事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

極私的大河ドラマ史PART48 功名が辻

2020-07-13 | 大河ドラマ

PART47「新選組!」はこちら

今回の「麒麟を待つ」は「秀吉」の特集。

明らかに竹中直人に大先輩である高橋英樹ですら気を使っている。怖い人だもんね竹中直人。よくわからない人だもんね竹中直人。終わってから近所のお兄ちゃんたちに呼ばれてウイスキーを飲んででろ酔い。やれやれ。

さて、2006年の大河は司馬遼太郎原作の「功名が辻」。山内一豊のお話。というかどちらかというとあの有名な山内一豊の妻のお話。

有名な、とはいうものの、山内一豊の妻って何をした人だっけ。「いざ鎌倉!」は関係ないんでしたっけ。関係ないんですね。

旦那の一大事に、へそくりを鏡を割って取り出した人でしたか。他にも、大名の妻として徳川家康への加担を進言した人でもあったらしい。つまり、徹底的にできた女房だったのだ。

このできた妻のお話を「長男の嫁」や「私の運命」「ふたりっ子」の大石静に書かせたのである。こりゃーさぞやこってりした展開になったんじゃないかな。

すみません、お察しのようにわたしはまたしてもこの大河を見ていないのでした。戦国時代は大河の王道だし、司馬遼太郎原作ものにしては高視聴率だったので、面白くはあったんでしょう。

ただね、主役の仲間由紀恵はともかく、上川隆也の一豊役ってのはどうなのかなあと。彼はもちろんいい役者だし、「大地の子」での鮮烈な演技で評判になり、いまもWOWOWで合田雄一郎役を演じて無難なところを見せている。でも、もう少し華があってもいいんじゃないかと思ってました。

それが、まさかゴチになりますで壮絶なぼけっぷりを見せたり、ゲームおたくだったり、お母さんが荒井呉服店(松任谷由実の実家)に勤めていたとか、笑えるネタ満載の人だったとは。それ知ってたらこの大河、見てたかも。

織田信長が舘ひろし、妻の帰蝶に和久井映見、お市の方は太地真央。明智光秀は坂東三津五郎で豊臣秀吉は柄本明、そして徳川家康が西田敏行。

意表をついたところでは、足利義昭に三谷幸喜、宇喜多秀家に安田顕、のちに高僧となる山内家の養子は三浦春馬。うわ、やっぱり見るべきだったんじゃ。

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極私的大河ドラマ史PART47 「新選組!」

2020-07-05 | 大河ドラマ

PART46「武蔵 MUSASHI」はこちら

そうか今日は都知事選か。前回も言ったけれども、地方の知事(もちろん陣笠の国会議員よりもはるかに巨大な権力を有しているとはいえ)の選挙のために大河の時間帯を変えたり飛ばすってどういうこと?まあ、今年はむしろラッキーだったんでしょうが。

ラッキーといえば、あの女性は本当に運がよくて……あわわわ、まだ開票も始まっていないのに。あぶないあぶない。さて今週は……

それまでの数年間、まったく見ていなかった大河ドラマ。そんなわたしが2004年の「新選組!」は気合いを入れて観た。ほとんどをリアルタイムで。そして終わってからはDVDを借りて。

テレビドラマをワンクールすらちゃんと見る習慣を失っていたわたしがなぜ?

答:三谷幸喜作品だから。

古畑任三郎」(わたしのブログはことここにいたっても古畑ブログだ。検索はあのシリーズに集中しています)「王様のレストラン」などでわたしを熱狂させたあの才人が大河を書く、しかも自分は大河オタクだと当人が主張している(笑)。それは見逃せないってものじゃないですか。

ただ、懸念もあったの。主演が香取慎吾だったことだ。

わたしは彼の縁取りのはっきりした演技が苦手で、近藤勇という得体の知れない人物を演じきれるのか不安だった。

また、題材が新選組というのもなあ。子母澤寛や司馬遼太郎らによってその存在はメジャーだけれども、薩長の世の中になってほとんど忘れ去られていた狂気の集団をどう描くのだろう……すべて、杞憂でした。

土方歳三を演じた山本耕史、斎藤一のオダギリジョー、井上源三郎の小林隆、新見錦の相島一之、監察の山崎役の桂吉弥、勘定方の河合役の大倉孝二、徳川慶喜はなんと今井朋彦(笑)……これが大河ドラマかと思える意外なキャスティングが最高。

