事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「ジョーカー」JOKER (2019 WB)

2019-10-17 | 洋画

ジョーカーが煙草に火をつけるシーンがあっただろうか。

ジョーカーが酒を口に含むシーンがあっただろうか。

そして、ジョーカーがいないシーンがひとつでもあっただろうか。

この、祝祭のような作品を見終え、映画館を出てハンドルを握りながら考える。久しぶりに、演出の意図を観客の側が考えなければならない映画の登場だ。

むかしのワーナーのロゴ。画面いっぱいに広がるJOKERのタイトルでスタート。そしておしまいのスタッフロールも昔風のもの。ジョーカー誕生が昔話であり、携帯電話もなく、ビデオデッキが普及し始めた時代が背景なのだと強調されている。80年代初頭?

ということは逆に、これはまさしく現代のお話であり、安心するんじゃないという作り手からのメッセージだ。不寛容で、悪が賞揚される世の中。

批判も理解できる。「タクシードライバー」(狂気の殺人者)「キング・オブ・コメディ」(崇拝者の全否定)「シックス・センス」「羊たちの沈黙」などのエッセンスを寄せ集めただけじゃないかと。確かにそれは否定できないけれども(笑)、チャップリンを意識した動きで“笑わざるをえない”狂った道化師を演じきったホアキン・フェニックスがそれらの批判をすべてなぎ倒していく。

いじめられっ子はいじめっ子を殺してもいいのか、なんて理屈は些末なことだ。共演にロバート・デ・ニーロを迎えたことで作り手(「ハングオーバー!」のトッド・フィリップスが監督で製作がブラッドリー・クーパー)が確信犯であることがわかる。

そもそも、ピエロという存在自体が怖い。江戸川乱歩の諸作やスティーブン・キングの「IT」でわかるように、あのメイクと衣装は恐怖そのもの。あまりに怖いと人間は笑ってしまうように、笑いと恐怖はとても近い感情であり、しかも今回は笑うことが慟哭と同義であるヴィラン(同時にヒーローでもある)を、身体をぎりぎりまでしぼってホアキンは絶妙に演じている。

ジャック・ニコルソンヒース・レジャーと続いた『ジョーカーを演じる=名優』の系譜を軽々とクリア。アカデミー賞確実。今年のマイベストは「グリーンブック」とこれのどっちにしよう。傑作。

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「エージェント・ウルトラ」American Ultra (2015 ライオンズゲート)

2019-10-15 | 洋画

コンビニ(というかしょぼい雑貨店)で働く青年が実はスリーパーで、ある暗号で覚醒し、八面六臂の大活躍……こんな面白そうな映画をどうして見逃していたんだろう……見逃してませんでした。前にちゃーんと見てます。どんだけおれがスリーパーなんだ。

情けないスリーパーにジェシー・アイゼンバーグ、恋人にクリステン・スチュワートとよく考えたら(考えなくても)豪華版。おまけに某作戦の責任者で、暗号をつぶやく女性にコニー・ブリットン。いやー彼女がセクシーでセクシーで。彼女を見たので

「あ、おれ一回これ見たんじゃん」

と気づいたの。さすが、男を覚醒させる女。

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「マレフィセント」Maleficent (2014 ディズニー)

2019-10-10 | 洋画

「伍長、今回は『眠れる森の美女』のリメイク、ということになっている『マレフィセント』です。」

「……“ということになっている”ってあたりにキモがあるんじゃな?」

「そのとおりです。眠れる姫、オーロラをダコタ・ファニングの妹って紹介がすっかりいらなくなったエル・ファニングが演じてるんですけど、でもタイトルからわかるように徹底的にこれはオリジナルでは悪役だった魔女、マレフィセントが主役。演じたアンジェリーナ・ジョリーのために用意された映画でした。」

「製作にもアンジーがかんでるんだから当然とはいえ、戦う女優である彼女の本領発揮だったぞい」

「白馬の王子様がやってきてキスをしてハッピーエンド、って具合にだけは絶対にしないぞって気合いが感じられました」

「幼いマレフィセントと恋に落ちた男がとにかく悪い悪い(笑)。マレフィセントの男性不信がよくわかる」

「アンジーも父親や結婚相手には苦労させられましたからねえ。養子も含めて、子だくさんな彼女にとって、永遠の愛は子どもにしか与えられないってテーマはぴったり。あ、ネタバレ。それはともかく彼女の飛翔シーンはすごかったですね」

