ひとり旅への憧憬

気ままに、憧れを自由に。
そしてあるがままに旅の思い出を書いてみたい。
愛する山、そしてちょっとだけサッカーも♪

劔岳 奉納 「絶景で昼食」

2022年03月14日 20時33分00秒 | Weblog
さて、どこで昼食を食べようかと歩いた。
どうせならビューポイントがいいと思い探したのだが、長治郎のコルから山頂までの区間をゆっくりと歩いた記憶が無い。
コルまで下る時は「何が何でも安全確実なルートファインディング」を最優先。
山頂まで登る時も「何が何でも安全確実なルートファインディング」を最優先。
ゆっくりと周囲を愛でながら通ったという覚えがないのがこの区間だ。

するとそれなりにテントも設営できそうな広いポイントを発見した。
更にそこから数歩移動しただけで長治郎谷や八ッ峰を眺望できる絶好のローケーションポイントを見つけた。
「どうせならいい景色を眺めながら食べたいね。」
「ここにしましょう♪」

この区間にこんなビューポイントがあるなど、今まで全く気付かなかった。
少し損をしていたような気持ちにもなったが、今日はそれらを取り戻すつもりで昼食を食べたい。

バーナー、コッヘルを取り出し準備開始。
お湯が沸くまでの間も八ッ峰を眺めながら待つという贅沢感に浸っていた。


コッヘルのバックには八ッ峰、更にその後方には後立山連峰が見える。

風は微風、ほぼピーカン、申し分のない天候に恵まれた。
もうそれだけで飯が美味くないわけがない(笑)。
お湯が沸くのが待ち遠しかった。


N君はリゾッタという味付きのごはん。
これからの持久力の為にも、本当は「米」の方が良いんだろうなぁ。


自分はいつものカップ麺。
醤油味が多いが、今日は味噌味の変化球とした。

食後に珈琲も飲んだ。
できることならもう少しここでゆっくりとしたい思いだった。
それだけ北アルプス奥地の絶景を堪能するにはもってこいのポイントだった。


後片付けを済ませここを後にする。
もう一度劔岳山頂を目指し、下山ルートへと向かわねばならない。
帰路も危険は待っている。

劔岳 奉納 「少しだけ北方稜線」

2022年03月04日 21時41分11秒 | Weblog
山頂での休憩もそこそこに北方稜線へと向かうことにした。

先ず目に付くのが大きな石と言うか、岩が堆積している区間だ。
「どこを行けばいいんですかねぇ・・・」
N君が思わず出た一言だった。
「自分で考えて自分で決めるしかないんだよねぇ。」
軽く返事はしたが、初めての人にとっては迷うところだろう。

この区間を越えればザレているとはいえ幅の広い楽なルートとなるが、さすがにこの先もトップは気の毒と思い、ここからは自分がトップをとった。

あるようで見つからないバリエーションルート。
何度も通ってはいるが、今までのような訳には行かない。
自分も慎重に見極めながら進んだ。


岩の堆積区間を越えれば、こんな具合にいたって楽なルートへと変わる。
しばらくはここを通過するだけなので緊張はない。

・・・と、いきなりの急な岩場へと豹変した。
どこをルートとして選ぶか・・・。
安全を最優先するが、スタンスポイントやホールドポイントを十分に見極めなければならない。
更に重要なことが二つある。
一つは、途中まで下ることができたとしても、これ以上は安全に下れないポイントもある。
「それじゃぁ戻って別ルートを探そうか。」となる訳だが、下ったはいいが戻れない(登れない)事もあり得るのだ。
つまりは、進みながらも常に戻れるか否かを判断しなければならない。

もう一つは、進んできたルートを十分に覚えておかねばならないと言うこと。
片道のみ進めばよいのであればまだいいが、往復しなければならないのであれば覚えておかねば後々面倒なことになってしまうからだ。
これがバリエーションルートの難しさであり、醍醐味でもある。


この画像はザレた広いルートが終わり、危険地帯へと下ってきたポイント。
今は忘れてしまったが、赤い線の何処かを選んで下ったはずだ。
戻る時も3ルートの何処かを通る。

急な岩場の連続となった。
自分が先に進み、振り返りながら写真を撮っている。
撮りながら下ってきたルートを指でなぞりながら復路を考える。


N君に言った。
「幾つか登れそうなルートがあるけど、帰りのためにも一応覚えておいてね。」
「いやぁ難しいですね。考えていたい以上の難しさがありますよ。技術や体力だけじゃ全くダメですね。」

なんとか急な岩場を下り終え、再びザレ場となった。
「長治郎のコル」はこの先にある。
果たしてどうなっていることか・・・。

コルへと下る危険な岩場となった。
通れそうなルートは二つある。
見覚えのある特徴的な岩、そして溝。
(「ここを下ればOkだが、足場がかなり脆そうだ。ホールドする岩は大丈夫だろうか。」)
口に出しては言わなかったが、地震の影響がどれ程のものなのかが本当に恐かった。
しばしルートっぽいポイントを見つめながら考えN君に言った。
「やっぱり止めておこう、危険だ。無理はしない方がいい。北方稜線はここまでだ。申し訳ない。本音を言えば今回は俺も恐いよ。」
「いや、それが今のベストの選択だと思います。戻りましょう。」

せっかく北方稜線まで来てここで引き返す事への「もったいなさ」はあった。
悔しさもあった。
しかし命にはかえられない。
それでもこの時言ったN君の言葉に助けられた思いがした。
「あれが八ッ峰ですか。初めてこの目で見ましたがものすごいですね! 何という迫力なんですかね! 感動ですよ! これは凄いですよ! ここまで来なけりゃ絶対にこんな感動は味わえないですからね。」


初めて生で見る八ッ峰にしばし見とれている。

さて、八ッ峰を見ながらこの辺りで昼食としよう。