事務職員へのこの1冊

市町村立小中学校事務職員のたえまない日常~ちょっとは仕事しろ。

マイベスト2018最終回 DVD篇

2019-02-25 | 映画

 

映画篇はこちら

つづいてはDVD篇。去年は百本以上観ているんだけど、今年はそれ以上のペースです。社会人としてだいじょうぶか。

1位 「ジャージー・ボーイズ」(クリント・イーストウッド)

2位 「映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ」(石井裕也)

3位 「ロング・グッドバイ(NHK)」(堀切園健太郎)

4位 「彼女の人生は間違いじゃない」(廣木隆一)

5位 「パターソン」(ジム・ジャームッシュ)

6位 「カリフォルニア・ドールズ」(ロバート・アルドリッチ)

7位 「わたしは、ダニエル・ブレイク」(ケン・ローチ)

8位 「ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅」(デヴィッド・イェーツ)

9位 「大統領の陰謀」(アラン・J・パクラ)

10位 「セント・オブ・ウーマン/夢の香り」(マーティン・ブレスト)

次点候補はたくさんあって、「哭声(こくそん)」「スポットライト 世紀のスクープ」「ハメット」「夜の大捜査線」などなど。

公開時期がまちまちなのに、単にわたしが去年みたから、というだけで選ぶのも乱暴な話。結局、劇場で見逃した分のフォローって感じかも。

もっとも、近ごろはむかし一度観ている作品を見直すのも楽しい。さっぱり忘れているしね。年をとるのも悪いことだけではありません。「ハメット」なんか、何度も見ているのに見るたびに面白い。前は退屈したおぼえのある「ブリット」なんて、どうしてこれで退屈できたのかと我ながらあきれる。ということで、レンタル屋の旧作の棚はわたしにとって宝の山となっています。

【マイベスト2018・おしまい】

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マイベスト2018 映画篇

2019-02-23 | 映画

キネ旬洋画篇はこちら

さあそれではマイベスト2018の映画篇。邦洋それぞれ5作品をあげてみました。

【邦画】

1位 「焼肉ドラゴン」(鄭義信)KADOKAWA=ファントム・フィルム

2位 「菊とギロチン」(瀬々敬久)トランスフォーマー

3位 「万引き家族」(是枝裕和)GAGA=フジテレビ

4位 「孤狼の血」(白石和彌)東映

5位 「斬、」(塚本晋也)新日本映画社

キネ旬ベストテンに「焼肉ドラゴン」が入らなかったのは意外だった。芝居が原作なので、そちらの演劇臭が嫌われたのだろうか。まさか「孤狼の血」の上に3本も連なるとは思わなかった。大豊作の年だったのではないか。マイ主演女優賞は文句なく安藤サクラ。主演男優賞は役所広司かな。なんか、普通ですみません。

【洋画】

1位 「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書」(スティーブン・スピルバーグ)ドリームワークス

2位 「KUBO/二本の弦の秘密」(トラヴィス・ナイト)GAGA

3位 「スリー・ビルボード」(マーティン・マクドナー)FOX

4位 「リメンバー・ミー」(リー・アンクリッチ)ディズニー

5位 「ボヘミアン・ラプソディ」(ブライアン・シンガー)FOX

またスピルバーグかよ、と言われそう。でも「ブリッジ・オブ・スパイ」と同様に、ダントツのマイベストです。あっさりと撮っているんだとは思うのに、どうしてこの人は濃密な作品がつくれるのかなあ。あ、それからみんなが駄作だと言ってるけど「ジオストーム」もけっこう好きでした(笑)。

次回はDVD篇

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「ぼけますから、よろしくお願いします」(2018 ネツゲン)

2019-02-18 | 映画

鶴岡まちなかキネマで鑑賞。老人介護のお話。認知症がすすむ87歳の母を、95歳(大正生まれ!)の父親が見守る……金を積まれてもみたくないタイプのドキュメンタリー。いつか自分にもやってくる(もう来ている)“老い”という冷厳な事実を、だからこそなんとか先送りしてしまいたいと。でも見る。

監督、撮影、ナレーションはドキュメンタリー作家の信友直子。1961年生まれ、というからわたしとほぼ同世代だ。わたしは高齢の父親と同居しているが、信友は呉の実家から遠くはなれた東京にいて、