「CG云々っていうより、あれはアンジェリーナ・ジョリーの身体の美しさも影響してるぞ絶対。他の俳優と比べればわかるけど(比べるように撮ってある)、モデル体型きわまれりじゃ」

「にしても、いつのまにかアンジーは頬骨が出て人相が変わってしまいました」

「あれはオリジナルのアニメに似せたの!メイクアップがあのリック・ベイカーなんだから、狼男(「ハウリング」「狼男アメリカン」)やゾンビ(スリラーPV)になんないだけよかったんじゃ!」

続篇が楽しみですねえ」

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「アド・アストラ」Ad Astra (2019 20世紀FOX)

2019-09-30 | 洋画

"ad astra"とは意味不明のタイトルだなあ……あ、そうですかラテン語ですか。英語にすれば“to the stars”ですって。星に向かって。しかしラテン語になじんだ方々にとってはPer aspera ad astraというフレーズが有名で、こちらは「困難を克服して栄光をつかむ」という意味らしい。

この映画は、まさしく星の彼方へ向かった2人の男が“何か”をつかむ物語だ。

まあ、こう説明すると血湧き肉躍るお話かと思われそうだが、残念ながらその反対。静謐で、思索的な、はっきり言えばこむずかしい作品です。

その証拠に後ろの方で見ていたじいさんは終わった途端に大あくび。実はわたしも前半は睡魔との戦いでした。だってほとんど動きのない美しい宇宙の描写が延々と続き、展開は何度もくりかえされるブラッド・ピットへの心理チェックによる独白で説明されるだけだ。

このパターン、どこかで見た気がする……「2001年宇宙の旅」じゃないですか。大げさに聞こえるかもしれないけれど、製作も兼ねたブラッド・ピットは、マジであの名作を意識したに違いない。

かつて知的生命体を探しに太陽系の果てに赴いた父親(トミー・リー・ジョーンズ)を尊敬し、しかし憎んでもいるロイ(ブラッド・ピット)は、行方不明となった父親が生きていると告げられ、海王星へ向かう。そこで彼が見たものとは……

このくらいまではストーリーを紹介できるだろうか。監督ジェームズ・グレイはコンラッドの「闇の奥」をヒントにしたというから、つまりは「地獄の黙示録」のフォロワーということになる。

なるほどあの作品でマーロン・ブランドとマーティン・シーンは疑似親子と言えるし、つまりは父殺しの話だったのでオイディプス王物語のベトナム戦争版だ。それでは「アド・アストラ」も父親殺しのお話なのかと言えば……言えねー言えねー。

娯楽映画らしくかなり粉飾もしてあるのでご心配なく。海王星ってそんなに小さいのかよ、とか探査機とそう簡単に再結合でき……こっから先は劇場で確かめて。寝落ちしないように体調がいいときの方がいいと思いますよ。

後半は史上最大規模の親子のお話になりますのでお楽しみに。狂気の継承と、感情をなくした男の復活……ああどう話してもネタバレになってしまう!

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「メリー・ポピンズ リターンズ」Mary Poppins Returns(2018 ディズニー)

2019-09-16 | 洋画

「伍長、今度は『メリー・ポピンズ』の続篇、『メリー・ポピンズ リターンズ』です」

「ちょっと待て。近ごろこの“伍長とその部下”ってやたらに出番が多くないか。ひょっとしてディズニーの映画しか観てないのかあいつ」

「あいつ、って誰ですか」

「根幹を揺るがすような発言をするな。それはともかく、さすがにメリー・ポピンズは見たことあるだろうな」

「……」

「おいおい」

ジュリー・アンドリュースが空から傘もっておりてくるんですよね?んでアニメといっしょに踊るんだ。世界でいちばん長い単語スーパーカリフラジリスティックエクスピアリドーシャス (Supercalifragilisticexpialidocious)とかチム・チム・チェリーとか、断片ではわかるんですけど」

