ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

雨巻山 雪のない冬の山へ

2024年06月17日 20時34分30秒 | Weblog
長く山に登ってはいるが、冬期登山において雪のない山に登ったことは記憶にない。

今回、お手軽登山を始めた女房から「冬にも山に登ってみたい」と言われ、「おっ、遂に雪山に目覚めてくれたか?!」とちょっと嬉しかった。
しかし「雪は無理!」の一言ですんなり諦め、どこか積雪の無い日帰り低山はないものかと探した。
職場でよく日帰り登山をする人に聞いたところ、益子町にある「雨巻山はどうですか。お手頃ですよ♪」とのことで、即決定。
決めたのはよいが、お手頃とは言え自分は登ったことがない。
ましてや冬期に雪のない山に登るのも初めてのこと。
ある意味不安だった。

日帰りの低山、すなわち「里山」的な山の怖さを知っているからに他ならない。
初心者向けだから・・・というのはわかるが、里山には里山なりの怖さがあることを知っている人はむしろ少ないかも知れない。
今回もその怖さに遭遇してしまったが、このことについては後々綴ることにしたい。

不安はもう一つあった。
レイヤリング(服装)である。
雪の積もっていない冬の低山が初めてであり、頭の中では何となく「レイヤリングはこんなものだろう」と分かっているのだが、「帽子はどの程度のもの?」「手袋はどの程度のもの?」「ソックスは化繊じゃなくてウールがいいのかな?」と、多々迷うことがあった。
低山とはいえ、冬期に風が吹けば体感気温は氷点下に感じられるだろうし、今回は多少荷物が増えてもいいから予備の衣類と帽子・手袋、そして使い捨てのカイロを持って行くことにした。

雨巻山登山口までは、自宅から車で40分もあれば着く。
近いことは良いのだが、今は一月の終わり。
一年で最も寒さの厳しい時季であり、朝であれば吐く息も白く指も悴む。


雨巻山登山口駐車場。

驚いたことに自分の車以外のナンバーはすべて他県ナンバーだった。
この駐車場には、町で作成した登山地図があり、自分が持ってきた地図と併せて活用すれば心強いだろう。
だがこの地図、ハッキリ言って見づらい。
ちょっと簡略化され過ぎてしまっている。
ルートの途中途中に番号が記されており、自分がこの地図上の何処にいるのかが番号から読み取れるのだが、それでも標高、高低差、尾根、谷、コル、磁北線(西編角)など、自分が作った地図の方が遥かに読み取り易い。


ハッキリ言って寒い。
身体を動かして体内から暖まりたい。
いざスタート!

樹林帯、と言うより林の中を緩やかに登り始める。
足元だけでなく周囲の植物にも目をやるが、冬の山ってこんな感じだったのかなぁ・・・と、雪の積もっていない冬の山は新鮮だった。

「どう 寒くない?」と、一応気遣ってはいるが、まだ始まったばかり。
おそらくは寒いんだろうな・・・と思う。


自分が少し先に進み、時折振り返りながら女房の様子を見る。
吐く息の量や息切れの度合いなどに注意してはいるが、今のところペースはこのままで大丈夫そうだ。
気温が低い分吐く息が白いため、その量や呼吸頻度がよく分かる。

さて、今回は女房にも少しだけ地図の読み方をレクチャーすることになっていた。
「低山でもいいからいつかは一人で登ってみたい」という思いがあるらしく、それだったら地図読みの基本はマストだよとなった。
「アプリじゃダメなの?」と聞かれたが、両方あると心強いが最後はアナログの知識と経験が物を言うと思うと答えた。
それは決して憶測だけの答えではなく、自分の長い経験から出た答えだった。


途中の分岐点に差しかかった。
地図を読んでの現在地確認と、コンパスによるコース確認にはもってこいのポイントだ。
自宅で予めコンパスワークの基本を教えていたが、現場に来れば「本当にこれで合っているのだろうか・・・」という不安に駆られる。
もうこれは回数を稼ぎ慣れるしかないだろう。


自分でコンパスを用いて確認はしたのだが、「ねぇこっちだと思うけど、本当にいいの? 合ってる?」と何度も聞いてきた。
ちょっと笑いを堪えながら「そう思うなら自信を持って進んでみれば」と言うと「え~っ、だって・・・」
「今日は俺が一緒だからいいけど、一人になったら不安だということが分かっただろう」
意地悪をするつもりではなく、たとえ日帰り登山であっても単独で登ることが如何に多くの危険と不安を伴うものなのか。
それを知ってほしかった。

途中でこんなことを聞かれた。
「ねぇ、いつも一人で北アルプスとか雪山とか登ってるけど、道迷いってしたことはあるの?」
答えは当然「ある」なのだが、そう答えてしまうと次から出かけにくくなってしまうということが頭を過ぎった。(笑)
どれだけ事前の下調べと準備がしっかりとできているか。
どれだけ不安を取り除いた状態で登るか。
そうならないための知識と技術と経験が大切であることを言った。
自身の驕りと過信と確証性のない推測(正常性バイアス)が一番恐いことも言った。
そして、それでももしもの時はどうすべきかを知っておくこと、それを実行することが大切であることも言った。

なぁ~んて偉そうなごたくを並べてはみたが、何度同じルートで登っても不安が0になることはない。
ましてや雪山であれば尚更である。
「大丈夫! お母さんに心配はかけないように慎重に準備はしているから。」

雨巻山までまだまだだ。
マイペースでいいから頑張ろう!

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