ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

刈込湖へ 「小峠を越えて」

2024年07月19日 22時56分36秒 | Weblog
蓼の湖をぐるりと周り樹林帯へと入って行く。
この樹林帯は積雪量が多く、しかも今の時期はフカフカ状態。
平面的な場所でもアイゼンでは少し厳しく、かなり埋もれてしまう。
そんな時こそスノーシューの威力が発揮される。
「おぉ~フカフカだ。気持ちいい~」
みんな思わず異口同音に出てしまう言葉だ。


樹林帯の中を進む。
この辺りはごく緩やかな登りだが、徐々に・・・

ここから先、大きく右へ曲がりながら進むのだが、小峠に向けたルートの中で最も道迷いしやすい区間となっている。
スノーシュー登山者がそろそろ増えてくる時期になると、地元のビジターセンターの人たちが目印となる水色の布を樹木の枝に巻き付けてくれるのだが、それらが設置される前に来てしまうとちょっとやっかいな事にもなりかねない。
(以前に一度だけ迷いかけてしまったことがある)
一度迷ってしまうと、その先にある急登攀の二本の谷筋を間違った谷筋の方に登ってしまう可能性があるのだ。
自分は幸いにも途中でその間違いに気付き事なきを得たが、体力は相当消耗するはめになった。


この辺りを過ぎてから大きく右へと曲がる。
水色の目印がありがたい。

実はYさんはつい先日インフルエンザにかかってしまい、体力的にまだ十分とは言えないだろう。
それもあり、この先の急登攀は決して無理はせず、途中何度も息を整えゆっくりと登ることにしている。


急登攀を前にちょっと一服。
ここまで来れば迷うことはないが、Yさんがちょっと心配だ。

「さぁてゆっくりと登りますか。」
自分が先頭でペースを作るが、果たしてこのペースで大丈夫だろうか。
ローペースを意識してはいるが、それでもYさんにとってはどうなのか・・・
何度も振り返りながら様子を見るが・・・
表情からはよく分からない。
呼吸数や呼吸の大きさなどを見てはいるが、それでもよく分からない。


「どう、大丈夫? 休もうか。」
「いえ、大丈夫ですよ。」
「よっしゃ、じゃぁ休もう。(笑)」
本人は大丈夫と言ってはいるが、大丈夫な内に休むことが大切だと思った。

0さんは全く問題ないだろう。
しかし復路においてアクシデントが起きてしまう事になるのだが、この時はまだそんな事が起きるとは予想できなかった。

勾配は更にきつくなってくる。
わかってはいることだが、息が少しずつ上がってきてしまう。

スタート地点から小峠までの標高差は約200m。
登山レベルで考えるなら大した差ではない。
ただ積雪量に恵まれ、他の登山者に踏み固められた急登攀ルートは、スノーシューよりも軽アイゼンの方が楽なようにも感じた。

途中何度かの休憩を入れながら登り続ける。
見上げればV字型に切れ込んだ小峠のポイントが見えてきた。
先は見えている、もう少しだ。


「もうあと5分もかからないですよ。ここを越えれば下りとフラットルートになるから。」
笑顔で応えるYさん。

Yさんに先に小峠に登ってもらい休憩を促した。
後からOさんが登ってくる。


「さぁラスト一分だよ!」
「了解!」
後方に見えている赤い楕円は「湯の湖」。

蓼の湖から小峠まで約40分を要した。
数回の休憩は入れたが、想定していたよりも早めの到着となった。


何度も来ている場所だが、そう言えばここで写真を撮ったは随分と以前だった様な気がする。

Yさんの様子を見る。
息は切れていないし、ゆっくりと温かい飲み物を飲んでいる。
ホッとした。
ここから刈込湖までは1㎞ちょっとだ。
晴れ渡る冬の青空の下、美味いカップラーメンが食べたい。

刈込湖へ 「二年ぶりに三人で」

2024年07月16日 21時47分46秒 | Weblog
本格的な雪山登山ができなかった今年の冬。
計画はしたものの、当日の天候悪化により断念せざるを得なかったこと三回。
たまに一人で日帰りで出かける程度の冬山はやはり物足りなさを感じる。
しかし、家で待つ女房にしてみればホッとする冬だったのではないだろうか・・・