「あきれたもんじゃい………………いや実はまたしてもわしもよく覚えてなくてな」

「まあ伍長の場合はまだらボケですから」

「うっさいわ。でもネットでチェックしたら、オリジナルをかなりリスペクトしたストーリーやキャスティングになっておる」

「脚本はおみごとだと思いました。大砲の使い方とか」

「でも、ロブ・マーシャルが監督したにしては、群舞とかにあまり魅力が……前作に匹敵する曲も見当たらんしのぉ。しかし、じゃ」

「なんですかいきなり。やたらチカラが入ってますけど」

「永遠の優等生ジュリー・アンドリュースがうちにやってくるのはちょっと勘弁してほしいけど、あのエミリー・ブラントがそばにいてくれるとすれば、おれは張りきっちゃうな」

「あー、そういうことだと思いましたよ」

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「ダンボ」Dumbo (2019 ディズニー)

2019-09-13 | 洋画

「伍長、わたくし、この映画を見てとても哀しくなりました」

「そうか……っていうかライオン・キングアラジンに続いてディズニーのたんびにこの『伍長とその部下』シリーズやるのかよ。まあいいや、哀しいってのはなんかわかる。監督ティム・バートン、音楽ダニー・エルフマンの鉄壁の布陣、周到な脚本、有名なピンクの象の行進(アル中の妄想の象徴)まで描いて、予想どおりみごとなハッピーエンド。それでも、哀しいんじゃろ?」

「そうなんです。まあ、オリジナルのアニメがすでにそうなのかは知らないんですけど」

「ちょっと待て。お前、アニメのダンボを見たことないのか?あの名作を」

「いや、あの、よくわかんないんですよね。おぼえてないっていうか」

「あーよかった。実はわしもなんじゃ(笑)。子どものころに親に連れて行ってもらったか、あるいは息子と娘にビデオで見せたような見せてないような……」

「誰だってダンボが空を飛ぶシーンは見た記憶はあるはずだし、お母さんの名前からあの航空機ジャンボの名前がついたってのも有名ですけどね」

「ってことで、あくまでティム・バートンの新作として見てみよう。あいつはディズニーのアニメーターがキャリアのスタートだから、凱旋したってことでもある。」

「いろんなところにバートン印がついてましたよね。」

「ダンボ自身が耳が大きすぎてバカにされてるし、コリン・ファレルも左腕を失っているという“異形のもの”の物語なのはいつもどおり。マイケル・キートン(ビートルジュース)、ダニー・デヴィート(バットマンリターンズ)、エヴァ・グリーン(ミス・ペレグリンと奇妙な子どもたち)とおなじみの役者をそろえて、夢のようなアクションで異形のものの勝利を歌い上げる。でも」

「そうなんです。それでも、哀しいんです。思うに、この映画の動物たちってしゃべらないじゃないですか。サーカスの動物のもの悲しさが露骨に……」

「ラストでそのあたりを払拭するんだけど、それでも一抹のさみしさ哀しさはある。でもそれってティム・バートンの体質じゃないか。あいつの映画で心から笑えるのってほとんどないし。本領を発揮したみごとな作品とも言えるじゃろ」

「(エヴァ・グリーンを見てれば幸せなくせに)」

「なにか言ったか?」

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「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」(2019 SONY)

2019-09-12 | 洋画

決してみんなが楽しめる映画だと断言するつもりはない。でも、見終わって感じたあの多幸感はなんだろう。というか、あのラストを思い出すたびにまだにんまりと笑えるのだ。その秘密はどこに?

クエンティン・タランティーノ9本目の監督作品。自慢じゃないが(自慢だけど)全部観ています。

レザボア・ドッグス」「パルプ・フィクション」などに顕著な“オフビートな会話”から突然の暴力への転調が彼の持ち味。今回はその集大成のような展開で、落ち目のテレビ俳優リックと、その専属スタントマンであるクリフの非建設的なやりとりがとにかく延々とつづく。

それなのにダレないのは、リックがレオナルド・ディカプリオでクリフがブラッド・ピットだからだ。この二人が初共演だったとは意外。まあ、誰でもタランティーノの映画には出たいはずだから実現したのだろう。

