事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

焼肉ドラゴン 三皿目

2018-09-15 | 邦画

二皿目はこちら

俳優としての評価も高まる大泉洋だけれど、(大学は出ているが)極貧の在日朝鮮人を演じるのは、バラエティ色の強さにスタッフは不安もあったかもしれない。

しかしご心配なく、彼の演技がすばらしいのと同時に、大泉洋以上に大泉洋なキャラを用意しているのだ。長女の静花に思いを寄せるとっぽいお兄ちゃん役のハン・ドンギュ。大泉洋と彼の、静花争奪戦は焼酎の飲み比べ。左に大泉洋、右にハン・ドンギュ。カウンターをはさんで真ん中に真木よう子。ノーカットで撮られたこのシーンは笑えた。真木よう子が必死で笑いをこらえているのがうかがえるのだ。ルックスまでいっしょなのに爆笑。

そう。この映画の撮影はとても楽しかったに違いない。役者たちの多幸感がありあり。もちろん描かれるお話はきつい。明るいナレーションに反して末っ子の少年は言葉を失っており、三姉妹の将来も決して明るいものではない。

しかしそれでも、父親の独白によって在日の強さもまた伝わってくる。戦争によって片腕を失い、妻も財産も失った彼は、国有地に居座っていることを頭ではわかっていながら

「この土地は買ったんだ。醤油屋の佐藤さんから買ったんだ」

と主張。そういえば、旧八幡町にも似たような焼肉屋(たつまさ)があって、所有権不明の白地に建っていた。撤去されたあとになって、こんなに狭いところだったのか、とびっくりしたっけ。

すべてを失った父親が大阪でやったこととは

「はたらいたぁ……はたらいたぁ……」働きづめだったのである。

そんな彼が、理不尽なニッポンに対して最後に発する怒りの声は、わたしたちの胸に突き刺さる。

高名な鄭義信自身の舞台の映画化。しかし映画的な躍動感もたっぷりだ。障害のある足を共同の水道で冷やす真木よう子ほどセクシーな絵はあるまいし、登場する乗り物が、リヤカーと飛行機だけという対比もすばらしい。

孤狼の血」「菊とギロチン」「万引き家族」につづいて傑作登場。今年の邦画はすごい

コメント

焼肉ドラゴン 二皿目

2018-09-14 | 邦画

一皿目はこちら

娯楽映画としてとてもすばらしい作品ではあるけれども、見る前にひとつだけ知っておいた方がいいことがある。済州島の歴史だ。

労働力、兵力として日本につれてこられた朝鮮人は、終戦(朝鮮人にとっては解放)後に半島に帰った。しかし済州島においては南北勢力の対立などがあり、虐殺が行われていたのだ。1948年4月3日の蜂起にはじまるので四・三事件と呼ばれる。そのため、日本に密航してそのまま“帰らない”“帰れない”済州島出身者の多くが在日となった。

この映画の父親と母親は、まさしくその虐殺から逃れて大阪にやってきた人たちだった。

昭和44年。スマートな制服を着た少年が、壮絶なスラムのなかを歩く。彼の明るい声で「ぼくはこの町が嫌いです」というナレーションが流れる。その声は複雑な家族関係を淡々と語る。父親は戦争によって片腕をなくし、少年の上の三姉妹は両親それぞれの連れ子だった。父親の名前は龍吉。だから彼がスラムで営むホルモン屋はこう呼ばれる。

「焼肉ドラゴン」

在日一世である父親と母親は、韓国の俳優であるキム・サンホとイ・ジョンウンが演じていて、これがいい味を出してるんだ。およそ美男でも美女でもないふたりの子どもが

・長女静花……真木よう子

・次女梨花……井上真央

・三女美花……桜庭ななみ

と美女ぞろいなのが笑えます。特に真木よう子の美しさは筆舌に尽くしがたい。同じ在日を演じた「パッチギ!」から幾星霜。あのふてぶてしかった女優が、ここまで華開いたかと感動。その前に、例によって彼女の巨乳に目を奪われてもいたんだけど。

彼女はある事件のせいで脚を痛めており、どうやらその事件には次女の夫である哲男(大泉洋)がからんでいるらしいことが次第にわかってくる。

出た。大泉洋。北海道のイメージをかなぐり捨ててみごとな関西弁をあやつってみせます。いいぞいいぞ。以下次号

コメント

「焼肉ドラゴン」(2018 KADOKAWA=ファントム・フィルム)

