事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ガリレオ」(’07 フジテレビ)

2008-09-30 | テレビ番組

探偵ガリレオ=天才物理学者湯川を福山雅治に演じさせ、ワトソン役の刑事を女性に変更して柴咲コウをキャスティング、そしてオンエアは月9、脚本は周到な福田靖……高視聴率の要素がすべてそろい(わたしもなかなかの企画だとは思った)、実際に月9としては久しぶりの視聴率を稼いだ。が、もう少しなんとかならなかったろうか。予想した以上の、サプライズな楽しさが感じられないのだ。

理系作家である東野圭吾がくりひろげる奇抜なトリックは、映像化するだけで原作の読者たちはうれしいはず。アルミ板のデスマスクや、緊張感のない首つり現場など、そうかこんな物理現象だったかと画で見ると納得できるし。そこへもうひとひねり、ミステリとしての仕掛けがあってもよかったなあ。最終話に『あの人』を出すようなケレンがもっともっと仕込んであれば……まあ、ぜいたくな話ではあるんだけど。しかし初回のオンエアが最高視聴率で、次第に低下していった要因は、こんなケレンのなさにも由来していると思う。悪い意味で月9的恋愛ドラマになってしまったのだ。

福山は一種の無色な存在を破綻なく演じている。帝都大の准教授ってそんなにお金もらえるのか、ってくらいファッショナブルだけどね(笑)。でも柴咲コウの方は『可愛さ』と『刑事としてのガッツ』は感じられても、ミステリの登場人物としての“キレ”がないし、あくも強すぎた。声もこんなに聞きづらかったろうか。犯人役では、無邪気な殺人者としての深田恭子が……実に興味深かった。

さて、いよいよ「容疑者Xの献身」が公開される。悲恋のふたりは堤真一と松雪泰子。地道な演技派と福山×柴咲のとっぽさの掛け合わせはどう評価されるだろう。本来のワトソン役である北村一輝が大きくフューチャーされることを望むけれど(なにしろ大ファンだし)、テレビでの最終回が最低視聴率だったってあたりが心配っちゃ心配。原作の、あのひっかけもどう映像化するものだか。まあフジテレビのことだからさまざまな興行上の“仕掛け”はかますことだろう。公開初日にスペシャル(プリクエル……前日譚になるとか)をオンエアするらしいしね。テレビドラマが映画化されることにいつもわたしは懐疑的。しかしあのテーマソング(「知覚と快楽の螺旋」)がスクリーンに流れることを、少し期待もしているのだ。いい客だよオレはよ。

映画版はこちら

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今月の名言 08年9月号~スポーツ、政治篇

2008-09-30 | うんちく・小ネタ

Bsc0806092325001p1 映画人篇はこちら

(WBCの監督に落合中日監督がいいという理由を)
「あの人はね、長い間つきあうのはたいへんだけど、短い間だけならいいんだ。」
元ニッポン放送アナウンサー深沢弘氏がラジオで。
……ってことは、今季の中日の凋落は落合と選手の関係性悪化が原因ってこと?

「前線ってなんですか」と小学生に「子ども電話相談室」で質問されたお天気キャスターの森田氏。
「きみ、戦争映画って見たことある?」
「………………ないです」
「そうかあ。あったんだよ昔『西部前線異状あり』って映画が」
……森田さん、「前線」じゃくて「戦線」、「異状あり」じゃなくて「異状なし」です。それから、小学生はあの映画をまず観ないと思います。

自民党総裁選共同記者会見にて「他の候補者よりもすぐれている点は?」ときかれた与謝野馨。
「(そういうことを言わない)羞恥心にすぐれている
……与謝野晶子の孫は言うことが違いますね。

麻生太郎が総裁選挙の演説の中で、豪雨被害について
「安城や岡崎だったからいいけど、名古屋で同じことが起きたらこの辺、全部洪水よ」
……本領発揮ってとこかな。次の失言はいつだろう。

