有能ではあるけれどもひたすらに運が悪い探偵、葉村晶シリーズの5年ぶりの新作。ついにアラフィフとなった彼女は、老眼や体力の低下に悩んだりしています。依頼人とのやり取りなど、これまでよりもアメリカンハードボイルド風味が強い。犯人の悪辣さもまた。
タイトルはイソップ童話からとられているそうで、自分に必要のないものでも、他人に与えないという意味らしいです。なるほど。よくわかんないけど。よくわかんない(笑)。読解力をわたしも失いつつあります。
有能ではあるけれどもひたすらに運が悪い探偵、葉村晶シリーズの5年ぶりの新作。ついにアラフィフとなった彼女は、老眼や体力の低下に悩んだりしています。依頼人とのやり取りなど、これまでよりもアメリカンハードボイルド風味が強い。犯人の悪辣さもまた。
タイトルはイソップ童話からとられているそうで、自分に必要のないものでも、他人に与えないという意味らしいです。なるほど。よくわかんないけど。よくわかんない(笑)。読解力をわたしも失いつつあります。
まず、わたしは京都の伊根という土地を知らない。観光名物の舟屋も知らない。
一階が船置き場で二階が住居って、そんなのありうるのかと思ったら実在するんですって。そのような構造が許されるあたりにこのミステリのキモはある。日本海側であることにも意味はある。原発が近いことにも意味はある。
さすが島田荘司、豪腕は健在です。名探偵である御手洗潔が日本に来るのは何年ぶり?
安倍晋三銃撃事件を描いた「暗殺」の柴田哲孝の新作。
南スーダンでPKO活動に携わった自衛隊員が、帰国後にひとりまた一人と殺されていく……いまどきめずらしいエスピオナージュ。ネットでは。登場するある女性に不満が集中しているようだけれど、スパイ小説とはすなわち貴族的であるものなので、これは仕方ないんじゃない?
著名な美術コレクターが集めた作品が、すべて贋作ではないかとされる事件を、美術探偵が解いていく。日本画と油絵の違いが謎の中心にあるなど、ワクワクさせてくれる。
この深水さんも山形出身。身びいきではなく、面白いです。わたしとは政治的立場が違うようだけれど。
おそらくはマット・スカダーものの最終作。というより、ローレンス・ブロックのエッセイの色彩が濃い。前から用意されていたクリスティの「カーテン」(エルキュール・ポワロ最終作)や「スリーピング・マーダー」(ミス・マープル最終作)とは違い、死を意識したスカダー(=ブロック)の諦念や希望が渋い。
わたしはファンとしてこの“遺書”を重く受け止める。っていうかもっと書いてくださいよブロック。わたしが読んだミステリのなかで、最高作はブロックの(そしてスカダーのシリーズの)「死者との誓い」なんです。そしてもちろん、訳は田口俊樹さんで。
「同志少女よ、敵を撃て」「歌われなかった海賊へ」の逢坂冬馬の新作は、一転して現代の日本が舞台。ブレイクショットという名の四駆を、というより1本のボルトをめぐる物語。
走破性にすぐれる日本車が、さまざまな持ち主にさまざまな物語を与えていく。世の中のすべてが金で換算される現在、しかしそこを突き抜けた何かがあるのではないかと気づかせてくれる。ものすごく複雑な展開だけれど、そこを意識させないあたり、この作家はやっぱり有能なんだなあ。
「このミステリーがすごい!」大賞受賞作。ベストセラーになっている。なにしろ、わたしの息子まで買っているぐらいだ。
「面白かったよね」
「うん、まあ。たださあ、あの女の子(パン屋でバイトしている女子大生)って、けっこう意地悪じゃないか?」
「確かに(笑)」
ハートウォーミングなお話なのに、どこか暗いものがほの見えて……これはこの新人作家の特質なのだろうか。
「#真相をお話しします」の作者の新作。前作にはとびきりの短篇がひとつあったけれど、今回はそれほどびっくりさせられなかったかな。
配達員たちを使い、探偵のように“事件”を解決するオーナーシェフ。実はその事件やシェフ自身がけっこうダーク。後半はちょっとずるい感じ(笑)。期待の新人。がんばって。
配役するとすれば、「シェフは名探偵」そのまんまかいと言われそうだけど、主役は西島秀俊で決まりかなあ。圧倒的な美男で、しかし生気が感じられない役を、他に誰が演じられるだろう。
いま公開されている「#真相をお話しします」のあの役はMrs. GREEN APPLEのあの人ですか。「はたらく細胞」でSEKAI NO OWARIのFukaseが登場したのには意表をつかれたけど、わたしは毎日のようにお昼の給食の時間、“Mrs. GREEN APPLEさん”の曲を聴かされているので食傷気味かな。たのむよ放送委員会。
でもああいう“優しそうに聞こえる”曲をプレイするアーティストたちが、邪悪っぽい役をやってみたいのはわかる気がする。わかる。