PART3はこちら。
路上に出たターナーは公衆電話に走る。しかし彼は警察にも救急にも電話しない。ある“組織”に連絡するのだ。
「どこからかけている?」
電話の向こうの車椅子の人物は冷たく言い放つ。
「公衆電話だ」
「規則違反だぞ」
「知ったことか!みんな死んだんだぞ!」
「きみのコードネームは」
「え……あ、ああ『コンドル』だ。」
原作はジェイムズ・グレイディの「コンドルの6日間」Six Days of the Condor
映画はそれを半分に縮めて「コンドルの3日間」Three Days of the Condor にしている。コンドルはCIAのエージェントだったのだ。
しかし派手なアクションや陰謀に加担するスパイと違い、コンドルはひたすらに本を読むだけ。あらゆる本を読み、その内容とCIAの計画との類似性を分析するという、地味なセクションにいる。通称、読み屋。
だから観客はコンドルと同じように混乱する。いったいどうしてまた全員が殺されるようなことになったのか。暗殺者たちから逃れながら、その謎をどう“読み解いて”いくのかがこの映画の基本線だ。
いくら地味な読み屋とはいえ、襲撃のあとにドーナツを食べる余裕があるなど(笑)、ターナーはさすがにCIAであり、堅気じゃない。あふれるほどのミステリや冒険小説も読んでいるので、事件の裏を考察することに彼は長けている。
コンドルの連絡をうけた副長官のヒギンス(クリフ・ロバートスン)は、彼の経歴をチェックし……
「迎えに部下を送る。ひとりは、きみの知り合いのサム・バーバーだ。」
ここからしかし、第二の惨劇が起こる。以下次号。
PART2はこちら。
長身の男が現れ、傘を歩道のごみ箱に無造作に捨てていく。これから彼が行う“作業”に邪魔だからだろう。
レインコートを着た男たちも現れる。コートの下は郵便配達人のユニフォームだ。長身の人物(マックス・フォン・シドーです)の号令のもと、郵便配達人がアメリカ文学史協会のベルを鳴らす。
ここから、スタイリッシュな惨殺が開始される。サイレンサーをつけたマシンガンによって、職員は次々に撃ち殺されていく。
ターナーといい仲であることが暗示されている中国系のジャニス(ティナ・チェン)が殺されるシーンは特にクールだ。長身の男はジャニスに
「窓から、離れてくれませんか」
「……叫んだりはしないわ」
「知ってる」
射殺。
ここまでで15分。あっという間である。初見のときに高校生だったわたしは、めちゃめちゃに興奮した。特にマックス・フォン・シドーの冷酷さにゾクゾク。
「エクソシスト」で年老いて心臓の悪い神父を演じていたのに、この作品ではエネルギッシュですらある。実はエクソシストのときはまだ44才だったんですって。さすが、ベルイマン映画で鍛えられただけのことはある。にしてもあれから40年、彼はほとんどおじいちゃん役。あふれる威厳がそうさせるんだろうな。
ランチを持って帰ってきたターナー。あれだけ警備の厳重だったはずの協会のドアが施錠もされていない。
内部は死体であふれている。全員射殺され、協会内の電話も切られている。ここで、普通の人間なら、もちろん警察に通報する。しかし、ターナーは違う行動をとった。以下次号。
第二十回「前兆」はこちら。
前回の視聴率は18.7%と急伸。はてこれは……要するに前週は「笑点」の週だったのであり、いつもBSで見ている層が総合に流れたことが影響したのかもしれない。
なにしろ歌丸引退、(城好きの)春風亭昇太司会抜擢の笑点第二部(午後6時から55分間)は27.1%という、それこそびっくりの数字を叩きだしている。おかげであのサザエさんが7.7%という、ありえない低視聴率にあえぐ結果となった。やっぱり、笑点とサザエさんの視聴者ってかぶってたんだねえ。まっとうな日本人のまっとうな行動。
わたしだって昇太が超メジャーになることはうれしい。本人は否定するだろうけれども、彼の古典落語は、彼らしいツイストがあっておみごとだ。「権助魚」に、落語というメディアにしかできないトリックがあるあたり、昇太がじゅうぶんに落語という存在を……しまった、真田丸のお話でした。
天下統一を目前にした秀吉が、服従しない北条をどう遇するかというお話。これはあれですね、「軍師官兵衛」のあの回とか、「独眼竜正宗」で勝新太郎と渡辺謙が切り結んだお話につながっていくわけですね?
