ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

“GIANT KILLING” が起きた! 

2022年11月26日 11時55分12秒 | Weblog
久しぶりにサッカーについて思うところを綴ってみたい。

サッカーWC2022真っ只中、幾つかの大番狂わせ的な試合があった。
サウジがアルゼンチンを破ったことに始まり、イングランドがアメリカにドロー、そしてオランダもエクアドルにドロー試合。
更にはあのクロアチアさへもモロッコにドロー試合。
「大番狂わせ」と言ってしまうと失言に近い言い方になってしまうが、これはあくまでも個人の見解であり感想であることをご承知願う。

その最たる試合はやはり日本対ドイツだろう。
これぞ将に大番狂わせの大物食い。
即ち “GIANT KILLING”ではないか。

ん? それじゃ何かい。
日本人でありながら、何十年もサッカーを愛し、審判をやり続け、ゴール裏でサポーター活動をもしておきながら日本が最初(はな)から負けると思っていたのかい。
と思われるだろう。

確かにそう思われても仕方がない。
自分なりに考えた正直な答えは「1-2」でドイツ。
良くて「0-0」「1-1」のドローだった。
冷静に考えての試合予想だった。

更にもう一つ本当のことを言えば、日本代表チームより遥かに長くドイツ代表チームが好きで、50年近くも応援し続けている。(旧西ドイツも含む)
だから今回のWCで対ドイツ戦が決まった時は複雑な心境だった。
もちろん日本には勝って欲しいと願ってはいたが、所詮は素人の自分が対策を考慮してもたかが知れている。
ある程度は自分なりに考えてはみたものの、らちが上がらない。
「前半を何とか0-0で終えられれば・・・じゃぁそのためにはどうする・・・」
「この選手をこのポジションに置き、後半からこの二人を投入させて・・・」

いろいろと頭の中で試行錯誤してみたが、すべてがグレーゾーンにどっぷりと浸かったままだった。

その理由はたった一つ。
対戦相手がドイツだからであった。
ドイツチームが好きだから・・・ではない。
ドイツの実力を知っているからだ。

無い頭をいくらほじくり返しても、対策はグレーゾーンから抜け出せずにいる。
自分なんぞが知ったかぶりで考え語ったところで失笑されるだけだろう。
今現在最高とされる代表監督、スタッフ、そして選手達が膨大なデータを基に対策を練り、具現化した練習を行い、そして多くのケースを想定しているはずだ。
だから彼等を信じ、応援する以外に何もできない。

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実際の試合を観ていて思ったことがあった。

先ずは何と言ってもボールポゼッション率のあまりの低さ。
「これじゃ何もできない。何もさせてもらえない。原因は何か・・・チームや個の力、メンタル以外に何かあるはずだ。ひょっとしてシステムか・・・」

前半を終えて0-1でドイツ優勢。
ここまでは自分の想定内だったが、ボールポゼッションを何とかしなければ後半に点差が開くことは必至だろう。
まだ諦めてはいないが、少しイライラしながらハーフタイムに一服した。

後半開始と共に「驚愕」とも言えることが起きた。
3バックへのシステム変更だ。
「えっ、これってひょっとして3バックなの? 日本が3バックやるの・・・諸刃の剣ができるのか・・・」
思わず出た本音だった。
隣で観ていた女房が「なにそれ?」と聞いてきたので「最終ラインを三人にするってこと」と答えたが、「だからそれがどう関係あるの?」
いろいろと説明してしまうと長くなり、応援どころではなくなってしまうので「後で説明するから今は観させて」とだけ言った。

そしてドイツは選手交代があった。
あのミュラーが交代だった。
「おっ、ひょっとしたらひょっとするかも・・・」
勝利とまではいかなくとも、ドローに持ち込める・・・かも知れない可能性が出てきたと感じた。

