事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

王様のレストラン 1皿目(脚本三谷幸喜‘95フジ)

2008-01-31 | テレビ番組

Kings01 人生で起こることは、すべて、皿の上でも起こる。ミッシェル・サラゲッタ


原田禄郎(筒井道隆)は父親の死で突然、フレンチレストラン「ベル・エキップ」のオーナーになった。そこは腹違いの兄・水原範朝(西村雅彦)や、きまったメニューしかできないシェフ、磯野しずか(山口智子)、範朝の愛人三条政子(鈴木京香)たちがただなんとなく働いているだけの“最低”の店だった。 禄郎は傾きかけたレストラン再建のために、かつて父の元で働いていた伝説のギャルソン千石武(松本幸四郎)を呼びよせた。千石は禄郎の熱意に負け、レストラン再建のため、店のスタッフの教育から始める。果たしてベル・エキップは一流の店になれるのか?
95年4月19日~7月5日放送。

このドラマがいかに良くできていたかは、“アンチ三谷幸喜”な人間の多くも、これだけは認めざるをえない、としているあたりでわかる。

三谷幸喜らしさ……日本の演劇界が常に至上のものとしてきた【前衛】を拒否し、ウェルメイドなコメディに執着するその根性、とでもいうか。例えば上に載せたオープニングの箴言(これは第1回目のもの。もちろんミッシェル某なんて人物は存在しない。毎回変わるんだがこれがまた笑える)、確かに気は利いているけれど、実はほとんど何も語ってはいない。でも、客がクスリとでも笑ってくれればそれで結構という潔さは一種の職人が志向するものだし、「職人らしさ」はなぜか日本演劇界では否定され続けていたのだ。ま、このへんは“新劇”なるものの一種の臭みが象徴しているんだろう。

でも、大衆(新劇くせー)が満足する喜劇を、三谷が常に創りだしてきたかはちょっと疑問。なにしろ三谷が書いたテレビドラマで「高視聴率」と胸を張って言えるのは「古畑任三郎」だけなのだ。
以下次号。

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中年のためのロック講座

2008-01-31 | 音楽

Mr_children まず言っておく。ロックは生まれ落ちた時からセックスドラッグと共にあったし、そうあるべきだ。根は、はっきりと不良の音楽なのである。それが人生の応援歌的に“上を向いて”“涙をこらえて”“前に進んで”なーんてポジティブなものにいつの間にか成り果てている。はしりは渡辺美里の「My Revolution」あたりだろうか。ピークはKANかな。♪か・な・ら・ず・最後に愛は勝つぅ♪わけないだろ。

……と、突っぱってみたところで疲れた中年になるとそれなりに癒し(ホントに嫌なフレーズざんす)は欲しくなる。特に、神経がささくれ立っている近頃は、アーティストが歌うその“言葉”に敏感になり、なんか、すがっちゃったり(笑)しているのである。

 たとえばミスチルの「くるみ」。久方ぶりの「Tomorrow Never Knows」パターンの(構成はおどろくほどよく似ている)曲だが、こんな歌詞なのだ。

良かった事だけ思い出して やけに年老いた気持ちになる
とはいえ暮らしの中で 今 動き出そうとしている
歯車のひとつにならなくてはなぁ 
希望の数だけ失望は増える
それでも明日に胸は震える 「どんな事が起こるんだろう?」
想像してみるんだよ

どこかで掛け違えてきて 気が付けば一つ余ったボタン
同じようにして誰かが 持て余したボタンホールに
出会う事で意味が出来たならいい
出会いの数だけ別れは増える それでも希望に胸は震える
十字路に出くわすたび 迷いもするだろうけど

 やるもんですなあ。小脳梗塞だかでひと皮むけたかというような安易な解読はしたくないけれど、こういう詩は桜井の旦那はほんとうにうまい。いくらわたしが中年でも、ボタンとボタンホールの関係をわざわざエッチな意味にとったりはいたしませんて。ちなみにわたしがミスチルのなかで一番好きなのは、「ロードムービー」っていう、別になんてことない曲なんですが。

もうひとつ。鬼束ちひろの「私とワルツを」

不思議な炎に 焼かれているのなら
悲鳴(こえ)を上げて 名前を呼んで
一度だけでも それが最後でも
誰にも傷が付かないようにと
ひとりでなんて踊らないで
そして私とワルツを
どうか私とワルツを