あまりにあざとい技で、真田家の事情が天下の趨勢に影響するという展開は、歴史通から大批判が寄せられるかもしれない。
まあこちらは三谷幸喜が、前回は古畑任三郎をやって、今度は「清須会議」風にもっていきたかったわけだなと苦笑。その展開が自然に見えるあたりが芸でしょう。
離縁されてからのほうが生き生きしているおこう(長野里美)や、念願の京に行けるかもしれないというのに、人質だけはいやだとごねる薫(高畑淳子)の描き方に、これまでどれだけの伏線が仕込まれていたかとあ然。
にしても、これだけ豪華な配役で、しかしいきなり人気が出たのがコント芝居など考えもしなかった小劇場の女王、長野里美であるあたり、これが計算だとすれば三谷幸喜って怖い。したたかな女性に翻弄される大泉洋のうろたえ芝居も好きですけどね。
本日の視聴率は通常の17%台じゃないのかなあ。いかにも通常の回って感じですから。
第二十二回「裁定」につづく。
PART1はこちら。
「追憶」は、マービン・ハムリッシュの大甘な音楽で観客を泣かせたが、「コンドル」はデイブ・グルーシンのクールなジャズがひたすらに気持ちいい。
ニューヨーク。
自転車で出勤するターナー(レッドフォード)。彼が向かうのはアメリカ文学史協会。アカデミックではあるが、よくわからない団体。歴史を感じさせる堅牢な建物だ。しかし内部では、ハイテク機器満載で、スキャナーが日本語の辞書を読み取っていたりする。
遅刻するターナー。監視カメラ、常駐する警備員など、この協会はやけに警備が厳重で、受付の女性が机の隠しボタンを押さなければ入室できないようになっている。しかも、そのボタンがある引出しには、さりげなく拳銃まで用意してある(伏線)という周到ぶり。
外では雨の中を剣呑な連中が協会の出入りをチェックしている。ターナーが来たことで、人員はすべてそろった(実はひとり、欠けているんだけれどもそれはあとの話)。
ターナーは協会の会長に
「ぼくが出したレポートの返事は来なかったですか?」
と訊ねる。
「そんな話は聞いていないぞターナーくん。そういうことはわたしを通してくれなければ困る」
と会長は叱責。このやり取りはとても重要。
「とにかく、今日のランチの当番はきみだ」
「雨は11時30分にやみます」
いまは11時22分。
「8分間待ってよし。」
……ターナーは、なにかこの組織に不満をもっている様子。
「ターナー!困るよそんなところから外へ出ちゃ」
警備員も叱責。不満分子はルール破りにも、書庫の間を抜け、普段は使わない出口を使ってランチの買い出しに向かう。
「雨の日はみんなあそこから出るわ」
受付の女性はあきらめ顔だ。この、外で見張っている人物たちからはわからない出口からターナーが出ることでドラマは動き出す。以下次号。
監督シドニー・ポラック、主演ロバート・レッドフォードとくれば、「追憶」だ。
原題がThe Way We Were. わたしたちの歩んだ道、というか。当時はヒロインのバーブラ・ストライサンドのほうがレッドフォードよりも圧倒的に格上で、彼女が歌ったテーマソングも大ヒット。1974年の年間ランキング第1位にしてアカデミー主題歌賞もゲット。でも日本ではいかにもくせの強い(役柄もそうだった)バーブラよりも、これぞ美男(役柄もそうだった)というべきレッドフォードの人気が爆発した。
前任校の同僚は、その当時東京に住んでいて、名画座で「追憶」が上映されるたびに追いかけていたそうだ。
「レッドフォード目当て?」
「も、いいですけど、ストライサンドのヒロインにあこがれて」
そうですかそうですか。
それはともかくレッドフォードの甘いマスクは日本中の女性を魅了した。その勢いをかって「コンドル」は、まだまだ人気が健在だったアラン・ドロンの「フリック・ストーリー」との美男二本立てで1976年の正月は東宝東和は攻め、そして成功している。
日本公開は1975年11月29日。もっとも、その翌週に「JAWS」が公開され、えらいことになってしまうのだけれど。
さて「コンドル」。パラマウントの製作なのになぜドメスティックの配給会社、東宝東和が扱うことになったのか。おそらくはプロデューサーがディノ・デ・ラウレンティスだったからだろう。