2018-09-13 | 邦画

わたしは鄭義信(てい・よしのぶ)を信頼している。ここは韓国語でチョン・ウィシンと呼ぶべきなのか、あるいは違うのか、そのあたりまで理解が及ぶ日本人ではない。申しわけないと本当に思う。その、申しわけないと思う姿勢にかみつくネトウヨ連中がいる(たくさんいるらしい)ことにまず謝罪する。この映画にもたくさんのいちゃもんがつけられているとか。ふざけんなよ。

脚本と監督の鄭義信はわたしとほぼ同世代だ。1957年生まれというからおれが中学一年生のときに三年生だったわけだ。これまで彼が脚本家として描いてきた

月はどっちに出ている

刑務所の中

OUT

レディ・ジョーカー

血と骨

ラインナップだけでもわかってもらえるというものではないか。

この映画できついのは、在日の子が私学の進学校に行って壮絶にいじめられるシーン。いじめる側は一切描写されず、裸にむかれた背中にビニールテープで貼られた「キムチ」で、そのすべてを想像させる。

あ、この瞬間に「きつそー」とこの映画を敬遠する人もいるかもしれない。ごめんごめん。この映画は圧倒的に“笑い”の映画でもあるの。

昭和44年、というか1969年にスタートするこの物語は、ある在日朝鮮人家庭の、小さな小さな話だ。この当時、小学四年生だったわたしには苦笑するような事物がたくさん登場する。小川ローザとか、ボンカレーとか、そして大阪を舞台にしているだけに万博(人類の進歩と調和)とか。

これは鄭義信が「ALWAYS 三丁目の夕日」への返歌として意図的にしこんだらしい。わたしはあのシリーズも大好きだったので(安倍晋三的なるものへすり寄る山崎貴、椎名林檎って、本気なのだろうか。本気なんだろうな)、ダークサイド・オブ・三丁目(この映画の登場人物の住まいには地番すらない)というありようは有効だと思う。以下次号

コメント

「カメラを止めるな!」(2017 アスミック・エース)

2018-09-12 | 邦画

夏休み期間中に夏季休暇をとりきれなかった。っていうか中学の学校事務職員はその時期のほうがいつもより忙しい(選手派遣費とか、職員の旅費とか)。ということで三日も残っている。そうか、始業式のあとにとったっていいわけだと今年初めて気づく(笑)。

さあ仕事はたくさん残っているけれども、デスクから身を引きはがして映画館へ。

あれ?鶴岡まちなかキネマでは、坊主頭の中学生みたいな男の子も働いている。児童福祉法違反じゃないの?……あ、うちの学校もまもなくやる職場体験か。がんばれよー少年。将来は映画館に勤務するって、いい感じだぞー。

えー、どうして作品に関係ない話を延々とかましているかというと、何を言ってもネタバレになってしまいそうだからです。別にばらしてもいいんだけれど(よかぁない)、この作品に関しては、作者がしこんだ企みを知らないほうが絶対に楽しめますから。

廃墟でおこなわれるゾンビ映画の撮影。監督は主演女優の演技が気に入らず、42テイクもくりかえしている。現場は荒れ、仕方なく休憩をとる。そこへ……

映画が好きな人なら、いくつかの作品を思い出すはずだ。ポール・ニューマンとロバート・レッドフォードのあれとか、トリュフォーのあれとか、大泉洋のあれとか。そういうのをやってるんだろうなあとこしゃくな観客に思わせ……いかんいかん、やっぱりネタバレになってしまう。

まもなく興行収入は20億に達する。大ヒットである。見終わった客が満足し、幸福な余韻に酔い、「面白かったよ!」と勝手に宣伝してくれるのだから強い。製作費対比だとめちゃめちゃにもうかっているはずだ。配給したアスミック・エースにとっても、作り手たち(彼ら自身が出資したのだ)にも莫大な歩合が支払われることだろう。こういうフロックがあるから、ショービジネスはやめられないのだ。

職場体験の少年もわかりましたか。でもこういうフロックはめったにないからな(笑)。傑作。ぜひぜひ。ああこうやってまた客が増えていく……。

コメント

「悶絶!!どんでん返し」(1977 日活)

