事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

攻殻機動隊への道PART2 ~ リミテッド・アニメ

2008-03-29 | アニメ・コミック・ゲーム

Ghost in The Shell篇からのつづき。

Merumo   日本の“アニメ”とアメリカの“アニメーション”との間の最大の質的相違は、なんと一秒間あたりの画の枚数が違う!という根本的なこと。乱暴なくくり方をすると、フルアニメーションとリミテッド・アニメという区分け(実はそう簡単ではないんだけど)。

 フルアニメーションというのは、一秒あたり24コマ撮影するために、24枚の画を用意しなければならない。ディズニーなんかは昔からこの方式。でもこれは動きが自然なかわりにめちゃめちゃにお金がかかってしまう。それで日本が編み出したのが1秒間わずか8枚(以下のことも多い)の画ですませる技術。ほら、日本のアニメではキャラクターの口とか瞬きしか動かないシーンが連発するでしょう?あれです。これがリミテッド・アニメ。テレビアニメを制作するにあたって思いきりダンピングした手塚治虫がその方式を定着させたと言われている。だから宮崎駿なんかは烈火のごとく手塚に対して怒っているわけ。

 で、この二つを並べると、どうしたって日本のアニメは動きがぎこちない。だから「鉄腕アトム」や「マッハGo!Go!Go!」(アメリカでのタイトルは『スピードレーサー』)がアメリカで人気があったといっても、メジャーなネットワークでオンエアされたわけでもなく、評価はあくまで『チープなつくりだが……』という前提の上に立っていた。

Machgogogo  ところが、そんなバッタモンみたいな日本アニメが、安価に作れるものだから作家性を発揮しやすかったことと、日本独自のマンガ表現が結びついて異様な発達を見せる。そのため、日本の子どもはアメリカのアニメーションを観ると「なんか、グニャグニャしてて気持ち悪い」なんて感じるぐらいになってしまった。

さて、その作家性爆発の日本アニメの代表が、あの「AKIRA」(大友克洋)だったのだ。……ぜんぜん攻殻機動隊の話になってないけどまだ続く(笑)。

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攻殻機動隊への道PART1 ~ Ghost in The Shell

2008-03-29 | アニメ・コミック・ゲーム

Ghostintheshell  2004年はひたすら「攻殻」ワールドにはまっていた。

義体”だの“目を盗む”だのといったディープな用語がしっかりと頭に根付いてしまったのだ。はたから見れば『アニメ顔で巨乳のサイボーグが不必要に半裸に近いコスチュームで活躍する』典型的なオタクアニメと切り捨てられそうなものだが、こいつはしかしモノが違う。

 原作は士郎正宗の実質的な処女作「攻殻機動隊」。ヤングマガジン海賊版に89年から90年まで連載されたハードSF。まずこの原作の狂いっぷりがハンパではない。基本的な設定は後のアニメに踏襲されたとおりなのだが、コマとコマの間に徹底的に書き込まれたコメントまで、とにかく熱い熱い。「近未来の設定上この動きは変だが」なんて言い訳から「神という抽象概念は……」などという形而上学的なものまで、こだわりがこだわりであることを超えてしまっている。

 この設定にのったのが押井守。思い切りマニアックな原作だからこそ、むしろ意のままにできる、とでもあの天才はふんだのか、出来上がった映画が「攻殻機動隊Ghost in The Shell」傑作。なんとアメリカのビデオ売り上げのチャートで№1をゲットしてしまったのだ。

 話はオタクらしく横道にそれるが、このアニメが全米でトップとなったことが、どんな意味をもっているのか考えてみる。

 アニメーションの本場と言えば、それはやはりアメリカ。特にウォルト・ディズニーという存在はやはり大きかった。あの「ファンタジア」が戦前の作品であることを考えると、そりゃ戦争にも負けるよな、と納得させられる。

Uminoshinnpei  でも、当時の日本にアニメが存在しなかったのかといえばそんなことはない。「海の神兵」という桃太郎伝説をもとにした傑作漫画映画がちゃんとあったし。ただし、ファンタジアがひたすら映像と音楽のコラボレーションを追求したのに対し、「海の~」は歴然とした戦意高揚映画だった。日本に、そこまでの余裕はやはり無かったのだ。

 戦後は、日本アニメ勃興の陰に、実はアメリカのアニメの下請けを日本のプロダクションが担っていた事実は見逃されがちだが、日本のアニメとアメリカのそれとは、質以上に大きな違いがあるのをご存じだろうか。ああ長くなりそうだ。

次回は、手塚治虫が出てきます。

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ジュニア。

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Shonennjump 2003年3月24日付「情宣さかた」裏版。
持論である「コピーはオリジナルよりも奇怪な姿をとる」を展開。

 少年マンガ誌としては後発だった少年ジャンプは、創刊当時部数が伸び悩んでいた。そこで編集部がとった作戦は、“本物よりも本物らしい”コピーを作り出し、本物の読者を、言い方は悪いがかすめ取ることだった。この場合の本物とは最盛期の少年マガジンに連載されていたヒット作「巨人の星」や「あしたのジョー」などをさしていたのだろう。

