今年はまだ4月も終わっていないというのに、わたしはもうDVDを128枚も観てしまっている。そのほとんどがアニメ。「鬼滅の刃」が29枚。そしてこの「キングダム」にいたっては68枚である。
「シーズン1」「飛翔編」「合従軍編」「第4シリーズ」「第5シリーズ」ときて。まだまだ完結していない。っていうかわたしが生きているうちに完結してくれるんだろうか。
実写映画の方はもっとペースが遅くて、王騎が亡くなったところまで。山崎賢人や吉沢亮が若いうちに撮り終えることができるかなあ。ま、吉沢亮はまた別の心配があるわけですが。
ご存じのように、この物語は始皇帝をあつかっている。だから彼が中華統一を成し遂げることは既定路線だ。しかしそれでも、秦国は常に滅亡の危機にさらされ、視聴者は手に汗を握って鑑賞しつづける。
やめられないのよ。
わたしは常にウィスキーを飲みながらパソコンで観ているのだが、往々にして気を失ってしまう。
「どうしてそんな格好で眠ってるの!ちゃんとお布団で寝て」
妻にいつも怒られています。先日、ぎっくり腰でひどい目にあったときも
「あんな寝方をしてたらぎっくり腰にもなるわよ」
つまり、わたしのぎっくり腰はキングダムのせいだったのである。罪なアニメだ。
制作が「うる星やつら」のぴえろだし、画面は上等だ。そして、ジャンプらしく、次から次へと敵が強くなっていくインフレ状態ではなく、いつまでも王騎のありようにこだわるあたりがにくい。
2024年はたいそうな数のDVDをレンタルした。加えて、地元のレンタルショップは次々に閉店し、わたしが通っている店舗もDVDの棚はどんどん縮小されている。
はて。あとはどんな作品を借りればいいんだろう。
フラフラとアニメのエリアに入りこむ。
あ、そうか。これをレンタルすればいいんだ。
「千と千尋の神隠し」を超えて、日本映画史上最高の興行収入(400億!)をあげた、いわずとしれた「鬼滅の刃」である。
TVアニメ「立志編」「無限列車編」「遊郭編」「刀鍛冶の里編」プラス劇場版と、全27枚を正月から一気に見まくり。おかげで頭の中で「レンゴクさん」「ジョーゲン」「ネズコ」などのフレーズが飛び交っている。
家族と静かな暮らしをしている炭焼きの少年が、鬼によって家族を惨殺され(ひとりだけ生き残った妹は鬼になっている)、修行を重ねて鬼を倒していく、これが基本線。
少年ジャンプ連載作品らしく、勝負勝負の連続で、おまけに鬼の強さが数値化されているあたりもジャンプらしい。敵を倒すために「考えろ」「考えろ」とつぶやくなど、「ダイ・ハード」をはじめとしたハリウッド作品らしさも備えている。
シリーズ構成と脚本はufotable(ユーフォーテーブル)。製作はSONYの系列のアニプレックス。ていねいな仕事をしているなあ。
大ヒットした無限列車編に顕著だが、ランキングが下位のはずの鬼が強すぎる(笑)とか、バランスの悪さがあるとはいえ、ギャグもたっぷり仕込んであって満足。楽しいお正月を過ごさせていただきました。
渡邉恒雄篇はこちら。
漫画評論家の村上が亡くなっていたことに気づかなかった。不覚。いしいひさいちなどのコミックを出版するチャンネル・ゼロを設立。そしてそして、この会社から出た漫画季刊誌「漫金超」のわたしは大ファンだった。
1980年から81年にわずか5号しか発行されなかったのだが、執筆陣がすごい。いしいひさいち、ひさうちみちお(テレビにもよく出ていたから知っている人も多いと思う)、川崎ゆきお(猟奇の人ね)、宮西計三など、関西のとんがった漫画家たちが集結していたのだ。コラムも激しく充実していた。
しかし季刊とはいえ、とにかくいつ書店に出るのかさっぱり読めない雑誌でもあり、コンプリートしている人は(特に東日本では)少ないのではないだろうか。わたしの漫金超はどこへ行ったかなあ。あの時代に、書店が充実していた東京にいたのはラッキーだった。
オリビア・ハッセー篇につづく。
「ゲームの世界をCGアニメで描く、とくれば思い出されるのはスーパーマリオ・ザ・ムービーかの」
「ですね伍長。っていうかディズニーのアニメ系のときは伍長とその部下のシリーズでやるのをおぼえててくれてうれしいです」
「CGだから何でもできるわけだけど、だからこそ作り手の想像力が試されるわけ。その意味ではさすがの出来栄え」
「実際のゲームのキャラもいっぱい出てましたね。マリオのクッパ、パックマン、ストリートファイターのリュウ、ソニック・ザ・ヘッジホッグ……」
「権利料だけでもたいしたもんだったろうな」
「わたしのお気に入りキャラはカルホーン軍曹っす」
「ああいう強い女が好きなのか。あ、伍長より軍曹が位が上だって言いたいのかお前」
「違いますってば」
「それにしてもなあ、主人公が悪役であることに悩み続け、AA(アルコール依存症患者たちのミーティング)みたいのに参加するとか、天才レーサーのヒロインにはバグがあるとか、なんかもう心療内科医が大喜びしそうなネタがたっぷり仕込んであるのはどうしてなんだろう」
「マーベルのキャラが、みんなファーザーコンプレックスを抱えているのといっしょで、アメリカ人はそういうのがひたすら好きなんじゃないですかね」
「ん。言えてる気がする」
「君の名は。」「天気の子」に続く新海誠の大ヒットアニメ。日本でも中国でも韓国でも驚異的な興行成績をマーク。
ストーリーはタイトルどおり。ヒロインの鈴芽(すずめ)が、“開いてしまった戸”を閉める物語。その戸からは災厄が忍び出る。閉めることが専門である「閉じ師」も存在し、しかし彼は神獣によって椅子に姿を変えられてしまう。その椅子の脚が1本足りないという設定が絶妙だ。アニメとしても動きがはずむ。
テーマは東日本大震災。もちろん重い話だが、SNSを利用した追跡劇など、かなり周到なつくりになっている。
今回も声優は豪華。伊藤沙莉、染谷将太、神木隆之介、松本白鴎、深津絵里たちが主演の若いふたりをサポートしている。
ラストシーンは、ふたりが“すれちがわない”あたりがうまい。とてもいい気分で見終えることができた。大ヒット納得です。