事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

「がんばれ!ベアーズ」The Bad News Bears(1976 パラマウント)

2020-11-20 | 洋画

黒人、ユダヤ人、メキシカン、不良、そして女の子まで参加する寄せ集め少年(少女)野球チーム。プールの清掃人として酒に溺れる中年男は、マイナーリーグにいた過去を買われて監督に雇われる……

ほぼ四十年ぶりに再見。最初に見たときも、子どもたちの物語であると同時に中年の再生物語であることはもちろん気づいていたけれども、ここまで周到な話だったとは。

監督を演じたのはウォルター・マッソー。運転席でバドワイザーを開けるのはもちろん、そこに強い酒を加えるあたりの小技がうれしい。だから彼はバターメイカーという名なのに、昔の彼女の娘であるテイタム・オニールからボイラーメイカー(ビールとウィスキーのカクテル)と呼ばれたりする。

選手を徹底的にしごき上げるライバルチームのコーチはヴィック・モロー。今ではジェニファー・ジェイソン・リーのお父さんと言った方が通りがよさそう。そんなモローとゆるいマッソーを対比して……という単純な図式ではなく、マッソーもまた勝つことに執着するようになるあたりがうまい。おれはルーザーじゃないぞという意地。しかし子どもたちの顔を見て……

テイタム・オニールが例によって妙になまめかしいのがおかしい。

「もうすぐブラをつける年ごろなのよ!」

あははは。

監督はロバート・レッドフォードと組んで「白銀のレーサー」「候補者ビル・マッケイ」を撮ったマイケル・リッチー。そして脚本はビル・ランカスター。なんとバート・ランカスターの次男です。

1976年の作品。小さな役の女性キャストが、露骨にノーブラであるあたり、70年代だなあとしみじみ。あれ?おれはなんで今回はブラジャーにこだわっているんだろう。

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「特捜部Q カルテ番号64」Journal64(2018 カルチュア・パブリッシャーズ)

2020-11-02 | 洋画

おなじみの未解決事件特捜部のお話。原作映画もこの第四作が大ヒット。特に映画はデンマークの歴代興行収入記録を塗り替えている。ええええっ、シリーズ屈指の不道徳な事件を向こうの観客は大喜びで観たってことかあ。

素行や知能に問題のある娘たちを、強制的にある島に収容する施策が国家によって行われていたという驚愕の実話がもとになっている。一種の女囚ものともいえる。もちろん同性愛や強姦などもはっきりと描かれる。

ハリウッドコードでは確実にカットされるであろう描写の数々。加えて、ミステリとしてのひねり、カールとアサドの友情など、てんこ盛りの内容。シリーズ全部ディスカスにそろってるのかな。見なくっちゃ。

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今月の名言2020年10月号PART1 アウト・オブ・サイト

2020-10-28 | 洋画

2020年9月号PART2「いつものあの人」はこちら

「スティーブンは2、3作でコケたところだったし、僕も『バットマン&ロビン』の後だったから2人とも成功を必要としていたんだ。ある意味追い詰められていたと言える」

……ジョージ・クルーニーにもきつい時期があったわけだ。

このスティーブンはスピルバーグではなくてソダーバーグ。彼と組んだ「アウト・オブ・サイト」がふたりをいっきに調子づかせた。

うわーよかった。あまり評判にならなかったのかと思っていたあの映画のことがわたしは大好きだったの。異様な濃密さがすばらしいのでぜひ。原作がエルモア・レナードなんだから面白いに決まってますが。ジェニファー・ロペスが匂うように美しいっす。意外なことに(笑)。

PART2「アンヌ隊員再臨」につづく

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「ウトヤ島、7月22日」Utøya 22. juli (2018 東京テアトル)

2020-10-27 | 洋画

事件は2011年7月22日、ノルウェーのオスロと、その近郊にあるウトヤ島で起こった。

まず犯人はオスロの行政庁舎に爆弾を仕掛け、複数回爆発させている(ニュース映像が挿入される)。そして近海に浮かぶ小島ウトヤにボートで移動。警官の服を着た犯人は、テロ捜査を名目に当時その島で行われていた労働党青年部の集会に参加していた若者を整列させ、銃を乱射し始める……

