ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

みんなで劔岳:先ずは一服劔へ

2017年09月30日 00時14分58秒 | Weblog
アタック日は早朝5時スタートを予定していた。
アタックザックだけなので軽量ではあるのだが、いつもの単独時よりも往復の時間がかかることは十分予測できたし無論想定内だ。
理由は一つ。
危険箇所の通過時は「スタカット」形式で臨むことになるからだ。
先ずは自分が先行し、一定一ポイントまで来たらKMさんとAM君を自分の所まで来させる。
AM君には申し訳ないが、最後尾からKMさんのリカバーを兼ねてもらう。
時間を要してでも安全を最優先するからにはこのやり方がベストだと考えた。

3時30分頃起床したが、フライシートに当たる雨粒の音が恨めしかった。
「今日はおそらくは降ったり止んだりかな・・・」
まだ眠気の残る体を完全に起こさねばならない。
お湯を沸かし珈琲を飲んだ。
朝食はいつもの魚介系雑炊だが、これが結構腹持ちがよい。
アタックザックの中身を最終チェックし、外へ出てみた。


二人とも出ており、劔岳の方を見ているが真っ白なガスの世界だった。
雨あしは思っていた以上に強くはなく、レインウェアを着るかどうか迷うところだった。
しかし、いつ強くなってくるか分からないのが山の天気だ。
やはり着用しよう。ついでにザックカバーもした方がいざというときに助かる。

5時5分、テント場を出発。
出発前に「これだけは!」と思い、二人に伝えた。
「今日の天気ははっきり言って読めない。だからどの程度荒天になってくるか分からない。もし風雨が強くなってきた場合、たとえ山頂直下付近でも諦めて下山するつもりでいてほしい。悔しいだろうけど、劔は甘くない。」
了承を得てスタートした。


劔沢雪渓の緩やかなルートをトラバースする。
二人とも夏山でこれだけの雪渓を歩くのは初めてだろう。

剣山荘を過ぎ、ここから徐々に登りルートとなってくる。

右手の後立山手前に珍しい雲を目視できた。
まるで「トルネード」の様にも見える雲だった。
残念ながら明くるなってくるのは東の方で、西方面は何ら変化はない。
西からであれば天候の回復も少しは望めるのだが・・・。


この短い雪渓を渡ればクサリ場となる。
このポイントはクサリが無くても何とかなる程度だから大丈夫だろう。

今回の山行では、三人が各々にカメラを持参してきた。
おかげでかなりの数の写真(記録)を残すことができたし、それだけではない。
同じポイントでも、向きを正反対から撮ることで全く違った趣の画像となることができた。
単独ではわからなかったことだが、後々の編集(CDへの焼き付けなど)は大変だった。


クサリの基本的な用い方は既に伝えてあるが、それはあくまでも状況次第。
状況とは本人のメンタルや疲労度合いを含めてのことなので、用いた方が確実と思えば手にすればいいだけのことだ。
だからKMさんにはいちいち「クサリをつかんで!」とかは言わなかった。
それよりも三点支持の確実性を繰り返し伝えておいた。
うん、大丈夫! いい感じだ。


AM君が撮ってくれた画像。
バックショットが中心となるが、それもまたGOOD!!!

予定より15分ほど遅れたが一服劔に着いた。
ここでやることは、先ず一服。

雨は上がってはいたが、周囲は変わらず真っ白なガス。
ちょっと残念ではあるが、天候悪化で登れなくなるよりは遙かにましだ。


これは自動シャッターではなく、単独で登ってきた外国の方(女性)に撮っていただいた。
この女性は先行していったが、この先の平蔵の頭手前で引き返してきた。
あまりの危険さに無理だと判断したとのことだった。


一服劔に咲いていた「イワギキョウ」それとも「チシマギキョウ」。
花びらの先の方に白い産毛の様なものがあれば「チシマギキョウ」なのだが、確認するのを忘れてしまった。
う~ん、薄紫の高山植物と山ガール。
やっぱり絵になると思う。
KMさん本人は照れていたが、撮っておいて正解だった。


やはりミスマッチだった(笑)。

「じゃぁそろそろ行こうか。これから先はガレ場ザレ場の連続だから、お互いに落石には注意ね。もちろん浮き石にも。」

目指すは前劔山頂だ。

みんなで劔岳:ハンバーグ?