「隠し撮り」について「民間だったら当たり前のリサーチ。」
国際児童文学館の仕事ぶりを職員に内緒でビデオで隠し撮りをさせた橋下大阪府知事。
……へー。民間ってすばらしいなぁ。盗聴も当然だっていうしね。

「今般、米国政府の強力な支援のもと、米国連邦準備制度理事会(FRB)が決定した最大850億ドル(約9兆円)の融資により、AIGは、引き続きお客さまにより良いサービスを提供できる体制が整いました。この融資は、AIGの事業基盤の強さとその重要性に対する信頼の証しです。」
……AIGが主要各紙に載せた広告から。よく言うよ。

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今月の名言 08年9月号~映画人篇

2008-09-30 | うんちく・小ネタ

N0010838_l  新シリーズ開始。新聞、テレビ、ネットなど、毎日メディアを通じてたくさんのコメントにふれているのだから、そのなかで至言、名言、あるいは失言と思われるものをピックアップしてお届けしようという企画。そう思ってさがすと出てくる出てくる。もちろんことば自体が力を持っている場合もあるけれど、08年の9月だからこそ笑えるネタもある。腐らないうちに急いで紹介だっ!今回は映画篇。映画人のコメントはやはり気合いがはいっている。

ヴェネチア映画祭での押井(スカイ・クロラ)守へのインタビュー。
――宮崎監督と現地で顔をあわせる予定は?
押井 ない。会いたいとも思わない。宮さんとは、一生分の話をしてあるから。そもそも、映画監督同士は友達になれるはずがないというのが僕の考え。もっと会いたくないのが、スタジオジブリの鈴木敏夫(プロデューサー)かな。居酒屋ならともかく、レッドカーペットを雪駄で歩く男と、わざわざヴェネチアで会いたくないよ(笑)。

「おくりびと」初日の丸の内プラゼールで舞台挨拶に立った滝田洋二郎監督は、満員の客席に
「あまり朝から満員になる映画を撮ったことがないので感動している」
……参考までに、滝田監督はわたしとそっくりなルックスです。マジ。

「本木さんがあまりにも上手に(納棺の作業を)なさるので、私も真剣に死ななくてはいけないと覚悟しました」吉行和子)丸の内プラゼールにおける初日あいさつ。
……「おくりびと」は読者の方がどんどん先に観て絶讃レスがよせられてます。早く観なくては。でも50才以上夫婦割引に味をしめたウチの奥さんは「またいっしょに観るのよねヒロシさん。」そ、そうなんだけど……

「パコと魔法の絵本」有楽座における役所広司の初日あいさつ。
「俳優さんたちの顔が本当に気持ち悪くて」

8d9d5eda ……パコについては読者から情報が入っています。大王は山形出身です。山内はこれでブレイク必至。

>“何者か”に撃たれたヤクザ(山内圭哉好演)
これは、原作者「大王」こと「後藤ひろひと」が山内圭哉のために作ったキャラクターなんです!子役として活躍し、映画デビューを果たした『瀬戸内少年野球団』では夏目雅子と一緒にお風呂にまで入ったあの山内圭哉のために!(それがいまじゃ…(ToT))。そういうわけですので、好演もなにも中島監督、よくも彼を続投してくれました。グッジョブ! テレビ東京!!

次回はスポーツ・政治篇

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わたし、怒ってます~中山発言

2008-09-29 | ニュース

Photo 教育費篇はこちら

「日本は随分内向きな単一民族といいますか」
「日教組の子供なんて成績が悪くても先生になる。だから大分県の学力は低い」
「ごね得というか、戦後教育が悪かったと思う。自分さえよければ、という風潮の中で、なかなか空港拡張ができなかった」

……この中山前国土交通大臣の発言が、“失言”などではないことはみんな気づいている。失言というのは、認識が甘いか知識が足りないからうっかり口にするってことでしょう?鹿児島ラサール~東大法学部~大蔵省と、絵に描いたようなエリートコースを歩んだこの男に、アイヌや成田闘争の知識がなかったはずはないし、もし本当に認識が甘かったのだとすれば政治家として最初から失格なのである。

