キネマ旬報連載時から読んでいたけれど、これだけの量が集まると壮観だ。ほぼ同世代の著者なので、映画体験が重なっているあたりがうれしい。出てくる名前が懐かしくてうれしい。
これは少なくとも、わたしにとって名著です。宮崎祐治さんの絵も素敵。
北米興行成績篇はこちら。
それでは世界興収篇をいきましょう。
1 Inside Out 2 $1,698,863,816 $652,980,194 38.4% $1,045,883,622 61.6%
2 Deadpool & Wolverine $1,338,073,645 $636,745,858 47.6% $701,327,787 52.4%
3 Moana 2 $1,058,707,411 $460,244,029 43.5% $598,463,382 56.5%
4 Despicable Me 4 $969,126,452 $361,004,205 37.3% $608,122,247 62.7%
5 Wicked $738,847,120 $473,231,120 64% $265,616,000 36%
6 Mufasa: The Lion King $716,683,445 $252,489,804 35.2% $464,193,641 64.8%
7 Dune: Part Two $714,644,358 $282,144,358 39.5% $432,500,000 60.5%
8 Godzilla x Kong: The New Empire $571,850,016 $196,350,016 34.3% $375,500,000 65.7%
9 Kung Fu Panda 4 $547,689,492 $193,590,620 35.3% $354,098,872 64.7%
10 Sonic the Hedgehog 3 $489,511,229 $236,011,229 48.2% $253,500,000 51.8%
毎年言っているように、いちばん最後の数字が北米以外でどれだけ稼いだかを示している。でも北米興行成績篇とほとんど変わらない作品がならんでいる。というのも、海外では続篇やシリーズ作品が強い。それは理解できますよね。おなじみの作品なら、映画館に行くハードルは低くなる。しかしそれが北米でもいっしょだとすれば、やはり新しい強力な企画が必要とされているのだろう。
そんなことを言いながら、この1月に公開された中国映画「Ne Zha 2」が向こうではバカみたいなヒットになっていてあなどれない。ま、タイトルからしてこれも続篇なんですけどね。
とすれば日本映画の出番じゃないですか。世界に冠たるアニメや怪獣で、今が攻めどきだ!
キネ旬外国映画篇はこちら。
それではマイベスト映画篇を。たいして本数を観ていないわりに、当たりが多かったのでベストファイブで。
1位「ラストマイル」
5位「月」
次点は「11人の賊軍」ということで。「ラストマイル」をトップにもってきたのは、日本映画にもっとこんなハードで緻密な娯楽映画が増えてほしいから。
DVDで観たのはたーくさんあって、だからベストテンでいきます。
3位「モリコーネ」
5位「フェイブルマンズ」
6位「TOKYO MER」
7位「ヘルドッグス」
8位「正直不動産」
9位「ある男」
10位「Winny」
次点は「渇水」「月の満ち欠け」「バベル」あたりだろうか。そうです去年はやたらにテレビドラマを見ていたんだとあらためて。にしても「コントが始まる」には泣かされたなあ。「ヘルドッグス」は、演出のチカラというのはこういうことかと原田眞人に思い知らされたから。岡田准一の運動神経はあいかわらずだし。
北米興行成績篇はこちら。
それではマイベストの最終回は恒例の世界興収篇。
1 Barbie $1,445,638,421 $636,238,421 $809,400,000 56%
2 The Super Mario Bros. Movie $1,361,975,030 $574,934,330 $787,040,700 57.8%
3 Oppenheimer $960,428,540 $329,862,540 $630,566,000 65.7%
4 Guardians of the Galaxy Vol. 3 $845,555,777 $358,995,815 $486,559,962 57.5%
5 Fast X $704,875,015 $146,126,015 $558,749,000 79.3%
6 Spider-Man: Across the Spider-Verse $690,615,475 $381,311,319 $309,304,156 44.8%
7 Wonka $629,732,387 $218,232,387 $411,500,000 65.3%
8 The Little Mermaid $569,626,289 $298,172,056 $271,454,233 47.7%
9 Mission: Impossible - Dead Reckoning Part One $567,535,383 $172,135,383 $395,400,000 69.7%
10 Elemental $496,444,308 $154,426,697 $342,017,611 68.9%
毎年言っているように、最後の数字は北米以外でどれだけ稼いだか。だから数字が高くなればなるほど海外で強かったというわけだ。それを考えると、スーパーマリオは北米で本当に健闘したんだなと納得。
で、どんな作品が海外で強いかというと、それはやっぱりシリーズもの。数字的にものたりないと言われているミッション・インポッシブルにしても、やはり海外では強いのである。ワイルドスピードの新作を外国人たちは待っていたんだねえ。
ただ、MARVELの退潮はびっくりするくらい。「エンドゲーム」でみんな燃え尽きちゃったのかなあ。中華圏におけるバカみたいなヒットはなかった模様。そんななか「鬼滅の刃」「ドラえもん」「名探偵コナン」は着実に稼いでいます。やるなあ日本のアニメ。今年は「ハイキュー!!」がえらいことになっているし。
忘れてた。国内興行成績篇につづく。
キネ旬外国映画篇はこちら。
さあマイ映画篇。でもわずか19本しか見ていないのでベストスリーにとどめておきます。
1 「愛にイナズマ」(石井裕也)
2 「君たちはどう生きるか」(宮崎駿)
3 「福田村事件」(森達也)
他には「the first slam dunk」「ミッション:インポッシブル7」「バッド・ランズ」「アンダーカレント」がよかったなあ。
「愛にイナズマ」の佐藤浩市の演技は神がかっていたし、「月」の宮沢りえの熟女ぶりもすばらしかった。2023年は文句なく石井裕也の年だったのだと思う。
さて、DVDで観た映画からは
2 「ブレット・トレイン」
3 「死刑にいたる病」
4 「ダージリン急行」
5 「ロスト・マネー 偽りの報酬」
6 「鳩の撃退法」
7 「線は、僕を描く」
8 「OLD」
9 「アーヤと魔女」
10 「RRR」
おっとイーストウッドの「クライ・マッチョ」がはみだしてしまった。もちろん旧作はのぞいたランキング。でなければ「北北西に進路をとれ」や「シン・ゴジラ」(わたしは-1.0より明確に上だと思う)と競うことになってしまうし。
北米興行成績篇につづく。
「NO MORE映画泥棒」劇場用CMがリニューアルしました!
