事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

今月の名言2017年8月号PART1 日本銀行

2017-08-31 | 社会・経済

2017年7月号PART2「冷笑と哄笑」はこちら

「政府にもの申せぬ日銀になっている」 

先月、日銀政策委員会の審議委員を退任した木内登英(たかひで)野村総研エグゼクティブ・エコノミストの発言。彼は黒田東彦総裁の方針に反対し続け、退任によって執行部に反対する勢力はいなくなったとされている。

日銀の異次元緩和策が成功していると考える人は、どれだけ現政権を支持していてもいないことと思う。いるとしたら、「この緩和策がなかったらもっとひどいことになっていた」と主張するしかない。そんな人でも、政府と日銀が一枚岩になっていることへの不安は共有してもらえるのではないだろうか。中央銀行と政府の方針には、ずれがあるのが当然であり(だって目的が違うんだから)、政府与党のリクエストに諾々と従うだけの中央銀行にはたして存在価値があるのか。

しかも木内氏は、守秘義務があるのでとはっきりと表明しなかったが、日銀内部の議論について

「議論の質は必ずしも良い方向には向かわなかった」

と吐き捨てている。だいじょうぶなのか日本銀行。

PART2「炎と憤怒」につづく

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「関ヶ原」(2017 東宝=アスミック・エース)

2017-08-30 | 邦画

わたしたちは関ヶ原がどのような結末を迎えたかを知っている。日本のほぼ中央で、ふたつの勢力が激突。ある人物が寝返ったことで、この大勝負はわずか半日でけりがついてしまう。

司馬遼太郎作品は、良くも悪しくも“賢人の回顧談”の色彩が強いので、こういう結果になるのは不可避だったように常に思える。原作の映画化を切望した原田眞人は司馬の、“歴史を思い切り上から見る=鳥瞰する”姿勢に共感したのだろう。理解できます。誰かがやらなければならない仕事だし。

にしてもこの争いには不可思議なことが多すぎる。

・なぜ石田三成はあっさりと負けを認めてしまったのか。フランチャイズの近江に退く選択肢は歴然としていたのに。

・家康が城攻めが苦手であることを承知しながら、なぜ野外で戦ったのか。

・本当のところ、小早川秀秋は東西どちらにつきたかったのか。

……この映画は、よほど史実を検証したのかこれらの疑問に一定の回答を示してくれます。騎馬で疾走し、背面まで気をはらった殺陣を行う役者たちはおみごとだし(特に島左近役の平岳大)、長大な原作を150分にまとめるためにセリフがチョー早口なのも気にならない。

ただし、去年の「駆込み女と駆出し男」「日本のいちばん長い日」ほどには興奮させてくれない。それはすべて、石田三成(岡田准一)という男を主人公にすえたことによるのではないか。彼は確かに正義を完遂するが、もしも西軍が勝っていたら、果たしてどんな治世が待っていたのかと考え込んでしまうのだ。

確かに徳川家康(役所広司)のやり方は不正義かもしれない。しかし、正しさが何より優先される世に、わたしは住みたいとは思わないのだ。まあこれは、わたしがめずらしく家康好きな人間だからかも。

映画の出来に文句ありません。関ヶ原の敗戦と三成の斬首にタイムラグがあることを利用し、それぞれの戦後を描いてすばらしい。

三成が愛した女忍者(有村架純)に、普通の監督ならラストで延々と尺をとるところだが、油断していると見逃すほどのカットにしたのはスマート。次は、同じスタッフで「城塞」をぜひ。だって原田組常連のキムラ緑子の北政所がこれでおしまいってのはもったいない。あれ?木場勝己はどこに……おおおお、まさか司馬遼太郎役とはっ!

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無冠の男PART5

2017-08-29 | 芸能ネタ

PART4はこちら

あの「十三人の刺客」の話も。監督、三池崇史の証言。

「山形県庄内町にセットを組んで、ラスト五十分の立ち廻りだけに二十日かかりました。東映版(63年。主演片岡千恵蔵)の敵は五十三人ですが、僕のは二百人にしました。松方さんを東映版にはない『年寄りなのにいちばん強い』キャラクターにしたのは脚本の天願大介さん(今村昌平の長男。現日本映画大学学長)と僕です。松方さんの殺陣になると、俳優たちがみんなぞろぞろ見に来るんです」

三池さん、庄内映画村(現スタジオセディック庄内オープンセット)は庄内町じゃなくて鶴岡市にあるのでよろしくね。それはともかく、あの映画では確かに松方弘樹の殺陣だけが他と歴然と違っていた。“時代劇の伝統”をひとりで背負っているかのように。

