事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

劇場版ポケットモンスター/アドバンスジェネレーション

2008-03-06 | アニメ・コミック・ゲーム

Pokemon01 ……読み返したら2004年当時のゲーム業界、特にハードの盛衰の記録になっている。そのつもりで懐かしく読んでね。

 映画をさしおいてゲーム業界のお話を一席。現在この業界が三つの勢力に分かれていることはご存知のとおり。

プレイステーション(PS)を擁してシェアトップをぶっちぎるSONY。
・ゲームキューブ(GC)が苦戦するものの携帯ゲーム機ではゲームボーイアドバンスが独壇場の任天堂。
・オンラインで一発逆転を図るX-Boxのマイクロソフト。

 それぞれのハードにはオタクなファンがついており、それぞれが罵倒しあっている。ハードの盛衰はどれだけ面白いソフトを提供できるかにかかっているが、サードパーティとよばれるソフト専業メーカーの分捕り合戦が水面下で続いており、ハードから撤退したセガなどはその代表格と言われている。しばらくはドラクエFF(ファイナルファンタジー)を提供するPS陣営の優位は動かないだろうし、ひょっとしたらSCE(ソニー・コンピュータ・エンタテインメント)社長の久多良木は、ソニー本体の次期社長とまで噂されている。

 問題は任天堂。コアなファンはついているものの、問屋などとの関係が今ひとつ不透明で、このあたりは花札メーカーの匂いをまだまだ残している。そして、マリオ、ゼルダ、ポケモンという強力なソフトを抱えながら、そのクリエイターをきちんと遇しているという話が聞こえてこないのだ。たとえばこのポケモン。田尻智という天才が創りあげたものだが、彼がはたして長者番付に載っただろうか。もちろん金だけで計れるものではないけれど、青色レーザーの例をひくまでもなく、ゲームクリエイターがいくら世間知らずとはいえ、いつか造反されるのではないかという危惧を任天堂が持っているのか。この業界、やっぱり目が離せないのである。今のところ、ゲーム自体より面白いところが問題なのだけれど。

 あ、映画?ドラえもんが来年('05年)はお休み、ゴジラがラストとなる緊急時に、キチンと東宝お子さま映画の王道を歩んでおりました。これはこれで立派。

……08年、状況がここまで変わるものだろうか(笑)
ちょっとした企画モノかと思われたDSが爆発的大ヒット。引きずられてWiiも絶好調だ。

問題はPS3。久多良木は次期社長どころか(^^;)。

ブルーレイ搭載の唯一のハードである強みと、しかしドラクエの新作がDSに奪われた弱みと……さあ来年はどうなってるのかな。さっぱりわかんないところが、この業界の面白いところなのだった。この面白さは、次世代DVD以上に、みんなが感情的になっているあたりが妙味。だってこの気運があるかぎり、日本人は新しいハードにとりあえず飛びつくだろうからだ。ナイス国民。わたしもその一人ざんす。

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「黄金旅風」 飯嶋和一著 小学館刊

2008-03-06 | 本と雑誌

Iijimawaichi01 事務職員へのこの1冊②
神無き月十番目の夜
飯嶋 和一著  河出書房新社
 藤沢周平が逝ってしまい、もう県人作家で期待できるのは井上ひさしと丸谷才一ぐらいか?とお嘆きの方も多いと思います。しかしとんでもございません。期待の新鋭は山形に集中しているといっても過言ではなく、阿部(シブヤ系)和重、奥泉(「グランドミステリー」は大傑作)光、そしてこの、飯嶋がブレイク寸前といった盛況です。

 この作品は、いわゆる時代物の範疇に入るのでしょうが、藤沢のそれが一種のファンタジーを含んでいるのに比して(反論多そうだな)、徹頭徹尾リアルに迫ってくる(神すらも)点に特徴があり、その辺りで好き嫌いが分かれたり、ほとんど現代劇ではないか、とする意見が出てくるのだと思います。

 内容は、時代の流れのために消えていこうとしている土着の武士集団が、お上のやり方(行政、ですな)に抗わざるを得なくなってしまう経過を、それこそ主人公は一体誰なんだ!と言いたくなるぐらいに微細に描いています。労働組合員としてうなずける点も多々あるのですが、しまいには登場人物が根こそぎと言っていいほど死んでしまうので、素直にお薦めできないところもあるかな。縁起でもないし。