熊殺しウィリー篇はこちら。
「どうにかならないのかアレは」
映画監督の金子修介がX(旧Twitter……この注意書きもどうにかならないのか)でつぶやいた言葉。何に慨嘆しているかというと、映画が始まる前にスクリーンに展開される「NO MORE映画泥棒」のCMについて。映画への期待感を一気にそいでしまうではないかと。
実はわたしもそう思っていて、だからどうしているかというと、あれが流れている間、わたしは本当に目をつぶっています。
同じようなことを感じる人も多いようで
「何年も同じバージョンなので飽きが来ている。もうそろそろ新しいバージョンやってくれてもいいと思う」
「警告なのにコミカルってふざけてるとしか思えない」
という反響が。しかし、わたしが意外に思ったのは、むしろ擁護する人が予想以上に多かったことだ。
「映画泥棒のCMより絶対見ることもない、学生の青春恋愛ドラマ映画の予告とか、地元のローカル企業のCMのほうが、見る時間が無駄」
「映画泥棒がいなくなれば無くなるんですけどね。そいつらのせいであって映画館のせいではないです」
ずいぶんと物分かりのいいことではある。しかし警告の意味でやっているのだとすれば、字幕だけで十分なはずではないか。わたしには映倫の自己満足にしか見えないのだが。
2023年12月号PART1「ネクタイ」につづく。
映画を語らせたら並ぶもののないふたりが、ヒッチ映画の細部に徹底的にこだわった対談集。面白くないわけがない。和田さんは残念なことに鬼籍に入ってしまったが、山田さんはまだ存命だ。長生きしてください。
まことに困ったことに、この本に影響を受けて初期のヒッチコック映画をまた観ることになってしまったのである。そんな時間ないはずなのに。
あ、わたしは実は晩年の「フレンジー」が大好き。ヒッチコックがイギリス人であることを、初期作品と同じように主張していますもんね。
とにかくこの本は、和田誠さんのイラストだけでも最高だ。
PART2「あたしは知ってるわ。」はこちら。
「明日からうち(の会社)に来てもらっていいです」
カンヌ映画祭で男優賞に輝いた役所広司。ヴィム・ヴェンダースが監督した「PERFECT DAYS」で役所広司はトイレの清掃員の役。そのため、彼は清掃会社に赴いてやり方を習得。あまりに上手になったため、その会社の人がこう言ってくれたのだそうだ。
さすが、名優ですね。もちろん彼の演技がすばらしいことはみんな知っているんだけど、うまいことが当たり前になっていて、そのうまさが正当に評価されてこなかったと思う。
映画だけをとっても
「Shall We ダンス?」
「シャブ極道」
「CURE」
「うなぎ」
「突入せよ!あさま山荘事件」
「ローレライ」(帽子をくるっとまわす仕草が最高だった)
「パコと魔法の絵本」
「孤狼の血」
「三度目の殺人」
「すばらしき世界」
……いやはやすごいな。しかも役の振れ幅が大きい。彼が「うなぎ」以来、23年間もキネ旬男優賞をとれなかったって信じられます?
それにね、つくづく思うんだけど、役所広司の顔って実にいい感じじゃないですか。わたしはハンサムだと思うなあ。これほどの美男はまずめったにいないと思う。
PART4「山下埠頭」につづく。
世界興行成績篇はこちら。
さあ映画篇。といっても、わたしは去年の6月から映画館に行っていないので、トップ3をあげるだけにします。
1「ドライブ・マイ・カー」
3「コーダ あいのうた」
次点が「シン・ウルトラマン」というところでしょうか。にしても「ドライブ・マイ・カー」を見ているときの幸福感といったらなかった。
でもその分、DVDは見まくったのでトップテン。
1「大豆田とわ子と三人の元夫」
2「ラブ・アクチュアリー」
3「俺の家の話」
4「宮本から君へ」
5「キャッシュトラック」
6「海街Diary」
8「花束みたいな恋をした」
9「王妃マルゴ」
10「監獄のお姫さま」
次点が「コウノドリ」と「ラジエーションハウス」の号泣コンビ。
さすがにテレビドラマの棚を眺めても、「これは見逃してたなあ」という作品は少なくなった。先日もゲオに行ったけど何も借りないで帰ってしまったのです。いかん、なんかこう映画欲、ドラマ欲といったものがどんどん減じているような気がするぞ。要するに年取ったってことか。ううう。
ミステリ篇につづく。