日本のボールまわし(パス回数)が増えてきている。
ドイツ側のピッチにいる時間も明らかに増えてきている。
目立ってきたのはパスカットの回数だと感じた。
「走り出したぞ」
ゾクッとする程の動きの素早さが出た証だ。

更に日本が選手交代となり、点取り(獲り)に絡むFW・MFを投入させた。
あの森保監督がここまでやるとは・・・
将にこの一戦に掛ける思い、腹をくくった決断だと感じた。
予選における第一戦がどれほど重要であるかは素人でも分かっていることだが、一番分かっているのは監督であり選手達だろう。
「ジャイキリが起きるか・・・」
そう感じることが許してもらえる程の後半となった。
(相手をリスペクトし過ぎている自分だとも感じた)

FW浅野が幾度となくシュートに絡んできた。
GOALの匂いがしてくる。
すると・・・
三苫→南野→右に堂安と浅野、その後方に鎌田。
「行っけーっ!」

見事な連係プレーによる同点GOALを堂安がたたき込んだ。
美しいと感じる連携プレーによるGOALだ。

そして遂に浅野が逆転GOAL。
見事なワントラップとワンドリブルだけでシュートへと持ち込んだ。
そのシュートは「ここしかない」と言える程ごく狭いゾーンへの電光一閃だった。

浅野へのアシストパスとなるボールが蹴られる直前、「前へ蹴れ!」と叫んでいる様に見えたシーンがあった。
キャプテンの吉田が大きく口を上げ何かを叫びながら左腕で前線のスペースを指さしている。
板倉が中盤を省略し、一気に前へ蹴る。
ドイツ選手のポジショニングを冷静に見て判断している何よりの証だ。
それが最高の結果となって結びついた。

日本中が歓喜の雄叫びを上げている瞬間だったが、自分は握り拳を突き上げることができなかった。
オフサイドの判定が気になっていたのだ。
結果オフサイドは無かっただけに、逆転GOALの瞬間に素直に歓喜を表現しなかったことが何か大損した思いだった。(笑)

本当にジャイキリが起きるかも知れない。
その瞬間を観ることができるかも知れない。
あのドイツを・・・あのドイツを日本が破るのか・・・
本当にそんなことができるのか・・・
(だってアディッショナルタイムが7分もあるだもの・・・)
弱気な自分だったが、それは杞憂に終わってくれた。

試合終了のホイッスルが鳴り響き、歓びと感動に満ちあふれているが、忘れてならないのは権田の再三にわたる好セーブだと思う。
僅か20秒程の時間に4発ものシュートボールが矢継ぎ早に向かってくる。
しかも完璧にゴールマウスを捉えている。
それらをすべてはじき返したあのプレーを忘れてはならない。
この試合における「MOM」を受賞したのも当然なことだろう。

翌日、自分には分からない詳細な勝因が知りたくてTVを観た。
ワイドショー番組は期待通り(予想通り)の内容で、「勝った勝った」がその殆どを占めていた。
ゲストに呼ばれていた元代表選手や関係者達も、ワイドショーならではの流れの中で勝因を話してはいたが、自分にとってはお世辞にも納得できる内容ではなかった。
(ゲストが気の毒に思えた)

WCが終わり、誰もが冷静に振り返ることができる頃でいい。
対ドイツ戦の試合内容を詳細に分析し説明してくれるTV番組があることを願いたい。
奇跡なのか、それとも必然なのか・・・知りたい。

最後に。
WCの個人的願望。
勝って欲しいのは日本。
優勝して欲しいのはドイツ。

南八ヶ岳縦走 「三叉峰を越えて」

2022年11月23日 11時40分50秒 | Weblog
横岳山頂で一息ついた。
快晴である・・・が、相変わらずの強風の為、落ち着いて腰を下ろし体を休めるには程遠い休憩だった。

これから先の三叉峰へはほぼフラットに近い縦走ルートとなるが、風を遮ってくれるものが全くない。
まともに西から強風を受けながらの縦走となることは明白だった。
「天気がいいぶんそれほど苦にならないね。」
そんなことを言いながら歩き始めた。