2017年09月28日 17時27分39秒 | Weblog
別山乗越から劔沢テント場までの下りはガスの中の下りとなった。
それでも右を向いても左を向いても夏山ならではの高山植物に覆われた斜面を見ることができた。
「ガスが切れれば、目の前にはドドーンと劔が構えているんだけどねぇ・・・。」
ここから見る劔岳の圧倒的存在感を感じて欲しかった。


この雪渓を下ればもうテント場に到着する。
スリップには十分注意して下ってはいるが、ザックが大きいだけにバランスの保持は通常ルート以上に難しい。

テント場に着き、先ずは設営場所の確保。
設営するのは事務所で手続きを済ませてからでも十分間に合う。
混雑はしていなかったとはいえ、とにかく場所の確保を最優先した。
このテント場、トイレが雪渓を横断した先にしかないのが難点であるが、ロケーションは最高に良い。
今回の山行は2泊で、初日がテント泊、二日目は劔沢小屋に泊まることになっている。
たった一泊なので、ロケーションを優先して場所を決めた。


管理事務所に隣接している劔沢警備派出所に掲示されていた案内図。
ホワイトボードに手書きで描かれている。
出発前に何度もルート状況は確認したが、やはり現地での生の情報が欲しかった。
隊員の方に聞いてみたが、自分なりにまとめれば、昨年よりは残雪は多いが、アイゼンやピッケルは不要。
その他いろいろと教えていただいたが、結論は「今の時期の例年通り」となった。
あとは明日の天候にどう左右されるかだ。


もう慣れた手つきで設営もスムーズ。


女性らしく、丁寧に設営しています。(拍手)

各自設営が終わり、夕食作りの時間まで休憩を取ることにした。
幸いに雨が降ることもなく、自分はテントの外で珈琲を飲みながらこれまでの山行記録をつけ、明日の予定の確認をした。
危険箇所の通過手順、セルフビレーやアンザイレンのギアは持ってはいくが、それは最終手段とすること。
時間配分については余裕を持って一定のペースを守る。
などなど、やはり人を連れての劔は慎重になってくる。

さて、日が落ちる前に食事を済ませるためそろそろ準備に取りかからねばならない。
今夜のメニューは「ピーマンの炒め物」そして「ハンバーグ」だ。
ハンバーグと言っても、コンビーフにハンバーグの素を混ぜ合わせて焼くだけの「なんちゃってハンバーグ」だ(笑)。
すべて頭の中で勝手にイメージしたレシピなので味の保証は無い!
無いが、それもまたテント泊ならではのお楽しみだろう。


コンビーフとハンバーグの素と水を混ぜるが、想像していた以上に柔らかすぎて不安になってきた。


実際に焼いてみたが、フライパンに肉がこびりついて上手くひっくり返らない。
それどころか形がどんどん変形していってしまい、ただのコンビーフ焼きになってしまった。


KMさんは野菜炒めの準備。
普段、調理をしている姿など見たことがないだけに、「おぉ~やっぱり女性だったんだ」と感心してしまった。(失礼!)


AM君が炒めている合間に、自分の焼き方があまりにも情け無かったこともあって、KMさんがすかさず焼きを手伝ってくれた。
いや、手伝うのではなく、チーフとなって取り組んでくれた。


KMさんが使用しているフライパンは。フッ素加工だったかテフロン加工だったか忘れたが、自分の物とは違い表面に焦げ付き防止の加工が施された物。
肉の形も崩れず、焦げ付かず、実に美味そうな感じ。
師匠! おみそれしました。 m(_ _)m
「KMさん、やっぱり女性だったんですね。」
「え~、なんですかそれ(笑)。」
ちなみに、下山後に自分も焦げ付き防止加工されたフライパンを購入した。
(次こそは!)

調理をしている時がこんなにも楽しいひとときは初めてのことかも知れない。
失敗をしても、会話をして笑って過ごせる調理だった。


明らかに二種類のハンバーグと言ってよいだろう。
て言うか、形を成してない(笑)。
自分の作ったものがどちらかであるかは言わずもがな!(情けなぁ・・・)


まぁ見た目はさておき、すべて終了。
味は心配なかったことがせめてもの幸いだった。

後片付けを終え、食後の一服と珈琲タイム。
時刻はもうすぐ19時になろうとしていた。


ほんの一瞬だったが、劔が見えた。
KMさんの「わぁ」と呟くような小さな声が聞こえた。
表情は分からなかったが、それが不安を意味しているのか感動を意味しているのか。
声だけでは判断できなかった。


日も落ちかけ、明日のことを語り合った。
いろいろなことを話し確認した。
「とにかくじっくりと焦らず登る」
「緊張の連続するポイントでは、可能な限り途中で一度気持ちをフラットにする」
「無事下山したらビールで乾杯する」
こんなことを話し合った。

明日は雨を覚悟しなければならない。
時間をかけてでもゆっくりと攻める。

みんなで劔岳:劔御前での出来事

2017年09月27日 00時12分14秒 | Weblog
劔御前小舎に着き、昼食を兼ねて一息ついた。
ここから見る劔岳は、その全容を際だたせてくれる絶好のポイントなのだが、残念ながら雲の中だった。

今回は「劔御前まで行ってみたい」という自分の勝手なお願をした。
二人とも快く承諾してくれたのだが、劔御前がどのようなところであるのかが分からない。
もちろん自分も知らない。
今までさんざん劔御前小舎の場所で休憩をしておきながら、未だ一度も御前まで脚を踏み入れていないのだ。
何度か時間的余裕もありチャンスはあったのだが、悪天候とかの事情で叶わぬこととなった。