「ただいまあ」

と何度も実家に帰ってくる生活。はじめは気軽なプライベートビデオだったはずのものが、母の認知症とともに「作品」になっていく。撮ることそれ自体に意味が発生したからだ。結婚しろとも言わず、好きな映像の仕事をつづけさせてくれた両親への、記録することが義務と感謝だと。

わたしの妻も、すっかり身体の弱った母親のために、毎日実家に通っている。見始めて数分後、となりに座った彼女のマスクの奥から「ぐがぐぎごご」と不穏な音が。

号泣しているのでした。

わたしも、“抗がん剤のために脱けた娘の髪の毛を拾う母親”なんて場面にはやはり泣かされた。しかも、このお母さんはユーモアたっぷりなのであり、だから娘がストレッチャーで運ばれた途端に涙を流すシーンは強烈。

認知症は、わずらった本人は幸福でまわりが大変、という思いこみが大嘘だと気づかせてくれる作品でもある。自分が自分でなくなっていく恐怖

父親は慣れない家事を淡々とこなす。「あたし(実家に)帰ってこようか?」と娘が問うと、戦争のために文学を学びたかった夢を諦めざるをえなかった彼は「仕事をつづけろ」と言い放つ。東京大学文学部に入学した自慢の娘のことを、だいじに思っていることが伝わってくる。

広島県呉市が舞台。あの傑作「この世界の片隅に」のすずと同じ場所、同じ時間をこの夫婦は過ごしている。呉の方言がひたすら味わい深い。

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マイベスト2018 世界興行成績篇。

2019-02-13 | 映画

北米興行成績篇はこちら

つづいて世界興行成績ランキング。

1 Avengers: Infinity War BV $2,048.4 $678.8 33.1% $1,369.5 66.9%

2 Black Panther BV $1,346.9 $700.1 52.0% $646.9 48.0%

3 Jurassic World: Fallen Kingdom Uni. $1,309.5 $417.7 31.9% $891.8 68.1%

4 Incredibles 2 BV $1,242.8 $608.6 49.0% $634.2 51.0%

5 Aquaman WB $1,107.0 $323.6 29.2% $783.4 70.8%

6 Venom (2018) Sony $855.0 $213.5 25.0% $641.5 75.0%

7 Bohemian Rhapsody Fox $821.8 $208.5 25.4% $613.3 74.6%

8 Mission: Impossible - Fallout Par. $791.1 $220.2 27.8% $571.0 72.2%

9 Deadpool 2 Fox $765.9 $318.5 41.6% $447.4 58.4%

10 Fantastic Beasts: The Crimes of Grindelwald WB $652.2 $159.2 24.4% $493.0 75.6%

11 Ant-Man and the Wasp BV $622.7 $216.6 34.8% $406.0 65.2%

12 Ready Player One WB $582.9 $137.7 23.6% $445.2 76.4%

13 Operation Red Sea WGUSA $579.2 $1.5 0.3% $577.7 99.7%

14 Detective Chinatown 2 WB $544.1 $2.0 0.4% $542.1 99.6%

15 The Meg WB $530.2 $145.4 27.4% $384.8 72.6%

16 Hotel Transylvania 3: Summer Vacation Sony $528.1 $167.5 31.7% $360.5 68.3%

17 Dr. Seuss' The Grinch (2018) Uni. $508.7 $270.4 53.2% $238.3 46.8%

18 Ralph Breaks the Internet BV $486.5 $197.0 40.5% $289.5 59.5%

19 Bumblebee Par. $455.3 $124.3 27.3% $331.0 72.7%

20 Rampage (2018) WB (NL) $428.0 $101.0 23.6% $327.0 76.4%

ペイントした部分は、例によって北米以外での興行収入の割合。この値が大きければ大きいほど、海外の観客がその映画を支えたことになる。Operation Red Sea(紅海行動)とか、Detective Chinatown 2(唐人街探案)とか、ほとんど中国のみの成績なのにこの位置。マーケットとして、あの国は次第に存在感を増している。