 それにしても惜しまれるのは、直木賞は受賞確実と言われながらノミネートすら拒んでしまう飯嶋の欲の無さ。貰えるもんなら貰っときゃいいだろうに。実家の近くにお住まいの方、言っといてくれませんか?ま、大きなお世話ですが。(前作「雷電本紀」がまた泣ける)

 山形県教職員組合事務職員部報№295 1998.8.11

Iijimawaichi02 ……もう10年も前になるのか、飯嶋を組合の情宣で紹介したのは。このときは佐藤賢一がすぐ後に直木賞をとるとは予想もしていなかったんだよな。

 それはともかく、飯嶋はまったく変わっていない。直木賞を拒否し続けていることも、超寡作であることも。わずかな変化は、確実に“面白く”なっているぐらいか。今回の「黄金旅風」は、鎖国に突き進む長崎における商人と武士の暗闘がメイン。愚かな政治家たちへ叩きつける、人間の「器量」をめぐるお話でもある。9.11以後の世界への、飯嶋のやむにやまれぬ叫びでもあろう。必読の書。わたしは一週間、眠れぬほど興奮しながら読んだ。

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「ブラザーフッド」TAE GUK GI/BROTHERHOOD('04)

2008-03-06 | 洋画

Brotherhood  朝鮮戦争を舞台に兄弟愛を描く大作。泣かせる、と評判の映画だし、同僚も「最初っから最後まで泣きっぱなしでした。」ということだった。「リバー・ランズ・スルー・イット」(なんとかならなかったのかこの邦題)や「息子の部屋」といった、失われた家族の物語に弱いわたしは、だからかえってこの映画を敬遠していた。いい歳をして涙ボロボロではかっこつかんじゃないの。

 確かに、泣かせの映画ではあった。しかしそれ以上に、韓国映画の成熟を見せつけられたというところか。題材からして、北朝鮮憎し、反共バシバシでも仕方のない展開。しかし、38度線を先に侵略してきたのが金日成の側だった(実戦での勲功をもっていないことに彼があせっていた事情は、今だからこそ納得できる)などの糾弾は背景にうっすらと滲むだけ。むしろ、当時の生活のなかで「南」の側もどれだけ歪んでしまっていたかを苦渋とともに描いている。

 成熟とはそんな意味で使ったんだが、韓流、といううわついた言葉で現在の韓国映画がもてはやされている現状には疑問を持っている。香港映画が結局のところ一気に陳腐化したのは、ブームに浮かれている間に、あの愛すべき軽薄さ以外の何かを獲得する努力を怠ったからだろう。逆に韓国の場合、この映画に象徴されるような一種の“大仰さ”が、既に日本映画が失った部分だから新鮮に受け取ってもらえているうちはいい。でもその先は?

 安藤政信と5Dpな弟役のウォンビンは、来年('05)末から2年間兵役に就くことを宣言している。内戦はまだ終わっていない以上、軽みなどというものとは、まだまだ無縁でいなければならないのかも知れないが……

……2008年現在、この予想は悲しいことにほとんど的中してしまった。香港映画とは逆に、洒脱な軽さを獲得するまで韓流がなかなか到達しなかったことと、韓流とはすなわちおばさまたちのもの、というイメージが先行してしまったことが痛い。あの頃の隆盛がおばさまたちの熱狂によるものだったのだから、仕方のないことではあるけれど。

しかし韓国映画には日本映画が失った美点がたーくさん残っていることもまた確かだ。このまま“ブームが終わった”と結論づけるのはいかにも惜しい。がんばれ韓流

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DRUMLINE 「ドラムライン」

2008-03-06 | 洋画

Drumline March or Dieという言葉がある。前進が死か……兵士を鼓舞するこのフレーズからもうかがい知れるように、行進曲(マーチ)は人間を興奮させる、すぐれて映画的題材だ。

娘の通う小学校は、3年生以上の全員がマーチングバンドに参加している。“ほぼ全員バンド”というわけ。発表会などでその成果をみると、団体競技としての音楽、いわば体育会系アンサンブルに驚かされっぱなし。「レイダース・マーチ」を演ったときなど、ポンポンを持ったウチの娘のファンキーな振り付けに家族中で笑ったけれど、全体としてみると美しく仕上がるようになっていた。おそるべしマーチング。