2018-09-06 | 邦画

まず、北海道の方々にお見舞い申し上げます。道産子の妻も心配している。東日本大震災の記憶が鮮明な東北人は案じていますよ。

77年の日活ロマンポルノ。監督は神代辰巳。脚本は第2回ロマンポルノ脚本賞受賞作品。このあたりの経緯はよくおぼえています。学生時代に名画座で見たおぼえがある。

このころのロマンポルノは、西村昭五郎や小沼勝(片桐夕子の旦那さんですよ)、加藤彰などが八面六臂の活躍で撮りまくっていて、そして今では巨匠扱いの神代辰巳、田中登などが切れ味鋭い作品を連発していたのだ。

神代辰巳にとっては、「四畳半襖の裏張り・しのび肌」でロマンポルノの一種の頂点を極め、東宝で「青春の蹉跌」「アフリカの光」で高評価を獲得したあとに、フランチャイズにもどってめずらしくコメディに走った変則的な作品。

で、これがなかなかなのだ。

東大卒のエリートサラリーマン俊男(鶴岡修)は、久美子(なつかしの宮井えりな)というフィアンセがいながら、酔っ払ってホステスのあけみ(谷ナオミ!)の部屋に。そこには情夫の竜二(遠藤征慈)がいて、逆にオカマを掘られてしまう。

竜二と子分の丸山(粟津號)は女の子たちを使って美人局で稼いでいるが、ひっかかった老人が腹上死したため、死体を夢の島に埋めるはめになる。

「もっと若いのをひっかけろ!」

そこへやってきた若いのこそ俊男で、またしても竜二から……俊男はその道にめざめてしまい、男ふたりが乳繰りあってあけみが嫉妬する場面の連続。いつもは緊縛もので苦悶の表情ばかりうかべている谷ナオミが、あたしを抱いてと焼きもちを焼くのがかわいい。

美人局の現場に刑事がやってきて、竜二は思わず刺してしまう。「逃げるぞ!」とあけみを連れ出す竜二。「あたしも連れてってよ!」と叫ぶ俊男に竜二は「てめーみたいな化けもの連れてちゃ目立ってしかたねぇんだよ!」と捨てゼリフ……

LGBT差別批判が徹底している現代ではおよそ映画化できそうにない(笑)。でも、全篇に楽天性が横溢していてすばらしい。逃げる竜二とあけみも、残された俊男にしても、しぶとく楽しく生きていくことを観客が予想してジ・エンド。

うん、人情喜劇としてもいい味だしてます。ロマンポルノ、やっぱり面白かったのである。

コメント

「おろしや国酔夢譚」(1992 大映=東宝)

2018-08-24 | 邦画

あまりに佐藤純彌監督の評伝が面白いので、「敦煌」につづいて「おろしや国酔夢譚」も見てしまいました。こちらは初見。

原作井上靖、監督佐藤純彌、製作総指揮が徳間康快という布陣は「敦煌」といっしょ。その「敦煌」が商売として成功だったかは微妙なところ。徳間は、もう少し低予算で作品を仕上げればどうかと提案。

でも、前回は砂と暑さに苦しめられたのに、今度は極寒のシベリアが舞台なのである。佐藤監督も続投の西田敏行もよくこの話を受けたよな。

主人公は伊勢の船頭、大黒屋光太夫(緒形拳)。彼の船は17名を乗せて江戸へ向かったが嵐のために漂流。たどり着いたのはアムチトカ島。それどこなんだ……アリューシャン列島で、現在のアラスカ!

当時はロシア領で、先住民族と、アザラシなどを求めてロシアの商人が住んでいた。まず、光太夫たちに立ちはだかったのは言葉の壁。そして、肉食の習慣がなかったこと。

彼らは光太夫のリーダーシップのもとに、流木などを使って船をつくり、イルクーツクに渡る。そして、はるばるサンクトペテルブルクに赴き、女帝エカテリーナの許可をえて帰国する。しかし、帰国できたのは3名だけだった……。

世界地図で確認してもらえばわかりやすい。ものすごい距離を彼らは漂流し、踏破している。大冒険である。しかも寒い。実際に、撮影中に西田敏行は死を覚悟したという。

この物語がしかし興味深いのは、大黒屋を演じた緒形拳の静かさだ。冷静に状況を見極め、静かに対処する。真の意味でのリーダーとは、彼のような人物なのだろう。熱さを前面に押し出すだけでは、人はついてこないのだろうなと納得。

ただし、緒形拳には最後に大芝居が用意してある。エカテリーナの前で浄瑠璃の「俊寛」をうなるのだ。流刑の俊寛を使うのはうまい。

しかし緒形は最初、それすらも拒否したのだという。彼なりの演技プランと、この大芝居は相容れなかったのか。しかしこの激発は、静かな男だったからこそ胸をうつ。名演でした。