「僕は諸先輩のまねをしているだけです。それぞれの色や味があるんです。(嵐)寛寿郎さんには寛寿郎さんの、阪妻さんには阪妻さんの色があって、千恵蔵先生も右太衛門先生もそれぞれの型があって違うもの。うちの父親も、勝(新太郎)さんもしかりです。若山(富三郎)さんも上手いですよ、立ち廻り。富兄ぃはとくに槍が上手かった」

松方は左利きを矯正するために他人以上の努力をしていたのである。日本一立ち廻りがうまい役者と言われていた、近衛十四郎の息子としてのプライドもあったわけだ。

柳生一族の陰謀」は、巷間伝えられていることが本当だったことがわかりました。

「錦兄ぃの芝居に誰もついていけないんですよ。錦兄ぃが120%の熱演じゃなくて80%くらいまで落としてくれると、みんなついていけて、そのシーンはすごくバランスがよくなるんです。でも錦兄ぃは全力で、120%出し切ってやりますから、共演者がアップアップなんです。」

このバランスの悪さこそが、あの映画を傑作たらしめたのかもしれないのだが(笑)。以下次号

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無冠の男PART4

2017-08-28 | 芸能ネタ

PART3はこちら

松方弘樹といえば、お若い方々には映画スターというより、巨大マグロを釣ったり、“あの人”のそばで汗を拭いていた印象が強いかも。

「(天才たけしの元気が出るテレビ!に出演を決めたのは)ビートたけしという男に会ってみたかったからです。1%の賛成もなかったけど自分で決めました。」

「たけしさんとは、収録が終わると毎回飲んでました。バイク事故を起こす直前もじつは一緒でした。毎週、たけしさんの馴染みの寿司屋でスタッフみんなで飲んで、そのあと川崎堀之内のたけしさんの行きつけのソープランドに行くんですよ。表方さんも裏方さんもみんな引き連れ、ソープを貸し切りにして、しまいには、スタジオに堀之内のソープの社長さんが迎えに来るようになりました(笑)。」

なんて番組だ。そして、フライデー編集部襲撃事件の話になる。

「謹慎中のたけしさんから京都の僕の家に電話がかかって来たんです。東京からポルシェで走ってきたけど、タイヤがパンクしそうだって。すぐに迎えに行って、京都西山の家へ連れてきて、たけしさんはそれからずっと僕の家にいました。僕も苦手なMCをやらされて、『戻ってこい、たけしさん!』って叫んでました。ホントは僕の家にいたのにね(笑)」

そういうことだったのかあ。知らなかったなあ。いい話です。かと思えば……

「(昭和残侠伝 吼えろ唐獅子)僕も意気に感じて頑張ったんです。初号試写の日、映画が終わって、場内が明るくなるとみんな手を叩いてくれて……ホッとしました。すると健さんが『弘樹ちゃん、よかったねぇ。女遊びすると、お芝居うまくなるんだね』とこう言ったんです。初号試写ですから撮影所長以下全部いるわけですよ。場内が静まり返りましたね。(略)健さんはものすごくバリアを張る人で、ぜんぜん男らしくない。“男高倉健”はまったく虚像です。僕はほんとうに先輩方に恵まれましたが、高倉健はそのなかで唯一、好きになれなかった先輩です。」

これも知らなかった。おわかりだろうか、文章でこうなのである。よほど高倉健についてはいい思い出がなかったのがうかがい知れる。以下次号

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おんな城主直虎 第34回 隠し港の龍雲丸

2017-08-27 | 大河ドラマ

第33回「嫌われ政次の一生」はこちら

前回の視聴率は12.4%と予想ほどには伸びなかった。ネットでは神回とか言われていたにもかかわらず。政次ロスは次第にボティブローのように効いてくるんだろうなあ、と思っていたら、誰よりも直虎にダメージを。ここまで“イっちゃってる”主人公は大河史上初かも。

政次を自ら刺し殺した返り血が頭巾に一滴だけ残っている。「ディア・ハンター」において、ワインを飲みきれば幸せになれるのに、少しだけ花嫁衣装にこぼしてしまったエピソードを思い出させます。これは「八重の桜」で、芦名星が夫の斎藤工の無事を祈願して鳥居に石を投げ、力が及ばなかったこととも重なる。この頭巾の血を最後まで残し、狂気を払拭したとたんにかなぐり捨てるような演出があってもよかったような。あまりにもあざといですか(笑)。

政次ロスは、三悪人、じゃなかった坊主三人(小林薫、市原隼人、小松和重)が直虎を思いやる会話でわたしにも襲ってきた。彼らは、政次とともに直虎を守ってきたわけであり、錯乱する彼女への憂いは深い。この大河ではほとんどしゃべらない市原隼人の柄の大きさがいいし、小林薫が徳川に対して少しだけ激高する場面もよかった。ここは赤いウインナーでタコさんをつくるべきじゃないですかマスター