ジャンプのキャッチフレーズは“友情・努力・勝利”だが、根性を前面に押し出し、努力の過程を省略して勝負の連続で読者の関心を引き寄せる……冷徹な読者アンケート至上主義と連動したこの作戦は成功し、「包丁人味平」や「アストロ球団」そして「キン肉マン」のようなヒット作を生み出した。そしてマンガ誌のなかで史上最高の発行部数653万部(毎日新聞よりも多い!)を記録するまでになったのである。コピーがオリジナルを凌駕するためには、グロテスクなまでのデフォルメが必要だったのだ。 

 二世や三世と呼ばれる人たちは本当につらいんだと思う。偉大なる一世を超えるためには、生半可な努力や結果ではまわりが満足してくれないのだ。
特に政治の世界では、地盤と呼ばれる後援会組織の都合や利権がらみで、“なりたくもなかった”政治家に据えられることも多い。まわりが一世の話を持ち出して比較する意図がなかったとしても、本人の気持ちのなかではかなりのストレスが渦巻いていることだろう。そんなとき、プライドだけは間違いなく肥大している二世はどんな行動をとればいいか。

Bush ……もちろん、すべてジョージ・ブッシュのことを言っている。彼の場合は、大統領選自体におおいなる疑念が残っており、“大統領らしさ”を強力に自己演出する必要があるのだろう。ましてやとりまくスタッフは、チェイニーにしてもパウエルにしても、ほとんどがシニアのスタッフだったのだ。

いつのまにか、意外なぐらいにアメリカへの、あるいはブッシュ大統領への逆風は強まっており、イラク攻撃にしても、利権(石油・軍需産業)のための戦争、という認識は多くの人たちが共有するようになってきた。

 でもへそまがりである私は、9.11さえ無かったら、果たしてブッシュはどんな大統領だったのかをむしろ考えている。いちばん簡単なのは、9.11以前に彼がなにをしていたかを検証することだ。ここからは、組合員へのこの1冊のスペースで。

                  組合員へのこの1冊
「アホでマヌケなアメリカ白人」Stupid White Men マイケル・ムーア著 柏書房刊

 すごい書名にひかないでいただきたいが、内容はまさしくこのとおり、ブッシュに代表されるアメリカのエグゼクティブに対する悪罵の連続。

Michael_moore  著者のムーアは、今もっともチケットが取りにくい(とにかく毎回満員札止め)映画「ボウリング・フォー・コロンバイン」の監督。野放図に銃があふれているアメリカ社会を糾弾するドキュメンタリーだ。ライフル協会の代表であるチャールトン・ヘストンへのインタビューはかなりのものらしい。
 この書において、ブッシュ・ジュニアが就任以来どんなことをやったかが列挙されている。

・連邦の図書館費を3900万ドル削減
・医師の小児科教育費用を3500万ドル削減
・地球温暖化に関する1997年の京都議定書の合意から撤退
・モンタナ州のルイス・アンド・クラーク国有林で石油採掘を許可する計画を表明
・減税。その恩恵の43%は、アメリカ人で最も裕福な1%に集中
・児童虐待に関するプログラムから1570万ドルを削減
・精油所、原発、水力発電所の建設許可の簡素化を提案。この中には環境基準の緩和も含まれる
・アラスカ自然保護区の油田、ガス田の売却を提案
・再生可能エネルギー研究費を50%削減
・国定記念物を開拓し、植林、石炭・石油・ガスの採掘などを行うことを提案する権限を内務長官ゲイル・ノートンに与える
・公立病院等で、健康保険のない人々に治療の援助をする「コミュニティ・アクセス・プログラム」を86%削減
・連邦法、環境保護法、労働安全基準に違反した企業に対して、政府が契約を拒否する権限を強化する法律の廃止

……すばらしい大統領じゃないか(笑)。ある意味、こんなにわかりやすい大統領は初めてではないのか。そして、このわかりやすい大統領の政策に、どこまで日本はついていこうというのか……    

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少年探偵団

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Meisouchizu  組合関係のどんな会合に参加しても、今年(2003年)はとにかく選挙の年なんだから、という前ふりで始まる。

 この4月には県議、酒田市長、酒田市議の選挙があるし、状況としては微妙だけれど、どこかの時点でおそらくは総選挙もあるだろうと噂されている。市町村合併イラク情勢もからみ、確かに選挙の年、政治の年だ。

 これらの選挙に、県教組酒田地区支部がどのような対応をとるかはまもなく公表できる予定だけれど、選挙という存在にはいろいろと考えさせられることがある。

 4年前、ほとんど関係のない話だと思っていた酒田市長選に高校の同期生が出馬することになった。この選挙はご存じのようにとてつもない泥沼になったのだけれど、運動には数多くの同期の連中が文字通り走り回っていた。このとき、いわゆる“選挙のプロ”と呼ばれる層から、この世代が“少年探偵団”あるいは“パシリ”扱いをうけていることは薄々感づいていた。