ディカプリオが子役の前で泣いてしまう場面や、ヒッピーの集団にひとり立ち向かうブラピのシーンなど、味がありまくり。

わたしはもう若くないので、ハリウッドで起きた“あの事件”のことは承知している。

気鋭(60年代末当時)の映画監督ロマン・ポランスキーの妊娠中の若妻シャロン・テートが、カルト集団であるマンソン・ファミリーによって惨殺された事件。この映画はその殺人をモデルにしているということだけは承知しておいた方がいい。そうでもないとなぜリックの隣にポランスキー夫妻が越してきた設定になっているのか意味不明だろうから。

当時のハリウッドのことを知っていればいるほど楽しめると思う。スティーブ・マックイーンやブルース・リーのそっくりさんが登場して笑わせるし、数多くのジュニア俳優のキャスティングも意図的なものだろう。

シャロン・テートをマーゴット・ロビーにやらせたのは「スーサイド・スクワッド」の美尻演技が影響したんだと勝手に断定。だって今回もカメラは彼女のお尻をひたすら追いかけてます。

タイトルが

「むかしむかし、ハリウッドで……」

というおとぎ話調であることが多幸感の秘密だ。タランティーノにとって、ハリウッドがこうであったらよかったのにという願望の結実。そうだね、わたしも、こんなハリウッドであってほしかったとつくづく思う。

音楽があいかわらず最高。バニラ・ファッジやサイモン&ガーファンクル、そして「ロイ・ビーン」の曲まで使ってますっ!

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ロケットマンふたたび

2019-09-11 | 洋画

Elton John - Grey Seal 1973 (With Lyrics!)

PART1はこちら

「ボヘミアン・ラプソディ」のときに驚いたのは、フレディ・マーキュリーがザンジバル出身だったりゲイだったりに激しくコンプレックスを抱いていることだった。リスナーとして、アーティストが“そんなこと”で悩んでいるなど想像もしなかった。フレディはフレディじゃん、と。

エルトンの闇はもっと深い。彼は子ども時代から父親に愛されたことがないのだ。軍人だった父は、息子をハグすることもなく、レコードコレクションに触れることも許さない。

この愛情欠乏症は、父親が新しい家庭のなかで息子たちを溺愛していることを知ってなお深刻化する。そして、お決まりのゲイ。これまたボヘミアン・ラプソディと同様にスタッフとそういうことになり、同様に裏切られる。なんかもうロックスターの定番ですか。

エルトンを演じたのは「キングスマン」のタロン・エガートン。あの映画でスウェーデンの王女様と×××セックスをしたせいできっと目覚めて……すみません冗談です。

演出は、ブライアン・シンガーが現場から放り出されたあとに「ボヘミアン・ラプソディ」を仕上げたデクスター・フレッチャー。彼はつづいてボーイ・ジョージの伝記映画を撮るんだとか。ゲイ三部作ですか。

エルトンはこの作品のなかでひたすらに作詞のバーニー・トーピンを愛し続け、そして反目する。エルトンはコンプレックスのかたまりだから(ゲイだけでなく、薄毛、ルックスなどに悩んでいたことが察せられる)詞を書くことが出来ず、そんなときに出会ったのが天才&美貌の作詞家なのだから恋い焦がれるのも無理はない。しかしバーニーはノンケだったのである。

少なからず不満だったのは、タロンは健闘しているとはいえ、やはり歌はエルトンで行ってほしかったと思う。あふれる天才が、ついに飽和点に達して「僕の歌は君の歌」ができあがるなどのエピソードももっとほしかったとつくづく。

それだとボヘミアン・ラプソディの二番煎じになっちゃう?けっこうじゃないですか。選曲も、詞でストーリーを語るというコンセプトだから仕方がないとはいえ、どうも納得できない。キキ・ディーとの「恋のデュエット」や「悲しみのバラード」は(わたしは大好きなんだけど)ストーリーに合ってたかなあ。

あ、驚いたのは母親役がブライス・ダラス・ハワードだったこと。去年の「炎の王国」でセクシーなところを見せた彼女が、一転して冷たい母親に……役者やのぉ。

曲は「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード」からライブバージョンの「グレイ・シール」好き。いかにもピアニストがつくったロック。

