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kan-haruの日記

ITと技術 日本の宇宙技術 講演と宇宙展を見て小惑星物質を持ち帰ったはやぶさの技術に誇りその3

2011年02月12日 | ITと技術
kan-haru blog 2011 太陽の力で推進する宇宙ヨット「イカロス」(JAXA公開)
       
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日本が誇る宇宙技術
・世界で初めて小惑星の粒子を持ち帰った「はやぶさ」
日本の宇宙技術の素晴らしさをJAXAが見せてくれたのは、2003年に打ち上げた小惑星探査機「はやぶさ」が、小惑星イトカワに着陸して粒子を世界で初めてカプセルに採取して持ち帰り、7年をかかって昨年6月に予定したオーストラリアに帰還させ、その偉業には日本国民に大きな感動を与えてくれました。

 カプセルから掻き出しヘラの電子顕微鏡写真(JAXA公開)

・世界最初の宇宙帆船「イカロス」
昨年5月21日に「あかつき」との相乗りで打ち上げられた宇宙帆船イカロスは、世界で初めて厚さが7.5μmのポリイミドフイルムの膜面で、一辺の長さが14mで帆の重さが15kgの大型の帆面に、厚さが25μmの薄膜太陽電池と、宇宙塵計測装置、電源ON/OFFで帆の向きを制御する液晶薄膜(その2参照)、が張られています。

 液晶デバイスによる姿勢制御のイメージ(JAXA公開)

イカロスの帆の中央には四角い窓が設けられており、ここには直径1.6m、高さ0.8mの円筒形の船体があり、この船体に帆を帯状に折り畳み、外周に巻き付けた形で収納した、JAXA固有のユニークな世界初の宇宙帆船です。

 イカロスの帆の膜面・形状配置説明図(JAXA公開)

宇宙ヨットの構想は1919年、ロシアのツィオルコフスキーらにより提案され、1963年SF作家のアーサー・C・クラークが、地球上空から月に向かう宇宙ヨットレースを描いた短編「太陽からの風」に登場して知られるようになり、JAXAのイカロスによって実証されたことになります。

 イカロスの実証行程(JAXA公開)

宇宙帆船イカロスは、太陽光を受けて燃料なしで推進する世界初めての実証機で、金星に向かう軌道に送り出され、同年12月8日に金星に最接近しました。

 イカロス打ち上げ軌道(JAXA公開)

イカロス宇宙船の実証任務は、先ず第1番として、円筒形の船体に巻き付けられた大型膜面の展開・展張と展張状態の評価は、同5月26日に先端マスを分離して、同6月2~8日に一時展開して、同9日に二展開を実施して、その後もスピンにより展張状態を維持して事前予測とおおむね一致し目的が達成されました。

 大型膜面の展開・展張(JAXA公開)

第2番目には、セイル上に搭載された薄膜太陽電池を、6月10日に発電して確認し、電池データの特性を把握し達成しました。
第3番目には、ソーラーセイルによる加速効果を、軌道決定により光子加速の効果を確認し、力が設計値とほぼ一致することを確認し、光学特性を考慮した姿勢軌道ダイナミクスを構築し、学パラメータ同定法を確立し、道計画系へ反映させました。

 帆による加速(JAXA公開)

第4番目には、ソーラーセイルによる航行技術の獲得では光子加速モデルを構築し、ラッキングを含む実運用に耐える軌道決定手法を確立し、セイル姿勢状態を制御することで想定通りの軌道制御ができることを用いた航法誘導技術を確認しました。

 液晶による帆の制御
 
JAXAでは2011年1月26日に、小型ソーラー電力セイル実証機(IKAROS)の定常運用終了報告書を出して、定常運用を終了しました。

・小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」ビデオ
JAXAが2010年04月01日に作成した、『小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」』ビデオは、実証機の開発期間中に作成されたもので、イカロスの詳しい解説から、打ち上げ後のミッションシーケンスの内容などを、解りやすく13分27秒のビデオに編集されており、Youtubeのおすすめ動画に登録されたものです。クリックしてご覧下さい。

小型ソーラー電力セイル実証機「IKAROS」


「はやぶさ」の感動よ いま一度!
『空と宇宙展~飛べ!100年の夢~』の展示会場(マップ参照)のイカロスコーナーの隣は、はやぶさコーナーです。コーナーには、2010年6月13日に日本中を沸かせて地球に帰還して、大気圏に突入して飛散した「はやぶさ」の実物大の模型が展示してあります。

 はやぶさ模型(写真拡大)

「はやぶさ」のミッションシナリオは、2003年5月9日にM-Vロケット5号機によって打ち上げられ、小惑星「イトカワ」に向かって出発し、2004年5月に地球スウィングバイを行なって、2005年9月に小惑星イトカワに到着しました。
この目的のため、「はやぶさ」の推進機構のひとつに電気推進エンジンがあり、この電気推進エンジンは、まず、マイクロ波によって推進剤のキセノンをイオンに電離します。次に生成したイオンを強力な電場で加速、高速で噴射させ、その反動を利用して推進力を得ます。電気推進エンジンは、従来の化学推進エンジンと比べて、燃料の効率が良いことが知られています。その一方で、その推進力は極めて小さいため、化学推進エンジンと同じだけの軌道変更を行うためには、非常に長い時間、連続して作動させなければなりません。

 はやぶさの推進エンジンにはイオンスラスターを持つ

また、イトカワへ着陸して、試料を採収して持ち帰るためのサンプル採集装置と12基の化学エンジンを装備してあります。2005年11月26日には小惑星イトカワへの降下着陸を行い、試料採取のためのタッチダウンに成功しました。

 はやぶさにはサンプル採集装置・イオンエンジン・化学エンジンを装備(:イトカワでのサンプル採集装置、・右:イオンスラスター4基と化学ラスタが12基装備)

「はやぶさ」は、遠く離れた小惑星に探査機が自ら判断して近づく「自律航法」、小惑星の表面に小さな玉を打ち込んで、はねかえるかけらを採集する「微小重力下での試料採取法」、採集した試料を地球に届けるため耐熱設計された「帰還カプセル」などのいろいろな技術を使用しています。

 はやぶさはいろいろな技術を駆使しています(JAXA公開)

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