「にがい米」でミス・ローマだったシルヴァーナ・マンガーノをデビューさせ、ちゃっかり結婚。その後、フェリーニで「道」、オードリー・ヘップバーンで「戦争と平和」、ジョン・ヒューストンで「天地創造」などを製作したこの商売人は、同じイタリアの大プロデューサー、カルロ・ポンティ(こちらはソフィア・ローレンとちゃっかり)と違い、自分のお金を絶対に使わないことで有名だったのだ。
だからきっと東和にも大枚をはたかせたのだと想像します。同じ手をディノはジョン・ギラーミン版の「キング・コング」でも使い、ぬいぐるみショーにしてしまって東和を嘆かせたのでした。以下次号。
RIVER ~ JONI MITCHELL ~ (Lyrics)
第5作「知りすぎたマルコ」はこちら。
おなじみ特捜部Qシリーズ第6作。全10作の予定らしいので、後半戦に突入。このデンマークの作家が描く犯罪は、今回も悪魔的。
コペンハーゲン警察署の地下にある窓際部署、未解決事件を扱う特捜部Qにおいて、ほんとうの刑事は、経験豊かで明晰ではあるけれども私生活に数多くの悩みを抱えるカール・マークだけ。
あとは過去を決して語らないアサド(偽名であることがうっすらとわかってくる)、性格と化粧におおいに問題のあるローセ、ワトソン役にすらなれないボンクラのバイト青年ゴートン。
この、問題ありありのチームが挑むのは17年前のひき逃げ事件。なんらかの装置をつけた車によって跳ね上げられた美少女は、木につるされた状態となり、しかしまだ息がある。犯人はそれを冷酷に見つめている。
この事件に、自分の家庭をうち捨ててまでのめりこんだひとりの警官。彼は退官の日に、自分の頭を撃ち抜くことで特捜部を否応なしにまきこんでいく。
その事件に関係があるだろうと思われる青年の造形が面白い。どんな女性からも愛される彼は、ただひとりの女性をのぞいてすべて寝る。新興宗教の教祖となった彼の愛情を得るために、その女性はまわりの女たちを排除していく……
例によって北欧の方々はセックスに関して敷居が低すぎ。とにかくあっさりと寝ちゃう(笑)。それはそれで楽しい読書になってけっこうだけれど、今回の殺害方法もかなりすごい。環境にやさしいはずの太陽光発電を利用してます。うわあ。
残虐な犯罪と、おまぬけなQの面々のやりとりのバランスは今回も絶妙だ。どんなできごともラクダに例えてしまうアサドや、次第に彼の奇矯さに慣れていくカール(と読者たち)。
にしても、今回も長いですよ!二段組600ページ超。お値段は2268円!地方公務員にとって、かなりきついですけど(だから図書館で借りました)。
ミュージシャンの経験もある作者のことで、今回はジョニ・ミッチェル(カナダ人であることが重要)の「RIVER」の詞がとりあげられ、悲しみを倍加しています。うまい。
第7作「自撮りする女たち」はこちら。
このタイトルで、主演が阿部サダヲなのだから、歴然としたコメディだと誰だって予想する。イメージとしては「超高速!参勤交代」あたりかな。
でもちょっと肌合いは違った。いやもちろんコメディ色はかなり強いんだけど、実は感動大作でした。大作、は言いすぎか。でもわれらが庄内映画村、じゃなくて名前が変わってスタジオセディック庄内オープンセットで撮っているし、なにしろ超豪華キャストなのでそれくらいは(笑)。
原作は「武士の家計簿」の磯田道史の評伝。仙台藩で実際にあったお話なのだそうだ。藩主は見栄っぱりだし、あの藩は「樅の木は残った」で知られるようにいろいろとあったところなので金欠状態。
おかげで領民は理不尽な賦役に苦しんでいた。そのため、一千両(現在の価値で3億円)の金を百姓たち(というか半農半商な感じ)は集め、藩に貸し出して苦役から脱しようとする。
これがメインのストーリーなんだけど、味わい深いのはむしろ金を集めてからのほうで、出資者たちはルールをつくって自らを律しようとするのだ。けんかや言い争いを慎み、寄付するときに名前を出すことを慎み、道を歩くときはすみっこを歩き、飲み会では下座に座る……そしてこれらを子々孫々にまで守らせようと決める。
だからこのお話は、寺の和尚が書き残していなければ、誰も知らないままになっていたことになる。なんという謙虚さ!
