ラロ・シフリン篇はこちら。
その昔、わたしが高校生の頃だろうか、酒田にはオーディオタケモトという、SONYの専門店があった。わたしがSONYの子になったのはその店の影響なのだが、その近くに今はもうない書店があり、わたしはそこでとんがった雑誌に出会った。
rockin’on
渋谷陽一が始めたロック雑誌。むちゃくちゃに面白かった。
この雑誌の特徴は、書き手に自分の生活を語らせ、そこからロックにつなげさせるという手法を確立していたのだ。
え、それでいいんだと驚いた。それなら、おれでも書けるかもと実感。もっとも、おわかりのようにブログや雑誌の連載では日常しか書いていないわけですが。
渋谷陽一はDJとしても鋭かった。ツェッペリンフリーク(特にジミー・ペイジ)であることと、まさかのアース・ウインド・アンド・ファイヤーのファンであることを隠しもしなかった。
雑誌の最初は苦労したらしく、リアカーで都内を回ったという話も(ほんとかなあ)。しかし後に渋谷がポルシェに乗ることになるのを、わたしは松村雄策との「渋松対談」で読んで笑った。
ロッキングオンは、渋谷、松村、岩谷宏、橘川幸夫(からんでくれてありがとうございました。)の四人で立ち上げた雑誌だ。日本のロックを変えた雑誌だと確実に言える。
渋松対談で印象的なやりとりがある。作家の松村雄策が
「お家賃が払えて、酒が飲めればそれでいいだろう」
とポルシェ渋谷に突っこみ。
ああそうだよなあと納得。こうやってわたしはこの雑誌に影響されまくっていたのでした。わたしの身体は確かに酒と給食でできている。でもわたしの頭は渋谷陽一と小林信彦でできているのだ(小林信彦と松村雄策は仇敵だけれども)。哀しい。
え、松村雄策はもう亡くなっているの?ううううう。