でも、“一糸乱れぬ”世界が苦手で、出自が軍楽隊であることに拘泥してしまうわたしは、マーチングには今ひとつノレなかったのも確か。観客のスポ少的(笑)応援にもなじめなかったし。

で、「ドラムライン」。マーチングバンドの華であるスネアドラムのバトルをメインにすえたこの映画は、そんな偏見を軽く吹き飛ばす。キチキチに計算されたはずの世界における、しかし壮絶なアドリブ合戦。なにしろ主人公は楽譜を読めないというハンディを背負っており、ために彼の爆発する天才は、バンド自体を危うくしてしまう。でも逆に「厳格すぎて結果を出せなかった」指導者の殻をも破る展開に……

Drumline02 本場のマーチングバンドって何でもありな小細工が満載。隣のプレイヤーのドラムを叩くぐらいは序の口。どこからか取り出した紙コップを放り投げるだの、スティックはバトントワリングの道具あつかいだの。とどめは、ドラムの上に粉をまいて舞い上がらせることまで。音楽をセックスのメタファーとして扱っているなど、意外にマーチングはファンキーな代物だったのだ。誤解をおそれずに言えば、きわめてアメリカ的に発達したエンタテインメントなんだろう。かなりイビツではあるが。

意外なほどオーソドックスな娯楽映画。昔気質のバンドディレクターが、アース・ウィンド&ファイヤーを「本物だ」と選曲すると、学生たちが「だっせー」「ふっるー」とブーイングするあたり、中年の観客としては苦笑するしかない。老いも若きも、ブラバン出身者でなくても楽しめる1本。主役のニック・キャノンはひたすらかっこいい。ぜひ。

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シュレック2

2008-03-06 | アニメ・コミック・ゲーム

Shrek2 火を吹くドラゴン。姫を襲う狼藉(ろうぜき)者。次々に襲いくる敵と戦うシュレック。
勇気を出して、「ほんとうの自分」を愛する人に打ち明けたフィオナ姫。
それぞれが勇気を出して困難を克服、めでたくハッピーエンドを迎えたシュレックとフィオナ姫。
「そしてふたりは末永く幸せに暮らしましたとさ……」と物語は終わるはずだったのだが……。
愛し合うシュレックとフィオナ姫の運命は? 誰も気にしていないがドンキーのその後は?カギを握る<幸せになれる薬>とは?<遠い遠い国>に隠されていた恐ろしい秘密が、今、明かされる!!

 娘と観ながら、ウーンと考え込む。この映画もまた、日本人と欧米人の受け取り方にギャップがあるパターンか。シュレックのキモは、全然かわいくないキャラが、しかしラストにはなんとか愛らしく思えてくる……という展開なんだろう。でもわたしには“最後までかわいくないキャラ”にしか見えなかった。前作はそのことが「ほんとうの自分」というオチ(あざといけどね)に強引にひっぱってたわけだが、2作目ともなると、どうも鼻につく。

「あたし、シュレック、きもい……」と上映中娘がつぶやいていたように、「グリンチ」同様、生理的嫌悪感が消えないのだ。逆に、シュレックとフィオナ姫がそんな具合だから新キャラ「長靴をはいた猫」が大うけなんだろう。しかし彼の“必殺技”は、日本のマンガ(江口寿史あたり)でさんざん使い古されたネタなので、大笑いまではいかない。他の映画のパロディも満載なのは結構だが、キレは前作より数段落ちる。嫁の実家訪問ってストーリーもどうもなあ。

Shrek_2cateyes01  でも、全米大ヒットなのだ。日本人には信じられないことに、アニメ史上最高なのである。ディズニーとケンカ別れしたカッツェンバーグの意趣返しという意味ではめでたいが、いいのか「ニモ」より上で。

 ただし音楽は最高。トム・ウェイツやボウイも聴けるし、アントニオ(長靴をはいた猫)バンデラスとエディ(ドンキー)マーフィの夢の競演もある。それから、エンドタイトルが始まっても絶対に席を立たないこと!

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