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「ロケットマン」Rocketman (2019 パラマウント)

2019-09-10 | 洋画

Elton John - Sorry Seems To Be The Hardest Word (Greatest Hits 1970-2002 17/34)

平日の朝イチということもあるけれど、鶴岡まちなかキネマは年配の客が多かった。それはそうだろうと思う。エルトン・ジョンをリアルタイムで聴いていたのって、50年代から60年代に生まれたわたしたちの世代が中心……いや、そうでもないのか。なにかのまちがいで(そうとしか思えない)「キャンドル・イン・ザ・ウィンド」が大ヒットしたのはついこの間のこと(でもないか)。故ダイアナ妃の追悼ソングとして。

年寄りだから言わせてもらうけど、あの曲はマリリン・モンローに捧げられたものだったんだよね。副題はグッバイ・ノーマ・ジーン(モンローの本名)。で、この曲が入っていたのがあの名盤「グッバイ・イエロー・ブリック・ロード(黄昏のレンガ路)」だった。

兄が生きていたときにこの二枚組アルバムを買っていて、おかげで延々と聞き込むことができた。「グレイ・シール」「スィート・ペインテッド・レイディ」「ベニーとジェッツ」(この映画でも使われています)などの名曲や、「ツイストは踊れない」から「土曜の夜は僕の生きがい」への絶妙のつなぎなどのセンスが爆発していて、どう考えても彼のキャリアのベストだったと思う。

で、この伝記映画(というか典型的な楽聖映画でもある)「ロケットマン」は、そのアルバムタイトル曲のピアノバージョンでスタート。ど派手なステージ衣装(翼の折れた天使を象徴)を着たエルトンは、沈鬱な表情を浮かべた連中の輪の中へ。

なんとこのミーティングはAAだったのである。AA……アルコホーリクス・アノニマス(Alcoholics Anonymous)とは、アルコール依存症脱却をめざした自助グループのこと。

えーと、「ファインディング・ニモ」で、サメたちが変な集会をやってたのをおぼえている人もいると思う。あれです。自分の過去や欲求をあからさまにすることで依存症を抜け出そうという試み。元アル中探偵マット・スカダーもお世話になっていました。

エルトンはアル中だけではなく、ドラッグ、セックス、買い物など、依存症のかたまりであることを告白。彼の人生がこうやって語られていく……以下次号。 

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「アラジン」 Aladdin (2019 ディズニー)

2019-08-21 | 洋画

「伍長!」

「またやるのか。今度はなんだ?」

「鶴岡まちなかキネマで自分でハシゴしておいてとぼけないでくださいよ。次は大ヒット『アラジン』じゃないですか」

「まさか興行成績が日本で100億突破とは予想しなかったぞい。おそらくディズニーの日本支社だって想像もしていなかったと思う」

「なにがよかったんでしょう」

「主演のウィル・スミスを予告篇でもあまり見せなかったのがよかったんじゃないかな。ほんのちょっとだけ“Showtime!”って言うだけなのは周到だと思った。彼の興行価値はいま微妙なところだし」

「この10年ほど、キャリアは迷走しっぱなしでしたからね」

「それがこのランプの魔人ジーニー役はぴったり。アラジンに恋愛指南しながら、自分もちゃっかり王女の侍女といい仲になるあたりの図々しさがいい。あ、それから今回もライオン・キングにつづいてアニメ版は見てないから」

「あーそうですか」

「ゲームはちょっとやったけど、これがつまんないんだ(笑)。まあ、ジャッキー・チェン活劇をいただいたアクションシーンはよかったな。魔法の絨毯の飛翔は今ひとつだったけど。全体に画面が弾んでいたのは、なにしろ監督がスナッチのガイ・リッチーだったからじゃろ。」

「ああ、マドンナの元亭主ですよね」

「その言われ方はいやだろうなあきっと(笑)。シャーロック・ホームズのような大作でも彼特有のユーモアとリズムは健在。吹替も山寺宏一大先生だから面白かった。にしても、ヒロイン役のフェリシティ・ジョーンズは働くのお」

「あの、伍長。彼女はフェリシティ・ジョーンズじゃないです。ナオミ・スコットっていう、英印のハーフです」

「ええええっ」

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