登り始めてすぐ、一瞬の雲の切れ間から劔が顔を覗かせた。

AM君、初めて見る間近での劔にハイテンション!
「主峰のてっぺんしか見えませんけど、凄いですね。登れるのかな・・・」
ちょっと不安が入り交じっているようだった。

這い松地帯に入ると・・・おやおや(笑)。

自分たちのすぐ目の前を雷鳥が歩いているではないか。
今日はそれほど荒天ではないので、まさか出会えるとは思ってもいなかった。
二人とも初めて見る雷鳥に感動の様子だ。

劔の主峰はずっと雲の中だったが、それでも劔岳に隣接する荒々しい岩峰が見え始めた。

「やっだぁー。明日こんな感じの所を登るんですよね。」
遂にKMさん、ビビってしまったかとも思ったが、「大丈夫! 一応20mのザイルは持ってきてあるから、いざとなれば俺とアンザイレンして登ればいいだけだよ。でも俺は非力だから無理だったら自力で頑張ってね(笑)。」


「どう、 テンション上がっちゃう?」
「はい、明日が楽しみです」
「いいねぇ、その調子だよ。」

コースタイムとしては、劔御前小舎から30分ほどで劔御前に着くはずだ。
そろそなのだが・・・と思っていると。

突如現れたプチ雪渓に思わずうつ伏せ。
「おぉ~気持ちいいー!」
何だかんだで火照った体だっただけに、一気に冷やしてくれる。
こりゃ快感だー!!

ほどなくして劔御前の三角点に到着したが、やはり主峰はガスの中だった。

KMさん、残念がってはいたが、カメラを向ければハイポーズとばかりに山ガールに変身。

もう少しだけここで待ってみようということになり、その数分後にほんの刹那だけ劔の主峰が見えた。

「あれじゃぁ分からないなぁ。まぁ三日間もいるんだから必ず見られるよ。」
確証はないが、是非ともあの畏怖心をもいだかせる岩峰を見せてあげたいと心から願っている。

帰り際に面白そうなポイントがあったので写真を撮った。

ちょっとやそっとの高所や危険ポイントは全く心配ないAM君。
これもひとえに自分のおかげだろう(笑)。


「えー! ギャー! ダメー! こんな高いところ無理!」
と言いつつも、なんとか登れたKMさん。
(明日、大丈夫かなぁ・・・)

来る時に雷鳥と出会ったポイントを過ぎたあたりだったろうか。
一枚の鋳物のプレートが埋め込まれている岩を目にした。
近寄ってみると、そのプレートには長文が記されていた。
要約すると、劔岳の源治郎尾根で滑落し亡くなられた山仲間の死を悼み、その哀悼の意を記したものだった。
その文章を読み終えた時、ある記憶が蘇った。
ちょうど一年前の7月、劔岳からの下山途中でのこと。
劔沢から別山乗越へ登っている途中で、初老の男性と出会い乗越まで一緒に行くことになった。
室堂まで一緒に下山するつもりだったのだが、乗越に着くとザックの中から一升瓶を取りだし「私はここでちょっと用があるので申し訳ないのですが失礼します。」
「どうしたんですか、その酒は・・・。」
「もうだいぶ前のことですけどね、私の山仲間が源治郎尾根で滑落して亡くなってしまったんですよ。この上にちょうど源治郎尾根がよく見えるポイントがあるんで、そこに行って彼の好きだったこれ(日本酒)をついであげるんですよ。あいつ、この酒が好きだったんですよねぇ。」
「そうですか。そんなことがあったんですか。でもきっとその人は喜ぶと思いますよ。」

亡くなった山仲間のことを話している時の顔が、あの時の淋しそうな目が忘れられない。


「そっか・・・これがあの時の・・・あの人が言っていたものだったんだ。」
小さく独り言を呟いた。

AM君とKMさんには申し訳なかったが、そのことを思い出してしまい「山においては避けることのできないこと」そして「遺された者」がいることを改めて思い知らされた。
ちょっとだけメランコリーになってしまった自分だった。

しかし気落ちしてばかりはいられない。
慎重に登攀し、無事下山することが大前提であるのが登山。
そこにわずかでも楽しさや胸高鳴る感動が加わってくれればそれだけで十分だ。
そう、相手は天下の劔岳だ。

みんなで劔岳:眠い・・・

2017年09月26日 00時17分19秒 | Weblog
雷鳥平へと下って行く途中で高山植物に目がとまった。
今回の劔岳:立山縦走においては、ただ山に登るだけでなく「夏の高山植物を愛でよう」という目標も設定した。
名前は分からなくてもいい。
せっかくの夏山だ、登るだけではもったいない。


これはみんなが知っている「イワカガミ(コイワカガミかも)」。
三日間を通していたるところで群生を見ることができた。
疲れている時にこそ、ふと目をとめるだけで不思議と癒される。

雷鳥平のテント場で休憩を取った。
これから今日の行程の中で最もきつい雷鳥坂を登攀する前に水分とエネルギーの補給をしなければならない。(もちろん一服もね♪)
「雷鳥坂ってかなりきついんですか?」
KMさんが不安そうに聞いてきた。
「テントを背負っている分だけきついけど、今日はテント場までだし、時間をかけてゆっくり登るから大丈夫だよ。AM君もいるしね(笑)。」


さぁ、ハーネスを締め直して出発だ!