コメント

「0課の女 赤い手錠(ワッパ)」(1973 東映)

2018-08-22 | 邦画

1970年代の映画に久しぶりに耽溺。キネ旬も罪なことを(笑)。

でもベストにランキングされた作品の多くはDVD化されていないし、あったとしてもディスカスでは用意されていない。っていうかTSUTAYA、もうディスカスを商売のひとつとして見放してるでしょ。ネットで見ろよという姿勢がありあり。まあ確かに、宅配便を使ってDVDのやりとりをするなんて過渡期のものだろうし、宅配便のお兄ちゃんお姉ちゃんたちはしんどそうだ。

でも利用できるうちは利用しますよ。おっとこの73年の東映作品はまだディスカスできる。わたしは初めて見る。杉本美樹はこの作品によって歴史に残っているくらいの傑作……と聞いていたんだけどまず見てみなくては。

傑作でした!

低予算であることは歴然。画面のつなぎは粗いし、カーアクションもしょぼい。ハリウッド映画に慣れた人からすれば、なんじゃこりゃ、と言われかねない。

でも見せる。

0課、という架空の存在で犯罪者を殺してもなんでもいいという展開は必殺シリーズみたい。原作は篠原とおる。「女囚さそり」「ワニ分署」でおなじみ。貸本のころから活躍していて、80才をすぎてご存命。

外交官特権を利用して性犯罪の常習犯だった男を射殺し、監獄に入る女刑事(この作品で彼女の名前は一度も語られない)。彼女を利用して政治家の娘が誘拐された事件を、関係者皆殺しのために彼女は釈放され……

この作品のあとに、あっさり芸能界を引退した(あ、「暴走パニック大激突」もあったな)杉本美樹の脱ぎっぷりもいいけど、犯人役の郷えい治(えいは金偏に英)がいいんですよ。もうみんな忘れちゃったかな。宍戸錠の弟で、ちあきなおみが最期まで愛した男。この犯人は横須賀のパンパンの息子として生まれ、だからこそアメリカへの愛憎が……

レイプするたびに米軍の戦闘機をインサートしたり、犯人が着るジャンパーが米海軍払い下げだったり、時代の気分が知れる。低予算なのに丹波哲郎が大物政治家役で出演するのは、彼なりのルールでしょう。この不敵なチンピラは誰?うわ、荒木一郎だったの!?

火だるまになる悪徳刑事が室田日出男。上役が戸浦六宏。70年代。

コメント

「お引越し」(1993 ヘラルド=アルゴプロジェクト)

2018-08-13 | 邦画

離婚する両親の間でゆれうごく少女の心の動きを……な企画だったはずなのだ。妻の気持ちをどうしてもわかってやれない、ひとりになりたい(つまりは結婚に向かない)男と、仕事に生きがいを見つけ、夫の無神経さに耐える必要がなくなった女。中井貴一桜田淳子は確かにすばらしい演技をしている。

※桜田淳子はこの作品で多くの助演女優賞を受けているが、例の統一教会がらみで現在のところ最後の出演映画になってしまった

監督の相米慎二だってそのつもりで「しゃべれども しゃべれども」や「サマーウォーズ」の奥寺佐渡子に脚本家デビューさせたのだろうし、原作も脚本もその方向だったはず。

ところが、オーディションで選んだ子役がとんでもない天才だったのである。とてつもなかったのだ。

「お父ちゃんとお母ちゃんがけんかしてるとき、あたしは我慢したよ。なんでお父さんは我慢できひんの?」

「なんで(あたしを)生んだん?!」

ネイティブとはいえ、みごとな京都弁で大人を翻弄する彼女に相米は夢中になったのだと思う。DVDの特典映像で、相米の「台風クラブ」「魚影の群れ」などに助監督としてついた榎戸耕史は「あの、花火のシーンからあとは予定になかったんでしょ?」と今は有名女優になった彼女に質問。

「ないんです。どうしてこういう所に行くんですかって質問しても答えてくれないし(笑)」

相米は琵琶湖のまわりを彼女に放浪させ、心の安寧をとりもどさせる。あ、そうか。これは一夜の地獄めぐり、「ライ麦畑でつかまえて」をやらせたかったのかと気づいた。

わたしはこの子役に完全にノックアウトをくらった。もちろん世の中もそう。新人賞総なめ。「お引越し」もキネマ旬報ベストテン第2位に輝いた。その多くの部分はこの天才を見つけ出した相米の慧眼(この子じゃなかったら撮らないと主張したらしい)と、その子役、田畑智子のすばらしさによるものだ。傑作。