逆に、グリンチが低いのは昔のもそうでした。あの物語はアメリカ人にしか受け入れられないのではないでしょうか。

次回はキネ旬ベストテン邦画篇

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マイベスト2018 北米興行成績篇。

2019-02-12 | 映画


洋画興行成績篇はこちら。さあ今日は北米興行成績篇。

1 Black Panther  BV  $700,059,566

2 Avengers: Infinity War  BV  $678,815,482

3 Incredibles 2  BV  $608,581,744

4 Jurassic World: Fallen Kingdom  Uni.  $417,719,760

5 Deadpool 2  Fox  $318,491,426

6 Aquaman  WB  $317,695,237

7 Dr. Seuss' The Grinch (2018)  Uni.  $270,410,555

8 Mission: Impossible - Fallout  Par. $220,159,104

9 Ant-Man and the Wasp  BV  $216,648,740

10 Solo: A Star Wars Story  BV  $213,767,512

11 Venom (2018)  Sony  $213,515,506

12 A Star is Born (2018)  WB  $206,654,283

13 Bohemian Rhapsody Fox  $206,302,044

14 Ralph Breaks the Internet  BV  $196,118,271

15 A Quiet Place  Par.  $188,024,361

16 Crazy Rich Asians  WB  $174,532,921

17 Spider-Man: Into The Spider-Verse  Sony  $169,988,934

18 Hotel Transylvania 3: Summer Vacation  Sony  $167,510,016

19 Mary Poppins Returns  BV  $165,747,514

20 Halloween (2018)  Uni.  $159,342,015

……ディズニー強し。同時に、MARVEL強し。DCコミックス原作ものも、本体のバットマンとスーパーマン以外のところで堅調。北米では一種のオールスター映画であるアベンジャーズよりもブラックパンサーの方が上位に来るあたり、味わい深いですよね。

アジア系だけで撮影された「クレイジー・リッチ!」の大ヒットも、アメリカという国がメルティング・ポットであることを思い知らせてくれる。CG全盛のこの時代に、ひとりトム・クルーズだけは肉体を酷使している。立派だなあトム。

次回は世界興行成績篇

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「哭声/コクソン」 곡성 (2016 20世紀FOX)

2018-10-12 | 映画

ほぼ日刊イトイ新聞に、この韓国映画に出演した國村隼のインタビュー記事があって、これがめちゃめちゃ面白かったのである。本国だけで700万人を集めたこの大ヒット映画の監督はナ・ホンジン。こいつは人でなしだと(笑)。あまりに撮影が過酷なので、スタッフや役者が固定せず、一作きりのつきあいになっているとか。

面白そうじゃないですか。思わずディスカスのサイトでポチッとしてしまいました。

緑濃い韓国の田園地帯。そこで住人による不可思議な殺人が連続する。警察の判断は、キノコによる幻覚によるものだったが、住民たちは“近ごろ森に起居している奇妙な日本人”のせいではないかと噂する。

この日本人を、もちろん國村隼が演じている。妙なおむつをつけて(韓国にはふんどしが存在しないらしい)、鹿肉をナマで食らう彼のふるまいは、確かに不穏だ。しかし、彼が悪魔なのか救世主なのかの判断は観客に委ねられている。というか、判断する必要があるのかと問われているようだ。

ハリウッド映画や日本映画とは明らかにコードが違う描写の連続。かなり過激です(レンタルはR15+指定)。

背景にキリスト教倫理があることは確実で、異物としての國村隼が日本人であるのはなにかの象徴だろう。異教徒ということか。

國村隼に対抗するエクソシスト(悪魔払い師)が、いかにもカジュアルなスポーツウェアに身を包んでいるのも何かを象徴しているに違いない。

決してわかりやすい映画ではないし、ラストに大きなカタルシスが待っているわけでもない。でも、この作品が魅力的であることだけは疑いない。たとえ人でなしがつくったのだとしても。

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「世界一と言われた映画館 酒田グリーン・ハウス証言集」

2018-04-25 | 映画

あの、映画館グリーンハウスをめぐるお話。

山形国際ドキュメンタリー映画祭(くどいようだけれど、世界に誇れる存在だ)で去年上映され、ついに一般公開。酒田に生まれ育ち、この映画館に通いつめ、グリーンハウスが火元だった大火を経験し、再建計画まで特集したわたしがこの映画を見逃すわけにはいかない。

