ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

尾瀬 燧ヶ岳:いざ、紅葉!

2019年03月30日 23時10分21秒 | Weblog
熊沢田代を後にし、御池方面へと再び下山開始。
暑くもなく寒くもなく、穏やかに流れる風が心地よい。

田代を越え樹林帯に入ると至る所で色とりどりの紅葉樹木を目にするようになった。
「やっと出会えるようになったね。」
「やっぱりいいもんですね♪」
KMさんの声も幾分弾んで聞こえる。


一山全体が燃え上がるような紅葉とまでは行かないまでも、あきらかに今までとは違った景色が広がってきた。


色としては今一つだが、期待感が湧いてくる。


遂に期待していた朱色との出会い。
熊笹の葉の緑との違いが、より紅葉をくっきりと際だたせている。


ほぼ目線の高さ。
できれば近づいてみたいのだが、木道から逸れてまではできない。


見事だ。
このようなピンポイントでの紅葉がそこここで見られるようになってきた。
それだけ標高を下げてきたということにもなる。


木道のすぐ脇にもこんな綺麗な紅葉が・・・。
思わず休憩を兼ねて愛でてしまった。


「ハイ、スマイルね♪」
花には女性。
紅葉にも女性。
男が一緒に写ってもつまらないだけ(笑)。

この先にある「広沢田代」を抜け、標高を一気に下げればゴールの御池となる。

尾瀬 燧ヶ岳:満足な昼食

2019年03月26日 23時04分34秒 | Weblog
昼食を予定しているポイントまで近づいた。
天候はかなり回復し、バーナーを用いるにも問題はないだろう。


自分が立っている場所から5分も歩けばベンチがある。

風はややあったが、寒さを感じる程ではない。
さっそくバーナーをセットし、食材を取り出した。
今日のメニューはごく簡単に「キムチ鍋」。
本来は雪山登山に最適なメニューではあろうが、こうも空腹状態となれば早く食べたい。


作りながらも周囲を見渡し、広大な湿原にあらためて感心した。
尾瀬湿原は何度も来ているし、竜宮十字路での昼食はいつものことだ。
しかし、竜宮十字路とは全く違った湿原のロケーションに感動している。
「いやぁ贅沢だね。こんなところで食べるなんて。本当はもう少し早く食べたかったけどここまで我慢して正解だったと思うよ。」


「いっただきま~す(笑)」

味付けはいつもの雪山と同じだが気分が違う。
だから味も違って感じた。


振り返れば燧ヶ岳の山頂が見えている。
いつの間にかガスが取れていた。

ここからゴールの御池まではまだある。
もう一つの湿原(田代)を越え、アップダウンを繰り返すことになる。
「さて、エネルギーも充填したし行こうか!」

尾瀬 燧ヶ岳:腹減った・・・

2019年03月23日 23時49分33秒 | Weblog
強風荒れる山頂をそそくさと離れ、風を遮ってくれる斜面へと下山開始。
二人が十分に座ることができるポイントを見つけ、そこにザックを下ろした。

つい先ほどまでの強風がまるで嘘のように静まりかえっている。
寒さも感じない。
「やっとゆっくり一服できるな(笑)」
「私おなか空きました(笑)」

空腹感は自分にもあったが、バーナーを用いての調理をするには少し狭い場所であったこともあり、昼食は先延ばしとした。
「この先に熊沢田代があるから、そこでゆっくりと食べようか。我慢ね!」

実を言えばKMさん、これだけの痩躯(いや失礼)、スレンダーボディーだというのに食欲旺盛、そしてかなりの量を食べる。(と、自分は感じている)
(「たぶん相当腹減っているんだろうなぁ・・・」)
そう思ってはいたのだが、やはりある程度は落ち着いてバーナーを使えるだけの場所が安全であるということから「熊沢田代」と決めた。