……そこまでリスナーを癒さなくても(笑)。んもうサービス満点である。山形帰りにこの曲をリピートで聴きながら、ほえー!こりゃまさしく中年殺しだとしみじみ。

 ひょっとしたら若い連中にはこのテのサービス精神はうざったいものに感じられるのかもしれない。でも、淋しき中年のことも考えて、少しは我慢してほしいっす。くだらねー歌詞の曲(特に名は秘すがパクリ名人の浜○あゆみとか)や、とんがったロックなら、今でもくさるほどあるじゃないか。それにしたって江崎とし子とか柴田淳とか、変に老成した曲ばっかり聴いている中年って、やっぱり生き物として弱ってんのかなあ。

ま、そんなことを言いながらも、車のなかではMDにたたき込んだ岡村靖幸やYMOのベストを聴きまくっているのですが。ん?こりゃ単に懐メロ親父になってるってだけか。

Chihiroonitsuka

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燃費

2008-01-31 | まち歩き

Golf さて、読者の中に外車に意欲むんむんの人がいるのでゴルフ特集。
突然エンストすることで泣く泣く手放したゴルフⅢにつづいてわたしが購入したのはゴルフⅣ。ひねりねーなー、と揶揄もされたのだが……

 わたしのゴルフには、ちょっと余計な機能がついている。瞬間燃費表示と、平均燃費表示だ。瞬間の方は、名前のとおりそのときそのときの燃費を計算して表示する。平均の方は、スタートしてから(2時間以内のリスタートなら通算)の平均を30㍍ごとに再計算し、容赦なく表示する機能。

 これは、ゲームフリークであるわたしには悪魔の装置だ。毎朝【通勤で燃費10㎞/㍑を超えられるか】ゲームをやっているようなもの。

 実はこのゲームでつくづく思い知らされるのが、ガソリンは走行時にくっているわけではなく、信号待ちなどからの加速時にその大半を消費していること。信号が青に変わり(近ごろ設置され始めたLED信号って見やすい)、よっこらせっとスタート(ゴルフⅢよりも格段に加速はよくなっているが)した時点ではおよそリッター2~3㎞。60㌔走行時にはだいたい18㎞/㍑ぐらい。減速時にアクセルをゆるめると、80㎞/㍑なんてとんでもない数字が出てきたりする。

 半年以上乗ってきて、このクルマの燃費は平均10㌔ってところだろうか。山形との往復は平気で15㌔ぐらいまでのびるが、市街地の学校に通っている以上、まあこれは上出来な方だろう。

 このクルマを買って笑えたのはやっぱり代行のお兄ちゃんたちの反響だ。
「おー、やっと買たがぁ。今度何買うあんでろって会社でしゃべったりしったんやー」
「やっぱりクルマは止まんねなが一番だやのぉ」
まったくでございます。

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THE LAST SAMURAI その3

2008-01-31 | 洋画

Sanada またしても前号繰越

 この映画の時代背景は、士族の反乱が相次いだ明治初頭。渡辺謙演ずる勝元は、維新の原動力となりながらも廃刀令をはじめとした新政府の方針に異を唱え、ために反乱に追い込まれるサムライ……どう考えてもこれは西郷隆盛。反乱は西南戦争。では敵役の近代化擁護論者の大村は誰かと考えれば、そりゃ大久保利通だろう。実際には勝元は「西郷+山岡鉄舟」、大村は「大久保+岩倉具視+木戸孝允(桂小五郎ですな)+岩崎弥太郎(三菱の創始者)」がもとになっているらしい。ついでに言えば明治天皇役の中村七之助は、どう見ても昭和天皇に様子がそっくりである。

 言ってしまえばこのムチャクチャな設定を、しかし何とかまとめたのは二人の日本人だと思う。一人は大村を演じた原田眞人。映画監督として、大好きな「バウンスKoGALS」や「金融腐食列島【呪縛】」などで日本映画らしくないタッチを見せてくれた彼は、前にも告白したように、わたしが誰よりも信用する映画評論家でもあった。「いったいどうやったらこんなに面白く書けるんだ」とまで言われた男である。その彼が、わざわざヘタくそに英語をしゃべり、初めての演技を無難にこなした以上に、ハリウッドにキチンと真田広之(今回も健闘!)などといっしょにもの申してくれたらしい。司馬遼太郎を映画化したいと考えている原田だから、今回のキャスティングはうれしかったに違いない。