同じ日帰り冬山でも、久しぶりに会って出かけた山行があった。
スノーシューを利用しての登山ではあったが、二年ぶりに三人が揃い一緒に雪山を楽しむことができた。
目的地は奥日光の小峠を越えて辿り着く「刈込湖」。
夏はハイカーでそこそこ賑わう場所だが、冬期はここまで人はそうは来ない。
手前の小峠までの往復止まりだ。

二月上旬、天候は問題なく絶好の冬晴れ予報だ。
まだ夜明け前の5時に山仲間のOさんが迎えに来てくれた。
途中Yさん宅により合流し、一路日光方面へと向かった。

湯元温泉に到着し、服装と装備を調える。
真っ白な息は冬の寒さの厳しさを現しているが、テンションは高まっている。
先ずは軽く金精道路へとひと登りした。
この金精道路は日光と群馬県の尾瀬・沼田方面を結ぶ道路だが、冬期は閉鎖されている。
だから道路上の雪の上で堂々と寝ころんだり写真を撮ったりできるのは、この時期ならではの特権のようなものかも知れない。


金精道路で一枚。
冬晴れの早朝に心が躍る。

個人的には冬に小峠までは何度も来ており、詳細な部分での危険ポイントまで分かっている。
そこから先はごくたまに行く程度だが、刈込湖の湖畔では何度か雪中テント泊を楽しんでいる。

金精道路を下れば「蓼ノ湖(うみ)」へと向かう緩やかな登りとなる。
この登り区間は距離こそ短いが、深く雪に埋もれているだけにルートはその時の状況によって変わってくる。
刈込湖までは、全体的には初級から中級向けのコースであるものの決して甘く見てはならない。
雪で埋もれた冬ならではのコースは、どこで足を取られてしまうかはある意味未知数なのだ。
ズボッと埋まってしまえば最悪骨折も免れないだろう。

自分が先行しコース状況を確認しながら進んだ。
「ん!? こっちの方が少し短縮できるかな。いやちょっと危ないかも・・・」
そんなことを確認しながら蓼の湖へと向かう。


緩やかな登りだが慢心は禁物。
幸いに積雪状況に恵まれ、安定した登りができた。


積雪量が多い分、道幅が思っていた以上に広い。
安心して登ることができる。
後方に三人の登山者が見えた。
おそらくは同方向に進むだろう。

登り終え少し下ると蓼の湖が見えてきた。
とは言え、冬の湖面は氷と雪に覆われ真っ白な平地としか見えない。


雪のない時期に訪れたことはないが、正面の平地が蓼の湖。
湖畔に沿ってぐるりと周りながら小峠を目指す。
この辺りは風を防いでくれるものが何もなく、天候が悪ければ強風にさらされてしまう。
今日は本当にラッキーな一日になりそうだ。

蓼の湖の湖畔に近づく。
しかし、陸と湖との境が何処なのかは殆ど分からない。
もちろんその境界線を見たことは一度もない。
(いつも雪に覆われているため)

湖上立入禁止の看板が設置されている。
誤ってドボンとならないための安全対策だ。


実を言えば誤って落ちてしまわないためだけでなく、「どこまで進めるか・・・」などとおバカな輩
がいるのも事実である。
おもしろ半分でチキンゲームをする者たちへの警鐘でもある。

湖畔沿いに進み半周ほどして小休止をとった。
朝が早かったこともありやや空腹感もある。
慌てずのんびりと行動食を食べ一休みした。


気のあった仲間たちとの山行は楽しい。
一緒にいるだけで、冬の厳しさの中に楽しさを感じる。


同ポイントから見た進行方向。
赤い○のポイントがこれから目指す小峠。
山の両サイドがV字型に切れ込んでおり、峠(コル状)になっているのがよくわかる。
樹林帯を越えてからの峠への登攀は今日一番の頑張り処だ。

雨巻山 「寒い。帰ろう」

2024年07月13日 22時07分13秒 | Weblog
合流ポイントから三登谷山(みとやさん)方面へと縦走する。
途中何カ所かの分岐点はあるが、地図を読み違えなければ問題はないだろう。

それにしてもルートが多い。
だから分岐点も多い。
(「これだから里山って難しいんだよなぁ。お手軽なイメージがあるけどこれって結構恐いことなんだよなぁ・・・」)
そんなことを思いながらアップダウンを繰り返す。


後方から女房の様子を見たが、三登谷山までは特に休憩無しでも大丈夫だろう。
ただ空気が冷たい。
風が殆ど無いことが幸いしてはいるが、頬に当たる空気の冷たさを感じるし、指先は僅かに悴む。
俺はいい、こんなことは当たり前に慣れている。
女房が心配だった。


振り返れば雨巻山方面の青空が澄み切っていた。
低山登山とはいえ、春から秋にかけての登山では見られない冬の青空だ。
これもまた良し!