「大丈夫? 腹減ってるんだろう? いつも一杯食べるからなぁ(笑)」
「もう失礼なんだから。そんなことないですよ(笑)」

まだ笑顔で会話ができるようで安心した。


下山開始から1時間程が過ぎ、やっと広大な田代が見えてきた。
と、思った矢先にガスが切れ始め青空が見え始めた。

「今更かよ~(笑)」
だが、振り返れば山頂方面はまだガスの中。
標高を下げなければこの青空を見ることは叶わなかったのだ。


「KMさん、あれが熊沢田代だよ。真ん中に地塘が見えるでしょう。そこにベンチがあるからそこでお昼にしよう。」
「分かりました。あのぉ・・・ちとうって何ですか?」
「要するに、池というか沼というか・・・そんなもの(笑)」

階段状の木道を下り、少しずつベンチのある地塘が近づいてくる。


自分もいい加減腹減った。
今日のメニューはちょっとまだその季節ではないが「鍋」だ。
二人とも痩せの大食いだけに、無意識で歩くペースが速くなってきている。

尾瀬 燧ヶ岳:つかの間のてっぺん

2019年03月18日 22時20分28秒 | Weblog
自分で勝手に決めた「窓」を越え、程なくすると八合目の指標が建っていた。


「やっと八合目か・・・。もうすぐだね。」
しかしまだ岩場と言うには程遠い状況には変わりはない。
それでもテンションは僅かながら上がってきている。
それは頂上が近いという現実の嬉しさからだった。

徐々に周囲を遮る樹木の背が低くなってきていることに気付いた。
その分風はもろに吹き付けてくる。
体は煽られそうにはなるが、十分に耐えられる程度のものだ。
おそらくは風速20mには至っていないだろうと経験が言っている。


九合目の指標。
足元は岩場へと変わってきている。
「さぁラストスパートだよ。風が強いけどこれくらいなら大丈夫!」
「えぇ~大丈夫って・・・。これでどれくらいの強さなんですか?」
「たぶん15mくらいだから問題ないよ(笑)」

笑いながら答えたが、KMさんにしてみれば辛いのだろうと思った。


やっと本格的な岩場となってくれたが、背中を強風が押してくる。

ここに来てまた自分のペースが上がってきた。
「やっぱり山はこうでなくっちゃね(笑)」
「えぇ~なんでですか。けっこうきついですよ」


ペースがどんどん上がる。
頂上と思われる指標が目視できた。
「あそこがてっぺんだよ。さぁもう少し!」

湖畔の分岐点をスタートしてここまで約3時間30分。
一般コースタイムが2時間30分だから、休憩回数を入れればほぼコースタイム通りだろうか。
それにしても久々に味わう「けだるさ」にも似た登攀だった。
やはり樹林帯の中の登攀は自分には向いていないとあらためて思った。

山頂では更に強風に襲われた。
雨は降ってはいなかったが、ガスの中の水分がまるで雨粒のようになり叩きつけてきた。


写真だけを撮り、そそくさと強風をしのげるポイントまで下りそこで休憩を取ることにした。

「ねぇ○○さん、寒くないんですか?」
「へっ? いや別にそこまでは・・・」
不思議そうな顔をされたが、彼女にしてみれば辛いのだろう。
せめてガスさへなければまた気分も違ってはいるのだろうが、湿原方面からの吹き上げだから裏燧へと下りて行けばこの風はしのげるはずだ。
落ち着いたところで行動食を摂ろう。

尾瀬 燧ヶ岳:「窓」が見えてきた?

2019年03月14日 15時02分46秒 | Weblog
8時前に尾瀬沼湖畔の「長英新道」をスタートした。
登頂は3時間程度を予定し、裏燧へと下山する。


スタートし、しばらくはこのようななだらかな樹林帯を歩いた。

紅葉はそこそこであったが、それよりも雨が心配だった。
降水確率は低いものの、ここは山である限りあてにはできない。
「午後は回復傾向なんだけどなぁ・・・。」
風は強くても仕方ないことと割り切れるが、せめて山頂からの雄大な尾瀬湿原の風景を愛でることができればと思いながら、徐々にルートの勾配がきつくなってきていることを感じ始めていた。


この長英新道は初めてのルートであり、事前にどのような状況のルートであるかは調べておいた。
情報通り、そしてこの画像通りの土のルートであり、ひたすら樹林帯の中を登るだけ。
階段状のルートに次いで、自分が苦手とするルートだ。

苦手な理由は・・・
飽きる!
つまらない!
岩場が恋しい!

