事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

追悼渡哲也

2020-08-14 | 芸能ネタ

え、と思った。いや彼の人生は病気の連続で、だからいつそうなってもおかしくはないと思っていても、石原プロ解散云々はつい先日のことではなかったか。ああそうか、それは彼の幕引きの意味もあったのか。

渡哲也が亡くなった

自分で予想していた以上に動揺。ある意味、日本の芸能界の支柱のような人物でもあった。若山富三郎の退場とちょっと似ているかもしれない。似ていないかもしれない。

お若い方々には、とんねるずの石橋が彼へいたずらを仕掛け、しゃれで激怒して見せたことに石橋が腰を抜かしていたことで印象深いかも。あるいは、食わず嫌いに出演したときに、どうして長芋が食べられないのかという敗戦の弁で

「鼻水食ってるみたいじゃないか」

と吐き捨てたのには、彼が“スター”だったんだなあとしみじみした。

そんな大御所のイメージは、もちろん「大都会」「西部警察」に始まる黒岩や大門のイメージがあるからだと思う。石原プロに所属する面々は、完璧に彼に私淑しているようだったから。

わたしが今でも忘れられないシーンは「大都会PARTⅡ」で、それやっちゃダメだよと怒られた松田優作が「クロさん(渡哲也)がそう言ったの?じゃ、しょうがないか」と言うおちゃめなとこ。あの優作さえ彼に頭が上がらない役をうれしそうに演じていたのだ。渡哲也の包容力がうかがいしれる。

かつて石原裕次郎は「犬」というアクション映画の企画を実現させたかったわけで、それがかなわなかったことを後継者としての渡は後悔していたかもしれない。

テレビでは他に「勝海舟」「秀吉」「浮浪雲」などがあるけれど、やはり忘れられないのは映画「仁義の墓場」と「やくざの墓場」だ。本当に怖いのはこの人だし、本当に女のことを考えていたのはこの人だと納得させてくれた。女の遺骨を食うあたりの描写は凄みがあった。

彼の趣味は焚き火。ああ、そういうことですか。焚き火、いいですよね渡さん。いまちょっと泣いています。

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「不良役者」 梅宮辰夫著 双葉社

2020-07-21 | 芸能ネタ

昨年末に亡くなった梅宮の、おそらくは聞き書き(週刊大衆連載)。わたしの世代にとっては夜の帝王のイメージが強く、中学時代は「ウメミヤ」と「ツガワ」はそっちの代名詞みたいなものでした。

意図的に映画スターであろうとした彼が、意外なほどプレイボーイの看板をあっさり下ろしたのは、クラウディアさんに一目ぼれしたことと、実は何度も病気をしていたからだったのは初めて知った。

羽賀研二の名前は一度も出てこないが、その怒りだけは強く伝わる。

松方弘樹の「無冠の男」では露骨に松方の高倉健嫌いが強調されていたけれど、この書では(当時の奥さんだった)江利チエミが東映本社に怒鳴りこんだエピソードが語られ、いやしかしこれってばらしてよかったのかと……ほんとに健さんのことを梅宮は尊敬してたのかなあ。

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追悼志村けん

2020-03-30 | 芸能ネタ

バカ殿様 由紀さおり 年齢詐称

衝撃のニュース。

あのコロナに、あの志村けんが。

わたしはドリフについてはあまり語れないと前から考えていた。山形県人は彼らの最高の芸を観ていなかったからだ。「8時だよ!全員集合!」を怒濤のいきおいで土曜8時にオンエアしていた時期に、肝心のTBSのキー局がなかったから。

ただ、いかりや長介が考えるギャグ(圧制者とその被害者)とは違う方向に志村けんが行こうとしていたのではないかとは予想できた。でも彼はそれを露骨な形で達成しようとは思わなかったのではないか。

考えすぎ?いやいや、いかりや長介亡き後でも彼の芸風が変わらなかったことが重要だと思うの。まあ、あのオヤジの考えるようにしばらくはやってやろうと東村山の人間は考えていたのだろう。というか、彼はそれほどにドリフが好きだったんだろうな。

彼が向かったのは、日本ではあまり評価されない“純粋ギャグ”だった。味わいがどうとかじゃなくて、ひたすらに視聴者を笑わせる類いの。

ドリフがクレイジーキャッツほどに芸能界で評価されなかったのは、渡辺プロの先輩後輩だったこともあっただろうし、音楽的に劣っていたこともあっただろう(いかりや長介のチョッパー奏法はあっても)。それをあまりある形で渡辺プロに彼は圧倒的な利潤を与えたのだったが。

