事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

史劇を愉しむ その37章「サムソンとデリラ」SAMSON AND DELILAH(1996)

2024-08-24 | 洋画

第36章「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」はこちら

こんな映画があったのか、と思ったらテレビ用でした。

でもデニス・ホッパーが出ているし監督はなんとニコラス・ローグ(「地球に落ちてきた男」「赤い影」)。デリラを演じるのはエリザベス・ハーレイだから文句なしの美女。でも、わたしがこれをレンタルしたのは、「サムソンとデリラ」ってどんなお話だか知りたかったから(笑)。キリスト者にとっては旧約聖書のお話だからなじみ深いんでしょうけどねえ。

怪力のサムソンはデリラによってその力を失うが……という、いわゆるむかし話ですね。神のお告げで、絶対に髪を切ってはいけないとされているのに、デリラの誘惑によって切られてしまうあたりのおまぬけさは愛らしい。武器が青銅器から鉄へと変わる時期というあたりも面白い。

もっとも、ユダヤ人をいじめるペリシテ人たちが使う鉄器よりも、サムソンの怪力が勝る展開はいかにもいかにも。偶像崇拝とか神の奇跡とか、おなじみのユダヤ噺でもあります。

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「MISS.トランスポーター」Night Train(2023 劇場未公開)

2024-08-22 | 洋画

なんかもう、いかにも安手なタイトルだし、きっとワイルドスピードが好きな連中に向けてつくられた便乗企画だろうと思ったら、走り屋のシングルマザーと、彼女を追う女性捜査官のどちらにも苦い背景がしっかり描かれていて見ごたえがあった。

どでかいSUVが爆走する画はやっぱり気持ちいい。食わず嫌いはやめてワイルドスピード観てみようかしら。きっと見ない。

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「ジョン・ウィック:コンセクエンス」John Wick: Chapter 4(2023 ライオンズゲート)

2024-08-14 | 洋画

パラベラムはこちら

2時間50分という上映時間は、このタイプの娯楽映画としては破格に長い。しかし、その長さを感じさせないくらいに濃密なつくりになっている。というかこのシリーズ、どんどんよくなっているし、興行成績も右肩上がりだ。

組織の掟を破ったために孤高の戦いを続けるジョン。例によって相手の武器を利用したアクションなど、みごとなものだ。

今回の特徴は、盲目の剣の達人の存在だ。ブラインド・スウォーズマンといえばわれらが座頭市をいただいているのが見え見え。目が見えないからこその工夫も満載で楽しめます。演じたのは香港のドニー・イェン。いい感じだ。

今回で完結?なはずは絶対にない。にしても真田広之はかっこいい!

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「ウォンカとチョコレート工場のはじまり」Wonka(2023 WB)

2024-08-10 | 洋画

チャーリーとチョコレート工場」の前日譚。工場主だったジョニー・デップの若き頃。あの作品の大ヒットはちょっと驚くほどだった。

ジョニデの人気はもちろんあったろう。ティム・バートンの演出も華麗でユーモアたっぷりだった。スキーのシーンは素晴らしかったなあ。ロアルド・ダールの原作は、しかし英語圏でしかメジャーではなかったはずなのに(でもいまの若い人たちは大好きなのかな)。

さて今回はダールの遺族の了解をとりつけたオリジナル・ストーリー。ウォンカを演ずるのは「デューン/砂の惑星」のティモシー・シャラメ。この人はコメディもいけるんだ。

華麗な絵作りもあって今回も予想以上に面白かった。神父役でローワン・アトキンソンが出てきたのには笑ったが、なんといってもウンバルンバ役があの人なのには爆笑させていただきました。

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「エルヴィス」Elvis(2022 WB)