単独犯であること、ニセ警官であったこと、イスラム原理主義者ではなく、極右キリスト教原理主義者であったことはのちにわかったことで、若者たちはひたすらに混乱する。銃撃は72分間に及び、この映画はワンカットで再現している。

ホテル・ムンバイ」におけるホテル内の追いかけっこ&かくれんぼも怖かったが、こちらも相当なものだ。犯人の姿を一瞬しか見せないあたり、ポン・ジュノの「殺人の追憶」を意識したのかもしれない。にしても効率的な殺人である。「八つ墓村」のモデルとなった津山三十人殺しの倍以上を、極めて短時間に殺しているのだ。

このウトヤ島がノルウェー労働党の所有であり、だから32才の極右の青年にとっては、左がかったろくでもない連中の集会に見えたのだろう。主役のカヤの夢が、国会議員になることという設定もそれを後押ししている。

犯人が嫌った多民族による多様な文化を体現するように、集会には多様な人種が参加していて、アルカイダへの態度などで真摯な論戦が始まるなど、77名の死者たちはノルウェーの未来に大きな貢献をしてくれるはずだったのに。

監督のエリック・ポッペは、ほぼすべてをカヤの視点で描いて観客をかくれんぼに参加させる。エンディングは苦く、ホテル・ムンバイ同様に、この作品もまた善人が生き残るような簡単なつくりにはしていない。これもまた、現実なのか。

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「X-MEN ダーク・フェニックス」Dark Phoenix(2019 20世紀FOX)

2020-10-10 | 洋画

製作の20世紀FOXがディズニーに吸収されたこと以前に、ジェームズ・マカヴォイマイケル・ファスベンダーが主役をはるX-MENはきっとこれが最後。だって、それはもうとんでもなくコケてしまったから。うーん、好きなシリーズなんだけどな。全部見てるし。

スピンオフのウルヴァリンをのぞけば、このシリーズのキャラでいちばん好きなのはジーン・グレイかな。本人もまわりも彼女のパワーだけは制御不能で、だからこそドラマたりえたわけだし。まあ、正直なことを言えば旧シリーズのファムケ・ヤンセンの大ファンだったってことなんですけど(笑)

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「ホテル・ムンバイ」Hotel Mumbai(2019 GAGA)

2020-10-03 | 洋画

2008年にインドのムンバイで実際に起こったイスラム過激派による(とされる)テロを再現。そのありようは安上がりの9.11とでも形容できそう。同時多発である。

ボートでムンバイに上陸したテロリストたち。携帯電話で首謀者の指示を受けながら、駅、レストランなどに散開し、機関銃や手榴弾で殺戮を開始する。

このあたりの演出がクールですばらしい。残酷な描写が続くのでR15+は当然だろう。

主人公は五つ星のタージマハール・ホテルに勤務するアルジュン。演じているのは「スラムドッグ・ミリオネア」で泣かせてくれたデーヴ・パテールだ。

念入りにターバンを巻くシーンから登場。彼はシーク教徒であり、ターバン着用は戒律上の義務なのである。そしてこのターバンがストーリーに再三からんでくる。周到な脚本。アルジュンは娘と臨月の妻を愛する家庭人。出勤のときに靴を忘れてしまい、この設定もあとから活きてくる。ダイ・ハードのマクレーン刑事の引用。

最初の殺戮を終えたテロリストたちは、次の標的のタージマハール・ホテルに移動。ここから、史上最悪のかくれんぼ&鬼ごっこが始まる。登場人物が善人か悪人かにかかわらず、あっさりと殺されていく描写が怖い。

犯人たちが少年であることがやるせない。彼らはイスラムの教義を信じ、首謀者に私淑している。だが、やり取りのなかから、首謀者が少年たちを使い捨てにしていることが観客に提示される。

少年たちは極度の興奮状態のなかでロビーや客室の従業員や宿泊客を屠っていく。特に外国人が標的になっていて、いかにもアメリカ人のデビッド(「J.エドガー」「ローン・レンジャー」のアーミー・ハマー)は、部屋に残った娘とベビーシッターのために……

そしてホテルマンたちは、自身を犠牲にしてゲストを守る。職業人としての誇りがラストで結実。まさかと思いましたがこのスリラーでわたしは感動すらしてしまいました。傑作です。ぜひ。

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「TENET テネット」(2020 WB)

