ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

癒しの山行「蛇紋岩」

2014年11月21日 23時44分32秒 | Weblog
10月とは言え、今日のような好天に恵まれれば樹林帯の中は暑い。
夏山のような・・・とまでは行かないまでも、汗はしたたり落ちてくる。

登り始めて1時間もせずにこの暑苦しい樹林帯を抜け出ることができた。
期待しているのは振り返って見た時の尾瀬湿原だ。
もちろんこの先、更に標高を稼げばより見晴らしが利くのは分かっているが、早く広大な湿原を一望したい。
「宗ちゃん、見えてきたぞ!」

「おぉ~すっげぇー! 上に登ればもっとよく見えるんでしょうね。」

心地よい風が肌をなでてくれている。
実に気持ちの良い秋の山だ。

至仏山は標高は2200mをわずかに越える程度。
お手頃登山にはもってこいの山だ。
自分の家からでも十分に日帰りができる。
そしてこの紅葉。
(「癒されるなぁ・・・」)
心の中でそう何度も呟いた。


少し標高が上がればそれだけ湿原が見えてくる。
燧ガ岳もバッチリだ。
宗次郎君、御満悦かな。


これだけの晴天と紅葉と見晴らしに恵まれていながら、一つだけ気にかかることがあった。
登山道に点在する岩だ。
ルートの途中に至仏山に関する情報が掲示されており、それを読むとこの岩は「蛇紋岩」というらしい。
自分にとっては聞き慣れない名称なのだが、この蛇紋岩、とにかくよく滑る。
登山靴のソールなど一切無視されてしまっているかのようにスリップするのだ。
「ふ~ん、蛇紋岩かぁ・・・」
「知っているんですか?」と聞かれたが、初耳だった。
恥をさらせば、高山における樹木や花などでさえ、見てすぐに名前が言えるものなど十数種類しかない。
ましてや鉱物ともなれば「???」で、せいぜい花崗岩程度しか知らない。

この蛇紋岩のために、今日は何度危険な目に遭ってしまっているか。
一歩一歩を慎重に踏みしめてはいても、思わず「ツルッ!」と行ってしまう。
そんないやらしい岩だ。


それでもこの青空と紅葉に癒されながら登る山のなんと清々しいことか。
まぁ相変わらず嫌いな階段は出てくるのだが・・・。

と思っていると、今度はスラブのような蛇紋岩が現れた。
「いやぁーこれはきついですね」
「宗ちゃん、まぁゆっくり登ろうや。」

幸い鎖が設置されてはいるが、凹凸の少ないスラブと言っても良いだろう。

よっ! 宗ちゃん。カッコイイよ!

癒しの山行「草紅葉の中を・・・」

2014年11月11日 20時16分17秒 | Weblog
翌朝は5時に起床し、先ずは珈琲を一杯。
さすがにこの時期ともなれば尾瀬の朝は肌寒いが、テントから顔を出してみれば空は快晴で気持ちがいい。
早く登りたいというはやる気持ちを抑えながら朝食の準備に取りかかった。
メニューと言える程のものではないが、二人ともお茶漬けと言うか雑炊と言うか、ごく簡単に済ませた。

テントの撤収作業は素早かった。
宗次郎君の手際よさは相変わらずで、大いに助かった。
さて、予定通り7時に「見晴」を出発だ。

遙か向こうに見える至仏山まで、この草紅葉に囲まれた木道をひたすら歩く。
モン太君も一緒だ(笑)。


「宗ちゃん、体調はどう?」
「バッチリですよ! 早く登りたいですね。」


「俺、まだ眠いなぁ・・・」
それでも食材が減ったその分だけザックは軽くなっている。
天気も上々だし、贅沢は言うまい。

のんびりと草紅葉の中を歩く。
秋の尾瀬を十二分に堪能しながら、慌てず、急がず。
この時思ったことは、「一年の内数回でいいから、こんなのんびりとした山行をするべきではないだろうか」ということ。
常にとは言わないが、自分の登山はソロで行くことばかりで、しかもそれなりに危険を伴う。
時には命の危機さへも・・・。
心身を削ってばかりの山行と言えるかも知れない。
それだけに、こんな癒される山行が必要なのではないかと感じた。
改めて尾瀬の自然美に触れ、そう思った。


振り返れば燧ガ岳が遠のいていた。
「池塘(ちとう)」の水面には碧い空と雲が映っている。
「いいなぁ・・・。やっぱりこんな景色って心が心底和むよなぁ。 宗ちゃん、来年の初夏にもう一度ここへ来るといいよ。ニッコウキスゲがうじゃうじゃだから。」
「楽しみですね。今度は彼女と来ようかな・・・と思っています(笑)。」
と、言ったかどうかは別として、来年の初夏には是非とも訪れたい。