2024-07-31 | 洋画

エルヴィス・プレスリーの半生を描いた映画。大佐と呼ばれるマネージャーに搾取され続けるお話でもある。なんか近ごろの音楽スター実録ものの典型ですね。彼の大ファンだった湯川れい子さん(うーん、いちばんわかりやすいのはラッツ&スターの諸作の作詞家。わたしにとっては全米トップ40の人)が見てどう思ったろうか。彼女はマイケル・ジャクソンのハートブレイク・ホテルというタイトルにも異見を発していたのだった。

ついでに言うと、ジョン・レノンの曲がナンバーワンになれなかったとき(その時の1位はブロンディの「Tide is high」だったと思う)「これは残念よね」いいんですかトップ40の人なのに。

数多くのヒット曲をもつエルヴィスのことだから、それだけでも心浮き立つ作品になるはずだった。だけどそういう映画には監督のバズ・ラーマンはしたくなかったわけだ。ちょっと装飾過多な部分もあり、そのあたりもバズ・ラーマンらしいところか。

大佐を演じたのはトム・ハンクス。気持ちよさそうに悪人であり、同時に悲劇の人であるあたりの複雑さを見せつけてくれる。

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史劇を愉しむ その36章「マーガレット・サッチャー 鉄の女の涙」The Iron Lady(2011 ギャガ)

2024-06-24 | 洋画

その35章「リトル・ブッダ」はこちら

サッチャーのお話を史劇として取り扱うのかは微妙。でもわたしは歴史のなかに押し込めたい。

数々の主演女優賞をメリル・ストリープにもたらした作品だが、わたしは敬遠していた。だってあのサッチャーの伝記映画なのである。嫌いだったなあ。

80年代のロン(ロナルド・レーガン)、ヤス(中曾根康弘)、サッチャーの新自由主義トリオに、世間の支持はあつまったけれども、わたしはいいかげんにしてほしいと思っていた。

さてこの映画は、ひとりの老婆が食料品店を訪れるシーンから始まる。もちろんサッチャーである。メリル・ストリープの老け演技が徹底していて、おそらくは身体の動かし方をかなり研究したのだろう。

彼女は少し認知が入っていて、すでに亡くなっている夫の姿が見え、会話もしている。サッチャーのまわりはそのことに不安を募らせている。そしてサッチャーの回想がはじまる。

まだ女性が政治家をめざすことに偏見があった時代。同時に、食料品店の娘である平民が政治を行うことへの偏見もまだあった時代。マーガレットはまわりの女性たちから嘲笑されながらも勉強に打ち込み、オックスフォードを卒業する。しかし最初の選挙では落選する。

そこに登場したのが、のちの夫である実業家デニス・サッチャーだった。

「実業家の妻として立候補すれば、当選できるよ」

そんな時代だったわけだ。

彼女が首相になって以来、その苛烈な政策によって労働者たちの生活は困窮し、次第に支持を失っていく。

そこで起こったのがフォークランド紛争だった。はっきりとアルゼンチンとの間の戦争なのだが、強硬策をとって勝利したサッチャーの人気は回復する。そういうことだったわけだ。

人間としての弱さも見せてメリル・ストリープの演技はやはりすばらしい。でもね、わたしがサッチャー嫌いであることは変わらないのでした。

第37章「サムソンとデリラ」につづく

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「355」The 355(2022 ユニバーサル)

2024-06-12 | 洋画

どうやらこのタイトルでスリーファイブファイブと読むらしいです。まあ、気にせずサンゴーゴですよね。実在の女性スパイの名に由来しているらしい。

ジェシカ・チャスティンダイアン・クルーガーペネロペ・クルス、ルピタ・ニョンゴ、ファン・ビンビンと、よくぞこれだけ特徴的な美女たちを集めたよなあ。で、アクションもみんなキレキレなのである。

一種のフェミニズム映画で、ジェームズ・ボンドへの言及もあるスパイ映画でもある。ジェシカ・チャスティンが製作も兼ねている。意識的な人だもんね。

要するに男たちは彼女たちに倒されるために登場するシンプルな構図。わたしは好きな映画だが、批評はボロクソだったらしい(笑)

