燧ヶ岳を西(左手)に見ながら大江湿原の木道を歩く。
日陰がまったく無い。
ここから先は沼山峠への登攀が待っている。
ほぼ無風状態のカンカン照りは自分でもかなりきついなぁと感じるが、心配なのは女房の方だ。
水分補給はしているが、これからの登攀がより厳しさを増すことは必至。
樹林帯の中であることだけは分かっているので、木陰で小休止をとろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/e2/39c6eb1fe03b8af626185be4b858f6d5.jpg)
ふと気付くと「シシウド」があった。
こんなたかだか1500メートル程度の標高でシシウドとは・・・。
シシウドは、自分が登山を始めたばかりの頃に初めて覚えた高山植物だ。
何故シシウドが最初だったのかは忘れたが、確か「白馬岳」へ登った時だから、すでに28年も前のことになる。
「へぇ~尾瀬にシシウドとはねぇ・・・。」
女房にとっては何のことかさっぱりだろうし、ましてや今の疲弊状態からすれば高山植物どころでは無いはずだ。
「いや、なんでもないよ。この先樹林帯に入ったら木陰があるからそこで休むか!」
そう言って先を急いだ。
もうすぐ上りになろうかというポイントで、木道に座りなにやら文字を書いている人がいた。
そしてもう一人は湿原の中に入り、距離を測っているような・・・。
すれ違いざまに荷物に書いてある文字を読むと「福島県尾瀬保護調査会」とあった。
なるほど、尾瀬湿原における何らかの調査で来ているのだとわかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/7d/99fe71ab02ea7ed73f0322b64c896490.jpg)
仕事であることはわかるが、この猛暑の中での作業は堪えるはずだ。
「こんにちは。ご苦労様です!」と言って声をかけると、「ありがとうございま~す♪」という爽やかな返事。
具体的な仕事内容まではわからないが、地道な作業を繰り返すことでこれだけ広大な尾瀬を守っているんだろうと推測できる。
本当に頭の下がる思いだ。
「あぁ~綺麗だ。なんて清々しい自然なんだろう」と、感動に浸ることができるのも、このような調査、データ収集、対策があってのことなのだろう。
いよいよ沼山峠への登攀が始まった。
斜度や距離は自分にとってたいしたものではないが、先ずは木陰で休憩だ。
これから続く上りに向けて、水分と塩分補給をした。
女房には「塩サプリ」という顆粒状の塩分を主としたサプリメントを渡した。
うんちく的な話になるが、自分は人一倍どころか人三倍は汗かきで、夏の登山ともなれば、滝のような汗が流れ出る。
当然水分だけでなく、塩分やミネラルなどが失われるのも人三倍だ。
過去の苦い体験として、それによる大腿部の「つり」があった。
そしてそれは決まって左足の大腿部。しかも常に決まったポイントで起きる。
左足の次は右足となり、これも決まったポイントだ。
ひどい時には両足大腿部の筋肉がつってしまい、一歩も歩けなかった。足を上げることができないこともあった。
それが3年前の「平ヶ岳」の往路だった。
たった11㎞の縦走路を、なんと11時間もかかってしまった苦い思い出だ。
しかし、筋肉がつってしまうという原因が「塩分不足」から来ているとわかったのが、つい一年前のことだった。
それまでは単に日頃の運動不足、筋力不足が原因だと思い込んでおり、それ以来、常日頃は下半身を中心としたトレーニングに力を入れた。
それでも登山に向けた大切な事前準備であることは間違いないものの、根本的な解決策ではなかったわけだ。
とは言え、決して無駄ではないスクワットであり、おかげで50回×8セット=400回のスクワットがこの歳でできるようになったことは嬉しい♪(笑)。
筋力が少しはついたとは言え、大腿部がつってしまうことにはかわりはなかった。
悔しいと感じつつも、他に何か原因があるかも知れない・・・と思い、ネットや書籍、そしてモンベルおやまゆうえん店のスタッフにも相談してみたところ、「塩分不足」が要因ではないかという指摘を受けた。
そして「カリウム」も摂った方がベターであるという助言をいただいた。
「ナトリウム」だけを摂取するのであれば今までの「塩飴」だけで十分なのだが、汗の中には「カリウム」も多く含まれており、その両方を同時摂取することが重要であるわけだ。
「なるほどねぇ・・・」
そこで、更にネットで調べまくったり、いろいろな店舗を見て歩き食物摂取による塩分不足対策を自己流で考えた。
その一つが「塩サプリ」なる顆粒状のサプリメントだったのだ。
また、バナナやマンゴーなども多くのカリウムが含まれていることもわかった。
かといって、生の果物を持って行くことなどできるはずもなく、近所のスーパーに立ち寄ったところ、「ドライフルーツ」なるものを発見!