と言ったものの、肝心の自分が今ひとつだった。
体調が悪いのではなく、ただ眠いだけなのだが・・・。
あくびが頻繁に出ていることが少し気になった。
この先は残雪の踏み抜きやガレ場でのスリップ、浮き石にも注意が必要であり、それなりに集中しなければならない区間となる。
顔面を雪に押しつけてでも眠気を飛ばした方がいいかも知れないと感じていた。


橋を渡る。
木材を数本くくりつけただけの簡易な橋だけに、歩く度に弾む様な感じで体が浮く。


「キャー! ダメですー! 私こうゆうのダメなんです!」
「まーた。なぁに乙女チックなこと言ってるの(笑)。」
「そんなぁ~。一応か弱い乙女ですよ。」
と言いながらも、揺れと弾みを楽しんでいるようだった。(と思う)


登り始めてすぐ残雪ルートとなった。
日差しが暑い分、僅かな風でも雪の上を吹く風は心地よかった。
しかしまだあくびが出る。


真夏に雪道を登ることなどそう滅多にあるわけではない。
北アルプスとはいえ、どこにでも残雪がある訳ではないだけに、彼女にとってはここを登るだけでも良い思い出になってくれると思っている。


はい「チングルマ」の登場です♪
「この程度の群生はまだ小さい方だから。乗越から下る途中あたりになるともっとすごいはずだよ。チングルマ、ミヤマダイコンソウ、イワカガミ、タテヤマリンドウ、ハクサンイチゲなんかがうじゃうじゃだから。」

なぁんて知ったかぶりをしながら登り続けてはいたが、やはりまだ眠い。


するとAM君から「これは何て言うんですか?」
「え~っとね、え~っとね・・・ミヤマキンバイだったかミヤマキンポウゲだったか・・・シナノキンバイだったか・・・たぶんそのどれかだと思う。(笑)」

しばらくして

「これ、何ですか?」
「おっ、これは分かる。アオノツガザクラだ。」
やっと自信を持って答えられる花に会えた。

高山植物をそこここで愛でながら登り続けたことで、疲労感はそれほどでもなかった。
しかし、まだ眠い。


休憩を取るためザックを下ろした。
残念ながら雷鳥平方面はガスっており、薬師岳も見ることはできなかった。
「私すぐお腹が空くんですよ。何か食べた方がいいですか?」
「一に水分、二に塩分、三に糖分、四にカロリー。でもって五にニコチンかな(笑)。
まぁそれは冗談として、何か口にした方がこれからの為にもいいよ。 それにしてもKMさんて、そんなか細い体ですぐに腹が減るの? あまり食べないイメージがあったけどね。(笑)」
「私けっこう食べるんですよ(笑)。 でもか細いって、○○さんだって人のこと言えないじゃないですか(笑)。」
確かに彼女の言う通りだと思った。


この写真はKMさんがいつの間にか撮ってくれたもの。
あまりの気持ちよさと眠さで、行動食も摂らずウトウトとしてしまっていたらしい。
この時の気持ちよさは今でもよく覚えている。
「あぁ~このまま数時間眠れたら幸せなんだけどなぁ・・・」
そう思っていた。
残念ながら10分ほどの休憩で出発とした。
単独だったら、おそらくは1時間ほど眠ってしまっていただろう。

登りはまだまだ続く。
だが、ほんの少し目を閉じていただけでスッキリした気分となってくれた。
「よっしゃ! やっと登攀モードになった。行くぞー!」
KMさんが少々お疲れモードになってしまったタイミングで自分の体が目覚めたようだ。
AM君は問題ないだろう。
若さとは実に羨ましいかぎりだ。


さぁ、この辺りまで登ればあと30分くらいで乗越だ。
ハートマークを作ってガンバガンバ!!


男同士の無骨なハートマーク。
またこれも楽しからずや(笑)。


もうすぐ石段の登りルートとなる(はずだ)。
そうなれば乗越までそう遠くはない(はずだ)。
やや記憶違いという不安はあったが、ほどなくして石段の登りルートとなった。
「この石段になったらもうすぐのはずだから頑張ろう!」
ふと上を見上げれば、劔御前小舎とトイレの建物が見えた。

「ほら!」
と言って、上を指をさすと「やったぁー! でもあそこまでが遠いんですよねぇ。」
「あと5分だよ。」
その言葉にKMさんニッコリだ。

予定より30分ほど遅れてはいたが、気にすることはなかった。
乗越で休憩し、ザックをデポして劔御前まで行く。
後はテント場まで下ればそれで今日の行程は終わる。
15時を過ぎても問題はないし、それにこの天候であれば今日は雨が降ることはないだろう。
あと5分だけ頑張ろう!