鶴岡まちキネの明かりが落ちると、ムーンライトセレナーデが流れてくる。グリーンハウスでは常にこのようにして映画が始まっていたので、酒田市民としてグッとくる。

9名の人物の証言がつづられる。昭和51年の大火のときに消火活動を行った元消防士、火元近くで高名なオリジナルカクテル「雪国」を供するケルンのマスター(この秋に、その名も「YUKIGUNI」というドキュメンタリーが公開されます。監督は「よみがえりのレシピ」の渡辺智史。撮影はこの映画の監督である佐藤広一。渡辺さんのお母さんは地元じゃ有名人)、近所の食堂の娘だった上々颱風(シャンシャンタイフーン)のボーカリスト白崎映美、元従業員、映写技師、酒田出身の社会学者……

忘れたり知らなかったことがけっこうあったことに気づく。10席しかない名画座シネサロンが併設されていたんだけど、そこへの階段が微妙に曲がっていたとか、隣が駐輪場で、というか昔は自転車預かり業が成立していたとか。映写技師が割烹「よしのや」の人だったなんて知らなかったなあ。

もちろんこの映画は、“グリーンハウスについて語る”ことを承知した人たちの証言で成立している。同時に“語ることを拒否する”人もいたことがうかがえ、深みを感じる。

佐藤久一という、名門のお坊ちゃん(大蔵元の御曹司だ)がひたすらに蕩尽し、その結果できあがった奇跡のような映画館に普通に通っていたことがいかに幸運だったか……平日の午前中から遠く鶴岡まちキネにつめかけた酒田市民は(酒田の先行上映は満員だったらしい)しみじみとかみしめたはずだ。

ナレーターは大杉漣。彼はつくづくと酒田を愛してくれたんだなあ。

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「おだやかな革命」(2017 いでは堂)

2018-03-05 | 映画

鶴岡まちなかキネマで妻と「おだやかな革命」を。

前任校のPTAが学校で上映会を催した「よみがえりのレシピ」の渡辺智史監督の新作。鶴岡出身なので地元で早々に公開。

「ブラックパンサー」を初日に観た息子は「その映画、けっこうお客さん入ってたよ」ということだった。へえ、こんな地味なドキュメンタリーに。土曜の1回目に向かったら駐車場もロビーもいっぱいだ。まさかまさか……ドラえもんの初日なのでした(笑)。

でも確かにこちらにもお客さんはけっこう入っている。客層はもちろん全然ちがうけれども。

今回のテーマはエネルギー。福島第一原発の爆発の映像から始まることでもわかるように、反原発が陰のテーマになっている。しかし、それをイデオロギーや政治色を慎重に排除し、商売として再生可能エネルギーをどう確立させるかという描き方なのは大正解だ。

福島における太陽光、岐阜の小水力、秋田の風力など、地元の電力を地元で作り出し、そして自給する方向性は、福島第一原発が「東京電力」のものだったことでもわかるように、都会の大量消費をまかなうために巨大な原発が必要とされていたことと真逆だ。

声高に反原発を叫ぶのもけっこうだが、それだけではおそらく原子力村の構造はびくともしない。都会の消費者と連携し、再生可能エネルギーを多様な選択肢のひとつとして常に用意しておく周到さがやはり必要なのだと思う。

この映画はその“連携”に着眼した時点で成功している。遊佐の農協が都会の生協と連携したエピソードもたっぷり撮影されていてうれしい。ナレーターは鶴田真由。渡辺監督は東北芸工大卒業なので、まもなく学長に就任する鶴田の夫である中山ダイスケ教授の関係で起用されたかな。

あ、ひとつだけ指摘しておきたい。これら再生可能エネルギーについては買い取り制度の問題が常に横たわる。政府や電力会社が、原発温存のためにテーブルをひっくり返したりしないように、わたしたちは常に注視しておく必要があるだろう。この映画に出てきた人たちの努力を無にしないように。

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「マンハント」追捕 (2017 GAGA)

2018-02-28 | 映画

ジョン・ウーがあの「君よ憤怒の河を渉れ」のリメイクに挑み、主演(まさしくメインでした)に福山雅治……おおおなんという夢の企画!