コメント

1970年代日本映画ベストPART2

2018-08-07 | 邦画

PART1はこちら

トップテン以下がまた渋い。

第11位「青春の殺人者」(長谷川和彦)

第12位「赫い髪の女」(神代辰巳)

第12位「昭和残侠伝 死んで貰います」(マキノ雅弘)

第12位「八月の濡れた砂」(藤田敏八)

第15位「仁義の墓場」(深作欣二)

第15位「最も危険な遊戯」(村川透)

第17位「エロス+虐殺」(吉田喜重

第17位「天使のはらわた 赤い教室」(曽根中生)

第20位「儀式」(大島渚)

上位10本がそのまま入れ替わっても納得できる。どちらにも長谷川和彦、神代辰巳、深作欣二が登場し、彼らの時代だったのだなと理解できる。もっとも、長谷川和彦は「太陽を盗んだ男」と「青春の殺人者」しか撮っていないのだが。「青春の殺人者」は一見の価値がありますよ。原田美枝子の裸と市原悦子のわき毛だけでも。すごいんだ。

日活ロマンポルノの時代でもあったわけで、そういえば上位にランクされないのが不思議なくらい。「赫い髪の女」は、相米慎二の「ラブホテル」とともにロマンポルノの最高傑作だとわたしは思っています。蟹江敬三と宮下順子のからみはせつなかった。

大島渚がようやくここで出てくるのも不可思議なようだけれども、この時期、大島はフランス資本で「愛のコリーダ」「愛の亡霊」を撮っていたのです。

他にも、意外な作品がランクインしていて、「黄金のパートナー」という、三浦友和と紺野美沙子に藤竜也がからむという、どう考えても「冒険者たち」を狙った西村潔監督作品が人気を集めている。わたしこれ見てないんですよ。こうなるとどうしても見たくなる……しかし、さすがに四十年の経過は痛い。DVDが出ていない作品もけっこう多いのでした。

さて、これから映画関係では日活ロマンポルノの特集が増えると思います。ついてきてね。

コメント

1970年代日本映画ベストPART1

2018-08-06 | 邦画

外国映画ベストPART3はこちら

創刊100周年を記念したキネマ旬報誌の1970年代ベスト。8月上旬号は邦画篇。いやもうこれが納得の結果なのだ。まずはベストテン。

第1位 「太陽を盗んだ男」(79年2位)

第2位 「仁義なき戦い」(73年2位)

第3位 「新幹線大爆破」(75年7位)

第4位 「ルパン三世 カリオストロの城」(79年54位)

第5位 「HOUSE ハウス」(77年21位)

第5位 「復讐するは我にあり」(79年1位)

第7位 「犬神家の一族」(76年5位)

第8位 「砂の器」(74年2位)

第9位 「青春の蹉跌」(74年4位)

第9位 「竜馬暗殺」(74年5位)

……壮観だなあ。まあ、邦画でこの企画をやれば「仁義なき戦い」か「太陽を盗んだ男」がトップに来るだろうとは思っていた。長い時をへても生き残るのは、やはり娯楽作でありながら作家の映画でもあるってのが条件だろうか。もちろんわたしは全部観ています。

監督はそれぞれ長谷川和彦、深作欣二、佐藤純彌、宮崎駿、大林宣彦、今村昌平、市川崑、野村芳太郎、神代辰巳、黒木和雄。70年代映画がスタートであるわたしにとってのオールスターだ。

にしても「カリオストロの城」の、公開当時の低評価にはたじろぐ。いかに、アニメに対して偏見があったか。というより、この映画は初公開のときはヒットしていなかったことをお忘れなく。

ヒットしないといえば、当時は「太陽を盗んだ男」も「新幹線大爆破」も実は不本意な興行成績だったのだ。この10本のなかで、大ヒットといえる成績を残したのは「仁義なき戦い」「犬神家の一族」「砂の器」でしょうか。

「HOUSE」は百恵友和映画の併映だけど、なぜ池上季実子のフルヌードがおがめるのが当時から不思議だった。あ、池上は「太陽を盗んだ男」にも出演している。選択眼がいい女優だったんだなあ。

PART2につづく

コメント