わたしが特に好きだったのは由紀さおりとのからみ。バカ殿のなかでも最高だったなあ。

コロナか。こういう死に方は伝説になる。で、彼はそういうことにちょっと恥ずかしがる人だったのではないかとも思っている。ニュース見ながら、ちょっと泣けてきた。

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追悼宍戸錠

2020-01-21 | 芸能ネタ

そうか、宍戸錠も逝っちゃったのか。

この人の“ピーク”はもちろん60年代の日活アクション映画だ。エースのジョーだったわけだしね。そのあたりの事情は小林信彦や渡辺武信がきちんと書いてくれている。

でもわたしの世代にとっては、ジョーのイメージをバネにして、軽やかに芸能界を駆け抜けていた彼の姿が素敵だった。おしゃれだったじゃないですか常に。

シャレのわかる人だったのは、「ゲバゲバ90分」で楽しそうにコントをやっていたことだけで十分に承知。

熊倉一雄、藤村俊二、小松方正、小川知子などとくりひろげていたあの祝祭のような時間を成立させていたのは、まちがいなく宍戸錠という存在があったからだと思う。二枚目と三枚目の両方ですばらしいというのは、人徳というものだ。

浮気し放題である以上に、だから妻に不倫を奨励するあたりもおしゃれ。つらいこともたくさんあったはず。だけどそれをまったく見せないあたりが日活出身らしい。

「チッチッチ」という、あのポーズが今も鮮烈。

とても、うらやましい人生だったと思います。明日の朝刊で、誰がコメントするのかな。矢作俊彦だけははずさないでほしい。もちろん小林旭と渡哲也に集中するんだろうけど。

あ、浅丘ルリ子がいたっ!

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今月の名言2019年12号PART2 番長の絶望

2019-12-31 | 芸能ネタ

2019年12月号PART1「キャリーが生きていたら」はこちら

以下は後輩の岡崎二朗(なつかしいですなー)に梅宮辰夫がさずけた語録。

「お前、新宿二丁目で飲んでるらしいな。それじゃ三流の俳優だ。銀座で飲め!」

「スターというのはカネのことは気にしちゃダメだ。誰かが払ってくれるから」

ご、豪快。しかしそんな梅宮は最後に

「もう令和の芸能界なんか期待していない」

そうなんだ……。確かに、スキャンダルも小粒になりましたもんねえ。画像は、現在の政治状況では絶対につくれない「京阪神殺しの軍団

2020年1月号PART1「三谷幸喜吠える」につづく

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今月の名言2019年12月号PART1 キャリーが生きていたら

2019-12-31 | 芸能ネタ

2019年11月号PART4「下品なパーティ」はこちら

「これはその手の映画じゃないのさ、坊や」

スター・ウォーズの最初のシリーズで、例のゴミ処理施設から逃げ出したときに髪が濡れているべきだと主張したマーク・ハミルに対してハリソン・フォードがにやりと笑って。

あの人は自分が出た作品も観ないくらい映画づくりというものにクール。連続活劇をめざしてつくられた「星間戦争」なるタイトルの、しかも主人公の苗字が「空を歩く人」なんてお気軽な映画でそんなにマジになるなというわけだ。しかし一方で……

「キャリーがもし生きていたら、認めてもらえるような作品にはしたつもりだ」

最後の三部作がレイアの物語であったのは意外。キャリー・フィッシャーが亡くなったのはその意味できつい出来事ではあった。彼女を讃えてJ.J.エイブラムスは最終作への自信を見せた。

わたしは世評があまり芳しくないこの「スカイウォーカーの夜明け」のことが大好きなので、この発言はうれしい。タイトルがなぜ夜明けなのかを含めて、四十年以上つきあってきた客として、とてもうれしい。

2019年12月号PART2「番長の絶望」につづく

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追悼梅宮辰夫

2019-12-14 | 芸能ネタ

梅宮辰夫が亡くなったのには、やはりしみじみ。わたしにとってはどうしたって「前略おふくろ様」の秀さん。“昔いろいろあったろう”感こそが梅宮の真骨頂。実際にいろいろあったしね(笑)。

女性をたらしまくったイメージがあるので、当時の酒田市立平田中学校の悪ガキたちは

「ツガワぁ」

「ウメミヤぁ」

と色悪たちを表現していたものだった。

なにしろバカだったので、廊下で

「おう、そこの二枚目」

「あっしのことかい?」

と必殺系のやりとりをやってました。バカ。

それはともかく、彼が最期までクラウディアさん(すんごい美人だよね)を必死で守っていたのは伝わった。娘がとんでもない男と出来てしまったことに痛恨の思いでいたことも。んで、そのことをあんたは言えないでしょと全国から突っこまれていたあたりが彼の徳というものだ。皮肉ではなしに。