みんなで劔岳:今年は2回

2017年09月24日 23時22分59秒 | Weblog
毎年単独で登っている劔岳のシーズンがやってきた。
今年の夏の目標は、先ずは去年のリベンジである「北方稜線」、所謂「裏劔」だ。
しかし、その前に今年の夏は是非AM君のレベルアップを兼ねて一般ルートで登らせてあげたいと思っていた。
「登らせてあげたい」だなどとたいそうな事を言ってはいるが、自分がどれだけのレベルであるのかと言えば・・・そうでもない。
まぁここは回数だけはそれなりに劔に登っているということで勘弁していただきたい。

AM君の他に、思い切って職場仲間の女性を誘ってみたところ、なんと一人の女性から「はい、行ってみたいです」という返事をもらった。
彼女とは一度だけ初級の雪山に登ったことがある。
初級とはいえ決して怖がらず、慌てず、そして体力もそこそこだっただけに「彼女なら大丈夫だろう」と決めた。

グループで登る山は楽しい。
だが、劔岳に関して言えばあまり多くてもちょっと困る。
一般登山道の中では間違いなく日本トップレベルのルートだけに、案内する自分の負担が大きすぎてしまうからだ。
毎年いろんなルートから登っているとはいえ、やはり3人くらいが限界だと思う。

7月25日、仕事を終え、自分の車で一路扇沢へと向かった。
扇沢に着いたのは深夜1時過ぎ。
まだ小雨の降る真夜中、無料駐車場の車中で仮眠を取った。

翌朝6時に起きた。
幸いに雨は上がっていたが、またいつ降り出してくるかわからない。
さっさと身支度を整え、切符を購入しに駅へと向かった。

早めに切符を購入し並んで正解だった。
かなりの登山者が扇沢に来ていたのだ。
もちろん登山が目的の人たちだけではなく、家族で黒部ダムまでとか、室堂周辺の散策程度とか、背負っているザックの大きさを見ればそれは分かった。


以前、手荷物料金を取られた記憶があったのだが、今回は運賃のみの料金だった。
黒部ダムまでのバスに乗っているのは僅か15分足らずだったが、ウトウトと眠ってしまった。
「まだ体が起きていないなぁ・・・。まぁ今日は劔沢までだから大したことはないけど、雷鳥坂がきついかもなぁ。」
そんなことを思いながら重いザックを背負いバスを降りた。


天候は回復傾向にあったが、半袖では少し肌寒い朝だった。

手前の女性がKMさん。
小柄で華奢で、60リットルのザックがとんでもなく大きく見える。
ちょっと腕を握れば「ポキッ!」と折れてしまいそうなほどスレンダーな女性だ。
(う~ん・・・大丈夫だろうか。まぁ明日はアタックザックだけだから行けるかな・・・)

そんな心配をよそに、か細い脚でダムの上を歩くKMさんだった。


ケーブルカーに乗車。
一両編成だけにここはいつも混んでいる。
「眠くない?」
「はい、大丈夫です」と、元気な返事。
「俺、まだ眠くてダメ(笑)」

ロープウェイなどを乗り継ぎ、9時に室堂へと着いた。
ザックをチェックし、出発準備は整った。
おっと、大切なことを忘れるところだった。
登山届けを提出しなければならない。

天候は「晴れ」とあったが、期待はしていなかった。
そして事故情報に目がとまった。
あまり神経質にはなりたくはないが、一応情報として知っておくべき事だ。


ここの天然湧き水をハイドレーションに満たせば準備はOK。
「あぁこれでまた2㎏はザックが重くなるなぁ・・・」
そんな弱音を吐きながら室堂を出発した。

眠い目をこすってハイ、ポーズ!

石畳の道は、同じ石や岩の登山道よりも何故か歩きにくい感じがする。
ほぼ同じパターンで構成されている表面なのだが、凹凸につま先が引っかかることが多い。
「何度歩いてもここは面倒だな」
「やっぱり登山道の方が好きなんですね」
「う~ん・・・かもね」
「それよりも、この先の這い松地帯に行ったら、ひょっとしたら雷鳥に会えるかも知れないよ。」
残念ながらこの辺り一帯では会えることはなかった。

ガスの切れ目から数回、一瞬だけ劔岳が目視できた。
その度に「おぉ~!」と二人の声が聞こえた。
「やだぁ、なんか怖いかも・・・」
「なぁに今更言ってるの。明日はあのてっぺんに行くんだよ。もうここまで来たら腹をくくって覚悟はできてるね(笑)。」


ミクリガ池周辺の残雪に感動している二人だった。
感動することはいいのだが、この先と明日、この残雪が凶と出るか吉と出るか。
それはその年によって違うため、自分にも分からない。