大コケです。客が入ってません。どうした福山ファン!どうしたんだジョン・ウーのシンパたち!

空海」のときに紹介したように、これはあくまで中国映画で、中国市場をメインターゲットにしたことを差し引いたとしても、こんなにそっぽを向かれるなんて。日本の配給を請け負ったギャガはしんどいだろう。

結果論で言えば、結婚を機に福山雅治の興行価値が下がり、ジョン・ウーの名前も通じない時代になり、「君よ憤怒の河を渉れ」にいたっては、もう誰も覚えていないということなのかもしれない。

でも、でも面白かったっすよこれ!福山もいい。原版にあった脚本の粗さはちゃんと修正してあるし(笑)。

ジョン・ウーの演出といえば

・二丁拳銃

・白い鳩が飛ぶ

・男たちの熱血な一騎打ち

……とても味の濃い料理という感じ。おいしいけれどもちょっと重い、というか。広州出身ですからね。「男たちの挽歌」で確立されたこの手法は、ハリウッドにおいても「ブロークン・アロー」「フェイス/オフ」でそのまま使用され、だからクールであるべき「M:I-2」はちょっとしんどい作品になってしまったわけだ。

今回も「手錠でつながれているので二人で二丁拳銃」なシーンがあって、待ってましたとうれしくなる。でも鳩はどうやって……うわあそうきたか(笑)。

ブラックレイン」のリドリー・スコットと同様、大阪という街を魅力的に描き、泣かせ、笑わせ、驚かせるウー風広東料理は健在だ。種田陽平の美術、岩代太郎の音楽もすばらしい。香港でウーと組んだ経験のある國村隼がさすがの貫禄。見逃すなんてもったいない。映画館へ急げ!

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「空海-KU-KAI- 美しき王妃の謎」(2017 東宝=KADOKAWA)

2018-02-24 | 映画

いったいどんな経緯でKADOKAWAと東宝が組んで空海の物語を映画化することになったかはよく知らない。しかも監督はあのチェン・カイコーであり、空海が遣唐使として長安にいた時代の物語。金がかかるのは確実。

でも商売のセンスのある人なら、中国市場を無視は絶対にできない。すでに映画人口は日本をはるかに凌駕しているわけで、「君よ憤怒の河を渉れ」があちらで大ヒットした歴史を承知していれば(リメイクの「マンハント」は大コケしているようだが)、勝負に出てみたくなるはずだ。製作総指揮の角川歴彦は、大映社長だった永田雅一に自分をなぞらえているのかも。

日本側のキャストは空海に染谷将太、阿倍仲麻呂に阿部寛。このふたりは中国語を徹底して習得したはず。他にも松坂慶子火野正平(空海のお師匠さんで「ついにわしは解脱できなかった」と語るのがおかしい)。

日本語吹替にも高橋一生吉田羊東出昌大イッセー尾形山寺宏一などを起用、おまけに主題歌はRADWIMPS。豪華なことだ。

実際にものすごい製作費が投入されたようで、いったいなんだこのセットは!いったいなんだこの大量のエキストラは!やっぱり人民解放軍が協力したんですか!と言いたくなるほど。画面の厚みが違う。

ただし初日につめかけた真言宗の信徒の方々はどう思っただろう。東映の「空海」でパンクとして描かれた空海ではなく、アルカイック・スマイルをいつもうかべて楊貴妃がどうやって死んだのかを白楽天とともに推理する、意外なほどの名探偵空海になっていたのを楽しんでいただけたのだろうか。

まあそれはともかく、楊貴妃を演じたチャン・ロンロンの美しさ(国を傾けるのがわかるよこれだけ綺麗なら)と、圧倒的な美術を堪能すべき作品かと。

歴史好きな人なら、空海、白楽天、楊貴妃、安禄山、玄宗、阿倍仲麻呂など、キャラの名前だけでも史劇としてめちゃめちゃ興奮するのかも。わたしは歴史を知らない大河ドラマ好きなので、その辺は微妙でした。原作は夢枕獏

中国語題名は「妖猫傳」。猫好きにはおすすめの映画です。うちの猫はいま後ろのソファで爆睡しています。

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