監督は伊坂幸太郎原作ものでおなじみの中村義洋。彼と「奇跡のリンゴ」で組んだ阿部サダヲ、「アヒルと鴨のコインロッカー」で組んだ瑛太(濱田岳がナレーションで参加)、「ゴールデンスランバー」やチームバチスタのシリーズ(もう新作つくらないのかなあ)の竹内結子が結集していい感じ。
そしてそして、最後に“あの人”が出てきたのでびっくり!他のお客さんたちは驚いていなかったようなので、みんな知ってたんですか。いやー驚いた。
実在する人々のお話なので、ラストに子孫が営むお店が出てくる。小さくて、つつしみ深い店構え。彼らの謙虚さは、まだちゃんと生き残っていたのだ。いい話だったなあ。
第十九回「恋路」はこちら。
前回の視聴率は17.0%と後退。裏のイッテQも下がっているので、わたしなどにはうかがいしれない視聴率の神様の差配があったのでしょう。
さて本日は、むごい話を前半はコント風に、後半は推理劇で描いて見せた三谷幸喜らしい回。
まず、本多忠勝(藤岡弘、身体の震わせかたですぐわかっちゃいました)が娘の嫁入りに家来のふりをしてついてくるあたりの親ばかっぷり、見ぬふりをする草刈パパの温情で笑わせ、そしてなにより、最初から死亡フラッグ立ちまくりで、そうか死んじゃったから後添えとして吉田羊を迎えるんだなと思ったら、なんとその前妻になっちゃった長野里美が大泉洋のおそばにひきつづきいることになる驚愕の展開。誰もが彼女を好きになっていたので、しんどい話になると思ったらこう来たかー。
「まだあなたをよく思い出せないんだけど」
松(木村佳乃)、そこまで言うか。いやー笑った。
で、後半はいかにも古畑任三郎を書いた作家らしく、淀君の懐妊に茶々を入れる(わたしだって笑点ふうのギャグをたまにはいれたい)落首の犯人捜し。
アリバイ(門番は小半時ごとに見回っていた)、方法(消し炭を使い、ハシゴが必要だった)からある人物が浮かび上がるが、彼は文字を書くことができなかった……
文盲であることで犯人ではないとするのはミステリの常道。逆に、文盲であるために惨劇を呼ぶミステリもありますけどね。戦国の古畑であるはずの信繁は、門番全員を磔にするという狂気の裁判官(秀吉)をおさえるために、しかたなく最初の容疑者を犯人にする。名探偵失格。そして、真犯人を言い当てた真の名探偵は石田三成(山本耕史)だったという、古畑ファンの期待を裏切りながらうならせるみごとな回でした。
歴史ファンの期待のほうはどうだったんだって?北政所(鈴木京香)が告白した「秀吉は子ができたから狂ったのではなく、昔から、それこそ信長よりも怖い人だった」的なセリフに震えたのでは。
今日は笑点がらみで日テレがえらいことになっているので、視聴率は16%台に後退かな。鈴木京香、竹内結子、斉藤由貴、長澤まさみの思惑バチバチなシーンだけでわたしはお腹いっぱいでした。今日はすべてが屋内シーン!満足。
その83「松谷警部と三ノ輪の鏡」はこちら。
原作の、あの謎がすばらしかったのは、わずか7日間しか存在しなかった昭和64年の世相と分かちがたく結びついていたことだ。
現代のわたしたちにとってすっかりおなじみの“あれ”がまだ一般的ではなかったことと、天皇崩御という一大イベントのために、他の事件がほとんど報道されなかったこと。
読み終えて感動。多くのミステリベストでトップをとったのもうなずける。よく考えてみれば、娘を失い、あるいは失いそうになっている二人の(実は三人の)父親のお話なので、図式的すぎるという指摘があってもよさそうだったが、横山秀夫の筆力がすべてをなぎ倒した。
このすばらしい原作が、まずはテレビでドラマ化。NHKで横山秀夫原作とくればあの「クライマーズ・ハイ」だけれども「64」も脚本大森寿美男。主人公のピエール瀧がとにかくすばらしくて、妻と呆然としながら見ていたものでした。
そして今度は東宝で映画化。長大な物語(長大であることも小説的目くらまし)なので、前後編の二部作。監督は瀬々敬久。あの「ヘヴンズストーリー」で4時間38分という、わたしが見た映画のなかでいちばん長い上映時間の作品を構築した人。64をどう料理するのかしら。
昭和64年正月。ひとりの少女が誘拐され、身代金が要求される。犯人は少女の父親をさんざん公衆電話で移動させ、スーツケースに入った金の奪取に成功する。少女は死体で発見される。警察にとって屈辱の事態。しかしこのとき、警察はある事実を隠蔽していた……
ついていけるかな、と思うぐらいの暗いオープニング。しかし、県警内部の権力抗争が露わになったあたりからむやみに面白くなる。
主人公の三上(佐藤浩市)の娘は家出中。原作とドラマは“いかつい顔をした刑事がミス県警と結婚し、その娘は容貌にコンプレックスをもっていた”という、これまたきつい設定。ピエール瀧だと納得できても(笑)、佐藤浩市ではそうもいかない。そのあたりのアレンジも妙味ですかね。
瀬々の人脈からか、バーの従業員に山崎ハコ、ある事情でひきこもりになった青年の母親に烏丸せつこ。中年男が後編を見ずに死ねないと誓う、必殺のキャスティングでした。もちろん後編につづく!