要するにテンションを維持して行くことが難しいのだ。


スタートして約2時間が過ぎても、周囲の状況は何ら変わっていない。
いや、実際には植生など細かな部分での変化はあるのだろうが、樹林帯であることには違いはない。
「まいったなぁ、テンションが上がってこないよ。おまけにこのガスだし、せめて岩場になってくれればね。」

愚痴ったところでどうなるものでもない。
だがテンションが低いぶんだけ眠気が取れていないのも事実だった。
それでも以前に別ルートで登った時の僅かな記憶が救いだった。
それは山頂付近になれば岩場になっているということだ。
しかし、山頂付近にまで登らなければそれはあり得ない。
標高は2300mを越える程度の山であれば致し方ないことだろう。

「まだかぁ~・・・まだかぁ~・・・」
と愚痴をこぼしながらの登攀だったが、ふと視線を上げるとその先に樹林の切れ目が見えた。


「KMさん! ほら見て! あそこ。まるで『窓』みたいだよ。いや、窓だと思って登ればテンションも上がってくるよ。 っしゃあ~! 窓目指してガンバロウ!!」

「窓ってなに? どういうこと?」
そんな表情をしていたKMさんだったが、自分のペースが急に上がってきたことにも驚いていたようだった。
「どうしたんですか急に(笑)?」
「上に着いたら教えてあげるよ。今は窓を目指して登っちゃおう!」

自分が勝手に決めた窓に辿り着き、その先で休憩を取った。

「窓」とは、越中(富山県)方面あたりの方言のようなもので、山岳用語の「コル」にあたるものだ。
広義ではコル、狭義で言えば岩の切れ目や隙間のようなピンポイントも窓に当たるらしいことを聞いたことがある。
つまり、2017年の夏に北方稜線を縦走した時、池ノ谷ガリー上部で見た岩の切れ目(窓)と同じ意味で、さっきの樹林帯の僅かな切れ目を窓と言っただけのことなのだ。
そうでもしなければこの時のテンションを上げることは難しかった。
情けないことではあるが、それだけ樹林帯のルートは好きにはなれない。

参考までに、この画像が北方稜線にある「池ノ谷ガリー」上部の窓。

友を思い出す歌

2019年03月09日 00時45分38秒 | Weblog
久しぶりにギターを持ちだし弾いてみた。

ポールマッカートニー&ウィングス:夢の旅人
甲斐バンド:ブルーレター、七月の便り

何曲かお気に入りの古い歌を弾いていると、ふと「あの曲も弾いてみるか」と思い立ち一曲。

アメリカというバンドの名曲である「金色の髪の少女」。
この曲は自分が高校受験の頃に大ヒットした曲であり、懐かしくも思い出深い曲だ。
そして大学の寮生活時代に同期の仲間がこの曲のギターコードを教えてくれた。

教えてくれたのは、今から8年ちょっと前に亡くなったあいつだった。
四年間ずっと一緒に寝食を共にしたあいつだった。

弾きながらふとあいつのことを思い出した。
「もう8年かぁ・・・」
何故か急に酒が呑みたくなり焼酎を探した。
お猪口はふたつ。
ひとつは自分で、もうひとつはあいつの分だ。

「そういえばあの曲も教えてもらったなぁ」
弾き始めたのは中島みゆきの「ホームにて」だった。

この曲を知るまでは中島みゆきの曲は殆ど知らなかった。
「ホームにて」を知ってから彼女のいろいろな曲を聴きだしたと言っても良い。

酒がすすむ。
だんだんと「ホームにて」が歌えなくなってきてしまった。
酔ったのではない。
あいつと過ごした四年間のバカ騒ぎを思い出しすぎてしまった。

あいつの声が聞こえてくる。
あいつの笑い顔が目の前に見える。
そして歌詞が涙でぼやけて見える。

尾瀬 燧ヶ岳:尾瀬沼から樹林帯へ

2019年03月05日 21時07分33秒 | Weblog
数年前の7月。
このあたりからニッコウキスゲの群生に出会ったことを思い出した。
今は秋、一面草紅葉に囲まれた木道を尾瀬沼方面へと歩く。


