉之助を演じた吉川晃司は、いやもうすんごい雰囲気をまとうようになっている。庄内映画村を馬に乗って突っ走っていた熱意が、ここで実を結んでる。

変は幕府方の圧勝に終わるけれど、この形勢から長州と薩摩が手を組むという流れがいかに無茶だったかがわかる。政治とは魑魅魍魎。アレンジした坂本龍馬もまた。

戦火に焼かれた京都では、“被災者”がおすくい所に列を。彼らの恨みは会津に向かう。わたしが京都市民だったらやはりそう思うだろう。よそ者が、血なまぐさい制裁を新選組を使って志士に下していることに反感があったことに加えて、結果的に家まで焼かれたのだから。

今年の大河ドラマには、実は別の企画が決定していたらしいのに、東日本大震災のために福島ネタになったのは有名な話。その福島が被災者に恨まれるという展開は皮肉ではある。辺境にあるが故に純粋で、だからこそ政治に翻弄される流れは今もつづいている。現在の首相は長州人で、原発に近かったDASH村は福島県でした。

松方弘樹登場。時代劇で舞台が京都とくればこの人ですかね。その身体のつくりと頭の大きさはやはり近衛十四郎の息子だなあ。わたしが滋賀に行ったとき、タクシーの運転手さんが、「そこのトルコね、十四郎さんのお店なんですよ」と説明してくれたのが思い出されます。どんな思い出だ。

次回は業界天候も穏やかだろうし、今度こそ15%復帰と読みました。第十三話「鉄砲と花嫁」につづく

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「タクシー・ドライバー」Taxi Driver (1976 SONY)

2013-03-23 | 港座

Taxidriver_p2 トラヴィスは、あなただ。

ロバート・デ・ニーロの名は、「ゴッドファーザーPARTⅡ」(74)と、この作品(76年)で完全に確立した。コッポラとスコセッシの代表作、というかエバーグリーンにつづけざまに起用されたのだから、いかに嘱望されていたか、そしてその期待に応えた彼の実力のほどが知れる。

伝説の映画の伝説のキャラクターであるトラヴィスは、不眠症のタクシー運転手。イエロー・キャブと称される黄色いタクシーのフロントグリルが、NYの路上に蒸気のなかから登場。一種のモンスターであるトラヴィスを、タクシーにシンボライズさせたこのオープニングはすでに伝説(音楽はバーナード・ハーマン。サックスはなんとトム・スコット)。

その伝説は“ベトナム帰りの後遺症を抱える男が暴力衝動を爆発させる”という文脈で語られがち。しかし数十年ぶりに再見して、ベトナム云々は小さなファクターにすぎなかったことがわかる(習作に近い処女短編「The Big Shave」は明らかに泥沼化するベトナムを皮肉ったものだけれど)。

インテリの選挙ボランティア(シビル・シェパード)や少女娼婦(ジョディ・フォスター)と“つき合う距離感がうまくつかめない”不器用さは、男だったら誰でも経験があるはずだ。そこから暴発への小さなジャンプは、当時のNYに近くなった現代の日本だからこそ「あるよな、その感じ」と納得できる。誰にでもトラヴィス的要素があることを、今さらながらに思い知らされた。

トラヴィスは、わたしだ。

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「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」 酒見賢一著 文藝春秋

2013-03-22 | 本と雑誌

9784163814803 第弐部はこちら

いよいよ、赤壁の戦い……なのに、酒見は徹頭徹尾「赤壁は周瑜と曹操の争いであって諸葛孔明は脇役にすぎない」というスタンス。

よく考えてみればそうだよな。当時の劉備は、およそ呉とタッグを組むというような戦力は(張飛とか関羽とか化け物をかかえているとはいえ)もっていないわけだから。

余人を煙に巻いているだけ、という孔明のいかがわしさと、おそらくは実際もそうだったのであろう野人が多かった呉の人物たちが広島弁で語りまくるリズムが笑わせてくれます。でも大好きな孔明の奥さんをもっと出してほしかったな。これ読んでから「レッドクリフ」見るともっと笑えるかも。

怒涛の第四部はこちら

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「逆回りのお散歩」 三崎亜記著 集英社

2013-03-21 | 公務員

51uk1rzqmpl_sx230_ おなじみ、元市役所職員である三崎の公務員もの。平成の市町村合併にからむ陰謀と悪意。大衆をコントロールするとはどんなことなのかを、三崎が行政の側にいたからこそクールに描いているとすれば、地方公務員とはよほど冷静で底意地が悪いということに(笑)。

辞令交付という形で赤紙を描いた「となり町戦争」の前日譚「戦争研修」もかなり読ませる。役人は目的を遂行するための方法論について、必死でお勉強する。たとえ、その目的が間違ったものであっても。

逆回りのお散歩 逆回りのお散歩
価格:¥ 1,470(税込)
発売日:2012-11-26
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