ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

劔岳と雲海「急ぎの下山①」

2020年04月29日 22時03分16秒 | Weblog
山頂には30分程しか停滞しなかった。
あまりにも短すぎる山頂だったが、下山を考えればこれ以上の長居はできなかった。
残念だがヨコバイへ向けて下山開始だ。
急げる区間やポイントはできるだけ急ぎたい思いだったが、滑落の危険性を高めることに繋がることは明白だ。
急ぐのは比較的安全なトラバース区間や、前剱を下り終えてからになりそうだった。


目の前の雲海につい目を取られがちだったが、今は足元に集中しなければならない。
もうすぐ別山尾根の中で最も距離の長いクサリ場(区間)となるだけに、景色を愛でるのは二の次となる。

急勾配の岩崖を下り、ヨコバイへと着いた。
ここは慎重に、N君へのアドバイスを兼ねて通過しなければならない。


両腕でクサリにつかまり、右足のつま先でスタンスポイントの足探り。


スタンスポイントが決まったら、左足から移動してヨコバイをトラバースするだけ。
こう書いてしまえばなんてことはない様にも感じるが、初めてのN君にとっては難所であろう。


最初の一歩目。
右足での確保OK!


そのままゆっくりとトラバース。
順調順調!


ヨコバイ終了。
しかしクサリ場はまだ繋がっている。


下から指示を送っている自分。
写真を撮ってくれたのはもちろんN君。
ある意味余裕(笑)。


トラバースの次は斜め下へとクサリ場を移動。


垂直の梯子を下る。


そして最も長い下りのクサリ場。
ここも慎重に・・・、落ちたら絶対に助からないポイント。


やっと平蔵のコルへと戻ってきた。
そして目の前にはタテバイの南壁が。

ここで一息入れた。
「ちょっと距離を置いて見るタテバイって、やっぱり凄いですね。」
初めてトライしたN君ならではの本音だろう。
決して侮ってはいないが、もう慣れてしまった自分には無い感情だ。

ここまで順調に来てはいるが、平蔵の頭を越えるまでは慎重に下山しなければならない。
できれば11時頃にテン場に着き、軽く昼食を済ませ室堂へと向かいたい。

劔岳と雲海「頂へ・・・」

2020年04月16日 00時14分40秒 | Weblog
2999mの頂が見えてきた。
もう見慣れた頂であるはずなのに、感動と歓びがひしひしと湧いてくるのが分かった。


祠が目視できた。
人の声も聞こえてくる。

「さて、ここからは一人だよ。じっくりと感動を味わって!」
そう言い、N君を先に行かせた。


彼の後ろ姿を見つめた。

自分が初めて剱に挑戦し、単独で辿り着いた2999m。
あの時の歓びは今でもはっきりと覚えている。
ガスっていて周りの風景は何も見えなかったが、大声で「やったぜぃ!」と叫んでしまったっけ。(笑)

AM7:40。
18度目の劔岳登頂。
しばらくはN君に敢えて何も語りかけずにいた。
歓びと充実感を一人で堪能して欲しかったのだ。


一人何を思うN君。

彼には剱に登る前に「劔岳 点の記」のDVDを見ておいて欲しいと伝えておいた。
理由はいろいろあるが、山に対する畏怖心、畏敬の念、そして先人への感謝。
更には三角点や修験者が残しておいた「錫杖」のことなどを事前に覚えておいて欲しかったからだ。

「ここだよ。」と言って案内した三角点。


もちろん当時の物ではないし、測量隊が登頂してだいぶ経ってから埋設されたものだ。
それでも「すごいですよね、あんな昔の装備と服装で本当にここまで来ちゃったんですから。しかもルートなんて無かった時代に・・・。」
その一言が嬉しかった。


初登頂の御祝いに、自分が持ってきた缶珈琲で乾杯!


残念ながらそうゆっくりとはしていられない。
この頂からの雲海を目に焼き付けて下山を開始した。

と、その前に・・・。

修験者の錫杖が発見されたと言われているポイントを案内した。

山頂にいたのは20分程だったろうか。
16時までに室堂へ戻るにはこれ以上の長居は禁物だ。
本当に残念だった。
後ろ髪を引かれる思いでヨコバイへと下り始めた。

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最近は山への畏怖心や感謝の思いを忘れがちになってきている。
たとえ単独であっても、決して忘れてはならない思いがあるはずだ。

嘗て自分で考えたあの言葉をもう一度噛みしめてみたい。
「感謝に悖ることなかりしか」
*たとえすべて単独での登山であっても、決して自分一人だけの力で登頂し下山できたわけではない。
自然に、人との出会いに、登山者の安全を願う人たちに、そして無事の下山を願う人たちに感謝の意を持つことができたか。

登山はどうなることか・・・

2020年04月09日 23時51分11秒 | Weblog

新型コロナウィルスの影響は様々な分野に影響を及ぼしているようで、各個人の趣味の世界も言わずもがなだ。

趣味と実益を兼ねている登山ではあるが、「三密」のうち、密閉だけはわりと避けられようか・・・。
しかし、混雑次第では「密着」「密集」は下界とそう変わりはないかも知れない。
特に夏山の人気コースと言ったら、たまったもんじゃないってくらいに人で賑わう。
まぁそれが嫌でここ数年はそんなコースや山には登っていないし、行ったとしても時期をずらして登山をしている。

まだ数ヶ月先にはなるが、気になることが一つある。
「山小屋」がどうなるかだ。
「三密」すべてが当てはまるだろうし、予約をしていない突発的な登山者をも受け入れている山小屋であれば、寝る場所での「密着」は容易に想像できる。
(一枚の布団に三人で寝るってことも実際にある)
だからこそ「まさかそれはしないだろう」とも思う。

毎年必ず利用している劔沢小屋、今年はどうなってしまうのか・・・。
懸念はあるが、そんなことを心配するよりもっと優先して心配しなければならない「生活」ってものがあるだろう。
分かってはいるが、やはり気になってしまう。