雷鳥平のテント場を見下ろす二人。
真正面に見えているのが雷鳥坂で、ガスの中に「別山乗越」がある。
それを説明すると「ひょっとして残雪の上を登るんですか?」
「例年であればまだこの時期はスタート直後はそうなるね。スリップと踏み抜きには注意かな。」
「え~っ、あそこを登るんですかぁ。写真で見るよりもきつそうですね。」
不安そうなKMさんだったが、ルート状況の詳細は事前の打ち合わせで言ってある。
「大丈夫! きつかったらザックはAM君が背負ってくれるから(笑)」

それよりも不安だったのは自分のことだった。
なんとなくまだ体が目覚めていないのだ。
こんな調子であの坂を登ったら途中でバテてしまうのではないか・・・。
朝食は食べたが、どうも今ひとつ本調子ではないのだ。
それに今日はいつものマイペースという訳にもいかない。
たとえゆっくりでも常に全体を見て判断しなければならない。
自分の体調よりも優先すべき事があるのだ。

残雪過ぎる尾瀬:乾杯!

2017年09月20日 23時23分47秒 | Weblog
先ずは山の鼻へ向けてやや早足で進んだ。
幸いにして風もなく、木道の上で煽られることはない。

しばらく進むと、右手奥に水芭蕉の群生地帯が見えた。

水辺に沿って咲き乱れている水芭蕉。
時間があれば立ち寄ってみたいところだが・・・。
「ごめんね。帰りを優先しよう」
と、自分で言いつつもやはり立ち寄ってみたい思いは強かった。


至仏山に向かってひたすら歩く。
腕時計をみながら時間と距離を何度も計算した。
「よし、これなら山の鼻でトイレ休憩は取れる。」
竜宮から山の鼻までは2時間弱の予定。
できれば1時間30分で到着したい。
山乙女達には申し訳なかったが、山の鼻まではこのままのハイペースで頑張ってもらうことにした。

木道沿いにも群生地帯があった。
まるで水芭蕉の群生の真っ只中を木道が突っ切っているかのようだった。

残雪の至仏山、広大な湿原、そして木道と水芭蕉。
これで空が青ければ絵葉書のような写真だったかも知れない。
あっ、でもモデルが・・・いえいえそんなことはありません(笑)。

山の鼻の手前の橋を渡っていると、まるで水中花の様な水芭蕉を発見。
「へぇ~、水の中でも成長しているんだ。」

あまり感心している暇はない。
とにかく山の鼻までは頑張ろう。

なんと、1時間30分で山の鼻に到着することができた。
某出版社の山岳地図では、ここから鳩待まで1時間20分と掲載されている。
しかし、何度ここからの登りルートを通っても50分ほどで着く。
決して急いでいるつもりはないが、50分程度だ。
であれば、彼女たちでも1時間あれば鳩待には着くだろう。
これが自分の出したコースタイム計算だ。
そこに山の鼻でのトイレ休憩や鳩待でのお土産購入タイムが加算される。
それでも最終バスの出発には10分ほど余裕ができる・・・はずだ。
「お疲れさん。トイレ休憩したら出ましょう。」
自分はどうしても我慢しきれず、コーラを買って飲んだ。
のどがカラカラだったのだ。

鳩待までは登りが続く。
急勾配ではないが、彼女たちには最後での登りはきついかも知れない。

このルートでは時刻と高度計とを同時に見ながら登った。
「鳩待の標高まであと○○m。よし、順調だ。」
5分おきに高度計で確認しながら登る。
そして最終バスの出発まで20分という時刻に到着した。
「よかった! 少し休憩できるよ。」
二人とも安堵の表情でゴール。
「じゃぁやろうか」
ということで、例のものを購入した。
「おつかれさ~ん! カンパ~イ♪」

もちろんノンアルだったが、渇いた喉にはたまらなく美味だった。

残雪の量はその年によって差が出ることは当然のこと。
ただ、事前に下調べした以上の量であった。
それにより大好きなアヤメ平コースであったが、樹林帯での一変した風景には驚いたし、それ以上にルートファインディングに不安があった。
決して舐めていたわけではないが、改めて良い経験になったと思う。

やっぱり年に一度は尾瀬でしょう♪

残雪過ぎる尾瀬:福島県まで行っちゃおう!

