平蔵のコルで一息入れ、いよいよ往路最大の核心部「カニのタテバイ」へ取りかかる。
このタテバイへは何度挑んだだろうか・・・
劔へ登るのは今回で21回になるが、バリエーションルートや早月ルートなどを含めてのこと。
故にタテバイは二桁を越えたくらいとしか言えない。
一端取り付いてしまえば後は三点支持を基本に登攀をすればよい。
(そう簡単には行かないのだが・・・)
むしろ最初の取り付きがきついかもしれない。
結構腕力を必要とするのだ。
自分は男だからまだいいのだが、女性には不利なんだろうなぁといつも思っている。
また、途中数カ所にボルトが埋められており、そこをホールドしたりスタンスポイントとしたりして登る。
しかしそのボルトを利用するにしても、腕の長さや身長に差があれば難易度は違ってくる。
ごく普通に手に届けば何ら問題はないのだが、小柄な登山者にしてみればそうも行くまい。
平蔵のコルから見たタテバイ。
赤い矢印に沿って登攀する。
タテバイの真正面から見て左手より取り付く。
(「なんでよりによってこんなポイントから取り付くのだろうか・・・。真正面からの方が楽に見えるのだが。」)
と、いつも感じている。
取り付き方の説明と手本を見せ、Uさんには後から続くよう伝えた。
自分はとにかくゆっくりと登攀をし、できるだけ分かりやすく言葉と動きで伝えた。
取り付き直後のほぼストレートポイント。
右に折れ、その後左へと折れるポイント。
「どうぞー! ゆっくりねー」
合図と共にUさんがクライムオン。
自分のポイントから最初の取り付きポイントは見えない。
姿が目視できるまでタテバイの途中で岩肌にしがみつきながら待った。
余裕ではないが、ふと目線を変えれば平蔵の頭や平蔵谷が一気に視界に入ってくる。
(「なんて贅沢な景色なんだ。しかもタテバイに留まっているだなんて・・・」)
Uさんの様子を気にしなければならないのに、不謹慎とは思いながら絶景に目を奪われてしまった。
ややズームでの一枚。
サングラスで表情までは分からないが怖さは感じてはいない・・・と思えた。
自分のすぐ真下まで登ってきたので、大丈夫であれば少しだけそこで待ってもらうことにした。
一分ほど待機してもらい、自分はタテバイを登攀。
核心部を登り終え待機できるポイントまで移動した。
もちろんUさんには動き方などのアドバイスはした。
再びGOサインを出す。
核心部最後の直登ポイント。
ここさへ登り切れば難所は終わる。
比較的安全なポイントまでもう少しだ。
が、ボルトの位置がやや遠い。
ここが女性にとって不利となっている。
「もうちょっとでバンドだから。ほんのもう少しだから。」
バンドに辿り着いた。
正直自分もホッとした。
人を連れ、何度かここをクリアしたことがあるとはいえ、「何かあったらどうしよう」という思いは常にある。
だったらいつものように単独でくればいいだけなのだが。
タテバイをクリアすれば山頂までの難所はたかが知れてはいる。
もちろん気を緩めてはならないが、ここよりはましだろう。
「てっぺんまでもう少しですよ。やっとここまで来ました。最後まで慎重に行きましょう。」
自分も心躍る思いだった。
このタテバイへは何度挑んだだろうか・・・
劔へ登るのは今回で21回になるが、バリエーションルートや早月ルートなどを含めてのこと。
故にタテバイは二桁を越えたくらいとしか言えない。
一端取り付いてしまえば後は三点支持を基本に登攀をすればよい。
(そう簡単には行かないのだが・・・)
むしろ最初の取り付きがきついかもしれない。
結構腕力を必要とするのだ。
自分は男だからまだいいのだが、女性には不利なんだろうなぁといつも思っている。
また、途中数カ所にボルトが埋められており、そこをホールドしたりスタンスポイントとしたりして登る。
しかしそのボルトを利用するにしても、腕の長さや身長に差があれば難易度は違ってくる。
ごく普通に手に届けば何ら問題はないのだが、小柄な登山者にしてみればそうも行くまい。
平蔵のコルから見たタテバイ。
赤い矢印に沿って登攀する。
タテバイの真正面から見て左手より取り付く。
(「なんでよりによってこんなポイントから取り付くのだろうか・・・。真正面からの方が楽に見えるのだが。」)
と、いつも感じている。
取り付き方の説明と手本を見せ、Uさんには後から続くよう伝えた。
自分はとにかくゆっくりと登攀をし、できるだけ分かりやすく言葉と動きで伝えた。
取り付き直後のほぼストレートポイント。
右に折れ、その後左へと折れるポイント。
「どうぞー! ゆっくりねー」
合図と共にUさんがクライムオン。
自分のポイントから最初の取り付きポイントは見えない。
姿が目視できるまでタテバイの途中で岩肌にしがみつきながら待った。
余裕ではないが、ふと目線を変えれば平蔵の頭や平蔵谷が一気に視界に入ってくる。
(「なんて贅沢な景色なんだ。しかもタテバイに留まっているだなんて・・・」)
Uさんの様子を気にしなければならないのに、不謹慎とは思いながら絶景に目を奪われてしまった。
ややズームでの一枚。
サングラスで表情までは分からないが怖さは感じてはいない・・・と思えた。
自分のすぐ真下まで登ってきたので、大丈夫であれば少しだけそこで待ってもらうことにした。
一分ほど待機してもらい、自分はタテバイを登攀。
核心部を登り終え待機できるポイントまで移動した。
もちろんUさんには動き方などのアドバイスはした。
再びGOサインを出す。
核心部最後の直登ポイント。
ここさへ登り切れば難所は終わる。
比較的安全なポイントまでもう少しだ。
が、ボルトの位置がやや遠い。
ここが女性にとって不利となっている。
「もうちょっとでバンドだから。ほんのもう少しだから。」
バンドに辿り着いた。
正直自分もホッとした。
人を連れ、何度かここをクリアしたことがあるとはいえ、「何かあったらどうしよう」という思いは常にある。
だったらいつものように単独でくればいいだけなのだが。
タテバイをクリアすれば山頂までの難所はたかが知れてはいる。
もちろん気を緩めてはならないが、ここよりはましだろう。
「てっぺんまでもう少しですよ。やっとここまで来ました。最後まで慎重に行きましょう。」
自分も心躍る思いだった。