ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

尾瀬は暑かった!(ダイジェスト)

2012年07月29日 22時34分49秒 | Weblog
梅雨明けすぐは天候が安定していることから、昔から「山に登るなら梅雨明け10日」と言われている。

今回は女房の希望もあり、車中前泊を含めて2泊3日で「尾瀬」へと出かけた。
今まで「尾瀬なんて、ただ歩くだけだしつまらない。」と決めつけていた自分を大いに反省させられるだけの魅力を感じた尾瀬だった。
ただ、どうにも暑い!
実際に歩いた二日間はもろピーカンで、日中は汗が止めどなく流れ出た。
雨が降ったら降ったで「晴れてくれないものか・・・」と愚痴をこぼしているくせに、まったくもってわがままで贅沢だ。


7月26日(木)。
「御池」に到着し、そのまま車中泊。
翌27日(金)、6時30分に御池をスタートした。
途中いくつかの湿原(「○○田代」)もあったが、燧裏林道はそのほとんどが樹林帯であり、幸いに直射日光を遮ってくれていた。
ところが、小さな沢の近くを歩いている時だった。
突然「バシャバシャ!!」という水をはじくような音が聞こえた。
魚がはねた音にしてはあまりにも大きすぎるし、かと言って人がルートから外れて歩くことは厳しく規制されている。
お互い顔を合わせて青ざめた。
「ひょっとして熊・・・か。」
距離にしてほんの20メートル。
熊よけの鈴を鳴らしながら歩いてきたが、あわてて持っていたストックをバチバチと叩き合わせて音を鳴らし、急ぎ足でその場を過ぎた。
後で小屋のスタッフに聞いたが、「そりゃぁ間違いなく熊ですね」と言われた。
おぉ~怖!

休憩を含めて約5時間で「尾瀬小屋」に到着。

髭を生やしたスタッフの方(ニックネーム「ようにい」さん)がお出迎えをしてくれた。
軽く昼食を・・・と思ったが、売店にあった缶ビールに目は釘付け。
「一本だけ」と言って一気に飲み干した。
ずっと汗をかき続けてきた体と喉にはたまらない美味さだ。

ザックをデポし、「竜宮十字路」まで歩いた。

振りかえれば「燧ガ岳」の勇姿。
去年の秋に仲間と登る予定の山だったが、悪天候により中止となった山だ。


正面の南には「至仏岳」が見える。
今いるあたりが、尾瀬の代表的な風景らしい。
「水芭蕉」の時期はとっくに過ぎてしまってはいるが、初めて見るこの手つかずの自然は「来て良かった。いや、もっと早く訪れるべきだった」と何度も思った。

それにしても日差しを遮ってくれる物や場所がどこにも見あたらない。
一本に伸びた木道をただ歩くだけなのだが、今日に限って言えば「木陰がほしいなぁ」と感じる。


小屋に一泊し、二日目は「尾瀬沼」方面へと足を伸ばした。
そして「大江湿原」を越えて「沼山峠」へと出た。

同じ宿に泊まった方で、登山ブーツのソールが見事なまでにパックリと剥がれてしまった方がいて、出発前に自分の持ってきたエマージェンシーギアで応急処置をした。
今回はまったくの偶然だが、ギアの一つに「ダクトテープ」を加えておいた。
それが功を奏し役だってくれた。
春に筑波山に登った時にも同じようなアクシデントに遭遇した。
今回もギアが役立ってくれたことが嬉しい。

ダクトテープ、テーピングテープ、そしてスズランテープで三箇所を固定。
「鳩待」までは木道が主なルートだし、何とかなったかな。
無事帰宅できたか、いまでもちょっと気になる。