そしてなんといっても山南敬助役で堺雅人が一気にブレイクしたのはめでたかった。彼の切腹の回こそ現在で言う「神回」というやつだった。

三谷作品の常として視聴率はふるわず、しかしDVDが売れまくったあたりにこの作品の真価はある。そしてそんな作家をNHKはきちんと遇し、2016年の「真田丸」そして2022年の「鎌倉殿の13人」にも起用している。ああ22年まで、死ねないなあ。

あ、この画像も開票前だといけないのかしら?(笑)

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極私的大河ドラマ史PART46 「武蔵 MUSASHI」

2020-06-28 | 大河ドラマ

PART45「徳川慶喜」はこちら

そっかー、今日の“麒麟をまつ”は「利家とまつ」だったかあ。わたし、これを見てなかったの無理ないなあと。わたし向きでは絶対になかったもの。

「葵 徳川三代」「北条時宗」「利家とまつ~加賀百万石物語」「武蔵 MUSASHI」……2000年代に入ってからも、わたしは大河ドラマから遠ざかっていた。というのも、企画がどうにも煮詰まっているような気がしたの。

「葵」は家康、秀忠、家光の合わせ技、「北条時宗」ってなにをした人?「利家とまつ」は明らかに仲のいい夫婦のホームドラマ(いや別にそれがいけないってわけじゃないけどわたしは邪悪で苛烈な夫婦のほうが好きw)、唯一これは、と思ったのが「武蔵」でした。

おそらく井上雄彦の「バガボンド」人気が背景にあった企画だとは思います。どちらも吉川英治の原作。バガボンドはあれからどんどん離れていますが。しかしなんとこの大河は壮絶にこけてしまったのだった。

近年のことなのでまだ憶えています。1回目のエピソードが、黒澤明の「七人の侍」そのまんまではないかと訴えられ、これが印象を悪くした。

脚本は鎌田敏夫さん。かつて大河の真裏で青春シリーズや俺たちシリーズを書き、「金曜日の妻たちへ」で大ヒットを飛ばした人だ。

主演は市川新之助(現海老蔵)と絶対失敗しない米倉涼子。えーと、何も申しますまい。武蔵の父親役にビートたけし、又八に堤真一、佐々木小次郎に松岡昌宏……鉄壁の布陣に思えたのに人気は低迷した。

思うに、この時期NHKは女性視聴者を意識しすぎたのではないだろうか。もちろん、視聴者の主流は女性であることは事実にしても

「大河ドラマ=オヤジ向け」

という開き直りがあってもよかったと思う。無責任な話ですけどね(笑)。

さて、次回は気合いが入っておりますよ。あの「新選組!」ですから。

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極私的大河ドラマ史PART45 徳川慶喜

2020-06-21 | 大河ドラマ

PART44「毛利元就」はこちら

今日は「麒麟がくる」とネタがまるかぶりの「国盗り物語」で来たかあ。平幹二朗の

「とおとおたぁらりとおたらり」

を数十年ぶりに聞いて満足。織田信長の高橋英樹と明智光秀の近藤正臣があれから会っていなかったというのに驚愕。

さて、毛利元就役に必要だったのは齋藤道三を演じた本木雅弘の邪悪さではないかと前回主張したけれども、その本木が主演したのが翌1998年の「徳川慶喜」。

幕末ものは当たらない、司馬遼太郎原作は視聴率がとれない、が大河におけるジンクス。残念ながらこの作品もそのジンクスを覆すことはできなかったようで、視聴率は低迷。

しかしそれは、慶喜という人物がどうにも一般受けしようがないことも影響しただろう。この人、どうも面白くないんだよね

水戸藩主、徳川斉昭の七男として生まれながら、若くしてその英名さを讃えられ、一橋家を相続。んでもっていろいろあって(桜田門外の変とか前将軍が急死するとか天狗党の乱とか)江戸幕府最後の将軍となる。

というか日本の歴史上最後の征夷大将軍……かなりドラマチックに見えるようだけど、この人が主体的に幕府をどうしたかったかがよくわからないし、それに第一あれがあったでしょう。戊辰戦争のさなかに、兵を大坂城に置き去りにして自分だけ江戸に帰っちゃった件。あれがなんともなあ。この大河ではあれをどう始末したのだろう。

……と勝手に想像していることでおわかりのように、わたし、この年も大河を見ていません。ドラマチックな最期とかが用意されていればともかく、慶喜は貴族として遇されて大正時代まで長生き。大政奉還というアクロバットは倒幕側の、たとえば坂本龍馬あたりの手柄になっているし、どうにも気合いが入らない。