2017年09月18日 23時37分28秒 | Weblog
平日ということもあり、メインストリートは比較的空いていた。
おかげで竜宮十字路周辺のベンチはどこを利用してもOK状態。
早速ザックからバーナー類を取り出し簡単スープ作りに取りかかった。


今日は三人それぞれ食事において役割分担があった。
とは言ってもお互いに自由に決めたことであり、強制でも何でもない。
自分はスープ係り。
Mさん(青シャツ)は行動食係。
Iさんは(黄シャツ)はおにぎり係。

スープはいつもの「洋風中華餃子スープ」で、ほんの5分もあれば出来上がる。
毎度の事ながら日帰りトレッキングにはもってこいのものだと自負している。


燧ガ岳をバックにパクリ。
4時間以上歩き続けたこともあり、みんな腹は減っていたと思う。
特にMさんかな(失礼)。


最終バスの時刻を考え、食べ終えたらすぐにトイレを済ませて出発したいところだったのだが、どうせなら福島県まで行ってみようということになった。

実はこれには裏がある。
Iさんには「竜宮からだと福島との県境までは5分程度だからちょっと足を伸ばしてみましょうか」と、事前に話しをしておいた。
ついでに「Mさんには内緒ね」と付け加えていた。

「ねぇMさん。向こうに見える燧ガ岳の麓あたりが福島県になるんだけど、せっかくここまで来たんだから行ってみようか。40分くらいかかるけど、往復を走ればバスの時刻には間に合うから大丈夫。」
「えっ、は・走るんですか? えっホントに・・・」
不安・・・というか、走りたくはないと言っている顔(笑)。
「大丈夫! さっ、行くよ」
と言って走らずに歩きだしてほんの数分。
「はい、ここから福島県です。」
「えっ、なにそれ・・・。ひょとしてさっきのはウソ? んもぅ~(笑)」

自分とIさんは大笑い。

群馬県と福島県をまたいでチーズ♪
「ほらぁ、もっとまた開いで!」
さすがに山乙女達にそれは言えなかった。

ここからしばらくはひたすら木道を歩く。
やや早歩きとなったが、二本ある木道の間からは「リュウキンカ」が顔を覗かせていた。

リュウキンカと水芭蕉のコラボレーションってとこだろうか。



さぁて、お姉さん達。
少し頑張って歩かなきゃ最終バスに乗り遅れちゃうぞ!

残雪過ぎる尾瀬:群生

2017年09月16日 22時27分20秒 | Weblog
斜度はまだまだ厳しく、スリップや踏み抜きに注意しなければならなかったが、徐々に見覚えのある周囲の状況に安心した。


安全を優先し、ゆっくりと下山すればそれだけ時間を要する。
しかし怪我をしてしまえば元も子もない。
時間経過のリスクと怪我のリスクを比べれば、どっちを優先すべきかは考えるまでもない。


ルート上の残雪は殆ど消えたが、今度はぬかるみのお出ましだった。
これはこれでスリップが怖い。
下山ルートであれば転げ落ちる事もあり得る。

右方向から聞こえてくる水の流れる音が大きくなってきた。
「急斜面ももうすぐ終わりだよ。」
そう、川がルートに近づいている証拠だ。

雪解け水も混じって、いつもより水量が多いような気がした。
川の中に手を入れてみたが、思わず「ウォー!」と声を出してしまいそうになるほどの冷たさだった。
「さぁて、竜宮までもう少し。でっかい湿原が待ってるよ。」
「は~い、楽しみです♪」

小さな橋を渡り、ほどなくして湿原の一部を見渡せるポイントまで来た。
すると広々とした湿原の中に、白い点々としたものを目視することができた。
「ん? あれってひょっとして・・・」
確証はなかったが、近づくにつれ「やっぱりそうだ」と確信が持てた。

見事なまでの水芭蕉の群生地帯だ。
画像ではその一部しか分からないが、実際にはもっと広範囲の大群生だった。


せせらぎの土手沿いに咲く水芭蕉。
なんか食べられそうな気がしてきた。


木道沿いにもこんなに咲いていた。

去年とはうって変わっての群生に三人とも大はしゃぎだ(笑)。
来て良かった。
誘って良かった。
そう思える、ちょっと安心した瞬間だった。


これほどの水芭蕉の群生を見たのはもちろん初めてのこと。
年が違い、数日でも日が違っていれば自然も違った顔を見せてくれる。
残雪に少々苦労はしても、こうして素晴らしい顔も見せてくれる。


竜宮十字路手前の大群生地帯。
ため息が出そうな風景に、どうしても足が止まってしまう。


「どう? お姉さん達。来て良かったでしょう?」
「超感激! 嬉しいで~す!」

初めての尾瀬で、これだけの水芭蕉との出会い。
お姉さんたち、ラッキーだよ!

残雪過ぎる尾瀬:季節が違うとこうも違う

2017年09月13日 23時29分45秒 | Weblog
横田代を抜け、再び残雪ルートとなった。

気持ちはよいのだが、「腐れ雪」による踏み抜きが怖い。

実を言えば、GWが終わった翌週に奥穂高岳を目指したのだが、涸沢どころか本谷橋の手前で踏み抜きをしてしまい膝を痛めてしまった。
運悪く古傷の半月板損傷の部位であったこともあり、痛みはひどかった。
すぐにブーツを脱ぎ、レジ袋に雪を詰め込み患部を冷やしたのだが痛みは一向に引くことはなかった。
登山を諦め、足を引きずりながら横尾山荘方面へと引き返し、その日は急遽横尾山荘に泊まることにした。
翌日になっても痛みがあったため、通常3時間程度の上高地までのルートを休憩を含め7時間ほどかけ戻った。
そんなこともあり踏み抜きと言えど怖いものは怖い。