決別

2012年07月25日 00時16分21秒 | Weblog
この年齢になって・・・

今さら何故・・・

これからどうするの・・・

いろんな思いや懸念が混沌とし、言葉にならない不安が錯綜している。
それでも「寄らば大樹の陰」「長いものには巻かれろ」「事なかれ」「安定志向」で今まで生きてきた自分にさよならしたい。
こんな自分がまさか・・・と、自分で決めたことが不思議でならない。
見方によっちゃ「負け組」と言われよう。
言いたい奴は言わせておけだ。

自分一人の人生でないことは百も承知。
だが、自分の人生でもある。
自分が死ぬ時、どれだけ満足して死ねるか、何をしてきたか、何の為にしてきたか。
それを自問自答し、少しでも自信をもって死ねる道を選んだ。

「一歩を踏み出す勇気」は、とてつもなくでかい勇気が必要だった。
踏み出すことが怖くて怖くて仕方がなかった。
されど今、踏み出したその先へと進むしかない。

「新たな人生」と言えば大袈裟だろうが、振りかえればその分後悔しそうな気がする。
既に舫は解かれ船出したんだ。

いざ、決別の時。

春の北アルプス「劔岳に乾杯!」

2012年07月21日 23時28分34秒 | Weblog

着替えを済ませ、荷物の整理をした。
明日の天候を考慮し、レイヤリングはほぼ今日と同じ。
僅かながらでも晴れ間を望んではいるが、ちょっと厳しいかな・・・。

今夜の利用客は9名ほどで、部屋はゆったりと使用することができた。
おかげで荷物の整理や明日の準備には、余裕で荷物を広げることができる。
ありがたいことだ。

現在の天候は雨。
強くはないが、気温の低さもあり冷たい雨だ。
外に出てみたが、念願の劔岳全容を目にすることはできなかった。

彼方に見える立山連峰。
去年の夏も、雨とガスと強風のため立山連峰を拝むことができなかった。
本音を言えば心底悔しい。

一度小屋へ戻り、茶茶丸さんとビールを飲んだ。
先ずは初日が安全に終わった事への感謝。
そして、劔岳に乾杯だ!

しばし劔岳方面を望みながら飲んでいると、一瞬だが雲の切れ間から劔岳の頂が見えた。
このチャンスを逃したらもう二度と・・・。
そう思うと居ても立ってもいられず、猛ダッシュで部屋へと戻りカメラを持って外へと出た。

ほんの一瞬だったが、間違いなく劔岳の頂が目視できた。
ささやかなことだが、自分にとってはこの上ない嬉しさだ。
懐かしくもあり、もう一度アタックしたい思いがこみ上げてくる。

夕方5時を過ぎ、食事の案内が来た。
日中は行動食だけで済ましてきただけにかなり空腹だった。
「ごはんと味噌汁はおかわり自由ですので遠慮なくどうぞ。」
おぉ~なんとありがたい素敵な言葉♪

食堂内にはストーブがあり暖かい。

この時のレイヤリングは、ジオラインLWTシャツ、ジオライン3Dサーマル、シャミースライニングジャケット、そしてULダウンベスト。
一見すると暑すぎやしないかというレイヤリングだが、この時季の標高2700メートルではちょうど良い。
ただ残念ながら小屋にはスリッパがなく、ウールのトレッキングソックス一枚だけでは足が冷えて仕方がなかった。
床はすべて板張りであり、その冷たさが一枚のソックスを突き抜けて体全体に響く。
一応予備にと思い持ってきた薄手のウォーキングソックスがあり、重ね履きをすることで冷えをかなり和らげることができた。

ご飯も味噌汁も3杯ずつ食べた。
次第におかずが淋しくなってきたのだが、なんと茶茶丸さんからの差し入れが・・・。
ふりかけと味付け海苔だ。
なるほどねぇ。
山小屋利用とはいえ、この程度の準備はあってもいいかも。
夏に穂高、槍に行くときは是非とも自分も持参しようと決めた。
茶茶丸さん、ごちそうさまでした。 m(_ _)m