「お~いKMさん、こうして見るとそれなりに山ガールに見えるよ(笑)」
「え~っ、まだバリバリの山ガールのつもりですけど」

本人は山ガールのつもりだが、自分から見れば立派な「山女」である。
もしくは「剱人(つるぎびと)」だ。
何故なら2017年の夏、彼女はあの劔岳に登頂したという事実がある。
自分がガイドをしたとはいえ、彼女は自力で登頂し無事下山を果たしたのだ。
だからもう「山ガール」は通じない(笑)。


尾瀬沼が見えてきた。
草紅葉も一層色濃くなってきたようにも感じる。


平日と言うこともあり人の姿を見かけることは殆どなかった。
「いつも早朝には小屋に泊まった人が散歩に来ているけどなぁ・・・」


下山時はこのルートは通らないので何枚か写真をとっておいた。

まだ少し肌寒さを感じるが、この後は燧への登攀ルートとなる。
おそらくは嫌でも熱くなってくるだろう。
天気も心配だ。


ここが燧へ登るルートと見晴らし方面に向かうルートとの分岐点。

以前に燧へは一度登ってはいたが、全くの別ルートでの登攀だった。
だから今回は初めてのルートとなる。
事前にルート状況を調べてはおいたが、天候次第ではメンタル的には厳しいルートとなりそうだった。
それが証拠に鬱蒼とした樹林帯が広がっている。
「やっぱちょっと苦手だな・・・」

尾瀬 燧ヶ岳:ただただ眠い

2019年03月01日 16時55分42秒 | Weblog
ディズニーシーよりも約一か月前のことになってしまうが、紅葉の季節に尾瀬へと出かけた。
目指す山は「燧ヶ岳」。
そう高い山ではなく、男体山よりも標高は低い。
その標高の低さが「良いこと」と「嫌なこと」のはっきりとした差となって現れた登山だった。

10月上旬、職場のKMさんを連れて出かけたが、勤務時間の都合上22時に待ち合わせとなり、遅い夕食を済ませてから車で出発した。
目的地の駐車場は「御池(みいけ)」であり、3時間以上かかってしまうだろう。
早朝一番のバスが5時30分だから、車中での仮眠は2時間取れればましな方だ。

御池駐車場に着くやいなや、外に出て煙草をふかした。
「肌寒いな・・・」
さすがは尾瀬の北入口に位置する御池だ。
まだ10月に入ったばかりだというのに長袖一枚では無理があった。

「仮眠」と呼べる程のものではなかったが、一時間あまり目を閉じることができた。
「確かに眠いが、今日は燧だし大丈夫だろう・・・」
と高をくくってしまっていた。(それが後になり大きな「つけ」となった)


夜明け前の御池。
天候はまずまずの予報だが、良くなってくるのは午後になってから。
山頂からの絶景はあまり期待できないだろう。

5時30分、御池発のバスに乗り「沼山峠」へと向かう。
途中広大なブナの森が広がる景色に目を奪われた。

確かにこの時期ならではの素晴らしい自然美には違いないが、個人としてはやはり岩稜地帯とか厳冬期の雪山に魅力を感じる。
何故ならそこには「厳しさ」が存在するからだ。
美しさだけではなく、人間が割ってはいることのできない厳しさと、どうすることもできない困難さが入り交じった自然に魅せられる。

沼山峠に到着。
身支度を確認し、今度は尾瀬沼へと峠越えになる。


峠への入り口はもう紅葉の盛りだった。
「今日はのんびり紅葉を愛でながら行こう!」と言っておきながら、むしろ眠たさが原因でゆっくりと行きたい思いだった。


峠を下り始めると再び紅葉。
これは「ナナカマド」だろうか。
熊笹も目立ち始めた。
「そっか」
尾瀬は熊の出没が盛んな場所であり決して油断はできない。
今までにも何度かニアミスをしてきただけに、熊笹を見た途端緩んでいた気持ちを引き締め直した。


遠くに「大江湿原」が見える。
「もう少し行けばフラットなルートになってそこを過ぎたら尾瀬沼だから。沼に着いたら休憩しよう。」

本音を言えば休憩ではなく、ちょっと眠りたい思いだった。