ほなさんの汗かき日記

かくれ肥満の解消に50歳を超えてはじめた健康徒歩ゴルフ。登場する個人名、会社名、内容はフィクションである。

50周年同窓会(3)

2016年03月16日 | 日記
ここからひとりひとりを探す作業が始まりました。
古い古い記憶の片隅にある「同級生の家」を訪ねていき
ました。勇気を奮い起こし汗をかく作業です。

「○○君はどこにおるんで?」
「○○さんはどこへ嫁に行ったんえ?」
親や兄弟、親戚、それぞれにこう尋ねることは、わかって
いても、飛び出していけることではなかなかありません。

するとB君が動き出してくれました。野球部の彼は、脚の
速さは陸上部を抜いていました。その彼が同級生を見つけ
てきては、電話の向こうから、
「同窓会、ぜったいやろうな!」
とエールをおくってきます。

次に4組のCさん、Dさんらが、今はもうシャッター街と
なった県下一の商店街を、ローラー作戦で一軒一軒訪問し
てくれ、大きな成果を上げてきました。これらの動きが世
話人会に火をつけ、同級生の噂をよび、いろんな情報が世
話人のもとに集まってくるようになりました。家がなけれ
ば、勤務先を伝えてくる場合もありました。

その中のひとつ。
某君の情報は、家はなくなっているが、かつての職場だけ
がわかっているというので、8組のE君と勤め先に一緒に
行きました。
同級生の名を告げると、受付に居た若いスタッフは、まっ
たく知らないのでしょう、きっぱり、
「居ません。」
と言いました。

せっかく情報をくれた同級生にも返事をしないといけない
ので粘りました。古い方はいませんか、と。
しばらくして、奥から怪訝そうな顔をした年配者が出てき
てくれたので、ほなさんが事情を話すと、
「残念だなぁ。その方は10年前に亡くなったよ。そうい
 う訳で自宅も無くなったんだ。」
そして私らに向いて、気の毒そうな表情で
「ご苦労さん。」
とねぎらってくれました。

「ああ、遅かったなぁ、E君。」
と帰りの車中ほなさんは、運転してるE君に言いました。
ほなさんは幹事になってから、日々、新聞の死亡欄を見る
習慣がついていましたが、10月にひとり、12月には1
組の方を見送りました。

12月の同級生の場合、付き合いの良い彼が、今回はなぜ
幹事役を引き受けなかったのだろうと思っていました。そ
れほど悪い容態とは知りませんでした。

葬式の挨拶で、彼の息子さんは、3月の同窓会を楽しみに
していたのに、と泣きました。棺の中の彼に、
「知らんでごめんよ。待てなんだんやなぁ、皆に会わせて
 やれなんだ。すまん。」
とほなさんは手を合わせました。涙がこぼれました。

年の暮れが迫ってきていました。苦しい年の瀬でした。
コメント
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