「山の鼻」が近づいてきた。
ここまで来ればあと30分もあれば至仏山の麓に到着できるだろう。


木道を歩き続けて約2時間。
山の鼻に着き、休憩をした。
売店で売っているソフトクリームの絵と文字に目が釘付けだった(笑)。
「宗ちゃん、下山したら絶対ソフトクリーム食べような!」
「大賛成です!!」

いよいよ至仏山への登頂開始だ。
二年前の秋、二度ここへ来て二度とも登れなかった至仏山だ。
一度目は台風の影響で断念し、二度目は自分の体調不良だった。
楽しみでならない。

スタートはひたすら樹林帯の中を登る。
自分の苦手な階段になっており、嫌でも段差の分だけ足を上げなければならない。

ゆっくり登っても1時間もあればここを抜け出せるだろう。
したたる汗を拭いながら、そして嫌々ながら登り続けた。
早く稜線に出て風を感じたい。

癒しの山行「宗ちゃん本領発揮!」

2014年11月03日 00時17分10秒 | Weblog
見晴キャンプ場に着き、先ずは受付を済ませた。
「テントはお好きな場所にどうぞ」ということで、広々としたテン場へと移動。
トイレは臭いと風上風下などの関係もあり、近すぎず遠すぎず。
また、洗い場との距離も関係してくる。
とは言っても、「まぁこんなあたりかな・・・」ってな具合で場所を決め、早速設営開始。
ここで宗次郎君がボーイスカウトで培ったノウハウを発揮してくれた。
自分は一人でテント泊をする事が多いことから、ついいつものように勝手にポールを通し設営しようとした。
するとだ、宗ちゃんは何ともタイミング良く、しかも手際よく自分と手順を合わせながら設営に加わってくれた。
いちいち「次はこれ。そしたら次がこれ」などと一切指示も説明もなく、ピッタリと歩調を合わせるかのようにスムーズな手際よさだった。
「いやぁ宗ちゃん、さすがだね♪ 考えてみたら俺なんかよりもテント泊の回数は多いんだろうね。」
ちょっと照れる宗次郎君。(カワイイ)

張り綱のテンションといい、ペグの角度といいバッチリだ。

これで今夜の“OUR HOUSE”の完成だ。
ザックなどの荷物を中に入れ、夕食に必要な食材やギア類を取り出し、まだ時間があったので珈琲ブレイクとした。
ゆっくりと休憩をし、日が暮れる前に調理だけは終わらせることができるタイミングで夕食の準備を始めた。

調理は完全分担制とした。
ご飯は宗次郎君で、みそ汁とおかずは自分の担当だ。
ご飯については、何とフリーズドライではなく生米を用いて炊くというもの。
飯盒で炊くのではなく、ビニール袋に水と米を入れてお湯で炊きあげるというやり方らしい。
宗ちゃん曰く「ビニールご飯」(笑)。
実はこれ、宗次郎君が所属しているボーイスカウト内で「あーでもないこーでもない」と試行錯誤を繰り返し完成させた炊き方なのだ。
難しいのは米と水の加減。そしてビニール同士がくっつかないように炊きあげること。

炊き方に関してはすべて宗ちゃんにお任せした。
自分などが横やりを出さない方が美味しく炊けるだろう。

炊いている間、自分は野菜などの食材を切り炒める直前までの下準備を進めた。
今夜のメインディッシュは「青椒肉絲」。
しかし、さすがに生の肉を持参してくることは叶わず、スパムで代用した。

ご飯が炊きあがり、いよいよ自分の出番だ。

家ではラーメン以外は殆ど調理などしたことがない自分が、山に行けば結構いろいろな調理を楽しんでいる。
いや、楽しみではなく、必要に迫られて・・・かな(笑)。

最後にルーを入れてかき混ぜれば完成だ。
みそ汁だけはフリーズドライとしたが、おかずは一応手料理だ。
さぁて、男飯の完成!
お味は如何に・・・(不安)。


美味い!
食が進むなぁ~。
(腹が減っていれば何でも美味いのだ)

いやいやどうして、正直美味かったと思う。
いつもは独りで作り独りで食べるテント泊だが、会話のある食事もいいものだ。
単独登山にはない楽しさがある。
だが、おそらくは・・・否、絶対に家に戻っても青椒肉絲を家族のために自分が作ることはないだろうなぁ(笑)

後片付けも二人でやれば早いものだ。
それが済めば明日の朝食の準備をし、ビールを飲んで寝るだけ。
「あっ、僕ビール買ってきますね。」
冷えたビールで明日の無事登頂を祈念し乾杯だ。

明日の行動予定は「ゴロチ(567)」。
すなわち起床は早朝5時、6時に朝食、7時に出発となる。
宗次郎君と飲みながら仕事のことや山のことでダベリングをし、静かに尾瀬の夜が更けて行った。