春の北アルプス「白い雷鳥」

2012年07月14日 21時28分20秒 | Weblog
事前学習、準備の一つとして、ネットから多くの情報収集をした。
もちろん春山ルートに限定したものであり、雪質についてが主たる内容だ。
その中に、雷鳥との出会いについて綴られたものが幾つかあった。
「偶然でもいいから見てみたいものだ。」
そう願いながら準備を進めた。


ルートのすぐ右手は、こんな感じで谷底が覗けた。
自分のコンパクトデジカメではその全容を写せないのがちょっと悔しい。
そして相変わらず「不帰ノ嶮」と平行するように登る。

足もとを見ながら登り、時折周囲の景色を愛でる。
ずっとその繰り返しだったが、突然聞き覚えのある鳴き声がした。
その方向に視線を送るが、真っ白な雪景色の中においては、声の主を捜すのも難しい。
と思っていると、彼方の稜線上から雪の急斜面に沿って滑空している白い飛行物体を発見。
「やった! やっとお出ましだ!」

白いキャンバス上に動く白い物体だけに、100%の確信をもつことはできなかったが、茶茶丸さんの「雷鳥だね」の一言に嬉しさがこみ上げてきた。

まだ距離があるため我々を警戒している様子はなく、自由に滑空しているその姿を見ながら進むことができた。

つがいが二組。
初めてみる白い雷鳥たちは、雪の急斜面を滑空し終えると、よちよちと体を左右に小さく揺するようにしなが斜面を登ってくる。
まるでペンギンが歩く姿にそっくりだった。
しかし、我々との距離が近づくと、残念ながら彼等の姿は何処へと消えていった。

もうすぐ小屋に到着という頃になり、急にガスが出始めた。
かなり視界が悪い。
やや下るようにしてルートを進むと、分岐点へと出た。
「はて、いい加減小屋があっても良さそうだけど・・・」
茶茶丸さんと一緒に地図で確認する。
どう考えてもここは右へ行くと判断し、数メートル進んだときだった。
「カァーン カァーン」
と、何かを打ち付けているような音が左側から聞こえてきた。
「ひょっとして小屋はあっちか」
あわてて分岐点まで戻った。
「せめて矢印があって、小屋の案内くらい書いてあっても良さそうなものですけどね。」
二人でそう言いながら音のする左方向へと歩いた。

小屋はすぐ目の前だったのだが、濃いガスでまったく目視できなかったのだ。
偶然とはいえ、あの音で救われた。


とにもかくにもホッとしたのが本音だ。
受付を済ませ、今日初めてブーツを脱いだ。
部屋は茶茶丸さんと一緒。
早く荷物の整理を済ませ、ビールで乾杯したいね♪

春の北アルプス「丸山から不帰ノ嶮」

2012年07月10日 22時07分42秒 | Weblog

「丸山ケルン」
ここまで来れば、小屋までもう一息だ。
時間的にも余裕で到着できよう。


ここから先にも登攀がある。
結構な斜度を登攀するのだが、徐々に標高を上げて行くことの楽しみがあった。

考えてもみれば、若い頃に登った冬の八ヶ岳はあまり記憶にないため別としても、昨年度登った雪山の最高峰はたかが1500メートル。
そして今年度は1700 → 2000メートル → 2700メートルと、確実に高度を上げてきている。
そんな程度のことでもやはり嬉しいのが本音だ。


更に標高が上がる。
登り始めと違うのは、雪質の固さだ。
「ズボッ」と足が膝上まで埋まってしまう回数が明らかに少なくなってきた。
それはある意味登りやすくなったのだが、アイゼンの装着を考えなければならないことでもある。
今のところ「キックステップ」で足りてはいるが、この先どうなるかはわからない。