2020-09-26 | 洋画

夕方のニュース番組は、各局それぞれに固定客がついているようだけど、わたしは絶対にTBSのNスタを選択する。

ホラン千秋が好きだからだろって?何をおっしゃい増位山(すみません、町田康を読み終えたばかりなので影響されまくり)、メインキャスターの井上貴博(独身)とお天気キャスターの森田正光さんのかけ合いもいいし、なによりあの意味不明の、そして泉ピン子が出ていることにまったく気づかなかったエネワンのCMも毎日流れるぞ……

いやそんなことではなかった。サブキャスターとして山内あゆさんが出ているからなのだ。わたし、ファンなんです。

とかいいながら彼女がベトナムとのハーフだって知りませんでしたけど。そして彼女はかつて「うたばん」に出て、回文が得意だと鼻高々だったのに、石橋から「なにそれ?」とつっこまれてかわいそうでした。

「YO EXILE いざ 食えよ」(ヨ エグザイル イザ クエヨ)

傑作だけどなあ(笑)。

おいおいテネットの話になんないじゃないかって?これはもうねえ、観てもらうしかないんですよ。大傑作なんだけど、ストーリーが入り組んでいてよくわからないという人もいるみたい。そこで大ヒントを。実はタイトルにしっかり仕込んであったんです。

「TENET」

右から読んでも左から読んでもTENET(この作品では“主義”と訳されている)。回文になっています

その右からスタートと左からスタートが交差する地点で……これ以上はなにも申しますまい。CGをほとんど使わず(あの、飛行機を倉庫に激突させるシーンも本物)、主人公(デンゼル・ワシントンの息子なんですって)に名前を与えず、ヒロインの背の高さ(191センチ!)を活かした展開と、ブルース・リーのあれとかアラン・ドロンのあれとかハンフリー・ボガートのあれとかを引用した大娯楽作。

最初のオペラハウスのシーンから息もつかせずラストまで。面白かったあ。スパイアクションの極北かも。クリストファー・ノーランはやはりただ者じゃない。ぜひぜひ。

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ミッドウェイふたたび。

2020-09-23 | 洋画

PART1はこちら

のっけに「キノフィルムズ」と出たのでスクリーンを間違えたのかと思いました。木下工務店グループって洋画の配給にも手を出したのか。

製作はサミット。準メジャーといったところ。予算を食いまくるであろう戦争映画は単体ではしんどかったのか、中国資本など多数の会社が出資してできあがった作品なのがオープニングだけで明らかに。大変だったんだろうなあ。

こちらのニミッツ(♪いざ来いニミッツ、マッカーサー♪の人ね)はウディ・ハレルソン。「ゾンビランド」「ラリー・フリント」「猿の惑星:聖戦記」などで奇矯な役がお得意だったけれど(なにしろお父さんが殺し屋だったってのがすごい)、近年は「LBJ」でジョンソン大統領も演じているのではまったキャスティング。

ハルゼー中将はデニス・クエイド、ドゥーリトル中佐にアーロン・エッカートと渋いところをそろえている。


日本側も周到だ。山本五十六豊川悦司、山口多聞に浅野忠信、そして南雲中将に國村隼である。それぞれ、外国映画で実績を積んでいることと演技力でオファーされたのだろう。

この日本のキャストでわかるように、2019年版の取り柄は敗軍である日本側のこともきちんと描写してあること。

ミッドウェイ海戦における南雲中将の有名なミスについても、序盤に

「あの人はもう一度失敗する」

(真珠湾攻撃が不徹底だったことから)と浅野忠信に言わせているなど、考えた脚本だ。まあ、ちょいと不自然な描写もあるけれど(走る昭和天皇、なんて日本映画ではまずアウトだろ)、満足できる展開でした。そのあたりがマイケル・ベイの「パール・ハーバー」との大きな違い。

監督のローランド・エメリッヒはドイツ人なので、アメリカへの愛憎は複雑なものがあるのだろう。その点もこの映画に幸いした。それに、この人はとにかく破壊するのが大好きなので、ドッグファイトや空母への攻撃などを祝祭のように撮っていて、建前としての反戦なんて毛ほども感じさせない。でも見終わってこれだけは伝わった。

戦争って、つくづくめんどくせーと。

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「ミッドウェイ」Midway (2019 キノフィルムズ)