三叉峰へ向けてスタート。

先ずは二ヵ所の鉄梯子を下る。
ごく短い梯子だが、アイゼンの爪を引っかけてしまえばどうなるかは知れたこと。
実際に上から見下ろしてみると、梯子は利用せずに雪面をキックステップで下った方が安全だと思えた。

自分が先に下る。
斜度はそれほどでもない。
N君が後から続き梯子を利用せずに下る。
順調なペースだ。


ご覧の通り、雪面を下った方が危険性は少ないポイントだった。

程なくして小高い丘の様なポイントが見えた。
何度も通っているルートであり、記憶違いでなければあの丘の東側(左手)が三叉峰の分岐点だ。

単独での登山者が来る。
今日初めて人と出会うことが妙に嬉しかった。
互いにシャッターをお願いし、写真を取り合いながらこれからのルート状況について情報交換をした。
あくまで個人的主観(判断)によるものであってもこれは極めてありがたいことで、最も新しいルート状況を知ることができる。
安全のためにも情報交換は欠かすことのできないことだ。


後方に見えているのが三叉峰。

三叉峰の分岐点に到着。
コースタイムもまずまずで、ほぼ予定通りにきている。


分岐点にて、N君。

ここから東側へと延びているのが「杣添尾根」であり、南八ヶ岳林道を利用し貯水池のあるポイントからスタートし約4時間掛けてここまで辿り着く。
まだ通ったことのないコースであるが、一般的に利用する登山者は少なと聞いている。
またかなり雪に埋もれやすいことから、アイゼンではなくスノーシューを利用して来るらしい。
自分にはちょっと苦手なコースだ。

さて、ここから先は「石尊峰」を越えて「鉾岳」を巻くルートとなる。
鉾岳の巻きルートだが、やっかいなことに西側を下りながら巻き、トラバースをして最後は巻きながら登攀する。
毎度の事ながら西風に煽られながらの巻きルートとなっており、それなりに危険性の高い区間だ。

先ずはルート状況を確認しながら自分が先に下った。
先ほど出会った方からの情報通りかなりクラストした雪面で、この先のトラバースは慎重さを求められることは明らかだった。


巻きルートを下る。
ここは滑落すればそれでアウト! 
距離は短いが無理せずフェイスインで下っても良い。

さてトラバース区間だが、トレースが一本はっきりと見えた。
左手にピッケルを持ち、トレースに従って越えても良いと思った。
・・・いや、せっかくだからダガーポジションでやってみよう。
これもアイゼンワークやピッケルワークに役立つし、奥穂高岳の時にはトライしなかったN君にとっては何よりの実践経験となる。


ダガーポジションで斜面をトラバースする。
斜度を考えれば落ちればそれまでだ。
背中に強風が当たり時折バランスを崩しそうにもなったが、三点支持による移動なのでストレートのトラバースよりは安全性は高い。
N君にとっては初めてのテクかも知れないが、現場での経験は何よりも貴重であり、これからの長い登山人生にとって必ず役立つだろう。

無事トラバースを終え、登攀へと変わった。
ここを登りきれば日ノ岳へと出る。
そして日ノ岳の東斜面にある広いルンゼを下れば赤岳が眼前に現れてくる。


鉾岳を巻き終える為の登攀。
ポイントによってはかなりの斜度であり、焦らず一歩一歩登る。
強風に背中を押されながら、ダガーポジションによる三点支持での登攀が必要である。


N君が続く。
このエリアは日中殆ど日の当たらないことが幸いし、雪面は程良く固い。
上から見下ろせば画像の通り滑落すれば一発でアウトとなるポイントだが、固い雪面がアイゼンの爪を十分に噛んでくれていた。

さぁ、ルンゼを下り赤岳へ向かおう。