やっとアヤメ平の田代へと到着。
予定よりもやや遅れ気味だったこともあり、地図を広げ今後のコースタイムや予定到着時刻の確認作業をした。

「今居るのがここだから、次の富士見田代までは云々・・・。」
「ちょっと遅れているんですね。もう少しペースアップしても大丈夫ですよ。」
「いや、雪道でのペースアップは危険かな。竜宮でお昼を食べてから木道でのペースアップの方が安全だから、そこまでは焦らないで行こうか。」
そんな会話をした。


燧ガ岳をバックに山乙女(?)達のハイ、ポーズ。
「は~い、お嬢さん達、もう行くよ!」
景色がいいとどうしても愛でたくなるのは誰も一緒。
遅れ気味であることを気にしながらもついついふと立ち止まってしまう。


緩やかに木道を下り、再び残雪の樹林帯を抜けた。
そして富士見田代の分岐点から竜宮十字路を目指しひたすら下る。

(「何なんだ、この閑散とした樹林帯は。ここは本当に長沢新道なのか・・・」)
(「そりゃぁ季節が違えば状況が違うのは当たり前だけど、こんなにも閑散としているだなんて・・・俺は今本当に長沢新道を下っているのだろうか・・・。ルートを間違ってはいやしないだろうか・・・。」)

ずっとそんな懸念を抱きながら下っていった。
恥ずかしながらここでも赤テープとトレースが主なルートファインディング方法だった。

と、いきなり。

「あっちゃー! やっちゃったわ」
幸い怪我はなかったが、あちこちズボズボ状態の残雪で、自分も何度か踏み抜いてしまった。

「きゃ!」
振り向けばまたまたズボッ!

スパッツを装着していなかったこともあり、雪は靴の中まで入ってしまったようだ。
「しょうがねぇなぁ・・・」
とは言わなかったが、親切な山男は靴の中に指を入れ雪をかきだしてあげましたとさ(笑)

この日、この程度のルートであるにも関わらず最も緊張しながら進んだのが長沢新道の下りだった。
赤テープを見失うな。
トレースは確実にあるか。
間違った方向にトレースは向かっていないか。
地図を見ろ。
コンパスを使え。
踏み抜きポイントはそこら中にあるぞ。

ずっとそう考えながらの下りだった。

残雪過ぎる尾瀬:一番好きなところ

2017年09月11日 17時29分00秒 | Weblog
早く田代ポイントまで着かないものかと雪の上を進み続けた。
軽アイゼンを装着する程ではないにしろ、やはり状況によってはスリップしたりとそれなりに危険はあった。
そしてもう一つ気になったことは、予定していたコースタイムよりも多めに時間がかかってしまっているということ。
これは残雪状態ならではのことではあるが、想定していた以上に時間を要していた。
(「最終のバスに乗り遅れないことだ・・・」)
頭の片隅には常にその言葉を忘れずにいた。

さて、やっとのこと田代へと出ることができた。
「おぉ~やっぱりここはいいなぁ。気持ちがいい。メインストリートよりも静かだし、標高が高い分だけ空気が美味い気がする。」


ふり返れば至仏山もバッチリだし、青空も少しだけ顔をのぞきはじめた。
足取りも軽い!


この先へと進めば、前方に燧ガ岳、後方に至仏山の二つを目にすることができるはずだ。
「はいお姉さん、走って!」
「え~っ、無理ですぅ。ポーズだけね♪」
少々疲れる会話の一日となったが、本格的雪山シーズンを終え、緊張の連続だった半年をふり返れば、こんなトレッキングは癒しになってくれる。


木道の端にベンチがあり、そこで初休憩をとった。
「このコースって人が少ないんですね。」
「俺が好きな理由はそれもあるけど、竜宮とかのメインルートよりも周囲の山々が見渡せるんだよね。ガスられるとちょっと不安にはなるけど、やっぱこのコースが尾瀬の中じゃ一番だと思っているよ。」

時計回りで見れば、燧ガ岳、男体山、白根山、(天気が良ければ)富士山、至仏山、平ヶ岳、景鶴山とすべてを目にすることができる。
歩く距離はやや長くなってしまうが、それを差し引いても絶対のお薦めコースだ。

再び木道を歩いて行くと、「あらまっ! こんな所に・・・」

「水芭蕉」とのご対面だった。
このルートでも咲いていることに驚いたが、今年は残雪の多さから水芭蕉の盛りは今であることを知っていただけにこの先が楽しみになってきた。

そしてもう一輪。

群生で見ることはなかったが「ショウジョウバカマ」という花。
この時はどうしても名前が覚えられず「ショウジョウバエ」として記憶した。

後にアップするが、この日は富士見峠を下り、竜宮十字路へと出る手前で水芭蕉の大群生を目にすることができた。
ラッキーでもあり、来て良かったと思える一日であった。