2020-09-22 | 洋画

自分にとってどんな事情があっても必ず見なければいけなかった「島にて」をのぞけば、マジで半年ぶりの映画館。さすがにもう我慢できない。もちろん選んだのは期待作「テネット」……ではなくて「ミッドウェイ」でした。

どうやら興行成績がふるわないらしく、朝イチと夜興行しか行われないみたいだから、急いで観ておかないと。

いくら歴史知らずとはいえ、ミッドウェイ海戦のことはさすがにある程度承知している。「聯合艦隊司令長官 山本五十六」はまだ記憶に新しいところだし、1976年のユニバーサル製作の「ミッドウェイ」もリアルタイムで観ています。

まず1976年版からふれておきましょう。その年、配給会社のCIC(パラマウントとユニバーサルの映画を担当)は、「JAWSとミッドウェイで配給収入100億をめざす」と豪語していました。あ、配給収入と興行収入というのは意味が違ってですね、配給収入の100億というのは興収でいえばおよそ200億に相当します。かなりの自信。

わたしは酒田の高名な映画館グリーンハウスで観たんだけど……うーん、なんだかなあと。戦時の記録映画の映像を挿入して臨場感が、とかいう話だったし、「大地震」でも使ったセンサラウンドも使用する勝負作、のはずだったのに。

いやキャストはすごいんですよ。山本五十六に三船敏郎、ニミッツ大将はヘンリー・フォンダ、他にグレン・フォードやロバート・ミッチャム、ジェームズ・コバーン、そして主役がなにしろチャールトン・ヘストンですから大作感ありあり。

でもねえ、記録映像を使ったのは安上がりにすませるため、というのは他の戦争映画(「トラ・トラ・トラ!」「太平洋の嵐」)から戦闘シーンを借用しまくりだったことでわかる。実際の製作費は公称の半分程度だと後にバラされていました。

テレビが主戦場だった職人監督ジャック・スマイトの起用も製作費がらみだったかもしれない。まあ、「トラ・トラ・トラ!」のように黒澤天皇を起用して大混乱になるよりは、ということだったかも。それでは同じく製作費をきっちり守る職人監督として有名なローランド・エメリッヒが監督した2019年版はどうだったか。以下次号

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「スノー・ロワイヤル」Cold Pursuit (2019 サミット=KADOKAWA)

2020-09-17 | 洋画

名優の雰囲気がありながら、いつの間にかアクションスターになっていたリーアム・ニーソン。なんといっても「96時間」がそのイメージを決定づけた。リュック・ベッソンのせいだ。(笑)

この映画の予告編もそのイメージを踏襲していて、ついにカーチェイスに除雪車が使われるようになったかと。うん、リーアム・ニーソンには確かにディーゼルエンジンが似合うものなあ……なんてことを考えてレンタル。暑いさなかに見るのに最適では?

ちょっと、というか全然そういうタイプの作品ではありませんでした。

まず、除雪車アクションのワンアイデアで押すには2時間という上映時間はあまりに長い。しかも、次第に姿を現す除雪車を追うカメラの動きも渋い。あれ、これひょっとしてB級アクション映画じゃないんじゃない?

いやテイストとしてのB級っぽさは、ほどよく残ってはいる。死体の後始末の方法など、なるほどーと納得。人が死ぬたびに画面に十字架が登場するあたりのバカバカしさもいい。

ところが、それ以上に演出のオフビートさが最高なのだ。この感じ、どっかで見たおぼえがあるぞ……そう、クエンティン・タランティーノやガイ・リッチーのタッチなの。ギャングにみんなニックネームがついているあたりは「レザボア・ドッグス」だし、きわどい場面で軽口をやめないあたりは「スナッチ」だよね。使用曲がプリテンダーズの「2000マイル」だもんなあ、音楽の趣味もいい感じ。

モーテルのメイドを20ドルでナンパする方法で笑わせ、その色男がどう死ぬかでまた笑わせる。もちろん残虐なシーンが連続するのでR指定だろうけど、この映画を見逃すなんてもったいない。ぜひぜひぜひ。

監督はこの作品の元ネタになったノルウェー映画「ファインディング・ダディ 怒りの除雪車」(なんて邦題だ)を撮ったハンス・ペテル・モランド。そうかセルフリメイクだったのか。この人は「特捜部Q」も撮って大ヒットさせてもいるらしい。見なきゃ!

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