ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

勝手な推測と持論で思うこと

2022年02月27日 21時38分42秒 | Weblog
冬期オリンピックが終わり、今度は冬期パラリンピックが始まろうとしている。

その狭間に起きたロシアのウクライナへの侵攻。
何故今?
パラリンピックは大丈夫なのか・・・
この状態で開催できるのだろうか・・・
ましてや開催国は中国だ。
なんだかんだといってもロシアとは蜜月同士だ。
アメリカをはじめとしたNATO諸国が経済的な制裁処置をし、武器までをもウクライナへ提供している中で、中国はロシアからの小麦の大量輸入を決めた。
表だっては責任は取りたくないだろうから「それとこれとは別」的な顔をしているが、裏ではどんな密約を交わしていることか。
そんな中国での開催にボイコットをする国が出てきても決して不思議ではないと思う。
そして自分が最も遺憾に感じていることの一つは、ロシア(プーチン)は、障害を持ったアスリートの方達は全く眼中にないということだ。
「パラリンピック? それがどうした。平和の祭典? それがどうした。」
そんな風にしか捉えていないと思えてならない。
愚かな傀儡政権だ。

劔岳 奉納 「奉納」

2022年02月24日 22時25分07秒 | Weblog
タテバイの難区間を越えると、岩峰の裏側へと向かう。
そこにもクサリ場があるのだが、ちょっとやっかいなポイントでもある。
クサリそのものは短いのだが、どうにも手がかりや足がかりが無く、クサリそのものに頼らなければどうすることもできない。
毎度の事ながら気になっているポイントだ。

そしてそこから少し登ると丁字路のポイントへと辿り着く。
そこは往路と復路との分岐点でもある。
丁字路にぶつかって右へと進めば劔の頂へとなり、左へ折れ下れば復路の最初の難所である「カニのヨコバイ」へと進む。


左へ折れて下ればカニのヨコバイへと向かうポイント。
ここまで来れば山頂はもうすぐだ。

少しずつだが斜度が緩やかになってきた。
人の声も聞こえてくる、頂は近い。


目指す祠が目視できる。
ふと立ち止まり大きく息を吐いた。
(「20回目の劔だ。何度来てもこの山は飽きないな・・・。」)

「おつかれさん。またここに来たね!」
そう言って握手を交わした。
嬉しさや感動はあるのだが、今回に限っては何故か言葉や態度、そして表情にもその嬉しさは出なかった。
辿り着いたという開放感よりも、どこか神妙な面持ちだった。

祠の前に座り、ザックから例のものを取り出した。
「せっかくなんだからいっぱい写真撮りましょうね。」
N君の言葉が嬉しくもあり恥ずかしくもあった。


完全なる自己満足で制作したもの。
「奉納」などと勝手に言ってはいるが、そんなたいそうな物ではない。
いわば唯の20回目の登頂記念品だ。
“TAKA”とだけ、自分の名前を彫った。


登山者はたくさんいたのだが、人がいない時を伺った。


この時思ったことがある。
(「家の自室に飾っておいた方がよかったのかな・・・」)
そんなことを思いながら祠に納めさせてもらった。

ひざまつき、両手を合わせながら感謝の思いを伝えた。
(「達成感、充実感、自然界の厳しさ、挫折感、いつも多くのことを教えていただきありがとうございます。また今年もここに来ることができました。これからも宜しくです。」)
確かこんなことを伝えたような気がする。


せっかくなので20回記念の一枚を。


もちろんN君も一緒にね!