2016年4月号「事務連絡つるべ打ち」はこちら。
「教職員の服務事故について」
このことについて、下記のとおり発令したのでお知らせします。
1 教職員に関する事項
(1)校種 高等学校(区部)
(2)職名 主任教諭
(3)年齢 59歳
(4)性別 男
2 処分の程度 戒告
3 発令年月日 平成28年5月16日
4 処分理由
平成25年4月1日から平成27年7月28日までの間、勤務校校長に届け出た通勤届と異なる通勤経路及び方法である自転車による通勤を行い、通勤手当394,892円を不正に受給した。
……東京都教育委員会が発表した服務事故。ネット上でこれを読んだとき、ドキッとしました。おれは大丈夫かと。
なぜなら、わたしの通勤届は
「自家用車使用」
「通勤距離4.4キロ」
「所要時間10分」
で提出していますが、お天気のいい、風の穏やかな日は
「自転車(息子のお下がり)使用」
「通勤距離4.2キロ(田んぼ道のショートカット発見)」
「所要時間20分」
になったりするからです。戒告かしらわたしも。
気になって条例を読んでみたら「常例とする」という聞きなれない用語が使われていたりするので、あまりひんぱんだと危ない気がする。気をつけよう。
にしても、この職員の場合はやけに額がでかい。実は東京都と山形県の通勤については、大きな違いがあります。
都立学校の自家用自動車通勤に関する取扱要領にはこうあります。
「職員の自家用車通勤は、原則禁止とする。」
もちろん例外はあって、
・島しょ地域に在勤(東京都は伊豆諸島、小笠原諸島など島がたくさんあり、日本の最南端と最東端はともに東京都小笠原村)
・公共交通機関を利用した自宅から勤務校までの通勤時間が1時間30分を超える者が、自家用自動車で通勤することにより、当該通勤時間を半分以下の時間に短縮できる場合
・身体に障がいを抱える場合
……つまりは、よほどのことがないかぎり交通機関を使いなさい、使えるのは“不便公署”だけだというのです。この職員の場合は特別区に存する学校に勤務していたようなので、定期代で通勤手当を受給していたのでしょう。
実は山形県だって基本は交通機関利用。しかし、ほぼ全県が不便公署なので、こういう事例をあまり聞かないのも道理かと。明細の通勤手当の額を、しみじみとご覧ください。あ、さみしい結論になってしまった。
画像は「アイアムアヒーロー」(2016 東宝)
曜日感覚がマヒするGW。振替休日がしこまれているのは家族にもないしょ。さあ、映画館だ。
先月号が成人映画だったのに今月はR-15。そんなのしか見てません。
大泉洋と長澤まさみの真田丸コンビに有村架純がからんだゾンビ映画。いやー日本でもここまでの恐怖映画がつくられるようになったか。キャストはその代償としてお笑い要素が強く、大泉と塚地武雅とマキタスポーツがいっしょの画面に登場。笑えます。
その日がお休みだったのは、すぐに妻にばれました。笑えない。
2016年6月号「特別徴収・普通徴収」につづく。