Koyuki  そしてもう一人。日本側のキャスティングにあたった奈良橋陽子(ゴダイゴの「ガンダーラ」とか作詞した人ね)。どんなメディアにも出てこないので彼女が今回どんな役割だったか判然としないけれど、斬られ役一筋40数年の福本清三をいちばん泣ける役(たった一言セリフあり。これがまた泣かせる)に押し込むなど、やるもんだ。子役も自然な演技だし(これも驚異)、誰よりもヒロインに小雪を選んでくれただけであたしゃ十分だ。わざわざ気を使わせちゃったなあ(笑)。明治天皇の大口上でドラマをしめくくったり、田原坂をニュージーランドで撮影するという強引さも、だからわたしは許すのである。必見の映画。

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THE LAST SAMURAI その2

2008-01-30 | 洋画

Samurai02  前号繰越。さて、その渡辺謙。ゴールデングローブ賞にノミネートされたし、アカデミー賞の助演男優賞まで狙えるのではないかとまで言われている(残念な結果にはなったが)。さすがに、みごとなサムライぶり。陰鬱な保守主義者の表情だけでなく、そこはかとなくユーモアまで漂わせている。つまり、ハリウッドのなかでも、いつもの渡辺謙なのだ。これは驚異。

 なぜ、そんなことが驚きなのかというと、わたしは「ラストサムライ」を観ながら、また悪い癖が出て別の映画を思い浮かべてしまっていたのだ。日本の俳優がハリウッドのルールに振り回された映画……言うまでもなく「ブラックレイン」(リドリー・スコット監督)である。

 この映画で日本のやくざサトー役を演じた松田優作は、撮影中に膀胱癌が発症していたにもかかわらず、鬼気迫る演技でハリウッドの注目を浴び、世界に羽ばたこうとしたその瞬間に亡くなってしまった……ことになっている。優作のファンであるわたしは、しかし「ブラックレイン」における彼の、エキセントリックに目をむきだし、マイケル・ダグラスを喰ってやろうとした演技を、なんか違うんじゃないかと感じていたのだ。「探偵物語」(テレビの方のヤツね)や「大都会PARTⅡ」で見せた軽い演技こそ彼の本領だから、そっちでやってくれと無理を言うつもりはない。でも、「得体の知れない日本人」を、コンセプト丸出しで熱演する松田優作に、「ああハリウッドはただの怪物が欲しかっただけなのかな」と、少し寂しくも思ったのである。

Sato  優作がミスキャストだったとまで主張するわけではないが、サトー役のオーディションを受けた俳優は4人。松田優作、萩原健一、根津甚八、そして小林薫だった。彼らのこの役に対する情熱はすさまじく、ほとんどテンパった状態でのオーディションになったらしい。しかし、小林薫はわたしの好みではないけれど、ひょっとしたらヤンキーの刑事であるマイケル・ダグラスを、軽く冷笑するサトー像を作り上げてくれたのかも知れないと思ったりもする。そうなっていたら、ハリウッドにおける日本人俳優のポジションも、今とは違った形になっていたのではないかと……

 しかし今回の渡辺謙の「天と地と」の無念を晴らすかのような(実際、彼は白血病で降板したあの映画へのリベンジだと考えていたらしい)好演で、日本が、単にハリウッドに奉仕する市場だけの存在から脱却できるのかもしれない。あ、また続きます

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THE LAST SAMURAI その1

2008-01-30 | 洋画

Thelastsamurai  米軍のイラク攻撃を憂い、自衛隊派遣に異を唱える情宣を午前1時に書記局に送ったその日に「ラストサムライ」。誇りのために無用な戦いに突き進む最後の侍たちの映画。組合の支部長がこんな映画で泣いちゃいけない(笑)、なんて意地を張りながらも、実は3回くらい涙が流れてしまった。

 娯楽映画として、まずは一級品。トム・クルーズについては、俳優として以前に、製作者としてまず優秀だと思っている。いい意味で商売人。ビジネスと芸術性の融合に果敢にチャレンジしているし、くせの強い監督と次々に組み、それなりの成果を上げているんだから、映画人として業界の評価も高いだろう。なにしろ毎日毎日自宅で映画を見まくってるってんだから狂いっぷりも板についている。ニコール・キッドマンを捨て、ペネロペ・クルスに走った経緯から、家庭人として大嫌いという読者もいるようだが。