すると突然後ろから声を掛けられた。
「先ほどから見ていたのですが、ひょっとして作ってきたのですか? 素敵ですね。私たちも撮ってもいいでしょうか?」
少々照れもあったが嬉しいことは本音だ。


ご夫婦で初登頂の剣岳。
こんな板きれ一枚でも記念になればありがたい。

山頂では小休止程度だけで済ませ、先を急ぐことにした。
地震の影響があり、どこまで行けるかは不透明なだけに不安は大きい。


「北方稜線」を示すプレート。
「北方稜線。この先キケン。 一般登山者は入らないでください。」と記されている。

「いよいよですね。ちょっと今までとは違う緊張感ですよ。」
N君の本音だろう。
ましてや地震の影響もあるし・・・。

安全に腰を下ろせる場所があればそこで昼食をとりたい。
さぁ行こうか!

劔岳 奉納 「何度目かのタテバイ」

2022年02月23日 00時33分03秒 | Weblog
上にいるN君からGOサインが出た。

決して気を緩めることは許されないタテバイだが、気分は良い。
もちろん天候の良さがその要因の一つであることに違いはないが、やはり「岩にとりつく」ことへの嬉しさが大きいところだ。


これで何度目のタテバイになるだろうか。
劔そのものへは20回目だが、このコースだけで登ったわけではなく、約半数はバリエーションルートからの登頂だ。


気分良く岩肌に取り付きタテバイを登っていると、N君からの一言に笑みがこぼれた。
「もっとゆっくり登ってくださーい。いい写真が撮れませーん(笑)」
「了解!」
と言いつつ、登攀の途中で片手が空いたので振り返って自分も一枚。


平蔵の頭だ。
今更写真を撮ることもないだろうと思ったが、あののぺ~っとした頭の一枚岩は見ていて飽きない。
緑色のラインが往路時のルートで、赤は復路時のルート。
因みに黄色の○の中に登山者が一人いる。
既に下山を始めている単独者だろう。


ゆっくりと登ってきたつもりだったが、タテバイの難所区間はここで終わり。

実を言えばこの腰を下ろせるポイントで以前からどうしてもやってみたいと思っていることがある。
ただ些か不謹慎でもあるのでやっていないだけのこと(笑)。
もし、後から登ってくる登山者がいなければ、ここで一服してみたいのだ。
タテバイの中で岩にもたれて煙草に火をつける。
遠く北アルプスの峰峰を眺めながら一服してみたい。
山頂やもっと安全なところでいくらでもできることなのだが、どうせならここでやる。
そこに自分なりの価値観がある。
・・・と、バカなことを考えている。
よし、次回チャンスがあったらやってみよう。

タテバイを越えればPEAKまで一登りだ。
自己満足で下手なりに制作した記念のプレートを納めることができる。

劔岳 奉納 「タテバイ:トップは任せた!」

2022年02月20日 19時16分03秒 | Weblog
平蔵のコルへと辿り着き一息入れた。
往路最大の難所と言われている「カニのタテバイ」へと取り付く前に、気持ちを一度フラットにしてから臨むべきと考えている。
とは言え、自分一人で臨む時は休憩無しでそのまま一気に登ってしまうのだが・・・。

トップはN君。
タテバイは二度目であり、ジャンダルム縦走も二度経験していれば特に問題はないだろう。
落ち着いていつものように取り付き、先を読むことさへ間違わなければ大丈夫。


タテバイに向かい、正面左側から取り付きスタート。
赤い矢印に沿って登攀する。


慌てることなく数手先までポイントを読み、ほぼ垂直へとコースを変更。
実はこの写真アングルは、自分にとってかなりお気に入りのもの。
「カニのタテバイ」と記されたプレートを入れることで、後々思い出がひしひしと蘇ってくる。


すぐ上に登攀中の人がいるため、あまり近づき過ぎない方が良いだろう。
(万が一を考慮すれば一定以上の距離を取った方が安全)


ルートを左へと変えての登攀。
ここまで何の問題もなくスムーズに登っている。
ここでN君に一言。
「たくさん写真撮りたいからゆっくりねー」
「ハハハ、了解でーす」
いい気感じで登攀中だ。


再びほぼ垂直に近いポイントまで来た。
そうそう、ゆっくりね。


ここまで来ればもう一息ってところだ。
写真もたくさん撮れてるよ!