途中にあったベンチ。

樹林帯の中の縦走だが、時折ピンポイントで視界が開けている。
そこにはぽつんとベンチが一つ置かれ、立ち止まれば那須日光方面への眺望が利く。
ほんの数分だけ休憩し景色を愛でた。
ちょっとした贅沢を感じたひとときだった。
「どう、寒い? 疲れは?」
山に関しては自分がイニシアチブを握っている。(笑)

幾つかのアップダウンを繰り返しながら三登谷山へと近づく。
息を切らせるほどの登りではないが、女房にしては頑張っているなぁと思う。


三登谷山までもうすぐだ。


三登谷山山頂に着いた。

なるほど北西部の眺望が良く利いているポイントだ。
残念ながら日光方面の峰峰を見ることはできなかったが、思わず一息入れ見入ってしまう場所だった。
「また違う季節に来てみたいね。」
女房からの思わぬ言葉にちょっと驚いた。
「そうだね。いいね!」
と返事をしたが、その言葉は「疲労はない。寒さも大丈夫。」という意味が込められていると感じた。

再び下山開始。
地図を読む限り、もうすぐ下り中心のルートとなる。
振り返れば雨巻山が目視できた。
「雨巻山も見納めだよ。」
女房も振り返る。
「え~っ、もうこんなに歩いてきたの! 結構頑張ったじゃん♪」
笑ってしまう一言だったが、元気そうで良かった。


雨巻山も見納め。

駐車場には15時30分頃到着した。
休憩と昼食を含めて約6時間の軽トレッキングだった。
ほぼ予定通りの下山となったが。
車の中で温かい珈琲を飲んだ。

「ねぇ春になったら何処に登る?」
嬉しい言葉だったが、人は変われば変わるものだと思った。(笑)

春の花を見に、何処へ登ろうか・・・
















夏の登山ツアーに思う

2024年07月09日 18時25分32秒 | Weblog
春にもなれば毎年のように夏山登山ツアーの広告を目にする。
興味や関心だけでなく、意欲をそそられる甘い謳い文句が綴られ自分でも参加してみたくなる思いに駆られる。(笑)
例えるなら
*憧れの○○山(岳)へガイドと一緒に登る
*ガイドとなら安心
*気軽な日帰り登山
*初心者にもおすすめ安心
*女性でも安心
*下山後は嬉しい温泉入浴付き
*ゆっくりペースでご案内。だから安心!!

いやはやなんともよくぞこれだけの文言を並べたものだと感心してしまう。

自分は未だガイドツアーの登山には一度も参加したことはない。
まぁしたくても金がないと言うのが現実で、一人でなら最も安く済むからだ。
それともう一つの理由は、少しでも自立した山男になりたいという思いもあったからだ。
単独で登ると言うことは、良いことも辛いこともすべてが自身に降りかかって来る。
言い換えるのなら、すべてが自分だけの経験となり次へのステップとなってくれる。

さて登山ツアーだが、思わず飛びつきたくなるような謳い文句と美しい山岳風景の写真に誘われ、実際に参加した人はかなり多くいるだろう。
自分にしてみれば、これって恐い事なんだろうなぁと考えている。
謳い文句に誘われ「なんか自分でも登れそう!」と、思い違いをしている自身に気付いていない。
全部が全部とは言わないが、結果がどうなってしまうかは言わずもがなだ。
ツアー会社にとっては利益を得るための手段に過ぎないだろうが、参加基準があるのか。
あるのならどのようなものなのか知ってみたい気がする。

山に慣れ親しみ、山を知れば知るほど大自然の怖さを嫌でも知ることになる。
だから「今度○○山(岳)に連れて行ってください。一緒に登らせてください。」とお願いされれば、その人の登山経験や体力、知識、技量などを詳しく聞いてから返事をしている。
断ったこともある。
「とてもじゃないが、責任が持てない。レベルが追いついていない。」
それが理由だ。
やんわりと断ってはいるが、本音を言えばホッとしている。