 そのセンスの良さは、この映画でも十分いかされている。このご時世に、いったい誰がわざわざ自分の金を使って「武士道」なんて得体の知れないものを映画化したいと思うだろう。そして驚くことにこの無謀な試みは質的にも興行的にも成功し、クルーズの名はまた上がることになった。

 それにしてもさすがハリウッド。【開港してまもない横浜の雑踏】こんな脚本にすればわずか1行にすぎないシーンが、やたらに威風堂々とそびえ立つフジヤマのもと、ディテールに徹底的にこだわって大規模に再現されている。サムライたちの集落の日本家屋の完璧さといい、日本の時代劇の箱庭のようなセットに慣れた目からみれば、資本の威力を思い知らされるというもの。だからこそ逆にわずかなミスをあげつらう向きもあるようだけれど、マコやジェームス繁田しか日系の俳優はいないのかっ!と歯がみしていた“変な日本”しか描けなかった時代からみれば、長足の進歩ではないか。インディアンの虐殺(これってベトナムのことも露骨にシンボライズしている)のトラウマに悩む主人公という設定といい、少しは異文化を尊重しようという機運がハリウッドにも定着して……ま、北米に次ぐ巨大なマーケットである日本を無視できない事情もあるんだろうけどさ。 

 さて、話題の渡辺謙なのだが……(長くなりそうだからPARTⅡへ)

※劇中に、未亡人役の小雪と、彼女の夫を殺したトムとのセックスシーンはない。このハリウッド娯楽映画方程式からの意図的な逸脱は正解。

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悪質な行為。

2008-01-30 | ニュース

勝手に昼休みずらし「一杯」、常習の高校教諭懲戒免職

Beer  大阪府立高校の男性教諭(50)が、2年半にわたって勤務時間中に飲酒していたことが分かり、府教委は19日、「公務員の職務専念義務に反し、信用を失う行為」として、懲戒免職にした。
 昼休み中などの飲酒が常習化していたうえ、同僚に見つからないよう、勝手に昼食時間をずらしていたといい、府教委は「あまりに計画的で悪質」とあきれている。
 府教委によると、教諭は園芸科担当。2001年6月ごろ、昼休み中に近くの中華料理店で、昼食を取りながらビールを飲んだが、その際は店内に同僚がいたため、以後は昼休み以外に週1、2回ずつ、午前中の授業の空き時間や午後の授業がない日に同店などで飲酒していた。飲むのはビール大瓶1本と決めており、最近は注文しなくてもビールが出されていたという。
 昨年11月に投書が寄せられ、府教委が調査。教諭は「酒に強い自分にとってビールは酒ではないので、校内でなければ、飲んでもいいと思った。授業前には飲んでおらず、処分は不服だ」と話しているという。
(2004/1/19/23:48 読売新聞)

 これはもう誰が読んでも裏がある事件。飲酒に関して寛容きわまりない日本において、しかもあの大阪で(笑)昼食時にビールを飲んでいたぐらいで懲戒免職だよ。まあ、さまざまな小細工をかましているし、“注文しなくてもビールが出”てくる(笑)ぐらいだから確かに悪質ではあるけど。

 朝日はもっと微細に描写していて、「同僚と目があって(1回目は)飲むのをひかえた」なんてことまで載っている。
 いったいこれ、誰のリークで発覚し、誰がニュースソースになっているんだろう。おそらくは同一人物なんだろうが、こんなに大きな記事になってしまったのは……

・その高校内の人間関係が複雑に入り組んでいて、この教諭が何らかの血祭りにあげられた。ニュースが詳細なのは対立派から数多くのチクリがあったから。
あるいは
・この園芸科の教諭は正真正銘の札付きで、飲酒以外にもあまたの悪行を重ねていたためにこんな始末になった。

……どっちも正解かもしれない。しかし量刑の重さは意外なほどだし、ニュースバリューに比して記事がでかいのは、近年の公務員憎悪が背景にある以上のものが感じられる。肌触りのよくない、いやな記事だ。

Beer2  まあそれにしたって“酒に強い自分にとってビールは酒ではないので”はいいよね。自動車通勤者が少なかった昔は、小中学校にも授業が終われば机の引き出しからポケット瓶を取り出して勤務時間中から口に含むような豪傑も多かったというし(年輩者にいわせると、宿直制度の存在がその辺をルーズにさせていたらしい)、考えてみればフランス人なんかランチでワイン飲んでるじゃん!