 要するに彼は言いたくて言いたくてたまらなかったのだ。自分の本音を。
 だって誰も聴いてくれなかったから

 大蔵省で同期だった奥さん(中山恭子)の言うことはいちいちマスコミがとりあげるのに、なんで俺の発言はみんな無視するんだ、と内心ムカムカきてもいたのだろう。だから閣僚になって“取捨選択されたメディア”である大新聞の記者たちとの懇談という、自分にとっては待ちに待った場で本音が炸裂したわけだ。

 ここまでなら、わたしもそんなに怒りはしなかった。ちっちぇー、とは思ったが。自民党の、特に国家主義者が多い町村派の人なんだからこりゃしょうがないとまで。

 問題はそのあとだ。エリートとしての彼が期待し、論議をまきおこしてくれるはずだった、彼と同じようにエリートである大新聞の記者たちは、計算違いにもその後「これはさすがにまずくね?」と談合し、紙面は中山批判一色となった。あわてふためいた彼は路線を転換する。日教組批判のオンパレードだ。つまり、プライドの高い彼は、失言によって地位を失ったのではなく、自らの信条に“殉じた”形にもっていくことにしたのだろう。迷惑なのは日教組の方。この、一種の抱きつき心中は、体のいいテロみたいなものである。極右テロ。冷静な判断力を失った中山は、まわりの迷惑もかえりみず、閣僚じゃなきゃ何言ってもいいんだろ、とばかりに辞任の翌朝(つまり今日)、みのもんたの番組で日教組批判をくりかえしたとか。まさか「自分さえよければ」なんて考えたわけじゃないですわね?

 とりあえず言っておこう。まもなく総選挙を迎えるこの時期に麻生が組閣したこのメンバーで、やるべきことは選挙だけなのだ。それなのにこんなザマ。いやしかし凄いな、この緊張感の無さは。

 よかったね中山さん。今じゃみんながあなたの発言に注目している。でも「学力テストは日教組と成績の相関について調査するためのもの」って学テの矮小化は文科省を激怒させたろうし(全国の教職員が怒りまくってるぜ)、なりふりかまわない姿勢は自民党内でのあなたの地位を思いきり下げたことだろう。もしも激励してくれるとしたらそれはネット右翼ぐらいのものだ。彼らには“都合”という概念がないしね。

 日教組の一員であるわたしは、迷惑ではあるけれど自公政権の崩壊への直接の引き金をわざわざひいてくれたことに、ちょっと感謝もしている。どうか、ご自愛を。この調子でぜひとも長生きしてください。わたしは、本気で願っている。

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「キングダム 見えざる敵」The Kingdom('07)

2008-09-29 | 洋画

The_kingdom 監督 : ピーター・バーグ  製作 : マイケル・マン
出演 : ジェイミー・フォックス  クリス・クーパー  ジェニファー・ガーナー

サウジアラビアの外国人居住区で自爆テロ事件が発生した。事件で同僚を失ったFBI捜査官のフルーリー(ジェイミー・フォックス)は現地での捜査を強く主張し、マスコミの手を借りてそれを実現した。メイズやサイクスら同僚と共にサウジへと渡るフルーリー。サウジ国家警察のアル・ガージー大佐に迎えられた彼らは空港から爆発現場へと直行し、そのすさまじい状況を見て愕然とする。そしてフルーリーたちは早速本格的な調査を開始しようとするのだが…。

結果的に傑作となってしまった作品、というか。基本的なストーリーはピンチに陥ったアメリカ人を騎兵隊が救いにくる、というお決まりの路線だけれど、テロに対して公平に対峙しようとする姿勢が意外な結実を生んだ。

この作品は、現在の世界の不安定さがサウジアラビアを抜きにしては考えられないことを再認識させてくれる。オサマ・ビン=ラディンはサウジアラビア人であり、9.11のテロを行った犯人の多くもサウジアラビア人である。それなのにアメリカは世界最大の産油国であるサウジアラビアを悪の枢軸にはカウントしていない。もちろんそれはアメリカが世界最大の石油消費国であることが影響しているわけで、この映画はその現実から目を背けていないのだ。