徳川斉昭を演じたのは菅原文太。有栖川家から嫁に来た母親に若尾文子。天璋院篤姫に深津絵里、井伊直弼に杉良太郎、島津久光に江守徹、勝海舟に坂東八十助、近藤勇に勝野洋、新門辰五郎に堺正章。

そしてそのほかに岸田今日子、藤木直人、佐藤慶……おおおなんか面白そうなメンツがそろってるじゃないですか。うーん見るべきだったかなあ。

PART46「武蔵 MUSASHI」につづく

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極私的大河ドラマ史PART44 毛利元就

2020-06-14 | 大河ドラマ

PART43「秀吉」はこちら

麒麟がくる」は今日からお休み。どんな手で来るかと思ったら、歴代の“戦国大河”をリプレイするとか。

あーこれはうまいな。これまでのヒットドラマを“特別篇”としてオンエアするのは、ギャラとかいろんな意味で効果的らしいし。しかしわたしには懸念があった。いきなり「独眼竜正宗」だよ。

そっちの方が視聴率高かったら……やっぱりあの秀吉(勝新太郎)の立ちションのくだりはすごい。

さあ極私的大河ドラマ史再開。1997年は「毛利元就」。知ってるよー。三本の矢の人でしょ。それしか知らないけど(+_+)。あ、尼子一族といろいろあった人だよね?ということは八つ墓村関連?

だめだものを知らなくて。大河の36作目はその名もずばり「毛利元就」。さてどんな人だったんだろう。……うわあ、毛利家、大内家、尼子家が入り組んでなにがなんだか。

安芸の小国の領主の次男として生まれながら、父親と長男が酒毒によって亡くなり、仕方なく領主となる。家臣たちはそむき、内乱の連続。そして策謀をめぐらせて巨大な版図を誇るまでになり、亡くなる前に三人の息子(毛利輝元、吉川元春、小早川隆景だったんだねー)に「矢を折ってみろ」と……

原作は永井路子で脚本が内館牧子だから、女性陣の描き方に工夫はあったんでしょう。どろどろしてたんだろうなあ。「想い出にかわるまで」「私の青空」「週末婚」の人ですもんね。

と、想像でばかり語っているのでおわかりのように、わたしこの大河を見てなかったんです。緒形拳、中村梅雀、原田芳雄、草刈正雄といった大河のレギュラー陣ともいうべき男優たちに、正妻や側室が入り乱れる女優陣がからむ。松坂慶子、富田靖子、竹下景子、大塚寧々加賀まりこ、葉月里緒奈(好きでした)、高橋由美子(大好きでした)……

それなのに主役の元就役は薄味の中村橋之助。陰謀をめぐらすって感じじゃない。策謀家でありながら気弱な人物、という描き方だったようだけれども。

オンエア中の「麒麟がくる」における齋藤道三を演じた本木雅弘を考えてみるといい。あの邪悪さがやはり必要だったのではないでしょうか。

PART45「徳川慶喜」につづく

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麒麟がくる 第二十一回 決戦!桶狭間

2020-06-07 | 大河ドラマ

第二十回「家康への文」はこちら

さあ桶狭間。こんなわけのわからない漢字三文字で誰もが「おけはざま」と読める。歴史上のエポック。信長は一気にメジャーに。

決戦シリーズ(絶対に意識してますよね)などで信長の勝利の背景にいろんなこと(気象とか)があったのは承知していても、今回のは説得力があった。

今川義元は海道一の弓取りとして名をはせ……ん?海道ってなに。ああ東海道のことなのか。つまりはここを制した人間が覇者となると。うーん、むかしは京都との距離が激しく影響したと思ってたけど、それだと北陸勢や中国勢だって同じことだしね。

それはともかく海道一の武士だった今川義元は、それだけにいろんなことに手配をすることを怠らなかった。だから、言うほど桶狭間において今川と織田とのあいだには戦力差がなかったことを数式までテロップで出して解説。なるほどー。

今日は朝からアメリカシロヒトリの防除というまことに田舎くさい作業。軽トラで助手席の先輩に、この大河がいかに面白いかを伝授。

「いやー、とにかく帰蝶って女が悪くて悪くて(笑)。信長あやつりまくり」

「へー」

でも違いましたね。濃姫にあやつられてばかりの男ではありませんでした信長。冷静に向こうの戦力を削いでいくあたり、凄みがありました。

ちゃっかり他の女との間に子をもうけているのもしっかりしています。腹黒い妻は、すでに女ではなくて母なのだと。自分にとってあれほど冷たかった母の代替品。

演出も極端なクロースアップを多用して、キャラを強調して見せる。今井翼も久しぶりに気持ちよさそうに演じていて、ジャニーズ系のファンを安心させてくれてました。あ、もう彼はジャニーズの人じゃないのか。