でも政次の死をさみしく思っているのは高橋一生自身に違いなく、

「毎週届いていた台本が、もう届かない」

という発言には、なるほどと。父親の小野政直(吹越満)が

「お前は、わしのようになる」

と遺言した地点をはるかに超えて、小野但馬守政次は、そして高橋一生は大きくなっている。視聴率?今回は黄色いTシャツが裏にあるからなあ……ひょっとしたら11%切るかも。

第35回「蘇えりし者たち」につづく

 

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無冠の男PART3

2017-08-26 | 芸能ネタ

PART2はこちら

遅れてきたスターである松方は、常識外れっぷりでも先輩たちを踏襲している。

「酒についていえば、先輩たちはみんなブランデー飲んでいました。(江利)チエミさんにしても水原弘にしてもお嬢(美空ひばり)にしてもほとんどの人がブランデーなんです。当時はXOなんてとても手に入りませんから、ヘネシー、マーテル、レミー(マルタン)、この三銘柄なんです。で、あとはジョニ黒があったり、それがウイスキーでは最高級でした。当時はいまみたいに焼酎飲んでいる人はひとりもいません。あれは消毒薬で、飲むもんじゃなかった。」

……悪かったな消毒薬ばっかり飲んでて(笑)。にしても、大酒飲みは大酒飲みとつるむんだねえ。お嬢はともかく、水原と江利チエミは酒で死んだんじゃないか。松方にしても、ウイスキーのボトル二本を連日空けるという酒豪ぶり。

「(勝海舟収録時)毎週、収録が終わると十数人で赤坂、六本木を飲み歩きましたね。北村総一朗は酒癖が悪くてどうにもならなかった(笑)。小林桂樹さんも飲んだらすごいからね、あんな顔して一番イケイケだからね。ショーケンは飲んでも飲まなくても変わらずあんな感じ。」

……意外だ(笑)。

酒豪方面のネタが出れば、当然別の方面のネタも。

「そのころ(60年代初頭)、僕がちょっと恋仲になった芸妓さんがいたんです。彼女は十代だったと思うなあ。そのころのお茶屋(花街で芸妓を呼んで遊興する店。東京の「待合」)はおおらかというか、お風呂もお茶屋で入れてもらえて、それで彼女と一緒に寝るわけです。寝ているうちに、寝物語でその芸妓さんが市川右太衛門さんの落とし胤だって打ち明けたんです。びっくりしましてね、俺は殺されると思って……というのも、市川右太衛門さんというのは、片岡千恵蔵とともに僕らにとっては天皇陛下より偉い人ですから。だから、僕は干されるというよりたぶん殺されてしまうんじゃないかって。おそらく本妻のお子さんじゃないと思いますけれど。」

ということはこの女性は北大路欣也と腹違いの姉妹ということになる。へー。以下次号

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無冠の男PART2

2017-08-25 | 芸能ネタ

PART1はこちら

伊藤彰彦は松方について

「遅れてきた最後の映画スター」

と規定している。現代劇から時代劇に転ずればすでに凋落が始まり、任侠映画ややくざ映画で親分の役をやれるときには客は消え、Vシネマの帝王となった途端にこのメディアも雲散していたと。

確かにそのとおりだ。彼は常に少しだけ遅れている。しかも遅れた分だけ先輩たちをデフォルメしたようなスターらしいふるまいが際立ち、マスコミに指弾されたりしている。若い時分からのとんでもないエピソードをいくつか紹介しよう。

・(所属する映画会社が倒産したため、近衛十四郎は実演に走り、日本全国を回る。子役として帯同していた松方は)
「父親と母親がヒロポンを打ってた。ヒロポンはそのころ非合法じゃなくて、薬局で売ってました。列車の中で父親と母親は、自分たちが打ったついでに僕にも打ったらしいんです。小学校上がったばかりの子供にですよ(笑)。それで僕がイっちゃったらしいんです。『列車から飛び降りる!』ってスーパーマンみたいな格好したって(笑)。」

あの、近衛さん無茶がすぎます。そして、その近衛十四郎が、東映という会社ではけっして恵まれていないことを松方は知ってしまう。

「京都の都ホテルにプールがあって、近衛さんが僕を連れていってくれたんです。そのとき、プールの向こう側にいた親子を見たとたん、近衛さんが飛んでって、へいこらお辞儀をするんですよ……この人、いったい誰なんだろうって……あとからわかったんですが、頭を下げた相手は市川右太衛門先生、隣にいたのはその息子たち、北大路欣也とお兄ちゃんだったんです。……自分と同じくらいのこの子供には負けたくないって思いましたね」

