カニのタテバイに登る時、三人組のグループが登り口直前で止まっていた。
「どうしました?」
「いやぁ初めてなので、もう一度確認してから登ろうと思ってるんです。」
そうとなれば事は早い。
「じゃぁ私が登りますから、手がかりとか足がかりとか見ていてください。少しは参考になるかと思います。」
そう言って登り始める前にカメラを渡した。
時々お願いしている「カメラ交換プレー」ってやつで、自分のカメラを渡して撮っていただくというものだ。
不思議だった。
まったく苦にならない。
いや、むしろタテバイ登攀が楽しくて仕方なかった。
これがいい意味での「慣れ」ってことなのだろう。
もちろん気を抜くことはない。
一挙手一投足に集中して登った。
どちらかと言えば単調な動きであった平蔵谷雪渓からやっと解放され、ある意味自由に手足を動かすことのできる岩稜登攀への歓びがあった。
もちろん傷口は痛い。
それでも嬉しい思いが遙かに上回っていた。
後から登ってくる人達の写真を撮った。
御礼を言い先を急ごうと思ったが、ふと見下ろせば苦労して登ってきた雪渓が眼下に広がっていた。
「おぉシュルンドが見えるなぁ。あそこだけはきつかったなぁ。」
そして下山のルートには「平蔵の頭」が屹立していた。
こうして客観的に見てみると、とても自分の力では無理だと思える難コースだ。
カニのヨコバイとの分岐点に着いた。
誰も人がいなかったので、ちょっと寄り道をしてみた。
鎖につかまりのぞき込む様にして上半身を出し、腕を伸ばしてパチリ。
つい先日ここで滑落者が出たばかりという現実を思い出した。
「さて、もう一息だな。」
大きな岩の固まりが積み重なってきた。
いよいよPEAKが近いということだ。
山頂の天候は良さそうで、見上げれば碧空が自分を迎えてくれている。
一歩一歩近づく。
祠が見えてきた。
そう言えば、去年の夏に祠は無かった。
落雷で崩壊してしまったはずだったが、その後建て直したのだろう。
後から来た三人の方に「あそこがPEAKですよ。」と教えると、「いよいよですね。」と嬉しそうに微笑んでいた。
9時20分登頂。
ここまで4時間20分の行程だった。
何度登ってもやっぱり劔はいい!
何度登っても満足感で満ち足りた思いだ。
「どうしました?」
「いやぁ初めてなので、もう一度確認してから登ろうと思ってるんです。」
そうとなれば事は早い。
「じゃぁ私が登りますから、手がかりとか足がかりとか見ていてください。少しは参考になるかと思います。」
そう言って登り始める前にカメラを渡した。
時々お願いしている「カメラ交換プレー」ってやつで、自分のカメラを渡して撮っていただくというものだ。
不思議だった。
まったく苦にならない。
いや、むしろタテバイ登攀が楽しくて仕方なかった。
これがいい意味での「慣れ」ってことなのだろう。
もちろん気を抜くことはない。
一挙手一投足に集中して登った。
どちらかと言えば単調な動きであった平蔵谷雪渓からやっと解放され、ある意味自由に手足を動かすことのできる岩稜登攀への歓びがあった。
もちろん傷口は痛い。
それでも嬉しい思いが遙かに上回っていた。
後から登ってくる人達の写真を撮った。
御礼を言い先を急ごうと思ったが、ふと見下ろせば苦労して登ってきた雪渓が眼下に広がっていた。
「おぉシュルンドが見えるなぁ。あそこだけはきつかったなぁ。」
そして下山のルートには「平蔵の頭」が屹立していた。
こうして客観的に見てみると、とても自分の力では無理だと思える難コースだ。
カニのヨコバイとの分岐点に着いた。
誰も人がいなかったので、ちょっと寄り道をしてみた。
鎖につかまりのぞき込む様にして上半身を出し、腕を伸ばしてパチリ。
つい先日ここで滑落者が出たばかりという現実を思い出した。
「さて、もう一息だな。」
大きな岩の固まりが積み重なってきた。
いよいよPEAKが近いということだ。
山頂の天候は良さそうで、見上げれば碧空が自分を迎えてくれている。
一歩一歩近づく。
祠が見えてきた。
そう言えば、去年の夏に祠は無かった。
落雷で崩壊してしまったはずだったが、その後建て直したのだろう。
後から来た三人の方に「あそこがPEAKですよ。」と教えると、「いよいよですね。」と嬉しそうに微笑んでいた。
9時20分登頂。
ここまで4時間20分の行程だった。
何度登ってもやっぱり劔はいい!
何度登っても満足感で満ち足りた思いだ。