……なんていう理屈が通る時代でもなし、か。でもさー、タバコは吸えねー酒も飲めねーじゃあ、学校なんてところがやってられるかってんだよなぁ(笑)。
 さて、半分冗談はともかく(半分は本気かよ)、警告のために唐沢俊一本人提供による飲酒トリビアをどうぞ。

女房を質においても  
  唐沢俊一 2003/10/16 (木) 10:34
・肝臓の代謝能力は、夜に最も大きくなる。朝酒が夜の酒に比べ酔いやすいのはこのため。
・昔の酒はアルコール度数が強くなかったので、酔うにはかなりの量を飲む必要があった。白楽天は、能率的に酔っぱらうために朝酒を勧めている。

身体にもよくなかったんだね。ちなみにわたくし、退職後のモットーはもう決まっています。【午後5時になるまでは、絶対にお酒を飲まないこと】
自信ねー。

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ワンタンメン

2008-01-29 | 食・レシピ

Senryu1  行きつけの本屋の女将(って言い方も変だが)が、バガボンドの新刊でも出ていないかと立ち寄ったわたしにツツツと寄ってきて
「ホリさん!今週号の週刊文春読んだ?」ときいてくる。
「……いいえ。」オヤジ系週刊誌を読む習慣はない。
椎名誠のコラム読んでみれ。ほれ、ほれ」と開いて見せてくれる。
「あれまー」
読んでびっくり。ちょいと引用すると……

 旅人(オレのことだけど)はフト山形県酒田市にさしかかり、とあるラーメン屋に入った。思いがけなく活気のある店であった。そしてその店の壁にはざっと30品目ぐらいの麺料理が書かれており、しかもなんとワンタンメンと書かれている札は店の壁の一番右端の、つまり“一般的大衆料理店の壁の品書き順列右端最優先位置”に煌々かつ粛々と掲げられており、ワンタン関係だけで他に四品目程の家来どもを従えているのであった。
 ん?
 旅人の目が妖しく光ったのはいうまでもない。さっそく「ワンタンメン」を注文したのだが、いやはやこれが絶品なのであった。(略)それまでまったく知識の片鱗もなかったのだが、この酒田というのは隠れたる旨ラーメン地帯で、老舗はたいてい自家製麺。関東のラーメン屋の5~10パーセントにたいして酒田はなんと八割の店が自分のところで麺を打っているのである。(略)酒田が間違いなく日本の、いや世界のワンタンメンの未来を担っている、ということがよくわかったのである。
風まかせ赤マント「ワンタンメン突撃隊」

……ね?ほぼ2ページ酒田のワンタンメンを激賞しまくっているのである。女将の戦略にのって文春を買わされたけれど、どうせ明日になれば職場でオヤジどもが「読んだか文春?」と始めるだろうし、緊急に特集。もう知ってます、と返してやってください。文春のメイン購読者である30~40歳代のサラリーマンにとって、椎名誠は一種のカリスマだし、ひょっとしたら酒田のワンタンメンブームが静かにやってくるかもしれない。それにしても地元の人間がいちばんそのありがたみが分かっていないのかも。その本屋の女将も「いやー実はあたし、その店行たごどなくてー」と脱力することを言ってたぐらいだし。

 あ、肝心のその店とは、市役所近くの「川柳」というラーメン屋です。

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参院選'07をふりかえる。

2008-01-28 | 国際・政治

Abe01 政治ネタはすぐ腐る。
参院選直後にまとめたものをアップ。
以降、さまざまな要因がからみあい、安倍は辞任し、小沢は右往左往し、わけわかんなくなっている。ま、とりあえず2007年7月30日にわたしが何を考えていたかということを……

 自民党40、山形地方区で民主の舟山康江候補の得票は38万……わたしの予想は当たっているようで外れているようで。結果は自民の【歴史的】大敗。37議席。舟山候補の得票は37万。読み違えたのは投票率が思ったより上がらなかったからかな。他県にくらべれば上昇率は圧倒的だったけれど(舟山自身の強さがあったはず)。