上下関係にきびしい東映城の伝統と、松方の屈託が理解できる。以下次号

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「無冠の男 松方弘樹伝」 伊藤彰彦著 講談社

2017-08-24 | 芸能ネタ

何度も語ったお話ですみません。

独身だった二十代のころに、日教組全国事務研に出るために滋賀県大津に向かった。会場の近くにあったのがかの有名な雄琴温泉。なにしろ開会の挨拶で主催者が

「誘惑の多い土地だとお聞きしております」

とご披露するくらいメジャー。会場がどっと沸くくらい有名。当時、日本一と言われたソープ街だったのである。

もちろんわたしはまじめに研修していたのでそんなところには入らなかったが、いやほんとに入らなかったのだが(もちろん大事なことなので二度言いました)、しかしその場を見学するくらいはいいだろう、と誰かが言い出し(わたしではありません……確か)、タクシーを飛ばして、なんだかよくわからないけれども竹林がつづく道を雄琴へ向かった。

おー。そういうお店がいっぱいありますねえ!

タクシーの運転手がやわらかい関西弁で

「ほら、あれが近衛十四郎さんのやってはったお店です」

「へー」

この感激はわたしの世代が下限だろうか。近衛十四郎といえば、かつて東映時代劇で活躍し、のちに「素浪人月影兵庫」「素浪人花山大吉」(NET……現テレ朝)で絶大な人気を誇ったスターだ。そして彼の長男が松方弘樹であり、次男が目黒祐樹なのである。

松方弘樹の評伝であるこの「無冠の男」でも、そのソープの件は語られている。

「近衛さん(松方は父のことをこう呼ぶ)は十六歳から演劇の世界しか知りませんから、騙されっぱなしでした。後年になって、雄琴でソープランド(「千姫」)を僕と一緒に経営したり、亀岡で釣り堀を経営したりしましたが、いつも騙されていました。」

……松方も共同経営者だったのか!

さてこの「無冠の男」(講談社)は、かつて松方の代表作である「北陸代理戦争」の背景を徹底的にルポした伊藤彰彦による聞き書きである。これがめっぽう面白い。信じられないようなエピソードもてんこ盛り。以下次号

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「吉田豪の空手☆バカ一代」 吉田豪著 白夜書房

2017-08-23 | スポーツ

吉田豪×白夜書房とくれば面白くないわけがないのでした。格闘技の世界に暗いので(でも梶原一騎原作、つのだじろう作画、大山倍達協力の「虹をよぶ拳」を「冒険王」において連載第一回からリアルタイムで読んでいたのが自慢)マニアほどには楽しめなかっただろう。でも思いっきり笑えました。正拳で殴られそうだけど、ほんとにみんなあまりにもバカなんだもの。

極真系が分裂した今、往時の、特に大山倍達&梶原一騎&真樹日佐夫のとんでもなさには目がクラクラ。そしてそれを笑って語る弟子たちの明るさにもクラッ。

反則技を研究する倉本成春の発言も怖い。

「極端に言えば人間の最大の武器は噛むことだよ。関節技や組み技の世界チャンピオンでも小学校1年の女の子に噛まれたら激痛が襲う。そして身をちぎることもできるんだよ、と。ましてや大人の私が内腿を噛みちぎったら、その人は出血が止まらなくて死ぬんだよ、と。だから競技のうえで噛むという行為があったら、誰も関節技なんかできないんですよ」

吉田豪は感心する。技術体系がガラッと変わると。うーん参考になる(何の?)。

にしてもインタビュイーのとんでもなさを引き出す吉田豪のインタビュアーとしてのテクニックに呆然。みんな本音を語りすぎ。反則技?

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うまい店ピンポイント 2017夏休みラーメンマラソン最終回 花や2nd

2017-08-22 | 食・レシピ

PART17「麺屋まるぶん」はこちら

きのうはついに夏休み最終日。ラーメンマラソンを完走して達成感ありあり。どうもお腹のあたりも充実しているのが怖い。

最終回は花や2nd。実は最終日なんだから王道の酒田行列大騒ぎ店に特攻しようと思ったら、たとえば……

・「満月」はお休み

・「新月」は終了

・「花鳥風月」はまだ行列

だったんです。もうひとつの大行列店「さらしな」まで行く気力はありませんでした。にしても1ヶ月弱でPART18まで行くとはわたしも思わなかった。来年はどうすっかなあ。「2018夏休みラーメン以外マラソン」でもかましちゃおうかしら。脂っぽいシリーズにお付き合いいただき、どうもありがとうございました。それではまた。

歳末ラーメン篇につづく

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