彼の最高傑作は文句なく「京阪神殺しの軍団」。そう言えるだけの作品がのこっているだけ幸福な芸能人生じゃないすか。わたしはそのことをうらやむ。

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今月の名言2019年11月号PART1 芸能の人

2019-11-28 | 芸能ネタ

2019年10月号PART3「大丈夫」はこちら

「そもそも、ドラッグをやっていらした方がある作品の一部分に出ていらっしゃるからといって、その作品の全部ないしは一部を社会から『削除』するという論理の背後にどんな『理屈』があるのか、よくよく考えてみたらいい。」

「少なくとも芝居の事だけはスゲエ真面目に考えてたよってことを、それを知る一同業者として、それだけはとにかく書き記しておきたかったんだよ」

前段は脳科学者の茂木健一郎氏の発言。後段は佐藤二朗のtweet。もちろん、沢尻エリカのことをめぐって。

結果的に彼女は大河ドラマに代役を立てられ、世論の攻撃もやまない。しかし、芸能人がハッパを決めていたことがそんなに悪いことなのだろうか。

くどいようだが、わたしは芸能人は人を殺してもいいと考える人間だ。“埒外”の存在として見るという意味で、究極の差別だと思われるかもしれない。でも、法律などというものを軽く芸術家たちには超えて欲しいのだ。

でも現状は違う。一種の見せしめのために、彼らには品行方正なふるまいが常に求められ、マスコミという名の世間から監視されている。わたしはつくづくと思う。芸能界に、蕩尽の果てに生まれる芸を期待することはもう無理なのか。

PART2「神戸方式」につづく

本日の1冊はブルボン小林の「ザ・マンガホニャララ 21世紀の漫画論」
彼が別名で書いている小説の、あの絶妙な現在進行形って、ひょっとして漫画のコマの運びから……うかつなことは言えません。

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追悼八千草薫

2019-10-28 | 芸能ネタ

いつかこんな日が来るであろうことは誰だってわかっていた。でも、“訃報”という言葉がこれほど似つかわしくない人もめずらしいと思う。

八千草薫。

どこか浮世離れしているお嬢様、世間の痛みから目を背ける奥様……的な役柄が多かったせいだろうか。

でももちろん、彼女の代表作は不倫ドラマ「岸辺のアルバム」だ。しかしあの山田太一の傑作にしても、八千草薫が演じたからこそ評判をよんだ側面は確かにあった。

わたしは学生時代に狛江に住んでいた。多摩川沿い。「岸辺のアルバム」の舞台となった場所。おかげで、あ、ここが八千草薫が立っていた小田急線のホームだとか、風吹ジュンがいたサーティワンはここだな、とリアルタイムで感じていたっけ。

「阿修羅のごとく」「前略おふくろ様」「うちのホンカン」……主戦場がテレビであったことは疑いないけれども、「ガス人間第一号」「田園に死す」「ディア・ドクター」など、映画でも光り輝いていた。ぎらつく光ではなく、あくまで淡い光で。

こういう女優はちょっと他に思いつかない。だから彼女はひとりで

「八千草薫」

というジャンルを成していたのではないかと思うぐらいだ。だからこそ、彼女の退場は日本の芸能界にとって痛恨事。淡い光だからこそ、ひたすら美しかった。大好きでした。ご冥福を、お祈りします。

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「社長放浪記」(2007 本多劇場)

2019-10-08 | 芸能ネタ

伊東四朗の生誕七十周年記念として秘密裡に進行した企画だとか。三谷幸喜脚本、三宅裕司演出、佐藤B作客演という座長3人が顔をそろえる豪華さは、やはり伊東四朗の人徳としか。

ストーリーは三谷お得意のなりすましもの。社長(伊東四朗)がそっくりさんにひょんなことからなりすますことになり、そこから八面六臂の活躍が……七十才に用意する脚本じゃない(笑)。妻と意見が一致したのは、伊東四朗の息子、伊東孝明がいい感じだったこと。得な役とはいえ、狂言回しとしておみごとでした。

「息子を出したいんだけどね、そういうの言うの粋じゃないでしょ?」

東の喜劇の将来を考える伊東四朗ならではの発言。山口良一について、B作が「なんでも達者にやるんだ」と嘆いていたのが笑えます。

それにしても、伊東四朗の「ニン!」は、いついかなる時でも笑えるんだよなあ。

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