電話をした翌日の月曜日、彼は病院までやってきた。
まずこちらから聞いたことは「昨日の日曜日はどこかに出かけていたのですか?」
「はい、家族の用事があって出かけていました。」
「冗談じゃないですよ! 私にだって家庭があって、休日には自分以外の用事のために出かけなければならないことが山ほどあります。それを犠牲にして病院に来ることを最優先しています。その意味では家族にも迷惑をかけているんですよ。
加害者のあなたは、被害者への見舞いとに謝罪に来ることよりも、家族を優先していたわけですね。」
そして、もう一つの質問。
「昨夜私があなたに電話をしていなかったら、今日ここまで来ましたか? 電話を受けたから来たんじゃないんですか?」
「いえ、初めから今日伺おうと思っていました。」
信用できるはずがない。
呆れかえって話しにならない相手だった。
誠意というものがまったく感じ取れなかった。
「とにかく、私たちが受けたこれまでの精神的苦痛に対して慰謝料を求めます。裁判を起こしますのでそのつもりでいて下さい。」(もちろん本気ではないが)
相手の足が震えだしのをはっきりと見た。
すると母からの一言。
「これは受け取りたくありません。持って帰って下さい。」と言って、相手が持ってきた菓子箱を指さした。
驚いた。あの母が・・・。
ぼくとつで、決して他人には強い言葉で言うことなどないあの母が・・・。
「事故のあったあの夜。あれから母は一人で足を引きずりながら家に戻り、一晩中痛みと苦しみと、淋しさを堪えて夜を過ごしたんです。あなたにわかりますか、母の痛みが、苦しみが、淋しさが分かりますか。」
そう言って、事故当日来ていた血まみれの下着とシャツを見せた。
話しをしている最中に、彼の携帯が鳴った。
彼はポケットから携帯を取りだし、ディスプレイを見ようとした。
「あなたねぇ、本当にすまないと思っているんですか。今、携帯どころじゃないでしょう。」
本当に自分がしたことがわかっているのか。
大人として、社会人として、人間としての常識と良識を疑う。
この期に及んでも誠意の無さを感じる。
まずこちらから聞いたことは「昨日の日曜日はどこかに出かけていたのですか?」
「はい、家族の用事があって出かけていました。」
「冗談じゃないですよ! 私にだって家庭があって、休日には自分以外の用事のために出かけなければならないことが山ほどあります。それを犠牲にして病院に来ることを最優先しています。その意味では家族にも迷惑をかけているんですよ。
加害者のあなたは、被害者への見舞いとに謝罪に来ることよりも、家族を優先していたわけですね。」
そして、もう一つの質問。
「昨夜私があなたに電話をしていなかったら、今日ここまで来ましたか? 電話を受けたから来たんじゃないんですか?」
「いえ、初めから今日伺おうと思っていました。」
信用できるはずがない。
呆れかえって話しにならない相手だった。
誠意というものがまったく感じ取れなかった。
「とにかく、私たちが受けたこれまでの精神的苦痛に対して慰謝料を求めます。裁判を起こしますのでそのつもりでいて下さい。」(もちろん本気ではないが)
相手の足が震えだしのをはっきりと見た。
すると母からの一言。
「これは受け取りたくありません。持って帰って下さい。」と言って、相手が持ってきた菓子箱を指さした。
驚いた。あの母が・・・。
ぼくとつで、決して他人には強い言葉で言うことなどないあの母が・・・。
「事故のあったあの夜。あれから母は一人で足を引きずりながら家に戻り、一晩中痛みと苦しみと、淋しさを堪えて夜を過ごしたんです。あなたにわかりますか、母の痛みが、苦しみが、淋しさが分かりますか。」
そう言って、事故当日来ていた血まみれの下着とシャツを見せた。
話しをしている最中に、彼の携帯が鳴った。
彼はポケットから携帯を取りだし、ディスプレイを見ようとした。
「あなたねぇ、本当にすまないと思っているんですか。今、携帯どころじゃないでしょう。」
本当に自分がしたことがわかっているのか。
大人として、社会人として、人間としての常識と良識を疑う。
この期に及んでも誠意の無さを感じる。