まったくもって「灯台もと暗し」とはよく言ったものだ。
我が家から歩いて1分足らずのところに解決策があっただなんてね(苦笑)。
金銭的な問題もあり、さすがに毎回マンゴーを持参することは厳しく、多くはバナナを持っていくようにしている。
それにバナナの方が腹持ちもいい。
筋トレの成果もあるだろうが、結果として大腿部がつることはまったく無くなった。
これできつい登攀が本当に楽になったことは事実だ。
大汗をかくことは相変わらずだが、一つ心配事が減ったことはありがたい。
話を戻そう。
さて女房だが、沼山峠の登攀は30分程度であるにも関わらずかなりきつそうだっだ。
10分登っては5分休むの繰り返し。
ちょっと可哀想になってきた。
これが最後の登攀だからと言って励まし、やっと峠まできた。
さぁ、あとはバス停まで下るだけだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/62/9849bfcbfec09201bc524f7c4879e95b.jpg)
「山の駅沼山峠」が見えてきた時には自分もホッとした。
あとはバスに乗って御池まで戻るだけ。
これで女房も楽になってくれると思う。
しかぁ~し、自分にも問題はある。
「ビールが飲みたい! 絶対にビールが飲みたい!」
と、声を大にして叫んでも、御池からは車で帰宅しなければならない。
まさかこんな状態の女房に運転させるほど鬼ではない。
ここはひたすら我慢の亭主だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/a6/ee8109cef9f5482f7b1d94b2947a53b4.jpg)
バスに乗っている時間はわずかに20分ほど。
御池にはすぐに到着した。
ビールはダメだが、せめてコーラを・・・。
350mlの缶コーラを2本飲んだ。
思い切り出したゲップのなんと爽快なことか!
周囲の視線なんぞこの際お構いなしだ。
帰りの車中では、女房は爆睡。
自分は眠くはなかったが、腕の日焼けが痛かった。
車中で思ったこと。
*もっと早くに尾瀬を訪れ、尾瀬の美しさを知っておくべきだった。
*夏には夏の良さがあるのだから、秋にも訪れてみたい。
*カミさんが可哀想だった。
*尾瀬の自然を守るため、影で頑張っている人がいる。
*帰宅して早くビールが飲みたい。
夏の尾瀬って、いいね♪
日陰がまったく無い。
ここから先は沼山峠への登攀が待っている。
ほぼ無風状態のカンカン照りは自分でもかなりきついなぁと感じるが、心配なのは女房の方だ。
水分補給はしているが、これからの登攀がより厳しさを増すことは必至。
樹林帯の中であることだけは分かっているので、木陰で小休止をとろう。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/23/e2/39c6eb1fe03b8af626185be4b858f6d5.jpg)
ふと気付くと「シシウド」があった。
こんなたかだか1500メートル程度の標高でシシウドとは・・・。
シシウドは、自分が登山を始めたばかりの頃に初めて覚えた高山植物だ。
何故シシウドが最初だったのかは忘れたが、確か「白馬岳」へ登った時だから、すでに28年も前のことになる。
「へぇ~尾瀬にシシウドとはねぇ・・・。」
女房にとっては何のことかさっぱりだろうし、ましてや今の疲弊状態からすれば高山植物どころでは無いはずだ。
「いや、なんでもないよ。この先樹林帯に入ったら木陰があるからそこで休むか!」
そう言って先を急いだ。
もうすぐ上りになろうかというポイントで、木道に座りなにやら文字を書いている人がいた。
そしてもう一人は湿原の中に入り、距離を測っているような・・・。
すれ違いざまに荷物に書いてある文字を読むと「福島県尾瀬保護調査会」とあった。
なるほど、尾瀬湿原における何らかの調査で来ているのだとわかった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/2c/7d/99fe71ab02ea7ed73f0322b64c896490.jpg)
仕事であることはわかるが、この猛暑の中での作業は堪えるはずだ。
「こんにちは。ご苦労様です!」と言って声をかけると、「ありがとうございま~す♪」という爽やかな返事。
具体的な仕事内容まではわからないが、地道な作業を繰り返すことでこれだけ広大な尾瀬を守っているんだろうと推測できる。
本当に頭の下がる思いだ。
「あぁ~綺麗だ。なんて清々しい自然なんだろう」と、感動に浸ることができるのも、このような調査、データ収集、対策があってのことなのだろう。
いよいよ沼山峠への登攀が始まった。
斜度や距離は自分にとってたいしたものではないが、先ずは木陰で休憩だ。