戦国とはつまりトーナメント戦であり、最後に生き残る勝者が家康であることは誰でも知っている。要するにこの大河は、あの気弱そうだった青年(風間俊介)に負け続ける敗者たちのお話なのだ。いいですなあ。

おっと来週からはお休みですか。ふ、わたしが何もネタを用意していないとお思いですか。極私的大河ドラマ史再開です。

にしても、ラスト近くの堺正章と門脇麦のやりとりは、「時間ですよ」の天地真理とのそれを……門脇麦がギターを持ち出すんじゃないかと(笑)

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麒麟がくる 第二十回 家康への文

2020-05-31 | 大河ドラマ

第十九回「信長を暗殺せよ」はこちら

いきなりですけど、男性読者諸兄に質問します。あなた、女性は背が高い方が好きですか?それとも低い方が?(どう考えてもセクハラ質問

正直に言います。わたしは背の高い女性が圧倒的に好きです。高身長の女性がコンプレックスを抱いていることが多い話を聞いて、それ間違いだろと。猫背がちになる?胸をはってくれ。

なんでこんなことを?それは、今回重要な役で真野響子が出てきたからです。ああ調べてみたら彼女ももう70才に近いのか。しかも実は165センチしかなかったんだ(すんごく失礼な話ですみません)。

にしたって家康(まだ元康だけど)のおばあちゃんって役かよ。彼女のガタイの大きさはすばらしかったなあ。しかもとても綺麗ですよね、真野響子。

そこに陶然としていたら今度は家康のお母さん役で「愚行録」を見たときに、こんなきれいな人がいたんだ!っとびっくりした松本若菜が出てきてびっくり。

なんて趣味性の高い話をしてるんだと思われるでしょうけど、演出のひとつとして、信長よりもはるかに背の高い女性を帰蝶にキャスティングする選択は有効だったのかなと。

川口春奈にしても沢尻エリカにしても、彼女たちが三河という緩衝地帯を利用して、今川と織田の激突を“避ける”んじゃなくて“なんとかなんないか”な状況に持っていこうとしている柱はしっかりしてました。

だから帰蝶が文字通り上から目線で信長に指示を出す今回の演出意図はわかる。そのために、ものすごく背の高い女性を選択するってのはありだったんじゃないかなあ。わたしは本気で江口のりこでどうだったんだと思います。沢尻エリカが出れないんだったら彼女で。ドラマの方向性が一気に変更するけど(笑)。

わたしこれまでも戦国をあつかった話で、織田信長が今川義元に勝つのってとても不思議でした。彼ら両軍が必死だったにしても、まわりはどう見ていたんだろう。

信長が“尾張のうつけ”とだけとらえられていたわけではないんだね。数多くの奇跡があったことは決戦!シリーズで承知してはいたものの……

第二十一回「決戦!桶狭間」につづく

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麒麟がくる 第十九回 信長を暗殺せよ

2020-05-24 | 大河ドラマ

第十八回「越前へ」はこちら

今日は池端俊策さんではなくてWOWOWで活躍している前川洋一さん(「マークスの山」「レディ・ジョーカー)脚本の回。最愛の息子を、同じ息子である信長に殺された土田御前の無念からスタート。

「わたしのだいじなものをいつも壊してきた」と。

こういう役を檀れいが演じるようになったんだなあ。わたしにとっては世の中でいちばんまん丸のお尻の人だったんだけど。

大映ドラマそのまんまの展開でありながら、今日の演出はクールでしたね。鷹の目から光秀をとらえるショットとか、信長が自らを抑えながらも小躍りするように去って行くシーンとか。そういえば大映ドラマにも松田優作が出演していたんだもんな。染谷将太が出ていてもなんの疑問もありません。

将軍家の落魄があらわになった回でもあった。宮本昌孝(この人がアニメ「じゃりン子チエ」の脚本も書いていたとは!)の「剣豪将軍義輝」の印象が強い義輝(向井理)は、自分にできることは位階をコントロールするぐらいだとニヒっている。取り巻きもそのことをわかっていて、浪人である光秀にそのことを明かす(ありえないけどね)。地元俳優の眞島秀和が渋くなってます。

そこで出てきたのが信長暗殺計画。斎藤義龍(伊藤英明)の乾坤一擲の策だったのに、結果的には光秀がそれをつぶす端緒に(ありえないけどね)。

くり返すけれども今日は演出がみごとな回だった。自分たちが世界の中心だと思っている京都の連中と、それをどう利用するかという周辺の思惑(それは今も続いています)。自分の死を予想しているかのように、諦念あふれる義龍……