ピーター・バーグの演出はまことに快調。自爆テロ、とマスコミは軽く表現するが、画面で再現されるとその緊張感がひしひしと伝わってくる。手持ちカメラの映像が気持ち悪い?深作欣二の国の映画ファンはそんなことは気にしないのである。製作にマイケル・マンがかんでいるから戦闘シーンの迫力は“実戦”を感じさせるほどだし、ジェニファー・ガーナー(ベン・アフレックを立ち直らせた奥さんです)が運動神経のよさそうなところを見せてすばらしい。アラブ系の俳優たちを不気味なまでに愚直に描くことで、彼らもまた正義を希求しているのだということを痛切に訴えている。

見えざる敵”とは何かを観客に訴える力。FBIが他国でも展開できるという事実にもびっくり。必見!

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「ララピポ」 奥田英朗著 幻冬舎

2008-09-28 | 本と雑誌

Alotofpeople 奥田らしい“壊れた人たち”の物語。短篇の登場人物たちが少しずつ関係していって……。なにより題名がいい(後半でこのタイトルの意味が判明)。たくさんの人々が、それこそ様々な人々がいて、そしてそれぞれが連関して描かれる妙味。うまい作家、という形容が嫌みにならないぐらいの礼儀正しさ。中味はほとんどポルノだけどね。

このカバーデザインはしかし思い切ったなあ☆☆☆★★★

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「この人と結婚するかも」 中島たい子著 集英社

2008-09-28 | 本と雑誌

4087748731 男性と出会うたびに、ひょっとしてこの人と結婚するのかも、と構えてしまう私設美術館につとめる若き学芸員。冷静なようでいて、やはりどこか勘ちがいをしている。そんな彼女に転機が訪れるのは、結婚を意識することをやめた(と自分が勘ちがいをした)ときだった……

独身女性のディテールが渋い。妄想に走ってしまう主人公が、しかし期待しないように期待しないようにと悲観ばかりしているシチュエーションは、独身男女に共通する課題なのかも。併録されている勘ちがい男の暴走「ケイタリング・ドライブ」の妄想ぶりはなおその上を行ってて笑える。

 でも恋愛って勘ちがいと妄想と暴走の所産じゃないのか☆☆☆★★

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「硫黄島からの手紙」

2008-09-28 | 事務職員部報

Lettersfromiwojimapicture 「父親たちの星条旗」特集はこちら

監督クリント・イーストウッド 主演渡辺謙二宮和也

 前号の「父親たちの星条旗」と対をなす傑作。映画自体もすばらしいが、主役のモデルとなった栗林中将とはどんな人だったかをお知らせしたくて特集します。この人をとりあげた毎日新聞の00年8月9日付【余録】全文掲載。

「末娘のたか子さんは、当時10歳だった。別れの日は門の前で泣いた。お父さんの栗林忠道さんは『たこちゃん、元気ですか』という短い遺書を硫黄島から送った。『お父さんはお家に帰って、お母さんとたこちゃんを連れて町を歩いている夢などを時々見ますが、それはなかなか出来ない事です』

▼『たこちゃん、お父さんはたこちゃんが大きくなって、お母さんの力になれる人になることばかりを思っています。からだを丈夫にし、勉強もし、お母さんの言いつけをよく守り、お父さんを安心させるようにして下さい。戦地のお父さんより』

▼若いころ米国に留学して国力の差をよく知っていた栗林さんは、米国との戦争に勝ち目はないと主張した。そのため主戦派の軍上層部に嫌われ、絶対に生きて帰れない硫黄島守備隊の司令官を命じられたと言われている

▼着任した栗林さんは、まず島の住民を戦火に巻き込まないよう強制疎開させた。掘ればすぐ硫黄ガスの混じった蒸気がわき出る島にトンネルを掘り、要塞化した。そして、できる限り敵を食い止めるから、早く終戦交渉を始めるよう上申した