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ヘアーの不毛 その17「ニンフォマニアック」Nymphomaniac(2014 ブロードメディア)

2024-06-08 | 洋画

その16「バビロン」はこちら

出た。その前のプレタポルテ特集が公序良俗に違反しているのではないかとgooで協議中とか。ブログではもう表示されないけど。

※現在この記事の一部にサイト運営にふさわしくない言葉・表現が含まれている可能性がある為、又はこの記事に対してプロバイダ責任制限法等の関連法令の適用がなされている為、アクセスすることができません。

あのファッションモデルをすべて(ヘアーも含めて)全裸にしたロバート・アルトマンの仕掛けが今も有効なんだ。大好きなアルトマンを少しは応援できたかも。わたしのブログが公序良俗に反していないはずがないでしょ。

さて「ニンフォマニアック」そんな上っ面な“検閲”を鼻で笑っています。

まったく何の予備知識もなしにレンタル。すんごくエッチな映画みたいだったから。んー主役のこの女性はシャルロット・ゲンズブールに似ているなあと思ったら本人だった。

それ以外にも、DUNEなどでおなじみのステラン・スカルスガルド、ウイリアム・デフォー、ユマ・サーマン、クリスチャン・スレーターなどの豪華キャスト。そして監督は「ダンサー・イン・ザ・ダーク」のラース・フォン・トリアーだったのである。

エッチではあるけれども、アート系の作品でもあったのです。しかし描写はあからさま。ヘアーどころか……鬱三部作のひとつと言われているけれど……うん、確かにセックスは陰鬱な行動かも。

 

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「特攻サンダーボルト作戦」Raid on Entebbe(1977 日本ヘラルド)

2024-06-07 | 洋画

1976年に起こったパレスチナゲリラによるハイジャックと、彼らを殲滅し、多くのイスラエル人の人質を救出したウガンダのエンテベ空港におけるイスラエル軍大勝利の実話の映画化。もうひとつ「エンテベの勝利」というのも作られたんだけどひどい出来でした。ユダヤのチカラかしら。

でもこちらはスターウォーズの「帝国の逆襲」を撮ったアービン・カーシュナーが監督なのでそれなりに見せる。ウガンダが舞台だからアミン大統領が陽気に登場するあたり、実話なのに映画的。にしても、パレスチナとイスラエルがまたしても微妙な時期に、イスラエル礼賛の映画を選択するわたしって……

チャールズ・ブロンソン、ピーター・フィンチ、マーティン・バルサム、ヤフェット・コットー(もちろんアミン役)、そして若き日のジェームズ・ウッズなど、やけに豪華な出演陣なのでした。

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「わたしを離さないで」Never Let Me Go(2010 FOXサーチライト)

2024-05-28 | 洋画

高名なカズオ・イシグロの小説を映画化。日本でもドラマ化されたので肝心のところを知っている人も多いでしょうが、ネタバレはなしでいきます。

ある技術によって人間の平均寿命が100才を越えた世界。イギリスの田舎に古めかしい学校がある。厳格な校長(シャーロット・ランプリング)は生徒たちに

「あなたたちは絶対にタバコを吸ってはいけない」

「あなたたちは特別だ」

と告げる。しかし新任のルーシー先生(「シェイプ・オブ・ウォーター」で脱ぎまくったサリー・ホーキンス)は生徒たちに冷厳な事実を告げ、解雇される……このあたりで観客にはこの学校の秘密が明かされるが、この設定の哀切さは主演の三人の堅実な演技によってストレートに伝わってくる。

キャリー・マリガンアンドリュー・ガーフィールドキーラ・ナイトレイの恋愛模様もまた、この“設定”だから胸を打つ。それにしてもあからさまなくらいにイギリスらしい風景が徹底的に描かれ、息詰まるほどだ。

ある理由で、ヒロインがポルノ雑誌を見つめているあたりの仕掛けも泣かせる。素晴らしかった。

 

コメント (2)
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