本日、いちばん腹黒かったのは朝倉義景(ユースケ・サンタマリア)です。無位無冠である光秀を、たいした処遇も用意していなかったのに、探りを入れるにはぴったりだと利用する。こういうことって実はいっぱいあったんだろうなあ。越前の人たちは、このドラマに微妙かも(笑)。

第二十回「家康への文」につづく

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麒麟がくる 第十八回 越前へ

2020-05-17 | 大河ドラマ

第十七回「長良川の対決」はこちら

道三が高政に敗れた(道三はそう思っていないし、高政も勝ったとは思っていないけれども)ために、道三にくみした明智家は絶体絶命のピンチ。

そこは覚悟の上なので、たとえば光秀の母(石川さゆり)が「わたしはここに残ります!」的な愁嘆場にはならない。お駒(門脇麦)の伝手によって越前に流れることになる。

よく考えてください。むかしつきあっていた女のおかげで妻(木村文乃)と母を安堵することができる……光秀、やるなあ。っていうか彼女たちはいっしょに質屋に行き、夫の宝を質に出さず、自分の帯を質草にする本妻の姿に愛人は幸福な表情を。光秀、やるなあ(笑)。

越前(市場にちゃんとカニが出てくる親切な演出)で待っていたのはご存じ朝倉義景。今までの大河では、織田信長経由でしか語られなかったけれども、ユースケ・サンタマリアがバカ殿的に演じていて、しかもちょっと怖い。これはキャスティングの勝利でしょ。これから楽しみだ。

ギリシャ悲劇が続いているのは織田家のほうで、母(檀れい)が溺愛する弟をやっかんでいたと告白する兄、自分がなそうとしていることをことごとく実現する兄を嫉妬する弟。そして今回も肉親が殺し合うことに……

越年が決定したこの大河だけれど、そうかそこまでドラマの完結に気を使ってくれるのかと思ったら、来年の大河も撮影できてないんだね。突貫工事で撮影した「花燃ゆ」はなかったことにしたいのかな。

それはともかく、テレビ局は禁じ手に手を伸ばしている。“再放送”だ。

JIN-仁-」や「野ブタ。をプロデュース」の“特別編”でのオンエアが高視聴率だったのはおそろしい事態でしょう?単なる再放送だとお金にならないからと特別編にしている工夫はあるにしても、再放送に人気が集まるのはしんどいはずだ。配信へ視聴者を誘導することにもなるわけだから。

考えてみれば、どんな出来かわからないドラマを、ちゃんと第1回からリアルタイムで見てくれるこれまでの視聴者って、どんだけいい客だったかってことだよなあ。

第十九回「信長を暗殺せよ」につづく

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麒麟がくる 第十七回 長良川の対決

2020-05-10 | 大河ドラマ

第十六回「大きな国」はこちら

今回は斎藤道三(本木雅弘)退場の回。息子(伊藤英明)に嫌われ、家臣に離反されて追いつめられて行く。そこで彼がとった行動が、まさしく蝮らしいものだったと。

父を殺す息子と、子に殺される父親の、どちらが哀しいかというお話。オイディプスの時代から、父を殺して母を愛する物語は普遍だけれど、まさしくギリシャ悲劇のように今回はこってり。

オイディプスの父親よりも斎藤道三ははるかに奸計の男。自分は負けるかもしれない、いや負けるだろう。とすれば生きて辱めを甘受することは我慢できない……いやもう一歩進めて自分の死を息子への呪いに持っていくと。

さまざまな策を弄した男が、死んでからは単なる骸になっていることを強調している演出に納得。そして、この骸が企んだことは、娘(川口春奈)を経由して実現していく。

みんな愚か者だ、と嘆ずる帰蝶の黒さは回を追うごとに濃くなっています。そんな帰蝶にしてみれば、勝つ見込みもないのに道三に加勢する光秀(長谷川博己)は愚か者の最たるもの、でも歴史を知っている視聴者は結果的にどちらが正解だったかを承知しているしなあ。

心配した以上の事態になっている。4月はじめからこの大河は撮影されていないのだとか。まもなくストックは尽き、6月から総集篇、そして越年のオンエアになりそう。

でもね、わたしは学校という業界にいるから言えるけど、先のことはなんもわかんないっす。正解を誰も知っていないという意味で、この戦国の登場人物たちと現代はつながっている。無能な殿様であっても、ついていく家来は現代でも40%程度はいるらしいし。あれまー。

第十八回「越前へ」につづく

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