最後の直登ポイントを越えた。
後は右へとトラバースし、そこで待っていてくれればいい。



タテバイの様な直登コースに限らず、ジャンの馬の背も同様にトライする人の身長差(腕や脚の長さも含む)によって有利と不利に別れる区間は必ずある。
それはクサリやボルトが有る無しに関わらずだ。
今掴んでいるポイントから次のホールドポイントまで距離がある時、やはり腕の長さはあった方が有利に決まっている。(足の置き場も同じ)
だから一般的には男性有利になっていると思っている。
自分は身長178㎝であり、そのことが有利に働いていると感じることは多い。
更にはこの年齢で幸いにも「メタボ」とは縁遠く、腹部の肉が邪魔をして岩に絡むこともない。
しかし実際には女性も登るし、身長がそれほどでもない男性だって登る。
万人のための登山道ではあるが、だからといってすべての身長差をカバーするとなるとボルトの本数の多さがかえって邪魔をしてしまうことにもなる。
ここは難しい問題だ。

さて次は自分の番だ。
楽しみだったタテバイへいざ!

劔岳 奉納 「平蔵の頭」

2022年02月03日 20時27分49秒 | Weblog
「平蔵の頭」は「へいぞうのずこ」と読む。
「ずこ」とはもちろん頭の事であるが、ここ越中地方の方言だ。
往路から見るこの頭はほんの数m程度登ればそれで終わってしまうと思われがちだが、頭を越えてしばらく進み、振り返ってみるととてつもない大きな岩の固まりであることがわかる。

もちろんこのポイントもN君に先導となってもらった。
危険なポイントであるには違いないが、大キレットやジャンルートを経験してきているだけに問題はない。


往路の登り区間。
僅かに数m登れば頭のPEAKへと辿り着くことができる。


いい調子で登攀している。
空が青いと見上げているこっちまでも気持ちよくなってくる。


あと一歩でPEAKかな。
頭のてっぺんで待機してもらうことになっている。

続いて自分の番。

慣れているからといって油断してはならない。


「○○さ~ん、こっち向いて!」
の声に顔を上げるも眩しい~!
だが、その眩しさが嬉しい。

てっぺんで合流し、ほんの刹那だったが劔本峰を眺めた。
「今日はあそこを越えるよ。楽しみだけど地震の影響がどの程度か全くわからないから無理はしたくないね。」
などと言っていると、すぐ横では復路ルートから登ってきた若者たちが一休みしていた。
その人達の会話が聞こえたのだが、何とも驚くべき内容だった。
「なんだよ、ここって行きと帰りで道が違うじゃないか。危うく間違うところだったよ。さっきもクサリが違うしなぁ。」
ブツブツと文句を言っているような口調だった。

(「またか・・・」)と思い、ため息が出た。

事前に下調べをしたはずだろうし、そう信じたい。
であればそんなわかりきった事に対して何故愚痴が出るのか・・・。
ましてや自分の登山レベルの低さを自ら露呈している。
呆れかえるような思い、と言うより怒りに近い感情になった。
いや、無視無視。
いちいち気にしていたらきりがないし、自分たちの集中力がそぎれてしまう。

往路の頭を下る。

ルンゼとクサリを併用し巧く下っている。
いいね♪


「写真撮ってるから、ゆっくりねー! 」
「ありがとうございま~す。」
いい意味での余裕だ。


もうそこまで下れば大丈夫。
次は自分が下る。


画像で見る限りは90°の垂直壁に見えるがそんなことはない。


初めてここを下った時はスラブっぽくて嫌な岩肌だなと思った。
ここを下る度、そんな昔のことを思い出している。

頭を下り終えトラバースし、コルへと向かう。


コルの手前あたりで撮った本峰と南壁、そして赤い矢印のカニのタテバイ。
のんびり登ってもあと一時間もあれば登頂だ。