▼地下の洞窟に立てこもった硫黄島守備隊二万は、押し寄せる米軍上陸部隊六万、支援部隊二十二万を相手に歴史に残る激闘を演じて、全滅した。しかし東京のソファに座った戦争指導者たちは終戦の決断ができなかった。いたずらに時が流れ、沖縄、広島、長崎と、多くの国民の命が失われた

▼重い責任を負わされたらだれでも逃げたくなる。体が逃げなくても、心が逃げれば思考停止になる。だが栗林さんのように踏みとどまる人はいる。いっしょに散歩したたこちゃんの小さな手の感触が支えだったのだろうか。責任から逃れたくなったら、栗林さんの短い文章を思い出すといい。時を超えて励ましてくれる気がする。」

……この硫黄島からの手紙に、現代の日本からどんな返信ができるのか。わたしたちが突きつけられているのはその一点です。

06年12月14日付事務職員部報「改革派②」より。

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「父親たちの星条旗」Flags of Our Fathers

2008-09-27 | 事務職員部報

0608155b 監督クリント・イーストウッド 脚本ポール・ハギス

ロバート・アルトマンが死んでしまったので、もう米映画界で巨匠と言えるのはイーストウッドとウディ・アレンぐらいになってしまった。でもこのふたりも、実は製作費を集めるのに汲々としているのが現状なのだ。評価がヨーロッパや日本の方がずっと高いのも共通している。

「戦場を知らない者ほど、戦争を語りたがる」
「戦争に完全な善はなく、完全な悪もない」

この大傑作が誰に向けられて作られたかを考えたら、アメリカ国民(特にワシントンDCあたりの住民)こそ観なければいけない映画なのに。“旗”も“父親”も複数形になっている原題にこめられた意味がラストで判明。泣いた。

06年12月14日付事務職員部報「改革派①」より。次号は硫黄島からの手紙

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希望の国

2008-09-27 | 事務職員部報

31838125 ちょっと季節はずれだけど事務職員部報07年1月16日号を。
題して「希望の国」。

あけましておめでとうございます。2007年も事務職員部をよろしくお願いします。年頭に当たって、まずは所信を。

誠実、勤勉、克己心といった個人的な美徳に加え、正義、寛容、慈善、同胞愛など公徳心がなければ、どのような社会も成立しません。こうした美徳や公徳心は、国民の一人ひとりが、大切にすることや、してはならないことなど、基本的な価値観を共有する共同体の一員であるという自覚を持つことにより育まれます。学校や家庭での教育を通じ、歴史的に形成されてきた国民、国土、伝統、文化からなる共同体としての日本を愛する心と、その一員としての誇りと責任感を培っていくことが求められます。美しい薔薇が健やかな枝に咲くように、美徳や公徳心は愛国心という肥沃な大地から萌え出ます。

 ……冗談です。こんなことを県教組事務職員部長が考えているわけがありません。上記の文章は、経団連(日本経済団体連合会)が今年の年頭に「希望の国、日本」と題して発表したビジョンをアレンジしたもの。内容が、教育基本法に強引に挿入された愛国心を賞揚するものであることは偶然ではありません。なぜなら、このビジョンが掲げる「今後5年間に重点的に講じるべき方策」(※)がすごい。

●新しい教育基本法の理念に基づき、日本の伝統や文化、歴史に関する教育を充実し、国を愛する心や国旗・国歌を大切に思う気持ちを育む。教育現場のみならず、官公庁や企業、スポーツイベントなど、社会のさまざまな場面で日常的に国旗を揚げ、国歌を斉唱し、これを尊重する心を確立する。

……教育基本法の改悪が、さっそくこんな形で具体化されようとしているわけです。さて、それ以上に財界の本音がむき出しになっているのが、今や流行語になりつつある「ホワイトカラー・エグゼンプション」です。次号は、そのネタを。

※経団連会長の名をとってこの長期ビジョンは“御手洗ビジョン”と呼ばれる。御手洗富士夫氏はご存じキヤノンの会長。偽装請負がばれたとき「法律の方が悪い」と開き直った御仁だ。
年末にプリンタを新調したけれど、別メーカーのにしといてよかったか(笑)。

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