硫黄岳山頂の向こう、右手(北)の通称「大ダルミ」と呼ばれるポイントを、ゆっくりと・・・本当にゆっくりと雲が流れて行く。
雲の流れを見れば、風の強さの検討がつく。
「こんなの初めてだ・・・。今日はラッキーだ。」
そう思わざるを得ないほどにゆっくりとした雲の流れだった。
時折赤岳が顔を覗かせては、またガスの中へと隠れて行く。
2500mを越えたあたりからの岩肌に積もった雪と、流れて行く雲。
どちらも同じ「白」ではあるはずなのに、微妙に違ったコントラストとなって雪山の美しさを描いてくれていた。
大きな岩が目立ち始めた。
「さぁ、山頂までほんのひと登りだ!」
「こんなに穏やかな風の日ってあるんですね。」
「いや、記憶が正しければ、八(やつ)では俺は初めてだよ。」
硫黄岳山頂は通過するだけの予定だ。
だから大好きな岩稜地帯で南八ヶ岳の全容を見ておきたかった。
ほどなくして硫黄岳山頂に到着した。
お互いに写真を撮ったが、AM君の「爆裂火口の前でいいですか?」というリクエストに応えることにした。
これから縦走する予定の横岳がはっきりと見える。
爆裂火口手前でハイポーズ!
「ここ(硫黄岳)を下ったらおそらくは小屋の屋根があるから、そこで休憩にしよう。そしたら一気に横岳を越えて三叉峰まで縦走。核心部の前半ってところかな。」
硫黄岳山荘に向けて下る。
ルートに沿ってケルンが設置されており、濃いガスが出てもルートを外れることはない。
本来であればこの辺りは最も風が強く吹き荒れており、バラクラバをしていても頬がバリバリになってしまいそうな程だ。
自分の目の高さとほぼ同じ位置(標高)で雲が流れて行く。
硫黄岳山荘は、おそらくはあのガスの中あたりだろうと推測した。
「着いたら何か食べておいた方がいいよ。三叉峰まではゆっくりできるポイントは無いから。」
小屋に着きザックを外して腰を下ろした。
「えっ、ここってひょっとして屋根の上ですか?」
少々驚いた様子だったが、雪山であれば珍しいことではない。
「そうだよ。夏じゃできないけど、今日だけは特等席かな。」
笑って答えたが、それもそのはず。
一番の風の通り道だけに、一切の遮蔽物のないこのポイントで休憩できるなんて考えてもいなかったからだ。
屋根に寝そべって煙草を吸うAM君。
行動食を摂取。
もちろん水分とニコチンもね♪
あまりの穏やかさにのんびりとしてしまった。
「さぁ、行こうか! もう一度気を引き締め直さないとこれからはやばいから。」
と、言いつつも、内ポケットに入れておいた水筒の飲み口が凍ってしまい、あまり水分を摂取できなかった。
鉄パイプにできた「エビの尻尾」を思わずパクリ。
そして足下を見れば、想定していた通りのアイスバーンが出始めていた。
前回も、その前も確かこの辺りからアイスバーンを確認した覚えがあったのだ。
核心部が近づいてきたことを改めて感じるアイスバーン。
大ダルミを越え、台座の頭を過ぎればいよいよ「奥の院」となる。
今年は残雪が多く、そのことがどのように影響しているのか・・・。
奥の院手前のリッジが最も気になる。
雲の流れを見れば、風の強さの検討がつく。
「こんなの初めてだ・・・。今日はラッキーだ。」
そう思わざるを得ないほどにゆっくりとした雲の流れだった。
時折赤岳が顔を覗かせては、またガスの中へと隠れて行く。
2500mを越えたあたりからの岩肌に積もった雪と、流れて行く雲。
どちらも同じ「白」ではあるはずなのに、微妙に違ったコントラストとなって雪山の美しさを描いてくれていた。
大きな岩が目立ち始めた。
「さぁ、山頂までほんのひと登りだ!」
「こんなに穏やかな風の日ってあるんですね。」
「いや、記憶が正しければ、八(やつ)では俺は初めてだよ。」
硫黄岳山頂は通過するだけの予定だ。
だから大好きな岩稜地帯で南八ヶ岳の全容を見ておきたかった。
ほどなくして硫黄岳山頂に到着した。
お互いに写真を撮ったが、AM君の「爆裂火口の前でいいですか?」というリクエストに応えることにした。
これから縦走する予定の横岳がはっきりと見える。
爆裂火口手前でハイポーズ!
「ここ(硫黄岳)を下ったらおそらくは小屋の屋根があるから、そこで休憩にしよう。そしたら一気に横岳を越えて三叉峰まで縦走。核心部の前半ってところかな。」
硫黄岳山荘に向けて下る。
ルートに沿ってケルンが設置されており、濃いガスが出てもルートを外れることはない。
本来であればこの辺りは最も風が強く吹き荒れており、バラクラバをしていても頬がバリバリになってしまいそうな程だ。
自分の目の高さとほぼ同じ位置(標高)で雲が流れて行く。
硫黄岳山荘は、おそらくはあのガスの中あたりだろうと推測した。
「着いたら何か食べておいた方がいいよ。三叉峰まではゆっくりできるポイントは無いから。」
小屋に着きザックを外して腰を下ろした。
「えっ、ここってひょっとして屋根の上ですか?」
少々驚いた様子だったが、雪山であれば珍しいことではない。
「そうだよ。夏じゃできないけど、今日だけは特等席かな。」
笑って答えたが、それもそのはず。
一番の風の通り道だけに、一切の遮蔽物のないこのポイントで休憩できるなんて考えてもいなかったからだ。
屋根に寝そべって煙草を吸うAM君。
行動食を摂取。
もちろん水分とニコチンもね♪
あまりの穏やかさにのんびりとしてしまった。
「さぁ、行こうか! もう一度気を引き締め直さないとこれからはやばいから。」
と、言いつつも、内ポケットに入れておいた水筒の飲み口が凍ってしまい、あまり水分を摂取できなかった。
鉄パイプにできた「エビの尻尾」を思わずパクリ。
そして足下を見れば、想定していた通りのアイスバーンが出始めていた。
前回も、その前も確かこの辺りからアイスバーンを確認した覚えがあったのだ。
核心部が近づいてきたことを改めて感じるアイスバーン。
大ダルミを越え、台座の頭を過ぎればいよいよ「奥の院」となる。
今年は残雪が多く、そのことがどのように影響しているのか・・・。
奥の院手前のリッジが最も気になる。