これから続く上りに向けて、水分と塩分補給をした。
女房には「塩サプリ」という顆粒状の塩分を主としたサプリメントを渡した。
うんちく的な話になるが、自分は人一倍どころか人三倍は汗かきで、夏の登山ともなれば、滝のような汗が流れ出る。
当然水分だけでなく、塩分やミネラルなどが失われるのも人三倍だ。
過去の苦い体験として、それによる大腿部の「つり」があった。
そしてそれは決まって左足の大腿部。しかも常に決まったポイントで起きる。
左足の次は右足となり、これも決まったポイントだ。
ひどい時には両足大腿部の筋肉がつってしまい、一歩も歩けなかった。足を上げることができないこともあった。
それが3年前の「平ヶ岳」の往路だった。
たった11㎞の縦走路を、なんと11時間もかかってしまった苦い思い出だ。
しかし、筋肉がつってしまうという原因が「塩分不足」から来ているとわかったのが、つい一年前のことだった。
それまでは単に日頃の運動不足、筋力不足が原因だと思い込んでおり、それ以来、常日頃は下半身を中心としたトレーニングに力を入れた。
それでも登山に向けた大切な事前準備であることは間違いないものの、根本的な解決策ではなかったわけだ。
とは言え、決して無駄ではないスクワットであり、おかげで50回×8セット=400回のスクワットがこの歳でできるようになったことは嬉しい♪(笑)。
筋力が少しはついたとは言え、大腿部がつってしまうことにはかわりはなかった。
悔しいと感じつつも、他に何か原因があるかも知れない・・・と思い、ネットや書籍、そしてモンベルおやまゆうえん店のスタッフにも相談してみたところ、「塩分不足」が要因ではないかという指摘を受けた。
そして「カリウム」も摂った方がベターであるという助言をいただいた。
「ナトリウム」だけを摂取するのであれば今までの「塩飴」だけで十分なのだが、汗の中には「カリウム」も多く含まれており、その両方を同時摂取することが重要であるわけだ。
「なるほどねぇ・・・」
そこで、更にネットで調べまくったり、いろいろな店舗を見て歩き食物摂取による塩分不足対策を自己流で考えた。
その一つが「塩サプリ」なる顆粒状のサプリメントだったのだ。
また、バナナやマンゴーなども多くのカリウムが含まれていることもわかった。
かといって、生の果物を持って行くことなどできるはずもなく、近所のスーパーに立ち寄ったところ、「ドライフルーツ」なるものを発見!
まったくもって「灯台もと暗し」とはよく言ったものだ。
我が家から歩いて1分足らずのところに解決策があっただなんてね(苦笑)。
金銭的な問題もあり、さすがに毎回マンゴーを持参することは厳しく、多くはバナナを持っていくようにしている。
それにバナナの方が腹持ちもいい。
筋トレの成果もあるだろうが、結果として大腿部がつることはまったく無くなった。
これできつい登攀が本当に楽になったことは事実だ。
大汗をかくことは相変わらずだが、一つ心配事が減ったことはありがたい。
話を戻そう。
さて女房だが、沼山峠の登攀は30分程度であるにも関わらずかなりきつそうだっだ。
10分登っては5分休むの繰り返し。
ちょっと可哀想になってきた。
これが最後の登攀だからと言って励まし、やっと峠まできた。
さぁ、あとはバス停まで下るだけだ。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/3c/62/9849bfcbfec09201bc524f7c4879e95b.jpg)
「山の駅沼山峠」が見えてきた時には自分もホッとした。
あとはバスに乗って御池まで戻るだけ。
これで女房も楽になってくれると思う。
しかぁ~し、自分にも問題はある。
「ビールが飲みたい! 絶対にビールが飲みたい!」
と、声を大にして叫んでも、御池からは車で帰宅しなければならない。
まさかこんな状態の女房に運転させるほど鬼ではない。
ここはひたすら我慢の亭主だった。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/6f/a6/ee8109cef9f5482f7b1d94b2947a53b4.jpg)
バスに乗っている時間はわずかに20分ほど。
御池にはすぐに到着した。
ビールはダメだが、せめてコーラを・・・。
350mlの缶コーラを2本飲んだ。
思い切り出したゲップのなんと爽快なことか!
周囲の視線なんぞこの際お構いなしだ。
帰りの車中では、女房は爆睡。
自分は眠くはなかったが、腕の日焼けが痛かった。
車中で思ったこと。
*もっと早くに尾瀬を訪れ、尾瀬の美しさを知っておくべきだった。
*夏には夏の良さがあるのだから、秋にも訪れてみたい。
*カミさんが可哀想だった。
*尾瀬の自然を守るため、影で頑張っている人がいる。
*帰宅して早くビールが飲みたい。
夏の尾瀬って、いいね♪