進行方向右手前方に極めて特徴のある岩峰群が見えた。
キレット、鞍部、形状からして「不帰ノ嶮」だ。
まだ通ったことはないが、「すげぇ~」と言うよりは不気味ささへ漂っていた。
ここからしばらくは、この「不帰ノ嶮」を右手にして進むことになるのだが、それよりも、「不帰ノ嶮」を挟んだ谷に圧倒されそうになった。
雪景色の北アルプスの谷が、これでもかと威圧感をもって自分に迫ってきていた。
ルートのすぐ右側が谷となっており、ぱっくりとでかい口を開けているようで、じっと見ているだけで吸い込まそうな錯覚に陥る。
そのスケールの大きさこそが北アルプスなのだと実感した。

春の北アルプス「『噛む』ということ」

2012年07月06日 23時09分05秒 | Weblog

「丸山ケルン」を前にして小休止を入れた。
スタートしてから2度目の小休止であったが、さすがに腹も減り茶茶丸さんとも「何か食べましょうか」と意見が一致。

一般的に行動食の場合「1に水分、2に塩分、3に糖分」と言われている。
自分の場合更に少し付け加えて「4にカロリー、5にニコチン」であろうか。
行動食とはきちんとした食事とは意味が違い、あくまでも「間に合わせ」であり補助的なもの。
手っ取り早く言えば「おやつ」と解釈しても決して間違いではない。

だが数年前まではというと、専門書に載っていた行動食の参考例を丸写ししたような食材ばかりで、自分の好みとかは二の次だった。
確かに「塩分・糖分・カロリー」は重要であり、体の負担を補充軽減してくれるものである。
が、教科書通りの食材だけがすべてではないと考えるようになり、ここ数ヶ月はオリジナリティー的な物を取り入れてきた。
例えるなら「塩分」。
手っ取り早いのは「塩飴」だ。
しかし、そこには自分の体質ならではの落とし穴があった。

自分は人三倍は汗かきで、行動食やサプリメントに「塩飴」を欠かすことはできなかった。
それでも大量の発汗が続くと、必ず両大腿部がつってくる。
しかも決まって同じ部位だ。
「あーっ、来る来る」と感覚で分かるだけにやっかいで、すぐに塩飴を数個ほおばり対処するのだが、それだけでは不十分であることがわかったのだ。

塩飴やスポーツドリンクの中には「ナトリウム」が多く含まれていることは知っていたし、それを体内に取り入れることで汗で失われた塩分を補えると考えていた。
だが、重要なことは「カリウム」!!
カリウムも同時に摂取しなければ失われた汗とほぼ同じものを摂取したとはいえないのだ。(Sドリンクにも若干のカリウムは含まれてはいるが・・・)
そこで「カリウム」を多く含む食材を探したところ、行動食としてもバッチリのものが見つかった。
ドライフルーツのバナナだ!

今回の北アルプス登山にはこのバナナのドライフルーツを2袋携行してきた。
偶然かどうかは別として、幸いにして足がつることはなかったが、このバナナのドライフルーツ、結構腹持ちがいい!
そして定番の「魚肉ソーセージ」。
スポーツドリンクを飲み、ドライフルーツと魚肉ソーセージを食べる。
でもって一服。
わずかに10分程度の休憩だったが、十分に鋭気を養うことができた。

再出発を前にして、茶茶丸さんが「なるほどね」と思えることを言った。
「山での行動食は、私の場合噛まなきゃダメなんですよね。手っ取り早くゼリー状のものなどもありますけど、あれは食べた気にならないんですよ。やっぱり噛まなきゃね。」

「噛む」ことで得られる「充足感」「満足感」とでも言えばよいのだろうか。
今までそれほど意識することのなかったポイントであった。

確かに同じ容量、同じカロリーの行動食であるのなら、少々重くなっても「噛む」食材を選んだ方が食べた気になるというもの。
わかる! わかるなぁ。
たとえ気分的なものであっても、口の中で少しでも長い間「味」を味わうことで得られるものがある。
その意味ではドライフルーツは十分に当てはまる行動食だろう。

単純なことだが、「噛む行動食」も必要なものであることを教えていただいた。
これから大いに参考になる。