*************
[実際にあった出来事]

まだガイドとして十分な経験を積んでいないガイドがいた。
○時までに山小屋に着かなければならないために、参加者の体力を無視し、「やれガンバレ」の一辺倒で、半ば無理矢理急がせる。
予定されている時刻までに小屋には着きそうにもない。
すこしでも遅れを取り戻さなければと焦る。
体力のない参加者は疲労が蓄積するばかり。
結果高山病を誘発し、翌日の登頂は無理となった。


とある有名ツアー会社。(登山ツアー)
参加者は常に20名ほど。
ガイドはサブを含めて二名で、先頭と最後尾に付いている。
「またあのツアー会社か。20人に対して二人のガイドってどうなんだろう・・・」
と思いつつ、先を行くツアーグループに後方から自分たちが追いつく。
が、すぐ後ろに来ても自分たちがいることに気付かないガイド。
追いつき追い越したいと思っている登山者は増えるばかり。
登山道はそれなりに幅はあるのに先に行かせてくれない。
いい加減勘弁してほしく、自分たちの方から「すみません。先に行かせてくれませんか。」と言う。
「あっ、すみません。お先にどうぞ。」
やっと追い越すことができた。
このツアー会社には今までなんども同じようなことを経験しているので辟易してしまっている。
できればお目にかかりたくはない。

今年もまた始まった富士登山

2024年07月03日 22時22分01秒 | Weblog
7月に入り三日目。
一日から富士吉田ルートからの富士登山が始まった。
そして予想していた、否、想定外の登山者も多くいたとか・・・

登山家のN氏が嘆いていた。
「富士登山に挑む前に既に高山病に侵され冷静な判断能力を失っているのか、単なるおつむが弱い人なのかは分かりませんが・・・」
あまり他人のことをとやかく言わないN氏が、これ程までのことを言うのにはよほどの理由があってのことだと言えようが、記事を読んで納得した。
半袖姿で、何と、キャリーケースを引きずっての富士登山だったそうだ。
(日本人でなかったことだけは幸いだろうか)

N氏が若い頃マッキンリーに挑んだ時。
地元のパークレンジャーから服装や装備のチェックを受け、OKをもらってやっと登り始めることができたそうだ。
パークレンジャーにはそれだけの権限が与えられているという。
日本でも国が動き、そのような体制を取らなければ富士山だけはどうにもならないのではないだろうか。
そんなことを言っていた。

全く同意見である。
昨年の例から考えてみれば、注意喚起やお願いだけではどうにもならないレベルに来てしまっている。
ある意味「時、既に遅し!」だ。

山に登るのは自由だが、いい歳をした大人たちがその自由をはき違え、勝手な解釈と権利を主張し富士山を目指す。
自由の裏には大きな責任が表裏一体となって存在していることが何故わからないのか。
分かろうとしないのか。

N氏の意見には賛成だが、仮に登山関係者や警察などに服装や装備品のチェックと入山禁止の権限を持たせたとしよう。
言い換えるなら、登山者は服装と装備品をオープンにし、一定の基準に満たない者は入山できないということだ。
しかし、既に山小屋を予約しているのであれば、山小屋自体の営利にも影響は出てしまう。
解決すべき課題は多くあるが、富士登山に関してはもうそこまで来てしまっていると考える。

今年の富士登山はまだ始まったばかり。
まっとうな登山者ばかりではないという現実が悲しい。
果たして今年はどんな愚か者たちが登りにやってくるのだろうか。

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ある青年が富士山に登ることになった。
登山はほぼ初心者で、仲間の友人も同様。
トレッキングパンツ(登山用ズボン)を選んだのはよいが、彼が選んだのはチノパンだった。
五合目あたりを散策するのであれば十分だろう。
しかし彼が目指すのは富士山頂だ。
3776mという日本最高所である。
高山病、低体温症、過発汗、熱中症、靴ずれ、疲労、睡眠不足、痙攣、脱水症状、ハンガーノック(低血糖症)。 数え上げたらきりがない登山のリスク。
彼はこのことをどれだけ知っているのだろうか・・・
どれだけ知ろうとしているのだろうか・・・