 89年の“消費税”選挙と同じように、今回は“年金”選挙と総括されるのかもしれない。しかしちょっと違うと思う。あれは単にきっかけにすぎなかった。だいたい、5000万件という途方もない数字は一朝一夕にできあがるものではないのだし、システムそれ自体がはらむ問題を解決しなければどうにもなるものか。それでは“格差”だろうか。民主党が掲げた“生活”だろうか?それとも憲法改正?まさか

 今回の結果は、民主党が勝ったのではなく、自民党と公明党(この党が負けるのなんて何年ぶりだろう)が単にすっころんだだけだ。みんな何より“うんざり”していたのだろう。このムードが、年金や格差といったキーワードで正当化され、今回の投票行動につながったのだとわたしは考えている。水でふくらんだ風船に針を突き刺したように。そして、この参院選における争点が年金などではないことにいちはやく気づいたのが小沢一郎だったわけで、さすがに選挙に強いオヤジは目のつけどころが違う(問題は彼の、文字どおり心臓だ)。

Sanninnsenn  さて地方区。ウチの学校の連中はつくづくと語っていた。「あの敗戦の弁きいだ?」「あの人が代議士ならねぐでいがったなー」自民党の候補について。敗因の多くが組織にあったと彼女が語ったことをさしている。建前でいいから「自らの不徳の……」と大きなところを見せていればなあ。期日前投票数が彼女の地元、天童市において突出していることから、例によってZ票(創価学会の組織票ね)が動いているんだな、と思ったけれど、結果をみれば舟山票の方が多かったのかもしれない。

 さて、問題は衆院選ということになる。安倍晋三が辞任しないというのは朗報だが(辞意表明もできないくらいの惨敗なわけだ)、みんなこの“うんざり”ムードを、記録的大敗を自民党にくらわせたことで“すっきり”してしまったかもしれないあたりが怖い。器ではない人間にポストを与えるとえらいことになる、と否応なしに学習した安倍晋三が、はたしてどんな内閣を組むのか。まずはそこからチェックだ。

……当たっているようで外れているようで、マジでこれからどうなるんだか。双方ともに失点を重ね、株価は下がり……キーポイントは今こそ年金だとわたしは考えているけれど(ガソリンよりもね)。

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「映画監督 深作欣二」ワイズ出版

2008-01-27 | 本と雑誌

Fukasaku 撮られなかった映画のことを考えてみる。この本は、映画評論家の山根貞男が深作欣二を長時間拘束して自作を語らせたもので、深作の水戸弁が炸裂している。不遇の時代から「仁義なき戦い」を経て、大作路線を走りきった彼の作品歴は確かに興味深いが、しかしその裏面に、数多くの幻の企画があって、これがどう考えても実現した企画よりも面白そうなのだ。

 まずは「仁義なき戦い/完結篇」に、ショーケン松田優作を出演させる案がつぶれている。「考えてみたら惜しいことをした。彼らが出ていたら歴史に残ったろうに」と深作自身が後悔しているが、つぶれた背景には東映京都撮影所の保守性があったろう。その後深作は「傷だらけの天使」(日テレ)で萩原健一と水谷豊を使い、その才能にたまげている。

Fukasaku_2  京都撮影所の保守性は、片岡知恵蔵などを頂点にした強烈な村社会を形作った歴史に代表されているが、今回初めて知ったのだけど、黒澤明が「トラ・トラ・トラ!」を降板(解任され、代理として舛田利雄と深作が日本サイドを演出)したのはこの保守性によるものがあったらしい。夜、突然セットの窓ガラスを木刀で叩き割る黒澤の無念は鬼気迫る。

深作にしても「敦煌」の映画化を最初にオファーされ、主演は真田広之千葉真一で決定していたらしい。佐藤浩市と西田敏行バージョンより面白そうじゃん!

他にも、山田風太郎の明治ものや「実録・共産党」、この書ではふれられていないが「浪人街」など、実現していたら傑作になること間違いなしの企画が次々につぶれている。70~80年代の日本映画の衰退期が彼の全盛期だったことの不幸だろうが、しかしフィルモグラフィーを見れば、これだけの本数を撮ることができただけでも深作は幸せな作家だったといえるかもしれない。あ、それから松坂慶子荻野目慶子との関係については、うっすらとしか語っておりません。ちょっと残念(笑)。

ちなみに、My深作ベスト3は
「仁義なき戦い/広島死闘篇」
「資金源強奪」
「バトル・ロワイヤル」ざんす。

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