Meisouchizu2  そして4年後、山形4区からはなんと33才の青年が国会へ行くことになり(ご協力ありがとうございました)、県議選において現在の流れでは30才の女性候補を支持することになりそうだ。ものすごい変化。
若い層がこうしてどんどん政治に意欲をもって参加し「ったく昭和30年代生まれは頭が固くて(笑)」とか言われるように早くなりたいな。いやまったくの本音で。

……2003年3月13日付「情宣さかた」裏版。年令はすべて当時のもの。あれから5年たち、状況がまさかこれほど混沌とするとは。
ちなみに、支部長をやっていた当時、ほとんどの選挙は勝利した。そんな風が吹いていたのである。

画像は、わたしの同級生が(端役だけど)出演した松本清張原作「迷走地図」('83)。彼は岩下志麻の付き人をやっていたのである。政治家夫人の一通のラブレターが政界を揺るがし……そのラブレターをひったくる役だったかな。

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「都立水商(おみずしょう)!」室積光著 小学館文庫

2008-03-29 | 情宣「さかた」裏版

Toritsumizusho 酒のいきおいで、文科省の役人が暴走する。
「世の中には水商売ってものがあるんだから、そういう道に進む子のことも考えにゃならんだろ?」
「そりゃそうかもしれん」
「だから『水商業高校』があってもおかしくないだろ?」
「……よせよ」
「なんで?なんでだよ?てめえ水商売だけ差別するのかよ!」

かくして予算は通り、新宿歌舞伎町に『東京都立水商業高等学校』が開校する。専攻科目は「ホステス科」「マネージャー科」「バーテン科」「ソープ科」「ヘルス科」「ゲイバー科」など。

 始業前には担任が教室の前で待ち受けていて、厳しい服装チェックが入る。
「何だこの髪は?染めてこんかア!」
授業も実践的。
「それでは今日は『送り』について説明するぞ。『送り』とは、終電後、ホステスやスタッフを車で送ること、およびそのための人材の……」

……面白そうでしょ。でも全編にとびかう説教の嵐の方が印象深い。この作品が処女作である元役者の室積が、高野連的なものに代表される今の教育への批判を優先させたからだ。「あの武田鉄矢氏も推薦!!」(笑)という帯が、良くも悪しくもこの作品をあらわしている。

 ちなみにわたしがいちばん笑ったフレーズはこれ。
「いつまで野球を教育の一環とか言ってんですかね。だいたいスポーツで、スポーツ以外のことまでついでに教育しようなんて、教育する側が横着だっていうんですよ」

 なぜ笑ったかというと、後半はこの高校の甲子園出場をめぐっての大騒ぎなのだが、甲子園球児という存在が汗と涙の青春だけではないことをわたしは十分に知ってしまっているので。

 二十数年前、大火復興のシンボルとして春の選抜に出場した同級生たちは、教室ではこんな低レベルなことで悩んだりしていたのだ。
「○○にはファンレター何百通も来てて、△△にまで来てるのに、なんでオレには一通もこないんだよーっ!」
わかんねーのか鏡をみろ鏡をっ!

……2003年3月13日付「情宣さかた」裏版。さりげなく、近づく市長選への伏線をしのびこませたのだった。

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大俳優 丹波哲郎 ~ ハワイの海に

2008-03-29 | 芸能ネタ

鶴田浩二総すかん篇はこちら。

 とりあえずおさえておきたいのは、これらはあくまで丹波の言い分だということだ。言われた方にもそれなりの反論はあるだろうが、まあ大目に見てあげよう。何しろ話半分、どころか【話十分の一】な丹波さんだし。

Tannba03  ただ、意外なほど家庭への言及がないこの大冊で、終盤に奥さんのことが語られている。若いころから難病に侵され、車椅子生活を余儀なくされた奥さんは“車椅子に親切だから”と二十年間ハワイに行き続けた。

丹波:で、ある日、ある海岸で俺に対して「末期癌だから」と。車椅子で海岸に降りて「ここで死にたい」って言うんで、「よし、じゃあ今度はここに骨を撒いてやるからなあ」というのが、僕の勝手な想いだったんだ。

-でも、向こうはそういう散骨は禁止なんでしょう。

丹波:うん。ところが「HOTEL」の撮影の初日に、知事をはじめ、ハワイの政府の関係者を招待してパーティを開いたとき、その席上で英語をしゃべれるのは俺だけだというんで代表してスピーチしたんだ。それが向こうに気に入られちゃって、「あとで相談して出来るなら出来るという許可証を送りますから」ということになったの。

-特別処置で。

丹波:だから、言ってみるもんだなぁと。

Et0609301ns  文句なく国際スターである丹波だが、欲がないことおびただしい。セリフを覚えないために「ザ・ヤクザ」(ロバート・ミッチャム主演)を降ろされ、気乗りしない態度のために「北京の55日」はキャンセル(代役が伊丹十三)。マーロン・ブランドとの共演「侵略」を扮装が嫌だからと蹴り(代役は岡田英次)……そのくせ喜々として「クレヨンしんちゃん」では吹き替えを。まことに、愛すべき人物ではあった。合掌。まあ今も、霊界でふかしまくっていることであろうが。

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